青空の休暇 公演情報 青空の休暇」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    人生の最後
    流石に勝部裕子の歌唱力に惚れ惚れ。居場所を失った3人の男たちのロマンを描いた物語。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    ハワイへ旅立った3人には、 それぞれが胸に深い傷を抱えていた。
    早瀬は妻に先立たれ息子の家に転がり込むも、息子の家族との折り合いが悪い。白川は妻に自殺されて、今は孤独な身の上だ。栗城は妻と離婚してやはり孤独だった。それぞれが居場所がなく心が安定しない中、こうして早瀬の発案で碧い空のハワイにやってきたのだった。

    そこで奇遇にも真珠湾攻撃の戦闘で使われ不時着した九七式三号艦上攻撃機と出逢った3人は、少年の頃に戻ったように、この飛行機を修理し大空を舞うことに夢を託す。しかし、早瀬は癌に倒れ亡き人となってしまう。

    家族のあり方をみつめながらも、心から愛していた妻に優しい言葉の一つもかけてやれなかった事を悔やむ白川。物語の舞台はハワイだが、アメリカ人が妻に対する処遇と、日本人の妻に対する処遇の差が明らかになり、個人的には、なぜ生きてるうちに大切にしてやれなかったのか!と毒づきたい気持ちにもなった。

    そうして白川は妄想の中で亡き妻に侘びを請うのだ。そして、「愛だって命だって永遠に続かない。だから美しい。だから今を一生懸命生きるんだ。」と賛歌し、飛行機を大空に飛び立てる。

    物語は万人受けし、ベタで解りやすい。加齢するという事は若いときと違って、さまざまな諸問題も降りかかる。そんな時、孤独で居場所がないというのは人生の最後の土壇場でしくじるようなものだ。だから生きてるうちに、大切な人には惜しみない愛を捧げるべきだとも思う。「青空の休暇」はそういった人生の最後に歌うボレロのようだった。

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