死ねばいいのに 公演情報 死ねばいいのに」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    ミステリ小説が劇化される機会は意外に少ない。小説を書くときは初めから劇のことを考慮していない。劇には劇のつくり方もあって、筋は同じでも小説とは作りが違う。脚色物は、本格謎解き物は別にして、小説の面白さが劇に乗り移っていかない。
    京極夏彦のミステリ世界は劇になじみやすいとは思うが、小説的な技巧的を好んで使う作家だけに、完成した小説から劇場の演劇ファンを満足させる作品を作るのはかなり難しい。京極夏彦三十周年をうたったこの劇化にもその苦しさは付きまとう。
    今回は、中堅の地歩を固めつつあるシライケイタの脚本。演出。原作者の周年イベントを意識したのか、原作を立てた舞台である。
    紀伊国屋サザンの舞台は、ヤオヤの舞台に階下のニトリのショールームかという感じでソファやイス、テーブルが雑然と並べられている。最初の三分の二は、絞殺された若い女性の生前の実像を、生前関係のあった男女に、男(新木宏典)がきいていくインタビュー形式である。速いテンポで、現代的な勝手な男女たちに死んだ女性が翻弄されながら生きていたことがわかる。年上の不倫男、女性マンションの隣室に住む同じ職場の上司の女性。女を売買する暴力団の男。産みっぱなしだった実の母親。最後のあっていた男。小説で作者の筆で書かれれば読めるこれらの類型的人物も演じる役者によってはしらける(ありていに言えばヘタな)役者もいる。それらの人物は最後に「死ねばいいのに」と結論付ける。
    そこからが面白いところで、ここまで来るのが長すぎる。ここから後はネタバレになるので控えるが、予想できるスジながら見せ場はある。
    興業のつくりが2.5演劇のつくりでもあるので、あまり多くは言えない。客席は半分。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/01/24 (水) 14:00

    繰り広げられる会話に惹き込まれ、時間の経過を感じることなく、あっと言う間の約1時間45分でした。おもしろかったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2024/01/23 (火) 14:00

    座席1階

    ナベプロのDボーイズメンバー新木宏典ら俳優をお目当てに来ている女性が圧倒的に多いな、という客席だったが、シライケイタの脚本・演出はとてもおもしろい。人気俳優がお目当てでない人も十分に楽しめる名作だ。

    まず、開演前。舞台手前に向かって傾斜した舞台がおおむね4つのパートに分かれてソファやテーブルなどが置かれている。この傾斜舞台が非常に新鮮。台本に沿った演出では特段、傾斜が生かされているという感じでもなかったが、まずは注目の的である。
    物語は、新木が演じる自称・世の中を知らないバカな若い男が中年サラリーマンを呼び止めるところでスタートする。死んだ知人のアサミについて知りたいというのだ。この無礼な若い男と、上から目線の中年男のバトルトークのような会話劇がまず、おもしろい。当初は説教を垂れるような調子の中年男だったが、話を重ねるうちに形勢が逆転。アサミを知りたいという話だったのにいつのまにか自分のことばかり弁解しまくる中年男。区切りとなる決めぜりふが、タイトルにもなっている「死ねばいいのに」だ。
    アサミの母親や自宅マンションの隣人女性など、アサミに関係のある6人をこの若い男が「アサミのことを知りたい」と次々と訪ねていくオムニバスのような感じで進んでいく。これら関係者とアサミとのかかわりはそのパートごとに明かされていくが、最後まで分からないのは、誰がアサミを殺したのか、そしてこの無礼な若い男とアサミとの関係は何なのかというところだ。その答えを提示する衝撃の展開が待ち受けている。

    一番の面白さは、それぞれ激しく展開される会話劇。シライケイタの真骨頂と言えるのかも。それぞれの俳優がこの劇作家の注文にきっちり応える演技をしているのだが、残念なのは主役の新木君。長ぜりふもあちこちにある会話劇で大変なのは事実だが、ちょっとかむ場面が目立ってしまっていた。

    でも、この舞台は文句なく面白い。人間の身勝手さや正直さがクロスオーバーする展開には感動する。いい舞台だった。

    ネタバレBOX

    招待を受けていたと思われる演劇記者が遅刻してきたにもかかわらず、座るやいなや最後までいびきをかいて隣席に迷惑をかけていたのはブーイングだった。眠りに来るなら来ないでほしい。

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