満足度★★★
演ること自体がチャレンジング
今の時代にこの作品を演目とすること自体が相当チャレンジングで、その試みがうまくいったかどうかは意見が分かれるでしょう。冷戦構造が崩れ全面核戦争の危機が遠のいた今、別の危機に対する不安感を共通認識として醸し出さないと、作品の持つ世界観を表しきれないかもしれません。
3人の登場人物と道具は1台のリアカーという、ごくシンプルな構成がそのまま踏襲されており、舞台上に"九重五郎吉一座"のノボリを付けたリアカーが佇んでいるという状況を作り出した時点で、芝居の半分は完成したと言えます。残り半分は役者さんの個性と、いかに"エエカゲン"に見える芝居をして頂けるかにかかるわけです。しかしながら舞台の作りのせいか、役者さんの動きが少ないのが残念でした。
満足度★★★★
コミカルで寂しい不条理劇
柄本明さんの自邸の地下に設けられた「アトリエ乾電池」の杮落とし公演。
時代はおそらく未来で、核戦争が終わって、ほとんど人がいなくなった世界を放浪する旅芸人2人と、途中で出会う不思議な能力を持つ男の道中を描いた作品で、ベケットの『ゴドーを待ちながら』やイヨネスコの『椅子』を思わせるシーンもあり、コミカルな中に寂廖感が残る不条理劇でした。
しっかりとした演技力のある上に見せるドタバタぶりや外しっぷりが鮮やかな3人のやりとりがとても面白かったです。小さな劇場ですが照明や美術がしっかり作り込まれていて、特に後半に出てくる演出は小さな劇場だからこそできる内容で良かったです。ラストシーンがとても美しく印象的でした。
戯曲も30年以上前に書かれたもので、この公演もたしか3月11日より前に決まっていったと思うのですが、コンピューターのエラーでミサイルが飛んだり、放射性物質が宙を舞っている描写があったりと、今の日本の状況とリンクしていてちょっとビックリしました。
満足度★★★★★
ん~
東京乾電池をはじめて見ましたが、なんとも言えない良さを感じました。劇場はアットホームでしたが、芝居は不思議な素敵な気持ちにさせてくれます。個人的には、照明・音楽が大好きで、締め括りが特に好きです。柄本明さん、はじめて見ました!役者さんも知らない方々でしたが、こういった良さを感じたのは今までで初めてで、次の公演もみてみたいと思います。短いお芝居でしたが、短くは感じない感じで、分かりやすく面白いです。いろんな事を感じました。ありがとうございました!