『会議』『街角の事件』交互公演 公演情報 『会議』『街角の事件』交互公演」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    別役づくしシリーズ最後のvol.4にして漸く観劇。「会議」「街角の事件」両作とも観ることができた。
    別役戯曲の中でも陰影の深い部類の作品で、ナンセンスが滑稽さにも怖ろしげな感覚にも近接する。「会議」は新国立研修所の発表を面白く観ていて、周囲が暗闇に飲まれる劇場の作りが味方していたと記憶。今回は空間的に限界あるシアターグリーンであったが、黒をうまく用いていた。
    以前P-Farmという新人育成公演で別役作品(二人芝居×2作品)を観た時の磯貝誠氏(別役作品の特異な雰囲気を体現したような)が「会議」の問題の人物に扮した。(その時の新人の一人は今回出演もしていたが、もう一人は退団した模様である。)
    Pカンパニーも、別役作品の上演主体として一目おくべし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/09/12 (火) 13:00

    座席1階

    「会議」に続いて鑑賞。「会議」が別役作品の中でも上位に来ると書いたが、今作は「会議」を上回る切れ味だった。何げなく発せられている言葉が場の空気を一気に変えたり、登場人物の立ち位置を反転させたりする。このように緻密に組み立てられた戯曲を味わうことができるのは、ほかにはなかなかないと思う。

    冒頭は「会議」と同じ裸電球付きの木製電柱とベンチ、そして踏み台。この踏み台に乗って、男が手旗信号をしているところからスタートする。おなじみのせりふ「ここで何をしているんですか」と声を掛ける、乳母車を押した女。ただ、母親らしくない黒い喪服のような出で立ちだ。なんだか嫌な予感がする(笑)
    時間を追って、次々に新しい人物が登場する。看護師によって車いすを押されてくる男、「ただいま容疑者を護送しています」とアナウンスをしながら赤いロープに男をつないでくる男。この「容疑者を護送しています」という説明言葉が、後段とんでもない力をもって客席に迫る。言葉の仕掛けはこれだけでない。「会議」と同じように公衆の面前での殺人事件が起きるが、「私は引き金を引いただけ」「私はピストルを渡しだだけ」とか、言葉が重ねられることで、犯人は明白であるにもかかわらず、いったい誰が悪いのか分からなくなる。

    どうなってるんだ!という混乱が頭に渦巻く。なぜかそれが爽快感?みたいになって満たされていく。これが別役中毒か。初めて別役作品に触れた人で、こんな中毒症状を呈してはまっていく人もいるに違いない。
    シリーズ「べつやくづくし」を演じてきた俳優たちも、戯曲同様、切れ味が増してきている。緻密に組み立てられたせりふを力を抜いて自然に演じられると、戯曲の言葉のマジックが客席を直撃する力を持つようになってくるような感じだ。
    1時間半の作品を見て、頭がしびれたまま帰途に就く。これはもう、完全な中毒だ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    両演目を続けて鑑賞。どちらも登場人物が比較的多いストーリー。噛み合わない会話と混乱させられる展開が次々起こって、それが観ていて不思議に心地良い。別役作品を何度も演じているからか、演者たちは手慣れていて、現実感のない登場人物たちの噛み合わない会話を実に巧くこなしている。不条理劇でこれほど人に薦めたいと思う舞台は珍しい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/09/06 (水) 19:00

    座席1階

    「会議」をまず、拝見。Pカンパニーの「べつやくづくし」の中でも、上位に入る面白さだ。

    まず、開幕前の舞台に納得。定番の電柱に裸電球。これは自分的に言うと好みなので「そう来なくっちゃ」という感じである。冒頭、アルバイトと思われる数人が木製テーブルといすを運んでくる。まず、偉そうに振る舞っているのがこのバイトたちを束ねる担当者のおじさんだが、やがて入ってくるこの仕事を発注したと思われる紳士に会話の主導権が移る。この紳士によると、人間の会議志向を証明するのが目的なのだという。電柱がある屋外に机といすを持ち込んで「会議」だというのだから相当おかしいが、不思議なことに客席はこのシチュエーションをすんなりと受け入れてしまう。
    別役戯曲の面白さの一つは、会話の主導権が次々に別の人に移り目くらましをされていくところだ。なるほど、相当な不条理だ。今作でも、バイトが「壊れているいすがあった」というのだが、バイトの担当者のおじさんは「そんなはずはない。壊れていたとしたらお前たちが壊したんだ」と毒づくがそれはその場面だけですっかり忘れてしまう。だが、こうしてすんなりと受け入れられるシチュエーションの中に、重大なカギが潜んでいる。
    会話の主役は続いて、たまたま通りかかった風情の「会議参加者」に移る。これも別役戯曲ではよく見られるが、その一人ひとりが勝手な会話を繰り広げる。てんでバラバラに交わされている会話のようだが、実は巧妙に織り込まれていて、やがてキーパーソンである男が登場する。劇はこの男を中心に急展開し、客席は路上という公共空間で行われる殺人事件を目撃することになる。

    こうした見どころが1時間20分の舞台に凝縮されているのだから、面白くないわけがない。
    2本だてにしなくて、これ1本で締めたのは正解だ。帰りの電車で「あの場面の会話は、ここを解く鍵だったのか」などと反すうして楽しむことができる。 

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