ローエングリン 公演情報 ローエングリン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★

    謎のラスト
    ワーグナーの名作を少し設定を変えた演出で上演し、最近ヨーロッパで良くある様なセンセーショナルで元の物語からかけ離れた演出になることもなく、適度に現代的で軽やかな雰囲気に仕上がっていました。

    背後に大きな橋がある以外はほとんど何もない舞台の真ん中に開演前から製図板の前に人が座っていて、前奏曲に合わせて2階建ての家の設計図を描き、その後は時間の進行に従って実際にその家を建てて行くという、エルザの幸福度を表象した様な演出がダイナミックでした。幸せに結ばれたかに見えたエルザとローエングリンが別れざるを得なくなったとき、家に火が点けられるという分かりやすい演出でした。
    有名な第3幕への前奏曲が流れる時には家の前に花で文字を作る作業がダンスっぽい動きで行われて、この公演で唯一のユーモラスなシーンになっていました。その後に続く結婚式のシーンも素朴で暖かみがあり、のちに訪れる別れとの対比が強く打ち出されていました。
    ローエングリンが自分の正体を明かす最終場では家が撤去され、沢山の小さなステージがまるで墓のように整然と並べられ、恐ろしさを感じさせつつも美しかったです。最後は舞台上空のスクリーンにピストルの絵が写し出され、100人近くの合唱の人たちが自分の顔にピストルを向けて暗転という後味の悪いもので、そこまでは比較的ポップな雰囲気で展開していたのに最後に急変して、どう解釈するべきなのか悩む終わり方でした。

    セットや照明の演出はカラフルで効果的でしたが、演技に関しての演出は比較的オーソドックスで、メインキャストも合唱も動かず立ちっぱなしのことが多く、演劇的観点からは面白味に欠けました。

    演奏は流石世界最高レベルの歌手・指揮者・オーケストラ・合唱で繊細なピアニッシモから圧倒的なフォルティシモまで美しい響きを堪能しました。タイトルロールを演じたヨハン・ボータさんは力士の様な体格で神聖な騎士には見えないのが残念でしたが、力強く輝く声が素晴らしかったです。オルトルートを演じたワルトラウト・マイヤーさん魔性の女っぷりが凄かったです。

このページのQRコードです。

拡大