『アメリカン・ラプソディ』 『ジョルジュ』 公演情報 『アメリカン・ラプソディ』 『ジョルジュ』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    『ジョルジュ』
    ジョルジュ・サンド(本名オーロール・デュパン)、男装の早過ぎたフェミニスト。1832年フランスで初めて商業的に成功した女性作家。その美貌と聡明な知性で当時のありとあらゆる芸術家と浮き名を流した。18歳で男爵と結婚し2児の母となるも、旦那を捨て27歳でパリに出て文壇デビュー。当時はまだ離婚は許されなかったが裁判で別居を成立させる。それを請け負った敏腕弁護人がミッシェル(ルイ・クリゾストム・ミシェル)。既婚者の彼とも不倫関係にあった。
    1836年秋、ポーランド人の天才作曲家ピアニスト、フレデリック・ショパンと出逢う。サンドに不快なイメージを抱いたショパン。逆にサンドは熱烈に恋をする。猛アピールで2年後には彼の心を射止める。ショパンは肺結核を患っており、常に健康状態が悪かった。サンドはリウマチの息子とショパンの療養の為、スペイン領地中海のマヨルカ島での滞在を決める。

    ジョルジュ・サンド役は永遠の清純派女優、竹下景子さん69歳!しかも普通に可愛い。八千草薫さんもそうだったがDNAがバグっているとしか思えない。
    ミッシェル役、シライケイタ氏はパンチ佐藤とトータス松本を足した印象。高級ウイスキー、ザ・マッカランを片手に観衆を酔わす。
    ショパンの名曲をひたすら弾きまくる関本昌平氏、かなり熱狂的ファンが詰め掛けていた。

    ショパンは余り好みじゃなく、ヴィジュアル系バンドの感触、俗っぽく甘ったるいイメージだった。
    「別れの曲」は『さびしんぼう』。「バラード第1番ト短調」の印象的なリフ、羽生結弦の曲。
    何と言っても第一幕のラスト、「雨だれ」に尽きる。マヨルカ島バルデモサ村の修道院僧房での暮らし。ジョルジュ・サンドと息子モーリスは島最大の町パルマに買い出しに出る。集中豪雨になり川が氾濫、馬車に置き去りにされ、真っ暗闇の山道を裸足で6時間かけて帰る。やっと深夜に帰宅するとショパンは出来たばかりのこの曲を涙を流しながら弾いている。「誰も帰って来ない、きっと死んでしまったのだろう、そして自分ももう死んでいるのだろう。」と泣きながらピアノを弾き続けていた。有名な逸話。
    クラクラする程の才能。

    サンドとミッシェルの往復書簡の形をとって、天才作曲家・フレデリック・ショパンのピアノの旋律が時代を彩る。サンドは1848年フランスで起きる二月革命に身を投じていく。

    アンコールで関本昌平氏が弾いた曲が素晴らしかった。多分「夜想曲集」か「24の前奏曲集」では?「練習曲集10―2」だったかも。こういう試みをもっとやって欲しい。ただ演奏を聴くだけでなく、その曲の逸話なんかが分かると更に興味深い。
    目の不自由な方が沢山いらっしゃっていた。ショパンの旋律は最上の娯楽なのだろう。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    『アメリカン・ラプソディ』
    ユダヤ系ロシア移民の一家、ニューヨークで生まれたジョージ・ガーシュイン。後に20世紀のアメリカ音楽の父とも呼ばれる。ピアノを独学で学んだ天才少年は兄の作詞家アイラと組んで大ヒット作を連発。ラグタイム、ジャズ、シンフォニック・ジャズ、クラシック、オペラ、ミュージカル、映画音楽と大衆を熱狂させた。38歳で脳腫瘍で急逝するも今も伝説。一度も結婚をすることはなく、数々の女性と浮き名を流した。そのうちの一人でもある作曲家ケイ・スウィフトを島田歌穂さんが演じる。
    島田歌穂さんと言えば、幾つになっても『がんばれ!!ロボコン』のロビンちゃんなわけで何か嬉しい。後半、胸元のざっくり割れたドレスが妖艶。
    天才ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツはロシア生まれのユダヤ人、ロシア革命を避けてアメリカ在住を選んだ。この「ヴァイオリニストの王」を演ずるは下総源太朗氏。
    味のある下総源太朗氏はワイン片手にトーク。ケンドーコバヤシや佐藤二朗のようなユニークさと洒落た紳士姿。

    舞台はケイとヤッシャの往復書簡の形をとって進行。年代と共にジョージ・ガーシュインの光芒が曲となって焼きつく。
    ジャズ・ピアニストの佐藤允彦(まさひこ)氏がひたすら演奏しまくるのだが、御歳81歳!このピアノを聴くだけで充分価値がある。名演。島田歌穂さんの歌もたっぷり。

    出世作、「スワニー」は今でも通用するポップス。
    代表作、「ラプソディ・イン・ブルー」はウディ・アレン映画で御馴染み。
    「パリのアメリカ人」は劇団四季のミュージカルで知られる。
    名曲、「サマータイム」はジャニス・ジョプリンがブルース調にカバー、椎名林檎の「罪と罰」の元ネタでもある。レッド・ツェッペリンの「Dazed and Confused」っぽい気怠いアレンジで歌われた。

    当時の批評家からはボロクソに叩かれ傷付き打ちのめされたガーシュイン。彼の最後の恋人はチャップリンの妻、ポーレット・ゴダード!アメリカという新しく出来た国で大衆に提示したのは、「これがアメリカだ!」という時代との即興性に充ちた新しい風景。常に活動的で希望に溢れた精神。

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