消滅寸前 (あるいは逃げ出すネズミ) 公演情報 消滅寸前 (あるいは逃げ出すネズミ)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/10/15 (土)

    座席1階

    最前列で観劇。限界集落でのノンフィクションのようなフィクション。現実にありそうだから、怖い。

  • 映像鑑賞

    満足度★★★★

    舞台セットは、難破船の甲板やマストを壁や柱にしたよう。村の右往左往と、船の航海・漂流を芝居の場面でもだぶらせながら、2022年10月の「採決」から始まる。人口1000人余りの過疎の村の「消滅」か「存続」か。自治会長(奥村洋治)が、集落の「絆の里」委員会で採決をとると、全員が、「消滅」に挙手。ここであれッとずっこけるわけだが、自治会長が「覚悟が大事だ」と、明日、再度採決をとるという。「会長はどっちなんだ!」と委員たちが突き上げれば「私は断固「消滅」です」とまたずっこける。意外な幕開けに興味をそそられる。

    話は2010年の「出帆(または放置)」にさかのぼる。委員会を立ち上げ、空き家のリフォーム、40歳以下の移住者への支援金50万円etcの、人口増加策のあれこれをやってきた。それでも委員の中からも離村者が出る現実、学者の傍観者的推計等々、なかなか出口は見えない。委員同士でも、今度引っ越しするのはあなた?、いやあっちの人と噂しあう。そして冒頭に戻り、翌日の再採決。そこまでの光が見えないフラストレーションを吹き飛ばす、意外な感動が待っていた。

    ネタバレBOX

    村で生まれ育った女性(関谷美香子)がいう。「なぜ生まれ育ったこの土地を離れなければならないのか。体をちぎられるような思いだ」。すると、数年前から村にいる女性(みょんふぁ)が「生まれたところでなければ故郷でないの?」と問い返す。「私は宮城に生まれ、大阪に移り、そしてここにきた。だけど、私にとっては、今はここが故郷」と。この問い返しは考えさせられる。生まれ育った場所に特権的(感傷的)にしがみつくのでなく、今住む人、今いる土地はみな平等のはずではないか。

    そしてラスト、自治会長は「消滅」に一票を入れ続ける理由を語る。「来るかどうか、定着するかどうかも分からない人のためにお金を使うより、今いる人のためにお金を使おう。いたんだ家の修繕、荒れた耕作地の整備につかって、今いる人がより良く暮らせるようにした方がいいではないか」「それが「消滅」に予算を使うということだ」。こんな発想が聞けるとは思わなかった。言われてみれば当然のことだ。いつの間にか「人口増加」などと、あてのない未来のことばかりを言って、現在の住民のことを二の次にしていた。「消滅」を覚悟しての逆転の発想だけど、案外、現在の高齢者たちが生き生きと暮せば、それにひかれて移住してくる人もいるだろう。

    会長が「なぜ移住者が定着しないか。それは「愛着」がないからだ」ともいう。シンプルな真理なのに、忘れがちのことだ。

    最初のシーンで村のおばばがたとえ話をする。〈鼠の害に困りはてた男が、思い余って鼠の巣に火を放ち、その結果、家が全部燃えてしまった〉。みんな、何の意味か分からない。でも最後になって、村のおかみさんの一人がその話を思い出して言う。「あれは、一番大事な絆を燃やしてはいけないという意味だったんじゃないの?」。おばばは「あなたがそう思うならそれででいいじゃない」。なかなか心憎いしめくくりであった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/10/12 (水) 19:00

    この作品は村の終わりにどう向かっていくかを考えようということから、最後は国レベルになる巨視的なベクトルの内容でしたが、私は個人的体験から自分の家の終焉にどうむかっていくかをあれこれ考えてしまいました。日本の田舎の限界集落の話におわらず、地球の終わり方、ウクライナ/ロシアの戦争の終わり方など、いろんなレベルでの思考に応用できる作品だと思いました。

    ネタバレBOX

    最後の最後に船ができて、皆で決意を決めて出帆するシーンがカッチョよかったです。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/10/07 (金) 19:00

    130分。休憩なし。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/10/08 (土) 14:00

    座席1階

    「限界集落」に陥る可能性がある架空の中山間地集落を題材にした物語。「消滅可能都市」の発表にヒントを得て構想したという。再演だが自分は初めて拝見した。

    最初に登場するのは集落の役員会。この集落の存続か消滅かを挙手で決めるという場面から始まる。役員には田舎暮らしにあこがれて移住した主婦も含まれるが、会長を除く全員が消滅に賛成してギョッとさせられる。
    行政からの交付金の使い道を議論する場面がある。存続への手段は、取りも直さず移住促進策。空き家を修繕して「田舎体験」をしたりすることだ。一方、消滅を選択した場合には「村仕舞い」という方向で進める。消滅にせよ存続にせよ今の住民を大切にすることから始めるべきでは、との声も出て、例えば個人の家屋の修繕、ゲートボール場の整備などの意見が出る。だが、同席した役場の職員が「これは個人の利益になるようなことには使えない」と指摘する。役員たちの反論が面白い。「空き家対策だって、移住してくる個人の利益になるようなものではないのか」。政府の経済対策で現金給付を堂々と行っていることを考えれば、ある意味、すがすがしい議論ではある。
    役員の中にもひそかに都市部への引っ越しを考えている人もいて、役員同士の人間関係がシュールで面白い。先祖代々の田畑を持つ女性は「この土地を守ることが自分の役割」と力説。引っ越しには「古里を捨てるのか」という趣旨の言葉が浴びせられる。人口減少社会が変わらない以上、集落は消滅せざるを得ない時が来る。移住政策などはその場しのぎの延命に過ぎないことも描かれる。事実なのではあるが、なぜかため息が出た。
    舞台では異例だと思うが、かつては多くの若者が高齢者を支えた社会保障が、今や支える人が減って窮地にあるという、新聞やテレビでよく見るグラフが客席に示される。元新聞記者の古城十忍らしい演出である。
    開幕前のセットが、壊れかけた船になっているのは、集落の行く末を航海に例えているからだ。ラストシーンはまさに、わが国の近未来を象徴する幕切れになっている。

    ネタバレBOX

    一集落の命運ではなく、わが国の行く末。これをアピールするのが船のマストに掲げられた日の丸だ。答えの出ない問題を、分かりやすく舞台で提示して見せた快作だ。

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