動員挿話【公演終了!ありがとうございました】 公演情報 動員挿話【公演終了!ありがとうございました】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-10件 / 10件中
  • 満足度★★★★

    どっひゃー。
    こんな演出とは!
    前半は、少々・・・だったのだが、後半からの展開には目を奪われた。
    スサマジイ。
    演出の力を見せつけられる。
    もちろん、役者にもブレはない

    ネタバレBOX

    岸田國士氏の脚本の最初と途中に今回オリジナルの脚本を足したそうだ。
    今回の追加部分は、客いじり的な要素があり、観客との距離を縮めるにはそれなりに面白かった。
    ・・ったのだが、それにより、もとの物語の芯が少々ぼけてしまったように感じた。

    大切な夫、友吉を戦場に行かせたくないという妻の数代の行動が、この時代(あるいはどの時代であっても)、とても奇異なことであるということ、そう見えてしまうことに対する疑問の投げかけが物語のメッセージであろう。

    したがって、その登場から突然歌い現れて、顔を歪める数代は見るからに奇異な存在として観客に提示される。
    他の登場人物もほぼ変なテンションだったり、今風の話言葉や衣装なのだが、数代ほどは変ではなく、数代と比較すれば至って普通である。
    将校家のひとびとの、数代の登場に戸惑う表情からもそれがうかがえる。
    もともと数代はその存在が少々疎まれているようだし。

    本来は、その中にあって数代が「浮き」、一般の人々との温度差が露になるのだろうが、冒頭の新たに追加したシーンには、客いじりなどもあり、その独特のテンションの余韻があるまま本編に突入するので、登場人物すべてがほぼ似たような、変なテンションの変な人たちに見えてしまう。
    テンションが変なのではなく、現代風のチャライ感じの将校と女子高生のような将校の夫人のいでたちと、現代風の台詞という表面的な様子にも惑わされてしまっているだけなのだ。
    そのために、数代の存在という物語の芯がぼけてしまったのではないのだろうか。

    数代と他の登場人物たちの徐々に明らかになる差を明確にするためにも、この新たな追加シーンは、イメージのミスリードをしているのではないのかと思った。

    さらに中盤に差し込まれた、将校の息子の恋物語も物語全体の中での位置づけが見えてこない。相手の娘の変なしゃべりも意味ありげなのだが。

    登場人物の中で、衣装も演技も唯一シリアスなのは、数代の夫、馬丁の友吉である。彼だけがどうしてそうなのかがイマイチわからなかった。将校一家(一般の人たち)と数代の中間に位置する、あるいは何かに属することのないナチュラルな人ということなのだろうか。

    数代を演じた大西さんの、口調、台詞回しのトーンにはしっとり感があり、重さがある。だから変なテンションのとき、あるいは変な顔をするときは、痛々しい。
    その痛々しさが、伝わってくることがこの舞台のキモなのではないのかと思ってきた。それは痛々しいほどの人を想う気持ちであり、ホンネを口には出すことが憚れる時代の痛々しさでもあるのだ。

    後半の変なテンション抜きの彼女の表情や台詞には、さらに凄みが加味され、これは凄いと思わざるを得なかった。

    このトーンを持っている女優さんを使うのだから、彼女だけシリアスのままで、周囲の時代の波に乗っていてホンネを語ることができない人々のほうをハイテンションにする、というのが、(たぶん)正攻法に近い演出なのだろうが、それを選ばず逆の関係(周囲よりも数代のほうを変なテンション)にしたところが今回の舞台なのだと思った。

    ラストに訪れる悲劇は、結局、自分の夫への強い想いが裏切られ、夫に対して「それだけ」としか言えなかった数代の絶望感と哀しみの現れなのだろう。

    夫の出征に対して、死をもって抵抗した数代の行為は、この時代であれば、数代の思いとは裏腹に、逆に戦場に夫を送る妻の美談として祭り上げられてしまうのだろうな、という深読みもしてしまった。
  • 満足度★★★★

    素材として最高!
    非常に面白かった。前半のネタ合戦のような部分に途中飽きがきたが、その後後半へのたたみかけが見事。
    全体として少し力不足(結集仕切れてない)感がしたが、演出・俳優の努力の箇所箇所が素材として大変魅力的であったように思う。特に女中・父・息子役が素敵だった。

  • 満足度★★★

    こーゆー話だったんですね
    戦地に赴く者、残される者の話でしたか。で歌あり・踊りありで大胆演出したんですね。 うーんアリかな。 衣装も当時のものと、現代高校生風のもので、キャラも合わせたと。斬新で、非常に記憶に残る作品でした。

    ネタバレBOX

    不気味?な動きをする副官さんが、飛ばされた奥様にぶつかって壁に張り付く演技が、妙にうまくて印象に強く残りました。演出の冴えですかね。

    長男の芝居は違和感無く、観客巻き込んで楽しかった。
    のだが、ケ○ロ軍曹みたいな帽子の方の台詞が、聞き取りにくかった。ばたばたと足音させて、ハイテンションで動き回る芝居は楽しめたのに残念。

    数代さんの服装とキャラは、あってました。他女性陣も衣装とキャラはピッタリでした。

    できれば少佐の持つ銃を、ニュウ南部にでもしたほうが良かったかな。マルズローダーは、似合わなすぎた。

    今風の高校生に、当時のハイカラな服やちゃんとした軍服。アンバランスさも良く出ていました。話が暗い分、歌や踊り・幕間劇も良いアクセントになったなぁと、思い出して感じました。観劇後は、うーんどうかな。などと思いましたので。

    あと思春期の男の子の、からかい方が結構楽しかった。観客巻き込むから、毎回アドリブが入って、役者さんもドキドキしたのかなぁ。などとモーソーしてました。

    ただ。観る人は選ぶような作品かなぁと、お見受けしました。



  • 満足度★★★★

    それだけっ!
    という言葉には絶対の意味がある。
    そして、とにかく楽しい!女性は前列に座ることをお勧めします。おまけを頂くと尚嬉しい。前列は観客イジリならぬ観客遊びがあって、そのご褒美におまけが貰えます。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    主人に出征を促された馬丁の友吉は世間的立場と、友吉が主人について戦地に行くのを反対する妻の決意の固さの間で板挟みになって見事なまでに揺れる。見事なまでの優柔不断さとその時代の流れに翻弄されるさまが観ていて可笑しい。。

    一方で友吉の女房の数代の主張は自意識の塊だが、夫を愛するが故に命をかけても友吉をいかせまいとして、宇治や夫人の説得も数代はがんとして聞き入れず、「貴方が行くといったら、今ここで死んでみせるわ。」と友吉に詰め寄るシーンはお見事!

    そうして「おだてられちゃ駄目よ。調子にのっちゃ駄目よ。貴方はただの馬丁よ。旦那様のように陸軍少佐が出征なさるのと訳が違うの。こっちはお国の為に、なんて考えてても、肝心のお国が目をかけてくれなかったら何にもならないわ!」と、友吉を説得し、「愛する夫がどこか遠くの戦地に行ってしまうのを平気で見送れる女は女じゃない。毎晩毎晩、貴方が生きてるか死んでるかも解らず、夫を想い続けてだんだん、私は痩せて行くのよ。」

    しかし、友吉は主人との義理、世間の風当たりに悩み、同僚にも促され、ついに戦地へ行く決心をしてしまう。それを聞いた数代は失望のあまり自害してしまう。

    数代役のキャストがレトロな顔立ちでキュートでした。一心に貫く情熱は観ていて気持ちが良いほど。男性も女性もあんな風に誰かに自分を好きになって欲しいって願ってるよね。女中のよし役のキャストも魅力的で、今回は全員のキャストに魅力を感じた舞台だった。演出もお見事でした。コメディだけで突っ走るのか?と思いきや、後半はシリアスな展開をそのまま、ぶつけてきて全体的に沢山の要素の入った宝石箱のような舞台でした。
  • 満足度★★★★★

    楽しい演劇
    あなざ好きなので当然見に行ってきました。

    普段のあなざと違って座席がひな壇固定だったのでどうなるのかなと思ってましたけど、やっぱり楽しさは変わらず!

    そして西村氏演出と思われる後半のスタイリッシュなシーンの印象深さ。
    ふたりの演出家の化学反応が大いにプラスに転じた傑作です!

    役者さんもどなたも自分で自分を輝かせていて、素敵でした。

    ネタバレBOX

    小ネタ満載な前半が特にあなざっぽくて楽しい!

    そして段々話が深刻な方へと移っていくのだけど、亡霊なのか、ひとりの兵隊が常に舞台上にいて、チョッカイを出すけどそれは舞台上に影響を与えたり与えなかったり。。。

    「動員挿話」は読んだことないし舞台で見るのも初めてなのですが、スッと世界観に入っていけた感じです。

    ラストで奥さんが自殺してしまう前の繰り返し。
    異なる角度で何度も何度も見せてくれるそのシーンの重さ、悲しみがズンズンと伝わってきました。

    この企画、これからもシリーズとして続けてくれたら毎回見にいくけど、常に新しい事に取り組もうとされる方々だから二回目はないんでしょうねえ・・・。
  • 満足度★★★★

    よかったです。
    それもすこぶる良かったです。

    なんでしょう・・・

    舞台ってこうあるべきだって、
    そんなお手本みたいなお芝居でした。

    ネタバレBOX

    客席へのちょっかいなんてまさにそれですし、大声で叫んだり、机を叩いたり、よくわからない兵隊をおいてみたり・・・

    どれもこれも舞台的なよさでした。

    音の使い方もすごく効果的でした。

    水が絶えず流れているあの音がなんとも静寂の中に心地良かったです。
  • 満足度★★★★

    時代を翻訳するセンス
    戯曲のもつエッセンスを
    観客側でなく舞台側でみごとに時代変換して。

    結末が腑におちるというか、
    戯曲の世界をしっかりと見る側に納得させる力を持った
    舞台でした。

    ネタバレBOX

    岸田戯曲に加えて
    いくつかのカンパニーによるシーンがさしこまれていることが
    開演前に案内されて・・・。

    そりゃ動員とか出兵など
    今の日本にはない感覚ですから、
    まともにやれば
    どうしても歴史の教科書を読んでいるような
    古臭さが出てしまう。

    しかし、舞台となる家庭の雰囲気を
    今の質感であらわしてもらえると
    戯曲の本質となる感覚がとてもナチュラルに
    伝わってくるのです。

    国という存在もうまく戯画化されていて、
    鯱鉾ばった時代の鎧がはずされることで
    今の肌合いで出来事を感じられるようになって。

    身近な生活の感覚の中での
    出兵のインパクトが絵空事ではなく
    やってくる。
    出征にたいする馬丁の揺らぎや
    女房の息苦しいほどの愛情が
    平成の目線でがっつりと感じられるのです。

    ウィットもたっぷりあって
    楽しみながら観ているうちに
    戯曲のコンテンツがふかく心に伝わってくる。
    客いじりもうまく機能していて。

    洒脱さにもひかれ
    作り手のセンスにとりこまれ
    時間を忘れて見入ってしまいました。
  • 満足度★★★★

    ピンとくる動員挿話
    当日パンフにも書いてありましたが、(自分を含め)戦争を体験してない世代にとって、とてもわかりやすい動員挿話になってました。

    早めに行って最前列に座ったほうが、何かと楽しいかもしれません。
    最前列に座れなかったので満足度-1(笑)

    ネタバレBOX

     原作にはないオリジナルの場面がいくつかあります。まあコントなんですが、原作の世界をうまく補完してたんじゃないかと思います。

     大西嬢のシリアスな芝居、初めて見ました。
  • 満足度★★★★

    岸田國士をこうやるのか!?
    いまさらながら、演出ってすごい仕事ですねえ。岸田國士の戯曲がこうなるか、しかも戯曲の世界がより立ち上がってくる。まいりました。

    ネタバレBOX

    役者が観客に迫ってきます。3回も触れられてびっくり。
  • 満足度★★★★★

    今まで観た岸田國士作品の中で、
    ブッちぎりの面白さ!
    ま、好き嫌いはハッキリと分かれる演出ですけどね。(笑)
    ナイロン100℃ 、東京乾電池、風琴工房、時間堂と比較して、

    ネタバレBOX

    三条会のアトリエ公演『近代能楽集』全作品連続上演を観た時の様な衝撃!
    どうにも今まで観た作品は、戯曲を忠実にトレースしているのだけれど、俳優が台詞に振り回されている様に感じて、どうにも嘘臭さが拭えない印象だったのだけど、ようやく岸田國士の戯曲が面白く思える演出に出会えた!って感じです。
    今後も岸田國士戯曲上演シリーズとして続けて行って欲しいなと。

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