ヒトラーを画家にする話 公演情報 ヒトラーを画家にする話」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.4
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    歴史にどう関わるかという部分も良かったが、若者の葛藤ってやはり普遍だなぁと思わせる熱演がとにかく良かった。
    ラストは唯一の救いだったのかな。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/09/29 (金)

    親の支配からの独立!そんなテーマを感じつつ、手話通訳の方が自然に舞台に溶け込んでいてそこも楽しみました。
    タイムマシン本当にあったら世の中どうなるのかしら??
    いろんな時間軸の世界が…と永遠と考えていられるかも。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    タカハ劇団初観劇。
    題材は重そうだが、願望の滲んだ捻ったタイトルから結語が既に見えている。これに作家がどんな中身を与えたのかを楽しみに芸劇に赴いた。(もっともタカハ劇団を観るぞ、とは前作あたりから決めていた。)

    記憶では異儀田女史が年長組に属してる座組は初めて。期待に違わずぶっ飛んだ役柄で、芸術大学の研究者として、アートの新境地を開くべく探求の結果、タイムマシンを創作してしまう。その実験で三人の学生が過去に飛び、画学生だった若き日のヒトラーに早速出会う。
    タイムリープ物の要はその「設定」にあるが、今作では時間旅行者が過去において歴史を大きく変えるまでの影響を与えてしまった場合、「空間」がズレてしまい、元の世界には戻れなくなる、としており、その影響が出ない内は同じ「空間」に居るためスマホも通じる。もっとも充電器が無いから大事に使う必要がある。現代とのやり取りで、タイムマシンが修復される25日後が「帰還日」と設定され、三人には猶予が生じる。先の「歴史への影響」については後半で明らかにされ、彼らが試みようとしていた「ヒトラーを画家にする」計画に障害が持ち上がる。そこまで歴史を変えてしまった場合、空間がズレ、現代に戻れない。その空間のズレはスマホの電波の本数がバロメータになる寸法だ。
    過去に送られた学生3人とは、まず主役に当たる一人は父が画廊を運営する著名な美術評論家で、画家に対する厳しい目を持ち、息子に対しても「画家になる」甘い夢を諦め、後継者にしたいと希望している。そこに葛藤がある。もう一人は美術の教員として就職先が決まっており、もう一人は一般企業のデザイン部門といった具合。美大に進んでもその中でアーティストになれるのはほんの僅か、という現実の中、彼らは主人公にその夢を託している所もある。
    皆に等しく課せられているのが卒製。そのテーマが未だに決まっていなかったのが主役の彼だったが、タイムトラベル先で「ヒトラーを画家にする事による何たらカンたら」といったテーマを思いつき、これに拘泥する。またスマホで知ったおぞましい史実から、使命感にも駆られる。
    後半、「空間のズレ」の事を知らされた彼らは、ヒトラー画家計画を一旦諦めるが、スマホの電波の棒を見ながら彼らは「戻れなくなるほどの変化は起こさないが、何らかの変化(幾らかマシな歴史にする)を及ぼす微妙なライン、即ち電波の棒1本状態で現代に戻るためにやれる事をやろうとする。ここが後半ドラマの走る部分。
    20世紀初頭のヒトラーの下宿先の母と娘、その叔父、同居人、美大の教授といった登場人物とのあれこれは実にトラベルで楽しいが、その時間の殆どが、風景画には強いが人物画が苦手な彼を何とか芸術院への試験に合格させるための画策となる。同じ下宿で画才のあるユダヤ人を試験に受からせない(諦めさせる)事でそれを遂げようとしたり、姑息な手段に走って頓挫するが、絵の上達の唯一の方法は「描いて描いて描くのみ」。最後に試みた方法はヒトラーの故郷の片思いの女性から肖像画を依頼された事にして、彼に人物画の苦手意識を克服して「絵が上手くなってもらう」事。そして迎えた彼女の訪問の日、背景としての歴史の喧騒が彼らを取り巻き、反ユダヤ主義の風が既に吹き荒れる。学生三人が唯一、彼らの秘密と「ホロコーストの歴史」を漏らした下宿の娘が、ユダヤ人画学生への思慕からヒトラー殺害を計画(故郷の思い人からの返事の手紙は彼女が偽造し、本当の手紙には「既に描いて頂く人が決まっている、意に沿えない」と書かれていた)、故郷からその女性が出て来るとされた日にナイフをしのばせて出かけるくだりもあったりと、盛沢山である。
    水晶の夜だろうと思われる日は、ヒトラーが既に結党して政界に進出して以降の事であるのに芝居ではまだ絵を描いていたり、やや無理筋な部分もあったが、基調が荒唐無稽であるのでさほど気にならない。

    全体に面白く観られた芝居ではあったが、テーマは荷が勝ち過ぎの感があった。最終的には異儀田研究員に諫められるように、歴史を変える事の傲慢さ、に行き着くが、これまでの全てが徒労である、だけでない何かが残る、というのがトラベル物である所、彼らがさほど貴重な体験をしたとは思えない後味が残ってしまう。ナチスを生み、ホロコーストを現実に起こさせたものは何か、について私達は知る事ができていない。今なお問われ続けている出来事であり、という事は私たちはこのあり方と隣り合わせである可能性があるという事だ。ゲルマン民族の優位性というフィクション(捏造)は、遠い過去のあだ花ではなく、これに類似したフィクションは日本のネット空間でも「日本の自画像」として杜撰な輪郭であれ描かれている。この距離感が、この芝居では取れていないというのが恐らく、私の中の不足感だった。
    ヒトラー役が登場し、まだ独裁者・抑圧者として君臨する前の素朴な人間像を見る楽しさはあったが、これは「あのヒトラーが」という元ネタあっての効果。その効果を用いるならそれに見合う「もっと鋭い斬り込み」は必要だったのではないか。

  • 実演鑑賞

    飽きずに見れるが、タイトルから感じた強さや衝撃がもっと欲しかった

  • 実演鑑賞

    満足度

    ヒトラーが画家になっていればユダヤ人虐殺は起きなかった、それなら、タイムスリップしてウイーンに行き美術学校に合格しなかったヒトラーを上手な絵描きにして画家にしてしまおう。それで世界は救われる、ト現代の画学生三人が、タイムスリップする話である。
    こんなハナシを作者が思いついたのは、今の若者(といっても高羽もまだアラフォーティのはず)があまりにも第二次大戦中のナチの暴走を知らないから、知らせないと、ということで自分も勉強してこの本を書いたという。客席はほとんど、三十歳前後の男女の客で埋まっていて、この劇団としては満席の盛況である。
    満席はめでたいが、戦前生まれで昭和反省の時代を生き抜いたこちらとしては、こんな安易な取り組みで若者に戦争を理解されてもかえって逆効果ではないかと思う。
    600万のユダヤ人の命を救う、ト一口言っただけで話は始まってしまう。タイムスリップした画学生たちも志がまるで見えない。志がないのは良いとしても(よくはないが)それに代わる600万の命に対抗できるようなモノがないと、ただのおふざけになってしまう。ヨーロッパで上演したら、小劇場でも、批判を浴びるに違いない。もちろん遠い日本でやってみるというのも表現の一つとしていいのだが、表現者の責任もある。高羽彩は若い女性たちの本音をうまくすくい上げる作家で、こんな素材には向いていない。ヒトラーが絵を捨てて、得意な演説に向かっていった本音はこれでは誤解されるだけで、まるでうかがえない。それにしても、現代のシーンに出てくる若者たちはみんなこんなにチャラいのだろうか。ドタバタ喜劇にしてもこの設定もちょっと偏見のような気がする。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/09/28 (木) 18:00

    昨年に上演する予定が、コロナで延期され1年越しで上演。シリアスとコメディのバランスがとれていて、とても楽しく、しかも考えさせられる舞台だった。(3分押し)68分(10分休み)88分。
     美大4年の3人が、教授が作ったタイムマシーンで1908年のウィーンにタイムトリップする。そこで美術アカデミーへの入学を希望する19歳のヒトラーに会い、虐殺をさせないためにヒトラーをアカデミーに合格させようとするが…、の物語。ありえない設定だが、そこの説得力を一定程度持たせる筋を考えるあたりが流石のタカハだと、まず思った。実はテーマは重いのだが、それを若干の笑いとともに展開させる巧さもしっかりある。エンディングは特に良い。

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