パーティーが始まる 公演情報 パーティーが始まる」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
21-25件 / 25件中
  • 満足度★★★★

    「裏・競泳水着」的な?(笑)
    タイトルの意味が劇中に留まらず現実の当ユニットやこの年の佐藤佐吉演劇祭にもあてはまり「外に向けて広がる」終わり方であることや、劇中の1エピソードが全体の構成を暗示するメタフィクション風であること、さらに主人公が二人一役なことなど、劇団競泳水着では使わないであろう手法を駆使しながらも根底に流れるのは上野イズム、いやぁ面白い。

  • 満足度★★★★

    ラインを跨いで歩き始める感覚
    キャスティングの工夫も功を奏して、
    今へと続く道の緒というか、
    黎明の雰囲気がしなやかに伝わってきました。

    戯画化されたようなシーンにも洗練があり、
    地味な感覚も埋もれることなく実存感を持ってやってきて。

    びっくりするほど大きな高揚とか衝撃的な印象はないのですが、
    不思議なくらいに自然に、
    舞台上にその時間から踏み出す感覚が満ちて、
    浸潤されました。

    ネタバレBOX

    それはプロローグ・・・。

    作者の昔を投影したような大学生の男性を、
    ふたりの女優が演じ分けます。
    外側の姿と内心をそれぞれ受け持つ二人の演技が重なり、
    そのころの作者が投影されたであろうキャラクターの、
    どこかシャイで、
    どこかつかみきれないような感覚が生まれて。
    また、女性が演じることで、
    男としてのカオスのような生々しさがすっと洗い流されて、
    漠然と何かを求めても行き場のない想いの襞や揺れが
    歪むことなくすっきりと浮かび上がってきます。

    自分のベクトルが見つからないいらだちや、
    その世代の男子に当然に訪れる妄想などが、
    時には戯画化され、
    あるいは二人の女優による葛藤としての形になって
    べたつかず小気味よく重ねられていく。

    同学年の女性との出会いにしても、
    あるいは電車でよく見かける女性への妄想にしても、
    ペーソスすら感じる滑稽さの中に、
    不思議なリアリティが醸し出されていて。

    シナリオを書くこととの出会いも
    原稿用紙を選ぶときのこだわりも、
    シンプルに作られたシーンだからこそ
    その質感がしなやかに観る側に伝わってくるのです。

    心に浮かぶ物語の「へたうま」さも秀逸。
    なにかウッディアレンの映画をみるような・・・。
    未熟な発想から生まれる
    べたでわかりやすいチープさというか底の浅さが
    恣意的にそのまま、でもくっきりしっかりと描かれていて、
    観る側にウィットの効いた、
    エッジの立った感覚を与えてくれる・・・。

    物語を読み聞かされた幼い頃の記憶に含まれる
    叔母の語り聞かせのアバウトさも
    どこかコミカルでちょっぴり切なく心に残ります。
    絵本を読む体で語られるお話の
    微笑んでしまうような自由さと
    主人公がうちに育てる物語を育む感覚が
    心地よくリンクする。

    友人のこと、恋人未満の異性のこと
    頭の中に繰り返し訪れる
    物語の欠片たち・・・
    ゆっくりと、
    主人公が内外に抱くいろんなことが
    つかみ所ないものから
    少しずつ形をとりはじめて・・・。

    中盤以降に醸し出される
    まるでゼリーが固まっていくような感覚もとても秀逸。
    ゆっくりと繊細に定まり始める、
    その質感を掬い取る
    作り手の語り口には、
    その豊かな軽質さを具現化するだけの
    しなやかな洗練があって。

    キャスティングも絶妙。
    役者たちそれぞれに、
    ニュアンスをくっきりと出しながら、
    それぞれのキャラクターを
    観る側の内に馴染ませるような手練があって。
    主人公を演じた二人の女優から
    女性を感じさせる所作がひとつもこぼれなかったことにも瞠目。

    まだしっかりとは固まりきらないなかで、
    パーティが始まる。
    主人公がそのラインを超えるときにも
    自分から勢いよくというわけではなく
    先を歩んだ女友達に手を引かれるような体たらくなのですが、
    その、あるがままのぐだぐだ感が、
    観る側にほほえましくも感じられて。

    見終わって、
    作り手の衒いを感じつつ
    でも、なんだろ、作り手の歩き始めた頃への
    感慨のようなものにも触れた感じ・・・。

    舞台や客席の作り方にも創意を感じました。
    主人公たちの衣装もうまいと思いました。

    女性的な感覚で組み上げる劇団競泳水着のテイストとは異なった
    どこか自叙伝的な作者風男語りの物語を、
    たっぷり楽しむことができました。

    ☆☆☆★★○○
  • 満足度★★★★

    初心忘るべからず!!
    これも一つの決意表明とみました。

    そして、無から一つの作品を作り上げることに敬意を表します!!

    ネタバレBOX

    作者上野友之さんの自伝的初めて物語。お芝居を始めるきっかけを青年に託して吐露したように表現されています。

    その青年をクロムモリブデンの渡邉とかげさんが演じ、青年の内面をバナナ学園純情乙女組の前園あかりさんが演じていました。

    青年とその内面は、二つの半袖シャツを背中で切って、それぞれが左右別々になるように縫い合わせて着ていました。二人は、というか一人は、背丈が同じで、あとは同じ格好をしていて、とてもいい感じでした。

    向かい合うシーンはありませんでしたが、向かい合うと鏡に映った姿になります。内面を表すには最高の衣装です!!また、女性に演じてもらうということは照れ隠しという側面もあるのでしょうか!?

    何を書いていいか分からない状況から、妄想などを思い浮かべ、淡い恋心を持って主演女優を見つけ、カメラなどの技術スタッフを探し、最後映画を完成させ、披露パーティーを行う…、尊敬します!!

    それにしても、プレイヤーズコレクション、いい役者さんを集めました。
  • 満足度★★★★

    ドキドキ?ワクワク!
    白シャッに黒のジレ姿のスタッフに、迎えられ入場、えっ?舞台?客席?の造りに、ちょっと、ビックリ!(先週、違う舞台を、この劇場で、観たばかりなので、尚更?)BGMがjazzで、ちょっと、Bar気分~♪…そしてラップ調に、変わって、パーティー開幕~!

    ネタバレBOX

    青年(配役表には、そうなってたが、大人になろうと、している少年って感じ)<渡邉とかげ>の、理想(追憶と妄想?)と現実の、交差と葛藤を、描いた物語。青年の内心のドキドキ・・ワクワク!を、青年2<前園あかり>が、後ろで影となり、現します。本音と建前が、別人格的なんだけど、一体感を出せる両役者さんが、見事でしたが、解りやすい半面、二人を観きれない、もったいない感と贅沢感が、共存・・・。

    誰しも、いくつに、なっても、葛藤は在るけど、1歩踏み出せば、パーティー(素敵な世界)が始まる!と思える、良い作品で、又、ドキドキ!ワクワクしたいと思いました。

    座席の造りは、斬新だと思うのですが、どこの席でも、ちょっとだけ、観きれない場面が、在るのでは?・・仕方ないのですが、ちょっと残念でした・・・

    上野さんの作品は、初見だったのですが、繊細なんだけど、ちゃんと、前見てる感が、あって次回も、観たいと思いました。役者さんたちも、上野さんが<お気に入り>と呼ぶだけあって、皆様、魅力的で、ホームの劇団の公演も、観たいとおもいました。

  • 満足度★★★

    ほどよくあまずっぱくてあおくさい。
    えーと、みんなの思い出の中にある「学生劇団のオリジナル演劇」の理想がここにあります。「ソコを狙ってやってる」ことは明白にしても、ステキな「若さ」の奔流に圧倒されます。

    自意識過剰な勘違いと押し寄せる不安を空回りする膨大なエネルギーでシェイクした、恥ずかしさのあまりに客席に椅子を投げたくなるくらいに甘酸っぱくて青臭いカクテル。

    トシヨリ悪酔い必至。



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