マニラ瑞穂記 公演情報 マニラ瑞穂記」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-6件 / 6件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    9/18みました。ごめんなさい。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    観劇後だいぶ日が経ったので記憶も朧気であるが、舞台の光景は比較的鮮明に刻まれている。面白い戯曲であるが、秋元作品中あまり話題にならず、データも少ない。
    以前新国立劇場の上演を観たがもう八年前の事、栗山演出だったか・・彼っぽい舞台の使い方で、装置に目が行って役者の話が耳に入らなかった(話の筋が追えなかった)記憶がある。今回は文学座アトリエにて松本祐子演出という「マニラ」再観劇の有難い機会であった。
    こういう話だったのか、と・・全く覚えていなかったが、女衒の秋岡伝次郎と女郎たち、領事と職員、軍人、植民地からの解放運動に協力する日本人らが見事に絡んで、日本人の「外地」との関わりを先行的に描いた作品は批評性に富んでいる。舞台は前半が領事館、後半は解放運動の拠点として伝次郎が出資した建造物(の残骸跡)、そして再び領事館に。「私」的事情と「公」の事情が糸で衣を織りなす如く絡み合い、刻々と世界の変化をもたらす。三好十郎を師とする作者の面目躍如たる戯曲であるが、まだ咀嚼し切れていない。舞台は面白く興味深く観たが、芝居がスポットを当てたこの時代の本質、対外関係における日本のあり方を、もっと汲み取らねばならぬ気がする。(これは個人的な感覚であるが。)

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    高崎領事役の浅野雅博はじめ、いい俳優がそろっている。明治末期のマニラという特殊な場面を、そこに確かに生きた人の存在感と歴史の厚みを持って現出させた。昨年、新国立劇場演劇研修所の修了公演で見て、それはそれでよかったが、文学座はやはり格が違う(いまさらな感想を失礼!)。

    それぞれの人物がしっかりしていた。特に女たちは同じような境遇でいて、全然違って5人5様。もん(鈴木結里)は無邪気な恋心が可愛く切ない。はま(鬼頭典子)は姉御肌。いち(下地沙知)は酒におぼれて、自暴自棄から平穏を引っ掻き回す厄介者。タキ(鹿野真央)は男にもてるのに、男に持たれず凛としている。くに(増岡裕子)はおせっかいもの。最初の顔中すすだらけの海賊のようなぼろ姿から、着替えた後のきれいどころへの変身が鮮やかだった。

    「南洋の海をコップでくむような、キリもないことを人間は繰り返している。」
    「あの人は若い。理想がある…わたしもむかしはそうだった」
    「日本人は夢が好きだ。理想が好きだ。しかしわれわれ日本人には、理想とか主義とかを、本気で最後までやり通す能力があるんだろうか」「日本人は夢を持つのが好きだ、その夢に熱狂して酔うのが好きだ」
    などなど、いいセリフがちりばめられている。

    ネタバレBOX

    1幕で話だけで消えた、日本の自作自演の領事館襲撃計画が、2幕で本当に実行される。そのほか、1幕、2幕ともフィリピン独立を応援する志士たちの話で始まるとか、戯曲の構造がよくできている。伏線、照応がよく計算されている。

    照応構造の最たるものが、「女を金で売買する秋山も、国を金で買ったアメリカも同じじゃないか」という高崎領事のことば。アメリカ許さんと意気盛んだった秋山(神野崇)が、ここから自らを省みるようにだんだん変わっていく。

    古賀中尉(駒井健介)との決闘という生死をめぐる一つの頂点を経て、女たちと立場が逆転し、女にののしられ足蹴にされるどん底に落ち込む。ここが最大の見どころだが、おんなたちのしたたかな生命力と、それと一体の依存性、恨みと絶望=開き直りが噴出する。黒澤明「隠し砦の三悪人」の火祭りの場面のような、一種ハレの、日ごろの鬱屈の解放された瞬間だった。

    最後は襲撃される前に、領事自らが火をつけて避難。口のきけない元女郎の老婆シズ(寺田路恵)が一人、焔の前に立ち尽くす、象徴的な幕切れだった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    2回目。どうやったって #下池沙知 さんしか観られない。洋酒の海に溺れる、神経をヤラレたヨレヨレ金魚をモナカや薄紙のポイででもいいから、なんとかして、文字通り掬ってあげたかった。イイ客が付かなかったイチを救い出したくて切なかった。
    激動の彼の地で、揺らぎ逆転する信頼や主従関係。裏切りの畝りは個人の領域を越え民族全体の空気に。それはまるで現代のネット世論に左右される世界のよう。
    そして戦争を誘導する政治家や資本家たちに振り回される国民、民衆の憐れさが、誰からも疎まれ蔑ろにされ忘れられるシズの姿に映る。
    今こそ、観ておくべき作品。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    9月11日(日)に観ました。戯曲もいいし、演出もいいし、役者さんたちもいい、大いに満足できるお芝居でした。しかし19世紀末のマニラが舞台の作品ですから、私は、この作品の歴史的背景を自分がどれだけ理解できていたか心もとなく思い、観た後からではあっても、この作品の理解を深められればと、アフタートークを聞きました。しかしアフタートークは、役者さんの紹介や、役者さんの初舞台の思い出話などが主で、私が作品の理解を深めることにつながるような話はありませんでした。ここは、がっかりでした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    【初日】とにかく #下池沙知 さんを観てほしい。演劇好きなら観なきゃダメだ。登場したその瞬間から"いち"が"いち"だった。終演まで1ミリの隙もなく"いち"が生き抜いた。俳優とはそういうものだと理解してはいるけれど、それを本当に目の前で観られる奇跡に、誇張ではなく目が離せなくてずっと追いかけながら感謝した。
    正直に言ってしまえば、彼女の"もん"を観たいと思っていた。ちょっと弱い面を見せる役がフィットすると思えたから。と同時に"いち"を観る予感もしていた。登場する女性の中で最も振り幅の大きい人物で、壊れていく人間の弱さが滲み、クルクルと表情を変える。下池沙知さんの雰囲気とはかけ離れた人物に思えるけれど、だからこそそのキャスティングは面白く魅力的であり、極上の演劇体験ができる。自分の存在価値や意義を見失っていき、人を羨み、他者を信じることもできなくなっていく"いち"。グラスを煽る度に、少しずつ、そして確実に落ちていく。人の心の奥底を見透かしてやろうとするような鋭い上目遣いを観ながら、恐れをなす我が心の穢れを実感する。
    それでも、他者の秘密を暴きながら絶望の縁でジタバタする"いち"を救い出したくて、身請けする覚悟で、20日までにもう一度アトリエに行かなければならない気がしている。

    何度か観てきた大好きな作品。美術も演出も真新しさや特別なことはないけれど、丁寧に創られていた。
    その中で違いを一つ挙げるなら、シズの存在の意味や意義の深まりだろう。寺田路恵さん演じるシズの鋭い眼光がとらえた世界や人間の愚かさについて考えさせられる。とても印象的だった。

    感染症に対する恐怖を乗り越えて観ていただきたいホンモノの演劇がココにある。観逃さないで。

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