嘘は、最後まで、ね。
一度ついたウソは、
最後まで突き通さなければならない。
そのついたウソが大きければ大きいほど、
罪は………重くなる。
1972年の岐阜の片田舎のとある村。
幼なじみの3人の男は、
不法投棄の取り締まりで拾ってきたタンスの中から、
金の延べ棒を見つける。
何とか3人はそれを自分たちのものにしようと画策するのだが…。
そんな折、旅館営む男の大学時代の友人が、
突然宿泊客としてやってくる。
恋人、親、兄弟、様々な人を巻き込みながら、
最初の嘘が、
ついに手に負えないほどの、大きな嘘へとふくらんでしまう。
上演時間が少し長いなぁ、ということを除けば、
かなりの秀作でした。
セリフも違和感ないし、
何よりウィットに富んだ会話(けしておシャレではないが)と、
上手な仕掛け。
観る方を飽きさせない。
演出も、俳優も、
いかにもこの脚本が好き、
という遊び心も含めて、
良いアンサンブルができていた。
もう少し、
笑いを獲れたのに!
なんて思ってはいけないけど、
それもまた、次を期待しちゃうドラマの作りのせいかなぁ。
満足度★★★★★
手連れ揃いで、嬉しくなる!!
久しぶりに、新劇の芝居で、パーフェクトな仕上がりの舞台を観劇して、感無量でした。
こんなに、出演者全員の演技に大満足できる公演は、かつて観た記憶がありません。
客演続きで、本公演出演がお久しぶりな、石母田さん目当てで行きましたが、増子さん、石母田さんばかりでなく、青年座の皆さん、ここ数年で、飛躍的に、喜劇タッチのお芝居が上達され、昔からの劇団ファンとして、舞台の間中、嬉しさにニンマリしてしまいました。演出の黒岩さんも、さすが。スタッフ技術まで含め、非の打ち所のない傑作舞台でした。
青年座、名優や名演出家が次々亡くなり、高畑さんや山路さんは、客演ばかりで、将来を心配したりしていましたが、杞憂のようでした。
小劇場の才能溢れる作家に次々書き下ろしを依頼し、それが見事に花開いて来た感じで、今後の劇団公演が益々楽しみになりました。
散歩道楽の太田善也さんの脚本も隙がなく、秀逸なストーリー構成で、散歩道楽の公演も一度観てみたくなりました。
満足度★★★★★
新劇の劇団
舞台は1972年、岐阜の片田舎の民宿。私は小学生でした。横井さんが帰ってきたり、日の丸飛行隊が活躍したり、あさま山荘の中継があったり、角さんが総理になったり、今更ながら激動の年だったのですね。
20代の若者から、おしゃべり好きのおばちゃん、民宿の無口なおじいちゃん。とにかく、世代世代の役柄を、限りなく実年齢に近い役者さんが演じている。これこそ新劇の劇団の強みです。
青年座は結成以来、時代時代の新しい脚本家に作品を依頼しているそうです。今回も劇団員さんのつながりから実現した脚本のようです。舞台がどんな時代でも、場所でも、ちょっと不思議な日常をみせてくれる「新劇の劇団」から、当分目が離せません。