ダーウィンの城 公演情報 ダーウィンの城」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★★

    衝撃
    とても衝撃的な作品でした。
    演劇には無限の可能性があると思いました。

  • 満足度★★★★★

    タイトルの秀逸さに驚く
    初めてこのタイトルを見た時、正直意味が分かんなかったんですけど
    終演後、振り返ってこのタイトルの巧みさにうんうんと頷ける部分が
    大きかった。

    閉鎖的で暴力的で。 こういう人間の姿と確かな現実とを一部分でも
    ハッキリと、そして過激に描いた作品は最近ついぞ観なかったので
    非常に刺激的でした。

    ネタバレBOX

    舞台は(おそらく)近未来。 そこには「スカイタワー」と呼ばれる、
    50階近くある超高層マンションがあり、世間的に「インテリ」「勝ち組」と
    いわれるような人達が1000人程居住している。

    また、その対極として住人達に「地上」「下」といわれる、マンション外の
    存在があり、断片的な情報から既に安全神話は完全崩壊、半ば
    スラム化が発生している「危険地帯」であることが想像される。

    本作は「スカイタワー」内での幼児誘拐事件と女性暴行ビデオ
    流失事件が背景となっています。

    住人達に共通しているのは「自分は選ばれているのだ」という奇妙な
    選民思想と、それに付随したすぐ下の階の住人、また「地上」への軽蔑、
    そして恐怖。 彼等の行動を規定しているのはこの位しかない。

    社会的には勝ち残ってきた優秀な人間達であるはずなのに、その姿は
    どこか病的でいびつで異常だ。 そして、他への過剰な暴力、支配欲が
    むしろ人間から退化した存在であるかのように感じさせる。

    自分の欲望に忠実過ぎるところが、どこか動物的、というか、
    「ケダモノ」なんですよね。 

    「ダーウィン」=他の人間を押しのけて勝ち上がってきた優秀な遺伝子達が

    「城」=自身を守ろうと外部からの存在を一切遮断して半ば引きこもり状態に
    陥っている、その状況

    改めて思うけど、本当に秀逸過ぎる、皮肉に満ちたタイトルだと思います。

    住人皆、変質者に近いサイコパス的存在なんですけど、なかでも一見
    唯一マトモに、普通にみえる「地域の連帯」を唱える初老の競馬好きの
    男が、私にはものすごく恐ろしく思えた。 何というか…ナチュラルにヤバい。

    言っていること、やっている行動は見た感じでは常軌を逸していない分、
    安心して付いていった先にはとんでもない結末が待ち受けているような。
    現に、最後この男がやっているのは言葉は悪いけど、治安維持隊、
    敵からの防御、治安を乱す存在は許さないといった自警団なのだから。

    「ピュアな善意」の裏に、本人もまるで気が付いていない異様性、全体
    主義性が見え隠れするようで不気味でした。 

    なんか「1984」みたいな世界だよなぁ、常に監視され続けるなんて、と
    思ってたら、男の自警団で採用されている制服のデザインが
    「Big Brother Is Watching You」というロゴに、デフォルメされた
    巨大な眼、とあからさま過ぎて噴き出しそうになります。

    最後、優秀な遺伝子を持つ人間(と、住人達は思っている)を集めた
    「スカイタワー」から逮捕者が出てこの物語は終わる。

    他と交わらない遺伝子、種族は脆弱だという話があります。
    「スカイタワー」もそれと同じで、自身の脆弱に耐え切れず、内部崩壊を
    遂げてしまったのでしょうか?

    私にはそうは思われない。

    「外」の世界にまで安全強化が図られた結果、治安が大幅に向上した、と
    いう自警団の男の話を信じるなら、成熟の臨界点を超えた「スカイタワー」は
    その遺伝子をついに外部に拡散し始めたと考えるのが正しいでしょう。
    最初は種に過ぎなかった「スカイタワー」は今や空にそびえる巨木となり、
    その種子はどんどん広げられていくのです。

    皆が望む望まないは関係ない、優れたものが生残り、タイプ化されるのが
    生物の世界のスタンダードだから。

    吐き気を催す程気持ち悪く、厭らしさ満開の舞台でしたが、強く衝撃を
    喰らわせた、その意味で素晴らしい舞台だったといえます。
    こういう生々しい話は大好きですね。 劇団の大いなる挑戦に拍手。
  • 満足度★★★★

    スリリング
    凄かった。暴力的なシーンから始まるので、これはどうなってしまうのか・・ハラハラ。最後までドキドキハラハラ、不安定な気持ちは終演後も静まらず。テレビモニターを中心にいくつもの(家族の)密室になる舞台セットもおもしろかった。サッシを開けると高層ビルのベランダからゴウゴウと吹き荒む風の音・・不安要素が増長させられ、不気味です。

  • 満足度★★★★

    熱演
    衝撃的との前評判に割に、想定内の展開で驚きはなかった。いつもの鐘下作品に比べ、登場人物が多く場面転換も頻繁で、少し集中力に欠けた。一連のエピソードも類型的。ただ俳優の熱演と斬新な演出はさすが文学座。新劇の範疇ではないが、病んだ人々を的確に演じて見事。新しいレパートリーに果敢に挑戦する姿勢も評価したい。

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