竹之内淳志じねん舞踏ソロ公演 公演情報 竹之内淳志じねん舞踏ソロ公演」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     スタンディングオベーション。華5つ星、必見。こんなに素晴らしい舞踏を観たのは芦川さんの「ひとがた」を観て以来だからほぼ半世紀ぶり。たった1000円。15日15時から残り1公演がある。上演時間約110分。追記15日午前4時40分。

    ネタバレBOX

     衣装は緋色系の貫頭衣のようなもの。貫頭衣は衣装の最も原初からある形の1つであるから、今作の何億年もの生命の歴史を描くスタンスにも見合っている。而も緋色というのは、新月の晩に忍びが纏った衣装の色でもある。白~黒というのは色調というより本質的には明暗であるから、黒い衣装は明暗差の中で浮き上がってしまうのに対し、緋色は闇に溶け込んで見分けがつかない。この性質を見事に用いつつ舞踏は展開するが、この程度の科学的知識は初歩的なものであることは言う迄も無い。音響は生命が誕生した時の宇宙に対する戦きが舞踏によって表現されている時には、恰も宇宙背景輻射の只中で顫えるような音、或は水琴窟内に響くくぐもった音のような質感が東欧、中東、アジア、アフリカ等々の楽器を用いて生で奏でられコレスポンダンスが素晴らしいのみならず、昏めの照明の微妙な変化が更に陰影を濃くして効果的である。様々な生き物たちの始原から現在までの諸相をカオティックな状況を背景に時に水琴窟様の、時に洞窟内で獲物の肉を焼き暖を摂り、或は灯りを灯して過ごす夜もすがら。更に或は近世、近代、現代迄の我らの生きている時代に近づくにつれより具体的に骨肉争う様、戦地獄、また飢餓や災害に逢う憂き世の動物たちをそれでも何も言わずに養う植物の生と我らヒトを含む動物の生との対比としても明確化してくる。無論このような人間の知の発達に応じた変化と変われない部分、即ち動物は、生き続ける為に必ず他の生き物を殺して食わねばならぬ業(カルマ)を負うが、植物は太陽光と水分さえあれば他の生き物を殺さずとも生きて行けるという決定的差を炙り出し、掛かるが故に人は植物の精華たる花に憧れる。その夢のような夢幻境に迄念を馳せた作品。

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