つちのこ 公演情報 つちのこ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 嘘は、最後まで、ね。
    一度ついたウソは、
    最後まで突き通さなければならない。
    そのついたウソが大きければ大きいほど、
    罪は………重くなる。

    1972年の岐阜の片田舎のとある村。
    幼なじみの3人の男は、
    不法投棄の取り締まりで拾ってきたタンスの中から、
    金の延べ棒を見つける。
    何とか3人はそれを自分たちのものにしようと画策するのだが…。
    そんな折、旅館営む男の大学時代の友人が、
    突然宿泊客としてやってくる。
    恋人、親、兄弟、様々な人を巻き込みながら、
    最初の嘘が、
    ついに手に負えないほどの、大きな嘘へとふくらんでしまう。

    上演時間が少し長いなぁ、ということを除けば、
    かなりの秀作でした。
    セリフも違和感ないし、
    何よりウィットに富んだ会話(けしておシャレではないが)と、
    上手な仕掛け。
    観る方を飽きさせない。
    演出も、俳優も、
    いかにもこの脚本が好き、
    という遊び心も含めて、
    良いアンサンブルができていた。

    もう少し、
    笑いを獲れたのに!
    なんて思ってはいけないけど、
    それもまた、次を期待しちゃうドラマの作りのせいかなぁ。

  • 満足度★★★★★

    手連れ揃いで、嬉しくなる!!
    久しぶりに、新劇の芝居で、パーフェクトな仕上がりの舞台を観劇して、感無量でした。
    こんなに、出演者全員の演技に大満足できる公演は、かつて観た記憶がありません。
    客演続きで、本公演出演がお久しぶりな、石母田さん目当てで行きましたが、増子さん、石母田さんばかりでなく、青年座の皆さん、ここ数年で、飛躍的に、喜劇タッチのお芝居が上達され、昔からの劇団ファンとして、舞台の間中、嬉しさにニンマリしてしまいました。演出の黒岩さんも、さすが。スタッフ技術まで含め、非の打ち所のない傑作舞台でした。

    青年座、名優や名演出家が次々亡くなり、高畑さんや山路さんは、客演ばかりで、将来を心配したりしていましたが、杞憂のようでした。
    小劇場の才能溢れる作家に次々書き下ろしを依頼し、それが見事に花開いて来た感じで、今後の劇団公演が益々楽しみになりました。

    散歩道楽の太田善也さんの脚本も隙がなく、秀逸なストーリー構成で、散歩道楽の公演も一度観てみたくなりました。

    ネタバレBOX

    いつも、サラリーマンタイプの役どころの多かった高松さんが、床屋の主人役で、最初、高松さんとは気付かない程、役になり切っていらして、いつの間にこんな名優になられたのかと、感動してしまいました。
    青年座の役者さんて、真面目に演じすぎて、今までは、笑いを取るのが苦手な方が多かったのに、この芝居、終始、笑いが絶えず、青年座の底力アップの実感がありました。

    1972年の田舎町の空気もよく出ていました。
    五作が、何度も口にする、「人は身の丈に合った暮らし方をするのがいい」という台詞、何度もになると、またかと思うところで、信彦に「またその台詞ですか?気に入ってるんですね。」と言わせるところが、太田脚本の秀逸さの一端を表していて、お見事でした。
    最後の落としどころもセンス良く、太田さん、気になる劇作家になりました。
  • 満足度★★★★★

    新劇の劇団
    舞台は1972年、岐阜の片田舎の民宿。私は小学生でした。横井さんが帰ってきたり、日の丸飛行隊が活躍したり、あさま山荘の中継があったり、角さんが総理になったり、今更ながら激動の年だったのですね。
    20代の若者から、おしゃべり好きのおばちゃん、民宿の無口なおじいちゃん。とにかく、世代世代の役柄を、限りなく実年齢に近い役者さんが演じている。これこそ新劇の劇団の強みです。
    青年座は結成以来、時代時代の新しい脚本家に作品を依頼しているそうです。今回も劇団員さんのつながりから実現した脚本のようです。舞台がどんな時代でも、場所でも、ちょっと不思議な日常をみせてくれる「新劇の劇団」から、当分目が離せません。

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