パートタイマー・秋子【石川公演中止】 公演情報 パートタイマー・秋子【石川公演中止】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    重いテーマをいつも軽やかに描いている二兎社の舞台は大好き。
    沢口靖子さんの凛とした佇まいが本当に素敵でした。
    生瀬さんのヨーデルは、講演後もしばらく頭から離れませんでした(笑)

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    永井作品のエッセンスが存分に出た名作
    気になる箇所もあったものの
    久しぶりに見られてよかったと思う

    誰でも楽しめるちょうどいいスパイスとしての社会風刺がひかっている

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    以前に青年座の公演のために書いた本を本人演出で書き直して、全く感じが変わった作品になったという。その良し悪しは別にして、今回の上演は主演に商業スターの沢口靖子、わきに小劇場出身ながら商業劇場経験も多い生瀬勝久を配することで新しい娯楽演劇に道を開いた。二人へのギャラは苦しいかもしれないが、東芸の地下も、これだけ満席になれば、新商業演劇になるのではないかと希望が持てる。
    内容は、大スーパーに押され気味(それでなくとも苦しい)の中小スーパーのバックヤードの一杯セットで、そこの古株、新入り入り混じったアルバイトたちと新任会社側経営店長(亀田佳明)が、何とか身過ぎ世過ぎで日々を送っていく風俗劇で、生活をよく調べてあって、いかにもの、面白さである。
    作劇の構成は、新店長の就任セールが成功するか否かの大売り出しへ向かってサクセスストーリーで組んである。その中に、中高年採用とか、万引き(社員も含め)対策の苦労とか。上も下も苦しいスーパー経営とか、現実を巧みに織り込んでいる。永井愛の作品としては、どこかで顔を出す青臭い正義感とか、政治的主張を今回は抑えて裏側へもっていったのが成功した。こうしてみれば、言われなくても作者の意図は十二分にわかる。俳優の力も新生面を引き出している、沢口靖子は経験も十分のスターだが、文学座の舞台でこそ期待されてきたが一般にはそれほどなじみのない若手主演俳優の亀田佳明が特にいい。この新店長の裏にも表にも人物的なふくらまし方がうまい。それが単に風俗劇としてだけでなく、新しい商業演劇にもなっている。休憩を入れて2時間45分。
    この劇場でほぼ一月28公演、そのあと全国公演14ヵ所。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/01/23 (火)

    これは中々に誰でも楽しめる作品ですね。
    その中にも辛口な、というか同調圧力してしまう気持ちとか赤裸々に描かれていて、
    どうなっていくのか、目が離せず見入ってしまいました。
    秋子役の沢口靖子さんの凛とした姿がとても良く、貫井役の生瀬勝久さんの芸達者なことと言ったら!!
    店長役の亀田さん他皆さんがこれまたよくって、脚本買って帰りました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    つぶれそうな下町スーパーで、わけあってバイトを始めた山の手の奥様・樋野秋子(沢口靖子)。さえない店長派と、ぐーたらバイトの反店長派の対立の余波を受け、頭がくらくらしてくる。そんな世間知らずの奥様に、沢口靖子がうまくはまっていた。
    生瀬勝久の「焼肉ヨーデル」のスイス風の節回しは傑作で、客席が大いに沸いた。ロッカーから突然飛び出してくる意表を突く場面と言い、生瀬氏の喜劇度は非常に高かった。
    2時間45分(休憩15分込み)

    ネタバレBOX

    バイトのボスの春日(土井ケイト)たちは、レジを通さないで店の物を持ち帰ってずるしている。店長は、賞味期限切れの肉を「リパック」して再び店頭に並べ、その片棒を担ぐ精肉担当には特別手当を出している。担当が辞めたため、秋子が8万で引き受けるが、前の精肉担当の手当は10万だったことが分る。こういうせこさが、いじましい。どちらにも正義のない店長派とバイト派のかけひきが、日本社会の縮図のように見える。

    そこに「新店長赤っ恥セール」が絡むのだが、豆腐や牛、豚のシャッポをかぶったり、調子っぱずれの替え歌(「夏の扉」を「店の扉」にしたり)を歌ったりと、浮世離れしたセールス。反店長派ならずとも、とてもついていけない気がする。

    二兎社には珍しく出演者が多い。12人。ちょっと多い気がする。誰が誰かを理解するのに少々かかった。21年前に上演した青年座では、これぐらいがちょうどいいのだろうか。
    開演時間を間違えて、30分遅れてしまったせいもあるので、仕方がないかもしれない。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    二兎社『パートタイマー・秋子』を観劇。

     スーパー「フレッシュかねだ」でアルバイトを始めた成城に住むセレブ主婦・秋子。
    夫の会社が倒産し、生活費、子供たちの学費の捻出など、家計は火の車だ。
    仕事を始めてみると人手は充分足りているようだが、店舗内では何かがおかしい。
    バイトたちの商品の横流し、お釣りのちょろまかし、いじめなど様々だ。見かねた秋子は本社から来た店長に直訴しようとするが、周りに止められる。生肉担当のバイトが理由もなく辞めてしまい、秋子にお鉢が回ってくるが、店長から日付の改ざんを求められる。一旦断った秋子だったが…。

     控え室で物語は展開する群像劇だ。
     不正に加担しながらも誰もが会社の為だと思い込み、悪いことではなく、習慣だと割り切っているアルバイトたち。それは日本の企業が起こした様々な不正の過程の様子を丸写しているようだ。それが小さなお店でも起こっている。誰もが秋子の様に「それは間違っている!」と声を上げようとするが、仕方なく周りに順応してしまう怖さすら感じてしまう。自分の身に置き換えて、秋子の取った行動は「しょうがないよね」と思えてしまう瞬間すらある。
     芸達者な役者の演技、笑いと展開の面白さに釘付けにされ、描かれるの深刻な問題と相反していながらも、ゆっくりと問題提起へ誘導していく上手さは今作も抜群だ。更にハンナ・アーレント「悪の陳腐さ」を思い出せば、もう完璧である。
     深刻な社会問題をエンターテイメントの話術に乗せる上手さは、野田秀樹とは全く異なるが、永井愛が一番かも知れない。

    傑作である!

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