天国篇 (神曲3部作) 公演情報 天国篇 (神曲3部作)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 聖地巡礼の気分
    神曲3部作の最後。3作とも美術作品という要素が色濃い。「地獄編」「煉獄編」はそれでも演劇作品という体裁を保っていたが、この「天国編」になるともはや演劇的な要素はほとんど感じられない。それでもインスタレーション・パフォーマンスという案内表示が示すように、パフォーマーは登場した。
    入場者はあらかじめ5名に限定されていて、鑑賞時間も5分と表示されている。

    ネタバレBOX

    会場に着くと、外の受付で整理番号札がわたされて指定の時間まで待つ。やがて番号が呼ばれて建物の入り口を抜けると、そこでは短い廊下が控えの間になっていて、客は壁際にならんだ椅子に座ってさらに待つこと数分。ようやく奥の黒いカーテンの向こう側へ通される。
    かつて体育館だった広いスペースの中央に、大きな白壁がそびえている。入ってすぐに見えるのは2つの壁だが、一回りしてみると向こう側にも壁があり、要するに4つの壁に囲まれた箱型の建造物らしい。1枚の壁の縦横は10メートル以上ありそう。天井部分がどうなっているかは未確認。
    最初に見える二つの壁のうち向かって左側。その奥のほうに照明器具のようなものが目印として立っていて、そのすぐそばに小さな入り口がある。
    入った途端、もわっとした湿気を感じる。温度もかなりある。中は白い照明がともる白壁の空間。それほど広くはない。ここも一種の控えの間で、右側の壁には奥へと続く黒い穴があいている。穴は腰を少しかがめないと通れない大きさ。穴の奥行きは1メートルほど。通り抜けるとそこには黒い闇の空間が広がっていて、水の落ちる音が聞こえ、いちだんと増した暖気と湿気を感じる。
    徐々に目が暗闇に慣れてくると、中の様子がうっすらとわかってくる。床部分の広さは縦横8メートルくらいだろうか。壁の高さはもう少しありそう。奥の壁の天井付近から水が二手に分かれて噴き出している。水は床の奥半分くらいを濡らしていて、観客はその手前に立って眺める。よく見ると、水の噴出口から人間が体半分を乗り出していて、その人物の背中あたりから水は二手に分かれて噴き出している。人物の顔は暗くてよくわからない。上体や手をもがくように時々動かしている。
    見せ物としては以上がすべて。何か起きるかとしばらく見守っていたが、変化がないので見切りをつけて外へ出た。入場から退場までに要した時間は20分くらいだろうか。

    見終わっての感想。
    天国編というわりには決してハッピーなパラダイスの雰囲気ではない。天井近くの穴から上半身をのり出してもがく人は、体が穴につっかえて出るに出られないという印象を与える。背中付近から二手に分かれて噴き出す水は、なんとなく肩から生えた羽根のようにも見える。想像をたくましくすれば、それは天使の翼なのかもしれない。芥川龍之介の小説「蜘蛛の糸」では、地獄から脱出しようともがく主人公の姿が描かれるが、この作品では堕ちかけて天国へもどろうとあがく天使の姿を描いているのではないだろうか。堕天使のことを英語ではfallen angelという。一方、水が流れ落ちる様子はまるで滝のようだし、滝は英語でfallともいう。そんなわけで、まったくもって勝手なこじつけだが、穴につっかえてもがいている人物は、falling angelと呼ぶべき存在ではないのだろうか。
  • 満足度★★★★★

    羨ましい
    実現する力が凄い。自分もそういう風になりたい。と、強く思わされた。

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