草迷宮~ここはどこの細道じゃ~ 公演情報 草迷宮~ここはどこの細道じゃ~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-2件 / 2件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    やはり万有引力はこれが醍醐味。同じ座・高円寺で以前観た「身毒丸」の規模で、高さと横幅を使った大舞台である(同じ劇場で「レミング」をやった時は装置が簡素でやや淋しかった・・その少し前に松本雄吉演出がやはりタッパを使った大装置の「レミング」をやったので趣向を変えたのかも知れぬ)。
    生演奏にはドラム&パーカッションのJ・A・シーザーのほか筝+三味線、琵琶+唄、ヴァイオリンがそれぞれ上手上段、上下段、下手下段、上段と四角に位置取り、舞台を操るよう。
    迫力満点だが、「やれて当り前」、欠けて初めて気づいた所では、役者の台詞・声は十二分に鍛えられて欲しいと思う箇所があった。声量、言葉の抑揚・・。その点、冒頭芝居に誘う口上を言う高田恵篤氏の喋りは抑揚と声量のコントロールが完璧。この戯曲はナレーション風の散文の台詞で占められるため、やはり「朗読」ではないが日本語の意味を伝える抑揚と声が欲しいのである。
    ダイナミックな場面転換、寺山特有の「懐かしさ」を喚起する情景は印象的であった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    かつて泉鏡花の『草迷宮』を寺山修司が映画化。40分の短編で、他の監督の二本と合わせオムニバス映画『コレクション・プリヴェ(個人的蒐集)』として1979年にフランスにて公開された。主演の三上博史、15歳のデビュー作。
    原作のモデルとなった話は江戸時代中期の1749年、広島の武士の子息・稲生平太郎が実際に体験した実話、『稲生物怪録』(いのうもののけろく)。16歳の豪胆な少年が一ヶ月間毎日脅かしに来るありとあらゆる妖怪共を冷静にあしらう講談調の記録。

    J・A・シーザー氏の1979年のコンサート、『ブラック・クリスマス』に於いて『組曲・草迷宮』として初披露。1986年、渋谷で開催されたイベント「テラヤマ・ワールド」にて「演劇実験室◎万有引力」により『幻想音楽劇「草迷宮」―てんてん草紙ー』と銘打ち初舞台化。2006年、『幻想燈音楽劇「草迷宮」―たずねて母の迷宮三千里ー』(こまばエミナース)にて二度目の舞台化。

    そして今回は、
    「『ブラック・クリスマス』の際に寺山修司が書いた原作より手毬唄を巡るエピソードを核として抽出した十九枚の台本原稿をベースに、前二回の公演や原作の要素を織り交ぜ···」(「Press Walker」より引用)。
    最早誰の夢なのかも解らない。

    J・A・シーザー氏はパーカッション。(キーボードも?)
    琵琶語りの川嶋信子さんと巨大な二十五絃箏(そう)を操る箏奏者・本間貴士氏が素晴らしい。もうずっとLIVEで曲の合間に芝居位が丁度いい。ヴァイオリンの多治見智高ジーザス氏は聴いたことのない音色を響かせる。

    亡き母(森ようこさん)の口ずさんでいた手毬唄。それをどうしても思い出せない主人公・明(髙橋優太氏)。その歌詞を探して諸国放浪の旅に出ている。横須賀市秋谷(あきや)にて川上から流れてきた手毬を捕まえ、上流にある廃墟と化した黒門屋敷に泊まり込む。

    怪奇西瓜男(三俣遥河氏)の軽業師を彷彿とさせるアクロバティックなアクション。
    裏の土蔵に監禁された色気違いの千代女(ちよめ)。
    誘惑に抗えない少年時代の明(多賀名啓太氏)。
    神隠しに遭った幼馴染みの菖蒲(あやめ)。
    芋の葉で顔を隠しながら「通りゃんせ」を唄う童たち。

    小寺絢さん、内山日奈加さん、真夢(まむ)さん、皆化粧が美しく女優陣が映える。

    何度でも観れる良いLIVEだった。

    ネタバレBOX

    森ようこさんのラストの台詞、「ほうら···、お前をもう一度妊娠してやったんだよ!」

このページのQRコードです。

拡大