さるヒト、いるヒト、くる 公演情報 さるヒト、いるヒト、くる」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    年齢で観え方も違ってくるのかもしれない…と思った。装置も音も照明もステキだった。
    劇場が変わった時に装置がどう変わるのか?気になる。

    ネタバレBOX

    風船が割れるときビクッとなっちゃうよね。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    社会の中での演劇の位置と役割、それに対する自分の関わり方に向き合った意欲作。地域と時間との縦横の軸で考え、今ここで自分たちがやることの意義を追う誠実さのある作品。自分はそういったことを理解しているとは言えないがそのように感じた。時間的にも同時上映の「発熱」とセットでちょうどいい感覚。「発熱」は化学反応ということなんだろうか。どちらも面白かった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    北海道恵庭市の山中で暮らす実在の人物を元に描いた作品で、実際に出演陣が件の人が住む森へ赴き交流を重ねた厚みが垣間見える表現がたくさんあり説得力がありました。都市部で仕事をしながら表現活動をすることを決めた若者2人が森の中へ滞在しているところから、美しい描き方で森にまつわる歴史なども浮き彫りになっていきます。とても面白い作品でした

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    いまを生きているのだけど、それは過去からのいま。何度も鑑賞することで、違う理解が生まれそうな作品でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    タイトルの演目「さるヒト、いるヒト、くる」は、葉っぱが堆積してできた土の上で、100年後を考えて作られた林の下で、言葉が湧いてくる/降ってくる瞬間を体感できるような観劇だった。時間の軸(過去未来)と場所の軸(緯度経度)が、同じであること(今、ここ)、がはっきりと感じられて、劇場に来てよかったなと思った。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/05/04 (土) 15:30

    ポケット企画「さるヒト、いるヒト、くる」観劇しました。
    今回はせんがわ劇場演劇コンクール参加作品であり、とても貪欲な作品作りを行っている様子が伝わってきました。
    舞台は「森」を模した抽象的な装置で(コンクールでの転換時間の制約を意識した)同時上演のシベリア基地の転換もスムーズでした。新鮮なところはいくつかありましたが特に暗転の処理は面白かったです。出演者のアンサンブルにも好感を持ちました。
    シベリア基地は旭川で活躍している劇団ですが、シリアスだけどペーソスがある舞台に惹かれるものがありました。
    #ポケヒト

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    澄明感のある舞台。土着と歴史へ学び、ハードインフラを築きあげた近現代を撃つかのような視点。
    戦争の記憶と予感を映像のように見せた。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「対象と向き合い歴史を問う姿勢」

    ネタバレBOX

    「私には、距離があります/その時、そこで、生きていなかった、という距離です」

     たまたま買った漫画本を読んだサト(中野葉月)は、そこに描かれていたある家族の戦争体験を読んだときに抱いた感覚についてこのように述べる。彼女は常日ごろ歴史の勉強に余念ががないミタ(吉田諒希)とシル(さとうともこ)に詳しく話を聞こうとするが、己の行動に身勝手さを感じ及び腰になってしまう。自分たちもまた同じような気持ちを抱いているとミタとシルに背中を押されたサトは、漫画を読んだときは言葉にできなかった衝撃を打ち明ける。困難を抱きながらも他者や歴史に向き合う姿勢が本作を貫く主題である。

     サトはパートナーで劇団の主宰者であるリタ(田村咲星)とともに、木々や珍しいきのこが目に映える森のなかに暮らしている彫刻家のカナ(田中雪葉)とパートナーのヒロ(赤坂嘉謙)のもとに滞在している。元看護師のカナは仕事に疲れ、森のなかに移住して造形作家として活動してきた。お金はないそうだが満ち足りた様子のカナとヒロに、リタとサトは同じく芸術を志す者として共感を寄せているようだ。4人の会話の合間に時折遠くから自衛隊が訓練で出す大砲の音が挟まってくる。

     並行してiPadを片手に歴史の勉強しているシルとミタの対話が描かれる。シルが覚えているのはアイヌの英雄コシャマインが起こした和人への武装蜂起「コシャマインに戦い」の1457年や、松前藩の収奪に対して発生したアイヌ民族の蜂起「シャクシャインの戦い」の1669年、多くの屯田兵が動員された西南戦争の1877年に北海道旧土人保護法が制定された1899年と、道民の歴史にまつわる重要な年号である。この二人の世界に入り込んだサトは、やがて漫画に描かれていた物語について話しはじめる。道南に住んでいたある一家は、夫[赤坂嘉謙・二役]の旭川への招集を機に結婚1ヶ月で別居、妻[田村咲星・二役]は札幌に引き上げる。2年後に帰還した夫とともに幌泉に移住するも、夫は2度目の招集で釧路へ。夫に会いに行った妻とその子は、帰り道で幌泉が空襲に遭ったことを知り、帰還した街がめちゃめちゃになっていたことに衝撃を受けるーー。

     声高に糾弾したわけでも調べたことをそのまま劇化したわけでもなく、淡々とした日々の営みから公権力に翻弄され続けてきた道民の歴史を浮かび上がらせるこの物語は、我々観客の国家観へ静かに疑義を突きつける。取材を通して体験した迷いや対象との距離感を包み隠さず提示したことで、虚構と現実のあわいを描くことにも成功していた。そういった意味では演劇が本来持っている芸術性が生きた作品と言えるだろう。

     一杯飾りで二つの世界を並行して描き、やがて戦禍の物語を再現するという鮮やかな展開も本作の魅力である。俳優や照明、音響のチームワークがよく取れていたことの証左は、終幕で砲音とともにソーラン節を歌い踊りあげるという、力強くも皮肉な見せ場に結実していた。ショパンのノクターンが流れるなか穏やかに進んでいた森の中の対話が、風船を割る演出で急にシリアスなトーンになるなど、音の使い方がうまい。ただし空襲の描写で妻の心情を俳優が複数名で嘆く重要な場面は、破壊音が多き過ぎたため私の席から聞こえにくく残念に思った。
     
     説明的な台詞がない点には好感を覚えたが、私自身に北海道の歴史やアイヌ関連の知識がなかったため理解が難しいと感じる描写があったのも事実である。その点で漫画の再現場面で一家の暮らす場所が北海道の地図上に灯されていたのは大助かりだった。また森の中の4人のやり取りを見守りながら歴史の勉強をしているシルとミタは、じつは像であるという設定も戯曲を読んで初めてわかったところである。「せんがせんがわ劇場演劇コンクール」での上演を見越しており時間の制約があったからかもしれないが、より肉付けした内容をもっと長い尺で観たかったというのが本心である。

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