老いらくの恋 公演情報 老いらくの恋」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 映像鑑賞

    満足度★★★★

    感想が未記入だった。こちらは配信で鑑賞。ほぼ正面からの撮影で寄りの距離は切り替えているが凡そ劇場観劇している見え方に近い。俳優の顔も小劇場のように間近でまじまじと見る瞬間はないが、音声がしっかり録れているので支障ない。
    なので「劇場で観たっけ?」と記憶が混濁しそうになる。

    さてお話はこの作家がシリーズ的に執筆しているらしい農村を舞台にした物語。都会から勉強だか実習だかでやってきた若い女性の働き手が場を明るくしている「時期」を切り取った舞台になっている。これがデフォルトで実際には「お寒い」農村事情を覗かせるという事ではなく、農業に勤しむそれぞれの世代の若者たちの現在進行形を描く。無論ドラマには葛藤と対立があり、舞台となる農家の居間で説教臭くなく自説を語っている相手、その若い彼女のつぶらな瞳を媒介に「あるべき農業」のイメージを膨らませた観客は、青年グループのリーダー的存在が「厳しい現実に対応する道として」その逆を行こうとするのがフラストレーション。やがて終盤に至りその対立は超克され大団円に向かうが・・舞台で語られる素朴にそうだな、と思える言葉が、あっさりと、バッサリと両断される今の日本が(そこには描かれていないが)思われる。これだけでは足りない、もっと言葉をもって跳ね返さなければ・・・と、大団円に悦ぶ一方で脳の片隅でもう一人の自分がぐずっている。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    戯曲の批評性と俳優の人間味がうまく結びついたいい舞台だった。とくに青年劇場の誇るベテラン葛西和雄、藤木久美子、吉村直の自然なユーモアがすばらしい。葛西と吉村の「金色夜叉」ごっこは大いに笑える(お宮役で倒れた吉田が、隅っこで起きようとしてなかなか起きられない何気ない所作に、客席は爆笑した)。葛西が妻役の藤木に長年の感謝を云おうとして、本番では練習とは全く違う展開になってしまうおかしさも極めて上質だった。

    山下惣一原作の、農業金言が要所要所で光る。「規模拡大する農家がいれば、狭い農村では土地を失う農家もいるということだ」「競争ではなく共生」「農業は工業とは違う。成長よりも安定、拡大よりも持続が大事」「いくつになっても楽しみが見つけられる。農業やっててよかった」等々。

    若手も奮闘していた。特に将来の農業を支えるカップルを演じた藤代梓と安田遼平は初々しくて、応援したくなる。農業とともに、青年劇場の未来の希望を感じた。美術もよかったが、茶の間のセットと、シャインマスカットを植えた畑のセットの転換はどうだろうか。これをセット転換でなく、うまくシームレスに演じる手はなかったかと思う。

    ネタバレBOX

    最近、芝居というものはどこに着眼してみればいいのかということを考える。今更ではあるが、プロットやセリフに現れる思想、風俗、人間観社会観を見るのはまず初歩的な見方だろう。それは戯曲に書いてあるし、わざわざ舞台で演じなくてもわかるものだ。同じ戯曲でも再演、再再演、あるいは数十年時間をおいて、違う演出・キャストで演じるのは、同じ戯曲でもそのたびに違うものがその舞台にあるからだろう。その違いは何か?

    とりあえずだけれども、やはり舞台上の俳優を見ることが第一だろう。その存在、声、所作に、笑ったり、反発したり、身につまされたりが入り口であり、批評の土台である。さらに芝居を「体験」すること、美術、照明、音楽、セリフ、ステージング…の総合。その時間、劇場に身を置いて得られる経験の質の豊かさ。ここで観客もまた、笑ったり、あるいは静まり返ったりして、劇場での互いの体験を一緒に作っていることも見逃せない。ミュージカルや東宝や松竹の商業演劇の観客満足度の高さがそこにはある。

    戯曲のもつ思想を核としながら、俳優の存在をまじかに見ての劇場でえられる体験の質の評価、これがすぐれた劇評ということになるのではないだろうか。ただ抽象的にそういっても、始まらないので、結局は個別の芝居の経験を何とか言語化しようと四苦八苦することになるのだけれど。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/05/25 (木) 14:00

    座席1階

    どこまでも前向き。青年劇場らしい舞台だった。農業を考え抜いた作家山下惣一の作品が原作で、今風にアレンジしてある。

    扱っているのは農業だが、テーマは太陽光発電と農のコラボであるスマート農業や、富裕層向けの付加価値を付けて輸出する農業の未来、飼料の高騰で危機にひんする酪農、これらをめぐる世代間対立。老いらくの恋というタイトルは、主人公のおじいさんが若い女性と恋仲になるのではなかった(当たり前か)。このほかにも、昭和の男は連れ合いに「ありがとう」を言えないとか、ラストシーンに向かって走る世代間協力とか。脚本の高橋さんは盛りだくさんの要素を盛り込んでいる。これも青年劇場らしい舞台と言えるかもしれない。

    青年劇場の看板俳優である葛西一雄、藤木久美子、吉村直が舞台を引っ張る。どちらかというと高齢者が頑張っている舞台だ。客席も高齢者が大半を占める。だから、金色夜叉のメロディーが流れるとあちこちで笑いが起きた。葛西と吉村の金色夜叉の村芝居にも、大きな拍手が起きていた。数少ない平成時代以降生まれのお客さんには、どういうことなのか分からなかったかもしれない。

    だが、舞台が扱っているのは現代であり、ウクライナ戦争による穀物価格の高騰、飼料価格の高騰や新型コロナ、農地での太陽光発電なども舞台の要素である。冒頭、食料自給率の問答から始まるが、高齢化が進む日本の農業をどうしたらよいのか、考えさせられる舞台でもある。

    ネタバレBOX

    青年劇場の舞台ではこういうシーンは初めて見た。チケットの余りがあるという告知を俳優さんがカーテンコール後に行ったのだ。「SNSでの告知を」という言葉が出たのには少し驚いた。高齢者もSNSぐらいやっているから当然といえば当然なのだが。これで、「これから撮影タイムにするので、どうぞスマホで撮ってSNSに上げてください」となったらさらに驚くところなのだが。

この公演に関するtwitter

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  1. 青年劇場公演「老いらくの恋」をみてきた。恋人は「葡萄」らしかった。岸田政権は原発事故を投げ捨てて原発推進法を成立させた。漁民は,農民は、国民はどうなる。マイナ保険証もしかり。劇は観客を笑わせながら、「かつ」を入れてくる。戦前にもどる気配が強まった。 #戦前には戻さないぞ

    11ヶ月前

  2. 色々Tweetしたい衝動にかられる自分がいるが(笑)、昨日で青年劇場さんの舞台「老いらくの恋-農の明日へ」が千穐楽、出演者の方々や裏方の方々、お疲れ様でした😊 改めて、良い舞台✨ クスっ、やゲラゲラ大笑いしたり、ほっこりもしたし😉

    11ヶ月前

  3. 今日は新宿の紀伊國屋ホールへ久しぶりに演劇を観に行きました。 青年劇場の第130回公演「老いらくの恋 ー農の明日へ」。 九州・唐津のとある農家を軸に、現代社会への鋭利なメッセージが劇中にふんだんに盛り込まれ、音楽も洒落ていて、… https://t.co/CESFgraai9

    11ヶ月前

  4. 【千穐楽】本日5/31(火)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」の千穐楽です。 本日は14:00開演(開場は13:30)。 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は13:30からホー… https://t.co/zOi3TscYAk

    11ヶ月前

  5. 【演劇】本日5/30(火)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」を上演します。 本日は14:00と18:30の2回公演(開場は開演30分前) 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は開… https://t.co/nZpywbzsYc

    11ヶ月前

  6. 【休演日】本日5/29(月)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」の休演日です。 お間違えの無いようお願いいたします。 https://t.co/NNnBbY477H

    11ヶ月前

  7. 【演劇】本日5/28(日)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」を上演します。 本日は14:00開演(開場は13:30)。 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は13:30からホール… https://t.co/vv5KlAjXll

    12ヶ月前

  8. 今日は青年劇場さんの舞台「老いらくの恋-農の明日へ」を鑑賞。 ガハハと笑たり、クスっと笑たり、、故に笑いがたえない舞台、まだ観てない方は見るべし😉 ※日本の農についても知識えられるお得も。 https://t.co/OEbEt3zson

    12ヶ月前

  9. 【演劇】本日5/27(土)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」を上演します。 本日は14:00と18:30の2回公演(開場は開演30分前) 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は開… https://t.co/8ZlKlicuFc

    12ヶ月前

  10. 【演劇】本日5/26(金)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」を上演します。 本日は19:00開演(開場は18:30)。 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は18:30からホー… https://t.co/ZpRqkDamw0

    12ヶ月前

  11. 昨日は、青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」を観ました。 これまでに私が観た公演とは一味違う。 農業の問題を考えさせられながらも、ゆったりとした気持ちで楽しめ、ほっこりした、明るい気持ちにしてくれます。 観劇後の語り合いながら… https://t.co/pJWcuR7b5N

    12ヶ月前

  12. 【演劇】本日5/25(木)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋-農の明日へ」を上演します。 本日は14:00と19:00の2回公演(開場は開演30分前) 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は開… https://t.co/t2WXcYXhv5

    12ヶ月前

  13. 【初日】本日5/24(水)から5/31(水)は、 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場公演「老いらくの恋」を上演します。 本日初日は18:30開演(開場は18:00) 上演時間は2時間10分(休憩15分)を予定。 当日券は18:00か… https://t.co/MfgJLqFD7F

    12ヶ月前

  14. 洋服のジャケット近くに黒い物体が、、虫?いくら手を振りはらおうとしたがついてきた。。怖かぁ。 、、よくよくみたら服から出てる紐が毛玉みたいな丸まってた🤣 さて青年劇場さんの舞台「老いらくの恋-農の明日へ」今日からですぬ、観に行かせて頂きます🤡

    12ヶ月前

  15. 【舞台公演のご案内】 いよいよ明日5/24より幕が上がります。 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場 第130回公演 「老いらくの恋-農の明日へ」 山下惣一=原作「農の明日へ」(創森社刊) 高橋正圀=脚本 西川信廣=演出 20… https://t.co/LozSsbOZlS

    12ヶ月前

  16. 5月公演「老いらくの恋―農の明日へ」初日目前!「生産の喜びが伝わってきた」(高橋正圀氏)、「地域のつながりを取り戻そうとする若手農業青年たちの活躍」(埼玉新聞記者)、「究極のラブストーリー」(劇団スタッフ)、泣いて笑って楽しんで、… https://t.co/Ly6XejvDQY

    12ヶ月前

  17. 青年劇場第130回公演「老いらくの恋-農の明日へ」稽古も大詰め、芝居も弾みだしました。あと一歩二歩三歩貪欲に前に進みます。 https://t.co/vuDQHxDIul #青年劇場 #老いらくの恋

    12ヶ月前

  18. 【舞台公演のご案内】 いよいよ今月下旬より幕が上がります。 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場 第130回公演 「老いらくの恋-農の明日へ」 山下惣一=原作「農の明日へ」(創森社刊) 高橋正圀=脚本 西川信廣=演出 2023年… https://t.co/VNIQJ1s7bX

    12ヶ月前

  19. 今日は劇団の次回公演「老いらくの恋」を広げるため地域回りにでております。 途中劇団、そして人生の大先輩とたわいのない電話をしてたらパワー回復! あと7ヶ所頑張って回るぞー

    12ヶ月前

  20. 5月公演の予告ムービーできました!2分少々見てみてください!! 青年劇場第130回公演「老いらくの恋―農の明日へ」予告ムービー https://t.co/rdczOKz2DF @YouTubeより https://t.co/kubXG1IFxR #青年劇場 #老いらくの恋

    1年弱前

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