どん底スナイパー 公演情報 どん底スナイパー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★

    予想以上の好作品
    劇団員の古山憲太郎氏がモダンスイマーズ初の作・演出を担当。

    映画の場合もそうだけれど、名選手必ずしも名監督ならずというか、俳優さんの作・演出というのはご本人の思い入れに比して成功例は少なく、なかなか高評価を得るのは難しい。

    それで、正直、この作品も観るまではオッカナビックリだったのだけれど、さすが伊達にキャリアを重ねていない人だけあって、面白い作品になっていて安心した。

    「文字通り、俳優との共同作業」と古山氏ご本人が前説でも述べておられたが、俳優たちと話し合いながら、3時間を超える内容の無駄な箇所を削り、1時間35分に凝縮させたという。

    全員の信頼感、チームワークが結集した好作品となった。

    蓬莱竜太氏が当日パンフに「彼こそがモダンの真打ち、秘密兵器・・・・ひっそりとライトを守っていた奴こそが真のエースだったのです。」と寄稿。

    モダンスイマーズも10周年を経て、新しい可能性に挑戦していく、今回もそのひとつ、と主宰の西條氏も述べている。

    劇団としての今後にも注目したい。

    ネタバレBOX

    出演者全員が白いシャツ、ベージュのズボン、キャップと、ユニフォームのような揃いの衣装で、1人何役もめまぐるしくこなしながら話が展開して行く。

    回想場面が挿入され、時系列も入り乱れ、最初はついていくのにちょっと戸惑った。

    内容はコントではないからまったく違うが、どこか往年のドリフの舞台面を思い出す。

    1人何役も演じ、微妙に違う同場面が出てくるという共通点で、先ごろ別の劇団の芝居を観たが、それと比較すると退屈もさせず、数段すぐれて、完成度が違う。

    俳優さんにかかる負担の大きさ、という点では凄まじいものがあったと思うので、演じきった俳優さんたちには脱帽である。

    津村、小椋、西條の劇団員がきっちり骨格部分を演じ、ベストメンバーの客演陣が肉づけをしていく印象。

    なかでも、紅一点の斎藤ナツ子の好演が目を惹いた。

    ラストの「木の鳥」が飛翔するシーンで感動が最高潮に達する。

    何より感心したのは、モダンスイマーズのイメージはそのまま残されているのに、蓬莱作品とは正反対という点。

    蓬莱作品ではないので観劇を見送ったファンもいたようだが、見逃した人は残念だった、と思わせる力作だった。
  • 満足度★★★★

    古山憲太郎の次回作を観たくなった!
    今回は作・演出の蓬莱竜太は一切関わらず、所属俳優・古山憲太郎の初めての作・演出公演。ここの劇団は4人の男優と演出家で構成されていて、残りは客演で賄っている。
    舞台の見せ方、展開の流れ、俳優の扱いなどは蓬莱竜太をやや踏襲している感は否めなくはなかった。始まりから60分までが展開になか弛みを感じたが、話の謎が解け始めてからは一気に引き込ませてしまう見せ方は上手かった。多分、それは後半に向けて、蓬莱竜太が決して行わない古山憲太郎の演出方が際立って見えてきたからに違いない。どうしても天才・蓬莱竜太の下で演じていれば影響を受けて、真似をしまいがちだろうが、そこを初舞台で自分の世界を作れた古山憲太郎は立派。

    何時見てもモダンスイマーズの男優人は、舞台でしか味わえない心地良い演技を見せてくれる。

  • 満足度★★★★★

    古山憲太郎さんって
    スゴイかも!! 作・演出、見事でした。
    演出するのが大変そうな、ちょっとぶっ飛んだ脚本が、蓬莱さん欠席のモダンスイマーズ3人と他のキャスト全員の素晴らしい演技力による相乗効果で、ステキな作品として出来上がったのだと思います。
    とても面白かったです。タイトルからハードボイルドなものを想像していたのですが、とても可愛らしくて優しい作品でした。

  • 満足度★★★★

    加速度的に(役者)エントロピーが増大していく
    勝手な印象なのだが、(最近見始めたということもあり)モダンスイマーズの舞台は、日常が舞台であり、どうしようもない人たちのヘヴィな様子を描いている、と思っていた。
    しかし、今回は、古山憲太郎さんが脚本・演出ということで、それとは違っていた

    ネタバレBOX

    古山憲太郎さんが役者ということからかもしれないが、役者にかかる負荷が大きかったような気がする。
    負荷と言っても、それは役者にとっての、楽しみでもあるのではないかとも思った。
    具体的に言うと、1人が演じる役があまりにも多いのだ。

    しかも、1人が何役かやるときには、同じシーンに同じ俳優が演じる別の役が出ることは、普通はあまりないと思うのだが、それがこの舞台では平気にあるのだ。
    例えば、学校の先生と小学生の女児を三田村周三さん(!)が演じて、小学校の教室のシーンを構成するという、むちゃな感じなのだ。
    ただし、これは小学校というシーンでは同じなのだが、一緒に登場するわけではない。

    しかし、後半に行くに従い、それがどんどん加速度的に重なっていき、ラスト近くでは、同じ役者が演じる何役もが、同時に舞台の上にいたりする。
    さらに、小学生と現在の大人は、同じ役者が演じるのだが、例えば、大人のシーンに登場する、小学生のときのクラスメイトを演じていた役者が、そこでは別の役だったりするので、帽子程度の衣装替え(?)はあるにしても、とにかく大変なことになっていくのだ。
    そんな、まるで役者的なエントロピーが増大していく感じが楽しいのだ。

    別の役を丁寧に、別の役として演じている人もいたが、微妙な差だけで、演じている役者もいるのだが、観ているほうには、あまり混乱は起きない。
    それは演出ということもあろうが、役者の力を知っている、あるいは信じているからこそ、任せてしまったのだとも言えると思う。

    そんな役者がフル回転する舞台であり、それがこの舞台の醍醐味でもあろう。
    フル回転していても、膨大な汗をかいたり、息を切らせたり、なんてことがないところが、スマートで、さすがモダンスイマーズと言える。

    今回の古山憲太郎さんのモダンスイマーズが成功したのならば、これからも、ちょっと趣向の変わった、新しいモダンスイマーズが観られるのではないだろうか。

    ストーリーは、メルヘン的、少年マンガ的で、ラストは甘い大団円だったから、そういう意味でも、新しいモダンスイマーズとも言えるのではないだろうか。

    フライヤーの顔の絵は、古山憲太郎さんの手によるもので、小学生のときに描いたものらしい。その原画は、他の作品とともに客席に続く廊下に展示してある。
  • 満足度★★★★

    一見の価値あり
    話が進むにつれどんどん面白くなってくる。決して古めかしくはないが、どこか素朴で深い味わいがある。今後大化けするかも。

  • 満足度★★★★

    今後のモダンスイマーズ
    にも少なからず影響がでるかもしれないですねぇ!!
    古山くんのファンタジーに満ちた 秀逸な作品だったと思います。

    今回のフライヤーも小学生の頃に古山くんが書いたものらしいですが、きっと子供の頃に描いていた素朴な夢がいっぱい詰まっていたように感じました。

    舞台美術なんかもシンプルなんだけど、色々と考えられた演出でキャスト達の息のあった動きが とっても良かった!!!

    蓬莱くんの作品とは一味違ったよさかあったと思います。。

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!
    全く予想もしていなかったストーリーと、実力のある個性的な役者陣に魅了されました。

    ネタバレBOX

    タイムマシーンを使って負のスパイラルに陥って小学生時代に死んだ友人の一家を救う話。

    黙々とタイムマシーンを開発する国家機関の研究員たちと作業に従事する囚人たち、借金苦に悩み保険金詐欺を企んだ中華料理店の夫婦、中華料理店の息子が見た木の鳥を探索した同級生たち、三つのグループのシーンがランダムに展開していくうちにこれらの人々が繋がり合い、重なり合い何が起きたかが次第に明らかになっていきます。

    家に火を点けたのが木の鳥だと確信した中華料理店の息子は崖に引っ掛かった木の鳥の残骸を取ろうとして転落して死んでしまい、店は再建されたものの悲しい結末となった現実を、大人になった同級生が開発したタイムマシーンに別の同級生が志願して乗って当時に戻り、ある情報を伝授することで未来が変化したようです。

    変化のおかげで木の鳥も崖に引っ掛からずにすみ、戻れたんですね。

    上が白で下が茶色の短めのズボンで統一した衣装や、木製の椅子状の立方体を使った小道具で抽象化と透明感が表現でき、女優が一人ということもあってか、むさくるしい小学生の女子も登場したりの演出も良かったです。

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