夜のプラタナス 公演情報 夜のプラタナス」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★

    淡々と過ぎていく日常
    プラタナス夜もみどりなる夏は来ぬ 石田波郷

    淡々と過ぎていく日常、潜む毒、見え隠れする哲学。
    姉妹の関係性が恐ろしくも美しかった。

  • 満足度★★★★

    東北地方の民話のような
    女の本性を窺い知ることのできる物語でした。

    当日は土曜ワイド劇場の温泉宿仕掛人で温泉に浸かっている俳優さんも来ていらっしゃいました。

    ネタバレBOX

    病魔に侵された作家の話のように進行しながら、実はしたたかな姉妹の本性を表現したお芝居でした。

    身寄りの無い死にそうな作家の男に家を貸し、男の世話をするようでいて家屋の保全をしている。姉妹で男を奪い合うような確執をみせるが、二人の単なる冷めたゲーム。

    姉妹は食事を出して片付けて、男は食べて糞をして死に近づいていく日々。

    山姥(やまんば)伝説のような、カッコウの生態のような、蟻地獄のようでもあり、姉妹に魅入られたら男は全てを吸い取られてしまいます。

    そんなことを覚らせない姉妹なので、男は幸せです。私も憧れます!!

    ところで、箸の持ち方についてですが、男の持ち方が美しかっただけに姉妹の持ち方が気になりました。

    男の箸の持ち方は実に美しく、非の打ち所はありませんでした。
    姉は、まあ普通ですが、特段綺麗とは思えませんでした。
    妹の持ち方は、親指が上に突き出てしまっていて全くだめでした。
    親指、人差し指、中指が一点に集まるように持たなければ美しくありません。

    食べることが重要なお芝居では、こうした細かいところへの配慮も必要だと感じました。
  • 満足度★★★★★

    姉妹のめあて
    凪がざわめく海辺の崖の上に立つ一軒の家。崖は自殺の名所だったりする。舞台は、その家の離れにある書斎。そこで繰り広げられる3人の濃密な物語。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    かつては俳優で現在はエッセイストである53歳の男が住んでいる。男の世話をする姉妹が二人。姉は36歳、妹は26歳。男はガンだ。しかも男はもう長く生きられないことを悟っているようだ。男は終の棲家を探し、この家を借りた。そうして家を借りる時の条件がこの二人の姉妹も付いて、とのことだった。男は奇妙に思ったが、それでも自分の身の回り一切の世話をしてくれるのは丁度いいと思ったのだ。男には家族が居なかったから・・。

    場面は病院に行かない男とその世話をする姉の描写から始まる。セットは大きなテーブルと積み上げられた本。右サイドには大きな本棚に横に並べられた本の数々と、その中央に立てかけられた一艘の舟。
    この舟が実に奇妙に映る。そうして本の並び方にも。

    男の殆どの世話を担当する美しい姉。そうして時々ふもとの街からこの家に通ってくる闊達で可愛い妹。どうやら妹は男とデキてるらしい。一方で男は姉とも肉体関係こそないが感情の部分で繋がってるようす。姉妹の会話が実に楽しい。哲学的でコミカルだ。姉は全ての文学に精通してるようで上質な会話も得意とする。姉妹にも家族はいない。父親は54歳で女と駆け落ちをした。母親は既に亡くなって姉妹二人きりになったのだ。

    崖の家から見える洞窟に住んでいるチャトラとチュートラの大きな猫の戦いの描写が可笑しい。まるで姉妹が牽制し合うような風景だ。顎を上げ胸を張り笑みを浮かべて男を眺める妹は、家来に指先へのキスを許可する貴族の女のようだ。一方で清楚な裏に見え隠れする妖艶な輝きを帯びた目をする姉。二人ともネコ科の肉食動物を思わせる危険な光も同居している。

    庭にひまわりの種を撒く姉妹。しかし、男はひまわりの花を観る事は出来ない。時折、カッコーの鳴き声が聞こえる。カッコーは自分の卵を他の鳥の巣に落として育てさせる。そんなカッコーに「企んできたかー、君たち!」とささやく姉妹。そして男の事を「少しずつ私たちのものになっていく訳だから・・・。」と二人は愛情を持っているかのように男の世話をする。同時に家の世話をしているようにも見える。

    ついに男は日に日に衰えて死んでしまう。それでも男は幸せだったに違いない。男が死ぬ間際まで姉妹は男に尽くしたからだ。「もし、私が理由で君たちに5月の笑顔がないのだったら悲しい。」なんて最後のセリフを吐く。最後の最後まで姉妹を疑うことなく死んだ男。

    男の財産を目当てに企んでいた姉妹は、ようやく男が死んで男の財産が自分たちのものになる。姉妹は長い仕事が終わったかのように二人でご飯を食べる。こうやって姉妹は男を食い物にして生きてきた。まるでカッコーのように・・・。

    実に秀逸な舞台だった。書斎から見える海の描写や3人の織りなす感情。いきざまなどを観客に投げつけるような物語。セリフの一つ一つは確実に高レベルで言葉に存在感がある。だから長谷川の本は好きだ。重厚な質の高い小説を読んでいるようで、しかもちょっと毒もある。3人のキャストらの演技もお見事で、だからこそ本に厚みが出る。

  • 満足度★★★

    思惑がほのめかされる
    トーンは静か目。
    老いさらばえた男とお手伝いに通うとある姉妹の、三人の濃縮芝居。

    これはあとからちょっと教えていただいたのだけど、哲学が見え隠れするからか、ところどころ、難しいことを喋りなさる。しかもさらりと。
    若手の作品じゃないなという印象。

  • 満足度★★★★

    脚本力
    死を目前にした作家の物語であり
    その作家に貸家する、姉妹の物語でもある。
    「生きる」こと、貸家の風景と、姉妹の距離感を描いた
    脚本が、カタルシスに満ち、重厚だが、軽快なテンポ。
    客入りの少なさが、惜しい。

  • 満足度★★★★

    たくらみ
    いろいろなたくらみが込められた戯曲のようで、でもはったりのようにも見える。見逃しているかも知れない部分が気になり戯曲も買ってみた。
    でも照明が細やかだから、戯曲だけ読んでも空気は味わえないはずだ。

    男と女の相容れなさみたいなものを、滑稽であったり淋しかったり恐ろしかったり描いた物語に見えたけれど。

    ネタバレBOX

    でも結末は無理につけたオチみたいに見えた。
    魔女のように描くことは、却って人物の底を見せてしまうと感じた。
    目的もなく惹かれあって、些細な誤解が生まれて、それを晴らそうとしてもっと大きな誤解を招いてしまう、そんなありふれた情景の方が、魔性より遥かに印象深く恐ろしく思えるから。

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