ライカムで待っとく【11月27日~29日公演中止】 公演情報 ライカムで待っとく【11月27日~29日公演中止】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-2件 / 2件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/12/03 (土) 17:30

    120分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    沖縄返還五十周年の年も終わろうとしているが、もっと大々的に全国的なアレがあっても良いところ、ちむどんでお茶を濁すのがせいぜいなのが日本の実情。
    そんな中、芝居の方はと言うと・・KAATが企画した今作と、昨年の「HANA-1970、コザが燃えた日-」の他は目立った舞台は見当らないとは言え、この二作は出色であった(チョコレートケーキの「ガマ」は未見)。
    初めて見る作者名であるが、若い彼に脚本を依頼した決め手は舞台の実績ではなく、ラジオドラマだという。
    現実を変える術を知らない日本人は、沖縄の「犠牲」の正当化に恥しげもなく躍起になる(失礼だが)レベルの低いネット投稿者を除けば、「見ない」事でやり過ごすか、心を痛めてながらも日常に飲まれるか、重い腰を上げて何かやろうとするか、どちらにしても無力感と無縁でいられない。だから沖縄イシューは今は不人気な案件だ。
    だがそういう問題にこそ演劇は力を持ちたい、誤解を恐れずに言えば理不尽な現実こそ恰好の題材ではないか・・と思う。もっともドラマに「共感」を獲得するには、観る者の根底にある共通了解、想像力に頼んだ納得を引き出さねばならない。沖縄の課題は掬い出せる泡状の状態をとうに過ぎた灰汁のように汁に溶け込んで容易に分解できない。沖縄人の中にも、反基地と騒ぐ人たちへの疎ましさを吐露し、現状を認めた上で自分の進路を決めようとする(若者ならば普通な事であるが)層もあり、社会に馴染んだ「灰汁」(悪)は基地の弊害も日常の(我慢の)範疇となる・・。
    沖縄在住の若い作家はそうした現状との距離感も織り交ぜ、本土人のご機嫌を窺いながら(「共感」の部分から物語へと誘いながら)、沖縄と本土との見えない断絶のありかへと、果敢に挑む。
    この戯曲とこれを書いた一人の沖縄青年、彼にこの戯曲を書かせた本企画に喝采を送る。

    ネタバレBOX

    田中麻衣子は新国立劇場で経験を積んで来た若手演出家だが、不器用に思える手付きが持ち味(褒め言葉になっていないが..いや褒めてはいない)。渋い出来の舞台が多いが大胆さがある。今舞台でもキャスティング(または人物造形)、処理の仕方がどうもな..とか色々あったが(作品をべた褒めしておいて演出に難癖つけるのはこき下ろしに等しいか..いやこき下ろしてるんだが)、効を奏したアイデアもあり、戯曲の世界を届けるという点において最終的には成功したと言える。
    国広和毅の音楽も相変わらず「目立たず」、芝居に寄り添っていた。

    厳然と存在する差別構造を可視化する事・・この事を抜きにして沖縄を描く(本土人が観るものとして)意味は殆どない、と私は思う。ただし芝居、ドラマにはそれを人間感情を伴い、共感と感動をもって伝える事の可能性がある。今作は日本の日常をぶち壊す要素が満載だが、終盤に畳みかけるそうした現実と、沖縄史の片鱗たちが「出て来ない」芝居などに意味がない・・作者もそう感じ、疎ましい現実をもう一度掘り返しながら「本土人に届けるべき物語」を紡いでくれたのではないかと想像した。
    差別する側が差別を「認める」には壁がある。残念ながら日本は総体としてその度量がない。外圧でもなければ己を変えられないのが日本だ。殊に日本はアジア侵略の事実を過小評価、曖昧化(歴史評価は後世に委ねるべきだとか何とか)して来た負の実績がある。「植民地化してインフラ整備してやった恩を仇にしやがって」との韓国に対する言辞は、そのまま沖縄に対しても発されておかしくない。つまり本土と沖縄には明確な境界があり(戦前同じ日本人だと言っても植民地出身者との間に明確な差があったように)、本土側は常に正しく「恩を与える側」として自らは痛みを覚えない安全圏にいる。これこそが差別の内実。そしてその根底にはそれが「有利」だと信じている現状認識がある。なぜか日本は米軍が駐留している方が日本にとって「有利」だと考えている。その大元を探ると、官僚自体がそうだし日本会議やその背後にあって動きを生み出す主体の存在が想定される。そして「上」に行けば国政において実権を持つ者がタマを握られている可能性もある。表面上は日本が「自ら決定している」売国的な法案や決定の数々が、そのように誘導したい米国に「自ら寄り添って」通されているのでなく、実際に脅し上げられている可能性も僅かながら過ぎる。自死した赤木氏に安倍昭恵関連が疑われる文書の改竄を指示したと言う佐川氏も、「自分が指示した」との証言を置き土産に一切表に姿を見せないが、本当は誰に指示された、と証言をしたら「誰かの命はない」と脅し上げられているのかも。彼の「犠牲」に日本人の美徳を見る向きも恐らくあるんだろうが、実態は「脅されている」から「そうしている」・・そんな泥塗れな政界にいれば鋭く切り込む野党の質問にも平然としていられる。心でこう言っている・・「現実はそう甘いもんじゃない」「こっちの席に座ってみれば、自分がロボットにしかなれない事が身に沁みるだろうよ」。いやいや、ただただ怠惰なだけかも知れん。(余談が過ぎた)

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  1. この後、21時から KAAT『ライカムで待っとく』感想スペースを瀬尾はやみさん(@hayamiseo )とやります。 今回は録音します。 https://t.co/mYekFc5eDw

    1年以上前

  2. @chocotamadoro お疲れだったので仕方ないです。 素晴らしかったですよ🇯🇵Best8には届かなかったけれど、感動しました。 舞台ライカムで待っとくと同じく新しい景色を見せてくれました。

    1年以上前

  3. 一昨日はKAAT『ライカムで待っとく』を観ました。沖縄的な想像力にドライブされる物語は”ご都合主義”として切り捨てられないほどに説得力がありました。 正直、冗長な部分もあって楽しい作品ではなく、自分が次に観るかはさておき、今必要な作品の一つだとは感じました。

    1年以上前

  4. KAAT『ライカムで待っとく』。台詞のセンス良すぎん? 物語を通じて他者の人生を知れたとしても、それは他者と自分を物語に閉じ込めることでもある。その先には行けないんですかねえ、行くにはどうしたらいいんですかねえ、と問いかけてくるお… https://t.co/vxdojdniFk

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  5. KAAT『ライカムで待っとく』記者一家とその知人が不思議な力に呼び出されて知る沖縄の"物語"とは。1964年の米兵殺傷事件を扱った伊佐千尋著『逆転』を基にした作品。ユーモアを交えながら分かり易く"あなた達がやっているのはこういうこ… https://t.co/F8Buf2uCJk

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  6. KAAT『ライカムで待っとく』 これまでで一番何の感情か分からない涙が溢れてどうしようもなかった。一番近いのは絶望かも。 「沖縄と本土の間にあるのは境界線ではなく水平線。泳いでも泳いでも向こう側にはいけない」という言葉に「そんな…… https://t.co/O2vbXdUkyG

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  7. KAAT「ライカムで待っとく」テーマがとても重くずしんとくるけどとてもよい演劇でした。ポスターにもあるこっち側の意味が迫ってくる。 過去と現在が入り混じるつくりとか、出てこない人が印象深いとか。 亀ちゃんの演じる主人公が巻き込まれ… https://t.co/VfTPvNMEDr

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  8. 久々のKAAT。「ライカムで待っとく」来ました https://t.co/Dy6phhdOKU

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  9. 『Bad Roads』出演の亀田さん(小生プロデュース舞台には欠かせなくなった)、直前出演のKAAT『ライカムで待っとく』が公演中止で心配したが、無事幕が開きすこぶる評判が良い。今回は演出の生田さんがトラム公演と同時並行、亀田さん… https://t.co/nCTMPEuQho

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  10. 震えてるのと充電が切れそうなのとで。激取り急ぎ。KAAT『ライカムで待っとく』どう言えばよいかわからぬ程いや分かっているが言葉が溢れ過ぎて止まらぬほど素晴らしかった。この作品を見逃していた可能性を考えるとぞっとする。沖縄でご紹介い… https://t.co/qDt9xcNspJ

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  11. 沖縄本土復帰 50 年となる今年、沖縄在住の若手劇作家・兼島拓也が書き下ろし、沖縄に出自を持つ田中麻衣子が演出を手掛ける舞台、『ライカムで待っとく』が ... リンク:https://t.co/jD3hccghya タ グ: #沖縄 #ニュース

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  12. KAAT『ライカムで待っとく』、朝日新聞に劇評を書くので詳しい感想は伏せますが、今週末4日(日)までということもあり、取り急ぎ「行ける人はとにかく行って!」と言いたい。✳︎劇評、本当は初日に観て今日掲載のはずが、公演中止があったため、公演終了後の掲載になります。

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  13. ↓半ドンで間に合うKAAT「ライカムで待っとく」めちゃ良かったな、時間ある人は観に来て、都内からそんな遠くないよ、明日の夜とかもう一回来ちゃうかもだ、、、過去とも未来とも地続きな沖縄の現実、本土のひとにはわからんよね、境界線なんて… https://t.co/vsE9Vc7ZBw

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  14. 本日の舞台! 『ライカムで待っとく』観劇! ラストの無慈悲なまでの展開。 こんな仕打ちを今も昔も変わらず受け続けている沖縄。それを傍観する私達。 観終わった後誰かと飲みたかった。 https://t.co/zVV1gOTdJJ

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  15. KAAT神奈川芸術劇場『ライカムで待っとく』89年生まれの沖縄の作家・兼島拓也にやられた。64年の「米兵殺傷事件」を取材する本土の記者(亀田佳明)が、時空を越え否応なしに「当事者」に追い込まれる。軽妙な導入部で引き込み「良心的な本… https://t.co/VcsaSJ4OXX

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  16. KAAT「ライカムで待っとく」で配布のフライヤーやリーフを帰宅後点検していて気付いたのだが、主演の文学座の亀田佳明さん、12/4がその千穐楽で、次のiti日本センター「Bad Roads」リーディングが12/9初日という超タイト日… https://t.co/ef47KbIFGR

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  17. KAAT「ライカムで待っとく」マチネ@中スタジオ。1964年に普天間で起きた米兵に対する傷害致死事件(致死は無罪判決)を核に沖縄と本土の明治初年から未来までの関係を描く。政治争点を党派性なく上手に示しながら、どこまで行っても到達で… https://t.co/5meoNajcU8

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  18. 松戸です KAAT『ライカムで待っとく』初日観劇 魏涼子さん出演 なんて表現したらいいんだろう 最後の照明と効果音(シャッター音と僕は認識)を目にした時に 自分も巻き込まれている感覚 "沖縄"の史実のお話しですが"お芝居"です… https://t.co/7ipn4BMCev

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