玄海灘 公演情報 玄海灘」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    金達寿の『玄海灘』は必要があって数年前に読んだので、どのような舞台になるかと興味があった。西と白の二人の朝鮮人青年中心の話に、特高巡査の李(二宮聡)をもう一人の重要人物に据え、朝鮮独立同盟の地下の同志たちと、それを弾圧する警察署内の動きも具体的に見せ、わかりやすい舞台になった。(原作では、西と白の視点だけなので、こうした裏事情は直接は描かれない)

    いいせりふもいっぱいあった。西(高井康行)が、東京で会ったときの白(和田響)の憔悴ぶりを思い出して、「外ではみじめな顔をするな。そんな朝鮮人がいるからますます馬鹿にされる」となじる。「朝鮮語で話しかけたら子犬のようについてきた」とバカにする。

    日本人の公子(萩原萌)に対して、西は、道端で雑草をつむ朝鮮人の娘たちをみて「かわいそう」といったとなじる。「朝鮮人を憐れんでる(対等ではない、上から目線だ)」と。しかしその哀れみは実は西自身の心だった。「僕の眼は日本人の眼だ。蔑む位置に立って、自分を否定している」と苦しむ。

    独立運動をしていた中学教師(堀光太郎)が逮捕され、彼を慕う教え子もまた逮捕される。御用新聞記者の西は中学生に責められる。「見ているだけで、何もしないんですか」と。原作が描いた植民地朝鮮の青年のかかえた矛盾と葛藤を、的確にとらえた芝居だった。

    ネタバレBOX

    最後、西が独り言をいった(と思う。)「見てるだけでいいのか。(日朝を隔てる玄界灘を)渡ろうとしているのかもしれない」

    調布市民割1000円というのは破格である。金曜夜の客席はほぼ満席。土日公演も完売しているようだから、この安さにつられてきた人も多いと思う。
    俳優が50代中心で、それぞれ設定の20代の若者より30歳以上年が上というのは、少々残念。落ち着いた舞台にはなったが、若者の振幅の大きさ、エネルギーは出がたかった。

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