父との夏 公演情報 父との夏」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    ジワーッと泣けました
    前回公演、えらく不愉快なラストだったので、あまり期待せずに行きましたが、今回の三田村組には、じんわり泣かされました。

    演劇ならではの手法をうまく使い、ハートウオーミングな家族劇に仕上げて、お見事でした。
    やや、音響効果がベタな気はしたものの、でも、その音楽の巧みなフェードインに余計涙を誘われたのも、正直なところ。
    照明や音響のスタッフ技術も優れていました。
    キャストは全員が好演でしたが、中でも金坂役の水口さんが素晴らしくて、感嘆しました。
    感動して、近くの喫茶店で余韻に浸っていたら、その水口さんが、役柄とは似ても似つかない風情、言動で、お仲間と歓談していらして、その役柄とのあまりのギャップに、かなりガッカリしたものの、舞台自体は、とても上質な作品でしたので、☆は、迷わず5つです。
    まだ、かなりチケットが余っているそうです。お時間のある方は是非!!
    三田村組、次回の蓬莱作品で、終了だそうです。
    良いユニット劇団を知ったばかりなのに、残念です。

    ネタバレBOX

    フライヤーから、もっと戦争中のストーリーなのかと想像しましたが、現代の父と息子の確執と、その氷解が描かれた、上質な家庭劇でした。
    朴訥な父役の三田村さんは、戦時中の話を息子に語る時、時々、台詞が咬むのですが、それがまた、その父親の朴訥さを滲ませて、逆に自然に見えました。
    父と兄の仲を取り持とうと躍起になる、娘役の田口さんは、後半、今は亡き母の、若い時の役も兼ねますが、その両者の役作りに工夫が見られ、感心しました。
    舞台を観ているに連れ、登場人物全てに愛着が湧き、部屋の橙色の明かりと共に、心が、じんわりと温かくなるのを感じました。

    父が、劇作家である息子に、戦時中の話をし出すと、縁側が、戦時中の列車内になり、その戦時中の17歳の少年兵である父と、茶の間の息子と、息子の婚約者が、普通に会話をしたりするのも、何だか無性に微笑ましく思える、素敵な演出でした。
    父の友達の少年兵役を演じた、水口ケンロウさん、全く当時の少年兵を実にリアルに演じ切られて、あっぱれ!!
    それだけに、素の水口さんを拝見しなければ良かったと、喫茶店に入った自分の選択を後悔しています。(笑)
    でも、見方を変えれば、それだけ名優だということですよね。
    役者、水口さんと、作、演出の高橋いさをさん、今後も注目させて頂きます。

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