天国への登り方 公演情報 天国への登り方」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-3件 / 3件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    #一川幸恵 #沼田星麻
    #榊菜津美 #大塚由祈子
    #相葉るか #相葉りこ
    #深海哲哉 #徳倉マドカ
    #河原翔太 #宮川飛鳥
    #堤和悠樹 #星野李奈
    #宮崎雄真 #宮本海
    #野崎詩乃 #都倉有加(敬称略)
    千秋楽。
    最初に書いておきたい。
    おめでとうアマヤドリ。
    劇団名の改名を含め何度も転換期があり、その都度、中心となる俳優が育ち劇団として力を付けて来た。そして今、一川幸恵さんと沼田星麻さんという二本の柱が確かに立ち、彼等の新しい章が動き出したことを感じるエンディングだった。
    拍手を送りたい。

    これは迷える仔羊……いや、こぎつねたちの、如何に生きるかの物語。
    安楽死だ尊厳死だというのは、あくまでも入り口にかけられた看板に過ぎない。
    飼い猫がその時を迎える際に姿を消す心理と真理についてゆっくり考えてみようと思う。

    死ぬ権利と生きる権利が同等なのか同類なのか。是が非か、善か悪かと考えようとすれば、どうしても両者の主張を偏らない工夫のもとで展開しなければならないテーマだと言える。だから、ディベートのようだと指摘されていたけれど、確かに説明的に感じる台詞も多かったように思う。しかし、それも致し方ない気はする。人物のやり取りの関わりの中で、このテーマを考えさせる展開はなかなか難しい。

    キツネにとってこの世は生きにくい。人を欺がなければ生きてはいけない。もしかすれば、我々ももうみんなキツネなのかもしれない。人を騙して自分を欺いて生きているに過ぎないのかもしれない。その上で、嘘を承知で騙されて、人に優しく……キツネに優しく生きているだろうか。優しさの押し売りにはなっていないだろうか。人生の幕を下ろす時、どれだけ自分に正直になりながら人にも素直になれた時間があったかが重要なのかもしれない。

    アマヤドリの代名詞とも言える群舞。
    これも一川幸恵さんがタクトを振って、
    美しい交響曲のような舞を披露してくれた。
    劇団に育まれてきた血が、脈々と受け継がれていることを実感した。

    図らずも昨日、義父の葬儀を終えた。その準備等で初日を逃し、ようやく千秋楽を観劇。そんなタイミングで今作を観る巡り合わせにも縁を感じる。
    嗚呼……人生はきっと素晴らしい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2023/03/25 (土) 13:00

    安楽死について考える機会を与えてもらった。
    ファンタジーな世界に引き込まれ、心に残る演劇だった。
    いつもながら群舞が綺麗で圧巻。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2023/03/24 (金) 14:00

    異なる立場にある人々が全員葛藤を抱えている。死に方は生き方。あまりにも個人的な、そして社会的な課題に果敢に取り組んだ力作。安楽死と自殺は何がどう違うのか?医師二人の主張が、どちらも正しくて忘れられない。夫のキャラがギャップありすぎて、ラスト号泣するしかないじゃないか。

    ネタバレBOX

    ●~○~●以下ネタバレ注意●~○~●

    いつもと変わらない様子だったのに、夫が仕事から帰ると妻は家を出ていた・・・。
    夫と、妻の兄夫婦、妻の古い友人は、途方に暮れつつ
    妻と、付き添っている妻の妹がいると思われるホッキョ区へと向かう。
    そこは「より安楽に、より尊厳を保った形での死に方を様々なサービスとして提供する」という
    「安楽死特区」だった。
    「ことばのがん」で余命いくばくもない妻が望む死に方を容認できない家族は
    説得できるのか、処置する医師も悩みつつ今日も特区では運命の注射が打たれる・・・。

    妻にとって、がん(「ことばのがん」というのが傑作だ)が
    今「安楽死」を望むほど苦痛な状況なのか、何が辛くて死を望むのか
    妻のことばで聞きたかった気がするが、言葉のがんでは無理なのか・・・。
    安楽死の選択理由が、家族の想像だけで優しく包まれている感じ。
    観る側のジャッジに関るだけにリアルさが欲しかったが、他の患者のエピソードによって
    そこは補完されていく。

    葛藤する医師二人(宮川飛鳥・相葉るか)が素晴らしかった。
    十分身体に落とし込んでから振り絞るような台詞に、自分だったらどうする・・・?
    と思わずにいられなかった。

    弱者を家族みんなで守ろうとするキツネの社会と、
    死を合法化してシステムの中に組み込もうとする人間社会の対比が面白い。
    「死ぬ人の権利」は「残された人の気持ち」を置いてきぼりにする。
    忘れられがちなこの置いて行かれる人々の気持ちが、実は重要なのだ。
    だって「死を語る人」は皆、置いて行かれた人々なのだから。

    いつも「自分の情」で熱く動く夫が、妻の望みを叶えるべく大変身を遂げる終盤。
    役者(沼田星麻)の見事な切り替えでボロ泣きの嵐だった。

    アフタートークで、作演出の広田淳一氏にこの作品のインスピレーションを与えた
    著書「安楽死を遂げるまで」の作者 宮下洋一氏が登場、
    世界の安楽死事情や、欧米と違い日本で受け容れられるのが難しい理由など
    深く考えさせられる内容だった。
    広田氏が様々な問題を、慎重に、丁寧に台詞に乗せていたことが伝わって来た。

    いつも”語り尽くせない部分をダンスで表現する”アマヤドリが、
    今回は本当に語り尽せないテーマに挑み、ラストは生への強い意欲を感じさせる
    力強いダンスで終わった。
    死ぬことと生きること、私たちはそこを行き来しながら今日も生きている。

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