女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~ 公演情報 女歌舞伎 さんせう太夫~母恋い地獄めぐり~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    このかん色々と観劇チャンスを逃し、久々の舞台鑑賞は下北沢でのこちらを選んだ。冒頭の津軽三味線を思わせる導入に萌えたのもつかの間、衣裳と言い発声と言い現代的(衣裳は和風にわざわざビジュアル系な要素をしこたま仕込んでいる)、演技も唐十郎芝居なら叫びの中に詩情が漂っても来ようがもう少し細やかな演技を見せて呉れぬものか、と少しばかり「選択」を後悔し始めたのであったが、よくは知らなかった話(通してみてああそんなだったと思い当った程度)が国を跨ぎ星霜を重ねる壮大な物語である事が予感された半ばあたりからぐいぐい物語の力に引き込まれて行った。
    髙橋竹山の彷徨の物語を思い出す。英国ならオリバーツイスト、仏作品では巌窟王、長い苦節の時を経て日の光を見るという人生の時間感覚は、この時代には一層「物語」の中以外に見出しにくい事を感じ、拍手の手も強くなった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2022/02/13 (日)

    価格5,130円

    13日14時開演の千穐楽の舞台を拝見。

    初見となるProject Nyx(プロジェクト・ニクス)の女歌舞伎。
    泣かせる設定、泣かせるセリフ、泣かせる歌唱に三味線、泣かせる”ヒトカタ”(=等身大の人形)…と、女優陣の艶やかだったり粋だったりな装いが相まって、「安寿と厨子王」のエピソードを知らない若い観客でも理屈抜きに愉しめたのではないか。
    140分弱の見世物芝居、大層良いモノを魅せてもらった。

    ネタバレBOX

    【配役】
    安寿とづし王の母親…山崎美貴さん(『劇のことば』vol.1 以来。舞台では初めて)
    さんせう太夫…のぐち和美さん(青蛾館他の舞台で拝見)
    (づし王が逃げ込んだ寺の)聖…伊藤弘子さん(流山児★事務所の舞台で拝見)
    づし王(青年期)…宮菜穂子(みや・なおこ)さん
    (母子を売った)山岡太夫/(づし王を救った)梅津の院…山上優さん
    奴/乞食1…水嶋カンナさん
    (安寿とづし王を何かと助けてくれる)小萩/乞食2…石川詩織さん
    安寿…えびねひさよさん
    (安寿一家の使用人)うば竹/仙次/佐渡で出逢った子守…清水美帆子さん
    づし王(幼年期)・佐渡で出逢った子供…染谷知里(そめや・ちさと)さん
    悪徳役人・工藤/関白…本間美彩(ほんま・みさ)さん
    (さんせう太夫の残忍な性格の息子)三郎…諸治蘭(もろじ・らん)さん
    (さんせう太夫の温厚な性格の息子)太郎…真弥優希(まや・ゆうき)さん
    (狂言回し的存在の)説教節/寺男…河西茉祐(かさい・まゆ)さん
    宮崎三郎/お六/沢田/乞食3…山田のぞみさん
    佐渡二郎/従者/脇村…三輪桂古(みわ・けいこ)さん
    ”ヒトカタ”(等身大人形)遣い…百鬼ゆめひな(飯田美千香)さん
    津軽三味線・唄…駒田早代(こまだ・さよ)さん
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/02/12 (土) 14:00

    「女歌舞伎」と冠したこの作品は、プロジェクト・ニクスのこれまでの集大成と言える。前回の「新雪之丞変化」より数段パワーアップして、音楽、舞台回し、美術と迫力ある舞台に仕上げた。

    題材は、有名な安寿と厨子王。冒頭の津軽三味線から震える。この三味線は単なるライブの音楽というだけでなく、奏者の駒田早代が立ち回り、声量豊かな歌声を響かせる。舞台の重要な構成要素となっている。

    千秋楽前だけに、出演者全員のせりふが板についていて、迫力と妖艶さが増している。スズナリという器もプロジェクトニクスに合っている。狭い舞台と袖を縦横無尽に使って演じる女優たちからは、何かここがホームゲームだというすごみさえ感じた。誰もが知っている物語だけにやりにくかった面もあっただろうが、ラストシーンでは思わずもらい泣きするような場面もあった。安寿は舞台の早い段階で命を失っているのだが、百鬼ゆめひなの操る人形に乗り移ったかのように最後まで存在感を示す。輪廻転生という壮大な空間は、感動的だった。

    今回、主宰の水嶋カンナは、寺山修司の句の朗読など舞台の進行に彩を添える役回りで若手のパワーを引き出している。スズナリは、コロナ禍以前と同じような満席。期待通りの価値ある舞台だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    かなり自分の理想とする『山椒大夫』が観れた。小学生の頃読んだ『あんじゅとずしおう』が今もずっと心の奥深くに棲みついている。“人買い”、“人拐い”の恐怖。横田めぐみさんの事件を知った時、すぐにこの作品を連想した。騙されて攫われて、何十年も後に生き別れの家族と再会する物語。ハッピーエンドとは程遠く、仏教説話のような救いもない(多少あるが)。出演者全員女優の女歌舞伎を称し、アングラ小劇場オールスターズによる宝塚のような絢爛は好きな人にとっては堪らない御馳走であろう。スズナリにはこういう作品こそ良く似合う。

    津軽三味線の駒田早代(さよ)さんがメタル・ギタリストのような速弾きを見せ、コンパクトな笏拍子(しゃくびょうし)を装着した河西茉祐(かさいまゆ)さんが説経節を唸る。黒子・飯田美千香さんが操る等身大の人形は美しき真白な地蔵菩薩。物語は開幕早々、拷問の末惨殺される安寿(えびねひさよさん)の生き地獄が眼前に展開。妖しき見世物小屋の歪み病み倒錯した頽廃美。石井輝男の代表作『徳川いれずみ師 責め地獄』を思わせる構成の妙。徹底した残虐非道ヒール役の三郎(諸治蘭〈もろじらん〉さん)は一周回った清々しさすら感じさせる生き様。
    物語は過去に戻り、父に会いに陸奥国(むつのくに)〈福島県〉から筑紫国(つくしのくに)〈福岡県〉まで旅に出た一家の仲睦まじい様子が描かれる。母(山崎美貴さん)、安寿、厨子王(染谷千里さん、青年期は宮菜穂子さん)の何気ないひとときはこの話の唯一の安穏。誰もが何処かで何となく聞き知っている『山椒大夫』に流れる、実話を元にした故の血と肉の痛み。森鴎外は大正時代、小説にするに当たって残虐描写を悉く削った。今作は原典の中世説経節をモチーフとしていて表現に容赦が無い。

    主催者の水嶋カンナさんは額に梵字の焼き印を入れられた下女役で、この世の苦しみに足掻く名も無き弱者の叫びを象徴する。会場の笑いを鷲掴みで掻っ攫ったのは丹後国分寺の律師役、伊藤弘子さん。彼女の登場から明らかに館内の空気は熱気を帯び、力尽くで後半戦に突入した。熱唱する『紅』がこれまた良い出来。
    個人的MVPはさんせう太夫役ののぐち和美さんで、今役こそまさに彼女の嵌り役。彼女だけでも観に行く価値は充分。ベロンベロンに酔っ払えるデカダンスのひととき、まだ間に合う。

    ネタバレBOX

    「安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しや、ほうやれほ。」のメロディが秀逸。平安時代末期、遥か遠くの地にて(新潟県佐渡島)母の口ずさむ唄が人口に膾炙して二人のもと(京都府由良海岸)にまで辿り着く奇跡、確かにこの位メロディが強くなくては成立しない。作曲大貫誉氏、見事。

    ロマン・ポランスキーの傑作にナスターシャ・キンスキー主演の『テス』がある。不幸な運命に翻弄され最期は絞首刑に処せられる主人公、テス。只々無力なだけの善良な女性であった。朝靄のかかった美しき野原のエンディング・ロールに被せられる献辞には「亡き妻、シャロンに捧ぐ」。いつかこんな『安寿と厨子王』が観てみたいもの。横田めぐみさんの母である横田早紀江さん(キリスト教プロテスタント系福音派)の物語はまだ続いている。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2022/02/07 (月) 19:00

    145分。休憩なし。

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