エラーメッセージ 公演情報 エラーメッセージ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    わかりやすい「わかりにくさ」
    3連の3人芝居、
    とてもルーズなつながりを持たせて・・・。

    取違いのわかりやすさから
    真実のわかりにくさまで、
    見事に織り上げられておりました。

    ネタバレBOX

    第一話はある意味シンプルで、
    医者の嘘について、
    それが確認できる
    明確に法則が示されていてわかりやすい。
    わかりやすいからこそコミカルで、
    意図せざるがん告知というシリアスな部分を含んでいても
    作劇の秀逸さがしっかりと笑いを運んでくれる。

    第二話では、
    取違いの事実が明示される一方で
    なにが隠され何が真実となったのかは
    曖昧にされます。
    捉えられた妻、弁護士、夫・・・、
    関わる人間のそれぞれの事情が
    行き違いを複雑にして、
    その中にシンプルな真実が埋もれていきます。

    コスプレネタなど、下世話に笑えたりもするのですが、
    夫婦の関係がそんな風に生々しいだけに
    真実が埋もれていく感覚にリアリティが生まれて・・・。

    三話目に至ると
    マスメディアの力までが絡んで、
    取り違えの結果が公然と真実の衣を着てしまう。
    賞を受賞したことで賞賛されインタビューまでされた女性と、
    二話で逮捕された女性と見間違えられ
    現場にいた犯人として姿を放映されてしまった女性。

    しかも、物語は単純には終らない・・・。
    間違って賞賛された女性の真実は単純に正されるのですが
    そこには、霧散した賞賛に置き去りにされた女性の心情が浮かぶ。
    そして、犯人として姿を放映された女性のインタビューからは
    観る側が知りえなかった事実が浮かび上がって・、
    それは状況証拠としての彼女の犯行を暗示しているように思えて

    どの物語も、話の結末は描かれません。
    第一話でガンの告知を受けた看護士が
    その後どうなったのかもわからないし、
    第二話で獄中の妻が釈放されたのかはさだかでない。
    第三話でも、賞賛を受けた女性のその後や
    犯人として放映された女性によって語られたことの結末は、
    明示されないのです。

    真実はとてもシンプルなことだと思うのですよ・・・。
    でも、この物語たちからは
    当たり前のように生じる善意・悪意をとりまぜた
    思い込みや取違いに
    真実への確信がいともたやすく曖昧になっていく姿が
    描かれていて、
    言葉では表現できないような不安定な感覚に
    愕然とするのです。

    3つのエピソードに緩やかなつながりを持たせるのも
    うまいと思う。
    様々なレベルでの誤りの重なりに取り巻かれている感触が
    観る側を幾重にも浸蝕していきます。
    役者にも取違いの事実を語るに留まらず
    事実の質感を作り出すだけの力量があって
    コメディタッチの口当たりのよい導入部分から
    ぞくっとするような
    それぞれの視座へと確実に観客を導いていく。

    語られない結末は
    埋もれたままの真実の
    忘却への暗示にも思えて・・・。

    作り手のしたたかな企みと
    しなやかな作劇の手腕に
    舌を巻いたことでした。






  • 満足度★★★★

    終わってみれば・・
    う~ん、終わってみれば、第一幕のドクター編が一番面白かった。医者の癖を看護師が解ってることで医者の言うことが嘘か本当かを癖をいちいち確認しながら笑いをとる展開は面白かった。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX


    第2幕では容疑者の夫と容疑者の間を弁護士が行き来しながら、手紙によって二人の関係を裂いてしまう。これは容疑者の夫の話から容疑者が自分の理想の女と勘違いした弁護士が夫から容疑者を横取りしようとした行為だったが、その後、夫から妻のダラシナイ癖を知ることによって幻滅してしまう。弁護士の悪意によって仲たがいした夫婦はお互いに自棄になって更に悪意の方向に流れてしまうという不条理劇。結末があやふやに収束されており、インパクトはないが、人間の業の部分を露呈した作品。

    第3幕はTVのニュースで間違いの報道を流されてしまった2人の女性がその報道関係者に訂正を求めて報道されるも、逆に利用されてしまう結末。おばあちゃん殺しの真犯人かのような描写の仕方で終わった女性は犯人だったようだが、ここでも結論づけた収束の仕方ではなかった。


    観終わって直ぐの感想では、余りにもインパクトがなくてどうしたものか・・?と感想を書くのに戸惑ったが、時間の経過とともに直球勝負とはほど遠い構成の切り口が「本当にあった怖い話」にも似てるようで、なんとなく余韻を残している。つまり、第1幕も2も3もメッセージの仕方によっては人々を不安にさせるし今まで構築されていた人間関係もあっけなく破壊出来る、そうして一人の人生までも変えてしまう恐れもあるという警告のようなものだ。
    だから、ワタクシ達は対人関係に於いて、くどいほど誠実に向き合わなければ誤解され思いもよらない違った方向に流されてしまうという脚本家のメッセージに唸るばかりだ
  • 満足度★★★

    噛み合わない・・・
    オムニバス三本立て、例え2時間弱あってもオムニバスなら耐えられるのだなと感じました

    会話主体で進んでいくので上手くかみ合わないと面白いと思えない
    とっても繊細な作品だなと感じました。

    前半|後半という風に切り分ければ、前半が説明的すぎて耐えて耐えて
    やっと面白いものが後半部分でやって来るという感じ、動きも少ないので
    前半でいかに集中力を切らせずに観れるか・・・ですね。

    今回は、私の中で上手く作品と噛み合う事ができませんでしたが、
    次回噛み合う事を期待して、★3つ

  • 満足度★★★★

    オムニバス形式は
    初めて。3部で若干回収がありますが、特に内容には関わらないようです。予定調和な感はありましたが、全体的な雰囲気はとても好きです。

  • 満足度★★★★

    オムニバスならではの味
    3編の三人芝居。
    コミカルに始まり途中からさらに加速して大いに笑わせる1編目、若干苦しい部分があるも次第にコワくなりつつ軟着陸を示唆する2編目、劇中のあるシーンと芝居自体のスタイルをカブらせる構造で締めくくる3編目という構成が上手く、オムニバスならではの味を堪能。

  • 満足度★★

    これはいったいどうしたことか・・・
    思わずわが目を疑うほどだった。これが昨年、珠玉の短篇集「ヒットパレード・スペシャル」を書いた人の作品とは思えず、とてもショックです。
    あの染み入るような人間描写のきめ細かさはまったく感じられない。
    3話オムニバスでそれぞれに「まちがい」があるのはフライヤー通り。1話、2話との接点が3話にありますが、ジグソー・パズルの最後のピースがパチンとはまらないのでスッキリしません。100ピースで完成するジグソー・パズルに15枚くらいのピースしか渡されず、「これで完成図を予想して楽しんでください」と言われているようです。
    ファインプレーやクリーンヒットを期待して野球を観にいったら、凡打や悪送球の山で、ひどく単調な試合運びの末、0対0で終わったみたいな気分である。
    私が薦めたいと思う芝居とは今回、まったく違っていました。
    大根健一ファンとしてはこの作品で判断されるにはしのびず、でも、大人の琴線に触れる作品を送り出している優れた作家にはちがいなく、これからも見続けたいと思っています。次回作に期待します。

    ネタバレBOX

    冒頭と、話の間の場面転換に出演者全員が椅子とりゲームをして、このオムニバスの内容が微妙に絡み合っていることを示唆しているけれど、実際にはそれほど「話の妙」がないのが残念。結論から言うと第1話が一番おもしろく、2話以降が単調で、いつエンジンがかかって面白くなるのかと待っていたがいっこうに面白くならず、時間が長く感じられた。
    第1話は、不安を抱えて診察を受ける患者(湯澤千佳)と、ウソをつくと2度同じ言葉を繰り返す癖のある医師(大岡伸次)、自らもガン検査の結果を待っている看護師(木戸雅美)。
    この看護師、勤務中もヘッドフォンをつけて子供の運動会のダンスの練習に余念がない。看護師が医師の癖を患者に教えたため、患者はどんどん不安になる。ウソ発見器代わりに看護師が「医師が英国にいってポール・マッカートニーに遭遇したときの話」について医師に質問し、ウソと癖が合致するのを患者に納得させようとするのが可笑しい。看護師のほうは結局ガンがみつかり、医師の友人で大学の研究室に残った近藤という準教授のいる研究室の若手研究者が中心に発見した画期的治療法を受けるように看護師を説得する。この段階で、看護師は「医師がウソをつくとき、右手の指を動かす癖があること」を指摘し、混乱する。大岡は昔から出てくるだけで何かやってくれるのではと期待させる人。木戸の看護師も存在感があり、2人の掛け合いが面白い。
    「血圧をはかる腕は左右どちらでも」と看護師が言うが、ふつうは「右手」と言われるが・・・。
    第2話は無実を主張するが老女殺人事件の容疑者にされてしまった主婦(西尾早智子)と職場結婚した年下の夫(長内那由多)、その同級生の弁護士(栂村年宣)の話。拘置所での面会場面が実際なら空気穴がたくさんあいた窓が2人の間にあり、監視官が1人付くが、装置上それがないため、まるで法律事務所で相談を受けているようなリラックスムードなのが気になった。
    弁護士は妻が夫からの手紙がほしいとの要望を伝えて夫に手紙を書かせるが、夫の家で紛失してしまう(ここが少々わざとらしい)。夫からかつてたくさんの手紙をもらっていた弁護士はやむなく夫の筆跡をまねて手紙を書き、妻に渡すが、「初デートの思い出」を夫が弁護士に見栄をはって嘘をついて書いていたため、弁護士の手紙に妻は怒ってしまう。面会に来た夫と妻がアリバイの裏づけとなる銀行通帳の保管場所をめぐって口論になり、妻は夫を困らせようと咄嗟に「私が殺しました」と自供してしまう。実際、これだけ大声でやりあったら面会を中止されてしまうだろう。それに、やってもいない殺人容疑を夫婦喧嘩の腹いせで自供したりしないと思う。劇中、夫が家に帰って、たぶん妻が言っていた「春物のスーツ類をクリーニングに出す」ため用意していると、紛失した手紙が出てくる。妻がなぜ容疑者にされたかも描いてほしかった。
    第3話は、医学部の地味な若手研究者(塚原美穂)と2話の殺人事件の容疑者とテロップで誤報されてしまった編集者(渡邊亜希子)のインタビューをそれぞれ依頼するTV局員(小森健彰)。
    研究者は1話の近藤の研究室にいる設定のようだが人違いだったようで、編集者のほうは誤報の汚名を晴らすためのインタビューで、単に現場の野次馬ではなく、被害者の老女と深く関わりがあったことが炙り出されてしまう。
    若手研究者のインタビューが1話とのこじつけめいていて、どうして人違いに至ったか理由がわからず不自然。編集者が真犯人と思わせたところで話が完結してしまい、中途半端な結末がスッキリしない。編集者に話を絞ったほうがよかったように思えた。塚原も渡邊も好演しているだけに残念。
    全編を終えて、「え?あんなに時間かけてこれで終わり?」と唖然としてしまった。
    生意気なようですが、大根氏はユーモアのセンスも人物の心理をていねいに描く腕も持っている作家なのだから、凝った仕掛けを考えず、直球勝負の作品のほうが自分は好みです。今回の作品は長所が死んでしまっているように思えました。

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