定年ゴジラ 公演情報 定年ゴジラ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    安定した舞台で楽しめた
    重松清氏の小説の舞台化。
    ベテランたちの安定した舞台で、安心して観られる。
    特に加藤武さんの、最後まで衰えない、存在感のある声の張りは見事。

    ネタバレBOX

    定年を迎え、特にすることがない主人公山崎が、地域の自治会のひとたち、つまり、定年の先輩たちに出会う。彼らから、定年後の過ごし方のアドバイスなどを受けたりしながら、自治会の仕事に精を出す。
    自治会の仕事をしながら、自分たちのニュータウンについて再確認し、さらに同じ世代のせつなさ、やるせなさを感じる。
    そんな中、ニュータウンをランク付けするという雑誌の取材を通じて、ニュータウンとともに歴史を刻んできた自分たちの歩みを確認する。
    そんな物語がビートルズの旋律に乗せて、繰り広げられる。

    とにかく、安定した演技と演出で、すっと内容に入ることができ、まったく飽きずに楽しめた。

    小説は読んでいたのだが、実際に動き会話する登場人物たちを観ていると、「ああ、こういう世代の方たちの話だったんだなあ」と改めて思ったり。話す速度とか、テンションとか。
    小説のように泣けるという感じはなかった。悲哀とか切実さを感じなかったためだろう。
    それは、舞台の上の主人公たちが、溌剌としていて、エネルギーがあったからだとも思うのだ。観客は、そういうエネルギーを感じ、希望のようなものを得たのではないだろうか。

    観客には舞台の上と同世代またはそれに近い世代の方がかなり見受けられ、共感のまなざしとともに温かい笑いに包まれていたのが印象的だった。

    ただ、30年前の私鉄沿線にあるニュータウンというと、一戸建てではなく、団地であり、一流企業をリタイヤして、悠々自適で有り余った時間を何に使うのかだけが悩みのタネっていうのは、贅沢だなあと思ったり。
    そのような定年を迎えることのない私にとって、なんかピンとこないというのが、ホンネでもある。

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