水×ブリキの町で彼女は海を見つけられたか【ご来場ありがとうございました!!】 公演情報 水×ブリキの町で彼女は海を見つけられたか【ご来場ありがとうございました!!】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
21-28件 / 28件中
  • 満足度★★★★★

    『ブリキの町〜』ひょっとこ乱舞は、ついに「笑い」も手に入れてしまったのか?
    私は、この最近の数作から(プラスチックレモンから)しか観ていないのだが、ひょっとこ乱舞は、その「ひょっとこ」などという一見ひょうきんな劇団名の印象とは、やや異なり、ある意味ハードな佇まいに、センチメンタリズムを内在している舞台を行っていると感じていた。
    しかし、今回は、ついに「笑い」をも手に入れてしまった。

    今回も、フォーメーションとも言えるような役者の動きが美しい。
    物語を牽引する力も強い。

    もう1本の『水』との関係も意味深。

    ネタバレBOX

    リリー(KEKEさん)が想像するブリキの町の設定のようなものを、ノゾム(平館広大さん)が勝手に公開し、それを見ず知らずの人が広げていく。
    ブリキの町は、この町かもしれないし、そうではないかもしれない。
    物語は、人の手を経て、どんどん溢れ出してくる。

    もう1本の『水』のように、恋愛も語られるのだが、『水』ほど重くはない。軽みがある。ただし、『水』は、人の中に深く入っていくような物語だったのだが、こちらは、広がっていくような印象を受けた。

    しかし、広がっていくと言っても、世界の外に広がっていくのではなく、インナー部分への広がりである。

    頭の中で考えたブリキの町は、いろんな人の頭の中を通して広がっていくのだが、それはあくまでも「頭の中」であり、さらに言えば、最初に「0から1」を創り上げたリリーの手のひらの中に存在した宇宙だった。

    だから、いつでもリリーはこの物語を収束できるし、破壊することもできる。

    そして、さらに言えば、「自分の意志でそうした」と言うリリーの潜在意識の中にラクの物語が静かに吹き込まれ、それの中に存在したのかもしれない。

    そうした、物語 in 物語 in 物語 in ・・・・という、入れ子状態がまるで続くように。

    物語の構造だけでなく、ラストの、「雨の最初の一滴が目の粘膜に落ちていき身体の海に広がっていく」ような展開は、極小の中への無限の広がりをも感じさせる。
    そして、このセンチメンタリズムとも言える展開に、気がつくとやられていた。
    この感じが好きだから、ひょっとこ乱舞が好きなのかもしれないとも思ったり。

    今回に限らず、ひょっとこの舞台は、必ずと言っていいほど、ファーストシーンにフィードバックしていく。今回も2重にフィードバックして、閉じていった。
    この形式は、今回は特に活きているのではないかとも思った。

    フィードバックしていく形式は、クセみたいなものかもしれないが、ファーストシーンとラストシーンが、くるっと向かい合って、閉じていくラストは、美しいと思ってしまう。

    また、深読みすれば、「0から1」を創るのは、「大変ではないか」とノゾムが言う。それは、作・演の広田さんのホンネの言葉ではないだろうか。そして「それを5とか10」にしていくのは、役者やスタッフなのだろう。
    あるいは、「0から1」にしていくのは劇団で、それを「5や10にする」のは、観客なのかもしれない。

    すべてを閉じて、あるいは破壊することができるのは、創造者(たち)だけかもしれないのだが、そう思っていても、実のところ、「何かに」そうさせられているということがあると、(広田さんは)考えているのではないか、とも思った。

    とにかく、今回も台詞がいい。まるで強いエンジンを積んだ前輪駆動車のように、観客をぐいぐいひっぱっていく。
    それも力業ではなく、「笑い」という潤滑油が見事に効いているので、ぐいぐいいくのだ。

    『水』でも笑いが起こったのだが、私は最近の数本しか観ていないものの、これまでこんなに「笑い」が起こったひょっとこ乱舞の舞台はあったのだろうか。

    最近の数本では、いくつかのピースに細かく分かれた物語が、みるみる見事なフォーメーションで構築されていく様が、気持ち良かったのだが、今回の「笑い」という新たな武器も素晴らしい。すぅーっと入ってきやすいのだ。

    エコ役の笠井里美さんがとにかく素晴らしい。あっけらかんとして、どこかに突き抜けていくような感じが、舞台の雰囲気を醸し出していた。その突き抜け方が、どこかけなげにさえ思えてくる。
    そしての、555(伊藤今人さん)の「間」がいいのだ。さらに、ガラム(板橋駿谷さん・当パン名前誤植では)との絡みがナイス!
    彼らが物語の足場をきちんと構築していたのではないだろうか。それは、「現実」という足場である。

    また、ラスト近くのラク(松下仁さん)の独白は、ひょっとこ乱舞ならではの熱を帯び、物語を幕引きに見事に導いた。

    「笑い」を手に入れたひょっとこ乱舞は、今後、どういう方向に進んでいくのか、とても楽しみだ。
  • 「水」美しいおとぎ話
    頭の中で、街の風景だったり、部屋の光景だったり、花の色・形、水の中の光景なんかが鮮明に浮かび上がるのです。
    色鮮やかで、光がきらきらしているような。
    不思議な体験。

    ネタバレBOX

    シトラとお母さんのやりとりが切なくて特に印象的でした。

    ツイッター割とアンケート100円バック、ありがたかったです。
  • 満足度★★★★

    『水』
    冒頭で「ハッピーエンドの1つ前」を見せておき、以降でそこまでを埋めて行くスタイル。
    最初は悲劇では?と思われたが「ある視点」では確かにハッピーなことに目からウロコ状態。
    また、切なさたっぷりの余韻にリピートまでした『プラスチック・レモン』と共通する匂いを嗅ぐ。

    ネタバレBOX

    また、「人が湖になる」シーンをそれらしく見せた演出も見事。
  • 満足度★★★★★

    マチネぶりき、ソワレみず
    iphone4の五万倍吉祥寺シアターがアツいということ! 笠井さんがバケモノで、中村さんが職人でひた! りょーほー観るのはマスト、マスト!

  • 満足度★★★★

    ブリキ
    ひねってひねって、かなり楽しみました。凄まじいキャラクターを生み出しましたな。

  • 満足度★★★★

    ブリキ
    案の定、初日・一度見ただけではわからない。けれど、私好きです、ブリキ。
    ダンスが素敵。大人数で息があがるほどのダンスが素敵。
    座席に余裕がありそうな平日に、もう一度。

  • 満足度★★★★

    『水』水が溢れ出すように
    台詞の構成、タイミング、間、とにかく、それがスリリング。
    そのスリリングな台詞の中で語られるのは、不器用な人間関係。
    男女であったり、親子であったり。

    独特の場面展開、テンポも素敵だ。

    ネタバレBOX

    子ども頃、溺れた記憶があるシトラ。

    シトラと母の間には、いつも水がある。
    シトラは、水底に沈みながら、水面の上にある母の姿を見ている。母は、沈んでいく我が子シトラを何もせず(できずに)眺めている。
    そういう親子の関係が、今も続いている。

    また、犯罪を公務員として行っているクスノキと、お笑いライブで知り合ったアヤメという2人がいる。
    彼らの関係は、チタンカーメンズというお笑いユニットのファンであるということから始まった。
    しかし、それへの想いには、微妙な差が生じてくる。
    互いに互いが好きであることは間違いないのだが、その「差」が「亀裂」を生む。

    シトラは、ヒソップという男性と、クスノキたちを通じて知り合い、結婚をする。しかし、シトラは、水を飲むと湖になってしまう奇病にかかってしまう。
    水が飲めない奇病のシトラが、湖になってしまう。湖になってしまうと、その湖に溺れて命を失ってしまうというのだ。水をめぐるシトラの設定は哀しい。
    そして、シトラが奇病にかかってしまうことから、夫であるヒソップに辛くあたるところ(あたるしかできないところ)が、観ている者の気持ちをヒリヒリさせる。ヒソップも変わってくるのだ。

    どこにでもあるような、人間関係に、ちょっだけヒビが入る。
    そして、そこから水が溢れ出すように、気持ちが溢れ出してくる。

    そして、運命は、きまぐれ。きまぐれからくる無慈悲。
    運命は、奇病であり、ネコでもある。

    全編あふれる、不器用な人間たちを演じている役者がうまい。

    ひょっとこ乱舞独特の、手を振るようにして、まるでそれで拍子をとるように、とつとつと、自分の気持ちを話す様が、もどかしくもあり、そのリズム感に一種の気持ち良ささえも感じる。

    特に、ヒソップの話し方がクスノキに似ていると指摘されたあたりから、クスノキが不器用に手を動かしながら、話す様子に、ヒソップがヒートアップして似てくるあたりは凄い。

    アヤメを演じた中村早苗さんの自意識過剰さを、台詞と演技でぽぽーんと表現したうまさ、ヒソップを演じた西川康太郎さんの様子が変わっていくという演技、さらに、クスノキを演じた永島敬三さんの追い詰められた雰囲気、シトラを演じた根岸絵美さんの病気にかかったことによる気持ちの露呈などの演技が印象に残った。もちろん、ほかの俳優も素晴らしかった。

    シトラ夫婦が飼う、ヒバリとホトトギスが卵を産むが、それは無精卵だから孵らないと言う。それは、この物語の人間関係を暗示しているのだろうか。
    そして、卵は孵ることはないのだろうか。

    物語が進行していくごとに、げろふき屋とか、お笑いコンビの大臣とか、犯罪を犯すことが仕事の公務員とか、湖になる奇病などという、徐々に虚構の要素が色濃くなっていきながら、さらに、マイクから人が出てきて、球に人を閉じ込めるという展開へと進んでいく。
    この、がらりと世界を変えていったり、最初から虚構の中に観客を放り込むということをしないあたりの、塩梅と言うのか、そういう構成が素晴らしいと思う。

    そして、ラストのヒソップとシトラが、もう一度出会う場面は、美しくて感動的である。動かなくなるヒバリ、崩れゆく住まいの姿とともに。

    冒頭に語られる「ハッピーエンド」を作るのには、こうした「メルヘン」という装置が必要だったのだろう。現実では、それはなし得ないということなのかもしれない。

    今回は、少し前の作品の再演ということだが、『プラスチックレモン』から観ている私としては、最近の緻密で、あるいは緻密すぎるぐらいの構築感は感じなかったものの、やっぱり、ひょっと乱舞だ、という印象とともに、やっぱりひょっとこ乱舞は面白いと感じざるを得なかった。

    そして、もう1本の新作も楽しみだ。
  • 満足度★★★★

    再演 水
    とにかく、入ってすぐに美術が素敵でほわー!ってなった。上から見下ろしてもきっと素敵なんだろうなぁって感じました。
    開演前にアンケートに目を通しておいたほうが良いでしょう。私は楽しめました。
    次は英語字幕ありのを見てみようと思います。

    ネタバレBOX

    台本とかいじっているものだろうと予想していたので、初演の水そのままで意外でした。台詞も、間合いも、立ち位置も、変わりなく(と感じました)。なのでどうしても初演のキャストとかぶってしまって、重ねて見てしまって、それがもったいないなぁと思いました。西川さんがチョウさんに見えたり、根岸さんが酒井さんに見えたり。お母さん役の伊東さんが素敵でした。なんていうんだろう、「お母さん」って感じがして。
    初演と本当におんなじ感覚がして、もう一度観れてラッキーという感じと、もうちょっと違った「水」を見てみたかった残念というのが入り混じってます。

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