満足度★★★
ジワジワと追い詰められる感覚
比較的近くにある2つのマンションの部屋での出来事を描いた物語、会場が「ギャラリー」ながら古いマンションの一室を改装したものなので臨場感たっぷりなのはイイが、何も変えないままで2つの部屋の様子を見せるので最初は同じ棟の違う階なのかと誤認してしまうのが珠に瑕?
そんな中での過去や現在にキズや悩みのある人物たちのザラついた日常スケッチ風、ジワジワと追い詰められる感覚が面白い。(決して「心地好い」ではない(笑))
また、「関西を中心にエキセントリックな映像・音楽を創作し続ける」(チラシより)umbrella film によるイメージ映像的なものが時に装置内のテレビに、時に後方の壁(&カーテン)いっぱいに映写されて不安感を煽る、な感じ。
で、新たに同居することになった男の分身かと思われた謎の男を、登場人物それぞれの心の暗部なのでは?とも思わせる(誤読かも)ラストも○。
満足度★★★★★
逃げない。
自分も気づかないうちに心の奥底に棲みつく、何者か。
自分を愛そうとしても、その存在が、自分を見えなくしてしまう。
そんな恐怖を感じつつも、人は日々をかろうじて生きている。
人はこの孤独を、誰かと共有できるのだろうか。
出口の無い闇の中に迷い込むのか、わずかでも光を見出して、前へ進むのか。
その答えを求めて、真っ向から人生と向き合う若者達。
胸が痛いほど辛いこの命題から、決して逃げずに挑む彼らの生き様。
まるでガラスの器に砂を注ぐような、乾いた会話の中に秘められた情熱。
舞台となったあの空間、外界、見事な心象表現を成功させた映像、
そして次第に魂をぶつけ合う人間達を見事に表現された役者の皆さん。
素晴らしかったです。
観劇後、限りなく透明に近い空を見上げたくなりました。