灰の人 公演情報 灰の人」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★

    灰から一転、生命の色彩
    久しぶりの大駱駝艦・天賦典式。
    ポジティヴで力強い。

    ネタバレBOX

    開演前の力強い麿赤兒氏のメッセージから公演はスタートした。
    メッセージ:http://www.dairakudakan.com/

    現在から未来への予見だったのか、灰から一転、生命の色彩がラストに広がる。
    灰は単なる燃えかすではなく、その内部に炎を隠している。ひとたび酸素を送り込めばまた炎が上がる。

    灰は終わりではなく、始まりに通じるものである。
    この現実に起こった未曾有の惨事を前に、そうしたメッセージを受け取った気がするのだ。
    力強く、ポジティヴな「をどり」の中に。

    全編で語られるのは、再生だった。
    まず、すべては、いったん灰に還るのだ、というような意気込みをも感じる。
    自らの行いを破壊するようなアプローチがそれを支える。
    今回の天賦典式では、まるでコンテンポラリー・ダンスを彷彿とさせるシーンもあるのだ。そして、大いに声を上げて「をどる」。

    また、録音だが、台詞のような音が入るシーンさえある。
    濃厚で重い中に、あまりにも普通なしゃべりが、普通のトーンで響くのだ。
    これは凄いと思った。
    つまり、いったん今までの「をどり」を灰に還していく作業ではないのか。
    今までの「をどり」を否定するということではなく、いったん原初に戻していくという行為ではないかと思った。
    声を上げて踊るということが、踊るということの原点にあるのではないかということ。
    そして、そういう「をどり」を通じて、人が辿ってきた「灰」への道を示す。人は自らを灰にしていく存在であるということなのかもしれない。

    ユーモアを交えつつ、ラストの生命の色彩に物語はつながっていく。
    それは再生の旗印であり、今、観客が一番望んでいることでもある。

    また、毎回のことながら、オリエンタルな音色をスパイスにした音楽もいい。


    そう言えば、姿が見えなかった、八重樫さんとか南条さんとか退団したのだろうか。気にかかる。
  • 満足度★★★★

    壮大な世界
    いつもパブリックシアターとシアタートラムを間違ってしまう。

    チケットよく確認しないで購入したため、三階席で鑑賞。はい、ケチったわけです。

    今までは壺中天でしか観たことがなかったため、会場が恐ろしく広い。
    そして、音響、照明がととっとっても豪華。装置も。

    「灰の内蔵は極彩色の宮殿である」

    という言葉通り(?)、スケールが大きな、壮大な舞台だった。
    大きな舞台でも小さな舞台でも、魅せ付けられる世界観、技術とかがあるって、すごいことだと思う。

    ネタバレBOX

    いつもは個体に注目していたが、会場が広く、三階席だったため、今回は全体のバランス(配置、動き、照明など)を良く見ることができた。


    そのことで今まではあまり意識しなかったこと、気づかなかったことがあったんだ、と気づいた。

    彼らには後ろにも目がついている。

    いや、それはないかもしれないが、そう疑いたくなるほど、人とぶつからない。

    素人じゃないんだから当たり前だ!
    そのために厳しい訓練をしているんだ!ばか!
    何度も稽古してるんだ!たこ!!

    とか言われそうですが、実際にそう思ったことは事実です。
    こういう舞踏?だとどこまでが振り付けなのか、はっきりとはわからない。
    10人くらい集合してそれぞれがクネクネするのを上から見てて、結構危うく衝突しそうになるが、でもふらっとかわす、みたいな、そんな感じだった。
    きっと一階席から観てたら気づかなかったことだろう。
    (でも、10人くらいが丸い動く装置を使って身体を浮かせて、それぞれが足を自転車こぐように動かすというくだりがあったのだけれど、それは是非一階席で観たかった。。)

    クネクネするところだけじゃなく、立つ、歩くなどの行動を、あの大舞台で魅せるというのはなかなか難しいことで、そういう点では役者よりもきれいに動けるのかもしれない、と思った。

    四角い照明がバッとついて、それぞれの光の中に人が入ってるとか、上半身と下半身であたってる光の色が違うとか、ラストは色彩豊かな装置が現れて、血(演者)が通うとか、きれいで飽きなかった。
    壮大なスケールにぴったりの音響も、よかった。シンセサイザー、和風、テクノなどなど、どっから探してくるんだろう、しかしよくはまってる、というものばっかり。

    心地よい舞台でした。

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