三人姉妹 公演情報 三人姉妹」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    千秋楽の回を観劇。

    途中休憩がほしかったかな。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2021/11/07 (日)

    価格4,000円

    7日13時開演の千穐楽の舞台を拝見(126分)。

    まず何よりも有難かったのは
    アクト青山の頃から存じ上げてる、葵ミサさん
    先月上演の『マリアの首』で拝見したばかりの、那須野恵さん
    そして、会場で配役表を見てビックリ!の、兎団・柳橋龍さん
    と、顔と名前が一致する役者さんが3人もおられたこと。
    おかげで、長々としたカタカナ綴りにアレルギーを覚える、”ロシアン・ネーム”苦手男にも、比較的、早い時間帯に、登場人物の把握ができたのは、正直、助かった。

    あと、実は(あらすじは承知しているものの)『三人姉妹』を観るのは初めてで、他の劇団等が上演した同作品と比較することは出来ないが、本日の舞台に限って言えば、大変平易にまとめられていたのでは?と感じられた。
    勿論、原作自体のチカラによるところ大なのであろうが、(話の本筋には直接は絡まない、フェドーチク、ロデー、フェラポントを除いた)登場人物個々のキャラが立っていて、かつ、背景等の説明セリフも、不自然さを覚えさせずに、すんなりと飲み込めた。

    さて、観劇しての感想だが、主要な登場人物の性別・年齢に関係なく、彼ら彼女らの言動に”身に覚え”があり、つい我が身を重ね合わせてしまうこと数多しw
    若い頃でなく、無駄に歳を重ねたせいかなぁと苦笑を禁じ得なかった。
    感慨深い時間を過ごせたことに感謝!

    ネタバレBOX

    【配役】
    オーリガ(故・プローゾロフ大佐の長女。小学校教諭、後に校長に)
    …吉田直子さん(自分が下の弟や妹たちを支えるんだ!という、長女の損な役回りを好演)
    マーシャ(次女。中学教師フョードルとの結婚生活に退屈し切っていた時に、妻子あるヴェルシーニン中佐と再会し、やがて心惹かれていく…)
    …那須野恵さん(確かに、この方が『三人姉妹』で誰を演ずるか?といえば、マーシャだよなぁw)
    イリーナ(電報局勤務の三女。後に、軍隊を辞め、遠方の工場に勤務することになったトゥーゼンバッハに付いて、遠方に旅立つことになっていたが…)
    …杉崎智子さん(声質が如何にも甘えん坊の末の子らしくって…とはいえ、三人姉妹の中で、唯一、自らの将来を切り拓いていくことになるイリーナを好演)

    アンドレイ(オーリガの弟、マーシャ・イリーナの兄。大学教授を目指していたが、ナターリャーと結婚し、地元の市会議員に”なり果てる”。博打の返済に、三人姉妹の済む屋敷を差し出してしまう)
    …石倉研史郎さん(舞台美術もご担当)
    ナターリャ(アンドレイの妻。結婚前は恥ずかしがり屋の娘だったが、結婚後はプローゾロフ家の実権を握っていく俗物的な人物)
    …葵ミサさん(良く通る声で、ナターリャの性格の変遷を好演)

    クルイギン(中学校教師でマーシャの夫。終始”退屈な男”として描かれている、ある意味、気の毒な人物)
    …川崎拓己さん
    ヴェルシーニン(しばしば自殺未遂をやらかす妻と義母、2人の娘と暮らす中佐。故・プローゾロフ大佐の部下で、モスクワ時代の三姉妹を知っている「恋する少佐」)
    …三瓶裕史さん
    トゥーゼンバッハ(30手前の醜男!中尉。上流階級ゆえ一度も働いたことがなかったが、イリーナに感化されて、軍を辞め、彼女と共に遠方の工場に旅立つことに。だが、出発当日の朝…)
    …大西達之介さん
    ソリョーヌイ(イリーナを愛するも、彼女からは嫌われているシャイな男。かっては親友だったものの、今や恋敵となったトゥーゼンバッハに決闘を申し込む)
    …柳橋龍さん(舞台に登場して第一声を放った瞬間に、何らかの”敵役”だとわかった! 傷つきやすいシャイな人物を熱演)
    チェブトゥイキン(腕も意欲も衰えた60歳手前の軍医。一家の古い知り合いで、姉妹が幼い頃から知っている。姉妹の亡き母を愛していた。新聞を読みながらの「どのみち同じさ」が口癖)
    …堀越健次さん

    フェドーチク少尉…山崎綾乃さん(狂言回し役)
    ロデー少尉…ガンダーラ藤村さん
    フェラポント(耳が遠い使い番)…仲条裕さん
    アンフィーサ(三姉妹の乳母として30年仕える使用人。後にオーリガが校長を務める小学校に雇われることに)
    …荒川ヒロ子さん
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    前回作品に引き続き拝見しました。古典もともと結構好きなので、とても面白かったです。前回同様、演出も素晴らしく、とても分かりやすく観やすい内容でした。三人姉妹は、違う団体のを拝見したことがありますが、皆さんの舞台の方がとてもわかりやすく、感情移入しながら観られたように思います。役者の皆さんの熱演も素晴らしかったです。お疲れさまでした。

  • 実演鑑賞

    良い舞台だったと思います。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     チェーホフの「三人姉妹」を観るのは何度目だろうか? 

    ネタバレBOX

    数回は観ているが、そしてチェーホフ作品に通底音のように流れる没落しつつある階級の昏い展望と、それでも働いて生きてゆこうとの決意が見せる仄かな希望を描くチェーホフの筆にどこか救われる思いがし、彼の天才性を素直に喜べたものだったが、ほぼリタイア状態になって、じっくり世界を眺めてみると現在我々が抱えている状況の余りの破綻と対処すべき政治の機能不全、全体計画の杜撰(国連の各部局はそれなりにマトモなことを言っている場合が多いが)各国政治は利害・打算・阿諛追従・権力欲によってズタズタだ。その結果が科学的根拠と共に我らの救い難い未来を殆ど確実に示唆している。この明澄性の央の絶望こそ我らの時代の絶望であり、我等自身の絶望だ。改めてチェーホフが天才を以て示した絶望ですら我等が日々抱える絶望のあからさまな姿には及ばないと感じた次第である。
     役者さんの役柄では我等の絶望に最も近いのが、ドクトルの絶望だろうか。医者として登場している彼は、チェーホフの影と捉えることもできるからである。
  • 実演鑑賞

    前作の評判がよかったためか、観客の期待感が強く感じられ、満席だった。
    私自身もそれにもれず、観劇。
    個性的な三姉妹の会話を楽しむ。
    わがままであるが、素直に本音をぶつけ、それに男性が右往左往させられているのも少しかわいそうと思ったり。
    彼女たちも日常に振り回され、気の毒だなと思ったり。
    何気ない日常のなかで、チェーフォフは何を伝えたかったのか、いろいろ考えさせられておもしろかった。
    チェーフォフの名作を観れて満足でした。ロシアの雰囲気が好きです。ロシアのよく聴く歌を役者さんが口ずさむとパッと明るくなりました。

    ひとつだけ、気になったことは、満席状態なので、一部指定席でも仕方ないですが、残りは自由席だと有り難いのですが...
    [エー、この席?] と言い、不満げに顔をしかめている人がいた。
    私も小柄で背が低く、運悪く後方の席で、目の前に欧米人なみの巨大な男性が座り舞台が全く見えなり、ひどく悲しくなりました。
    自由席なら、少し移動して問題が解決したかも...

    素晴らしい役者さんたちの熱演、とてもよかったです。


  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    海外古典戯曲を上演し続けている 劇団つばめ組の「三人姉妹」、よくまとまっていると思う。確かに登場人物、特に三姉妹の性格や立場といった表現は堪能できた。しかし、その人物たちが描く物語への集約というか集中が弱いように思われたのが勿体なかった。人物描写がしっかり出来ているから面白いはず、その先入観の外にあった印象だ。
    この戯曲は、表層的には帝政ロシア末期における没落家族、その三人姉妹の悲しい運命を描く暗い憂鬱な物語だ。人が持つ夢や希望が、時々の状況によって日常的な現実のなかで次第に萎んで枯れてゆく。他方では、単なる暗く悲しい物語ではなくて、悲劇を基調としつつも喜劇的な要素も取り込んだ、それこそ人間の悲喜交々を描いた人生劇でもある。その基調である悲劇的な雰囲気が弱く、惰性的に現状を受け入れるしかない、といった喜劇性も感じられない、無色透明感で被われていた。
    この戯曲を現代日本で上演するには、コロナ禍での日常の暮らしにみる社会的な閉塞感を背景に取り込んで、今上演する意味があることを示して欲しかった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台美術は変形した衝立(室内の壁を想定)を八字型に設え、その中を一段高くし室内を表現。所々に二人掛けソファや椅子が置かれている。先の衝立には歪な三角形をした窓のようなものが刳り貫かれている。そこから見える外景は上手が紅葉、下手が新緑といった季節感の違いを同一舞台で表現している。基本的には室内の会話劇であるため、時間(期間)の経過を表すことは難しい。それを一場面で表現させる工夫であろう。

    梗概…色々な劇団で繰り返し上演されてきた戯曲。改めて粗筋を描く必要もないだろうが、簡単な概要だけ押さえておく。田舎町に赴任した今は亡き軍人の父、その三姉妹を主人公に、ロシア革命を目前とした帝政ロシア末期の知識階級の閉塞感を嘆きつつ、再び彼女達はモスクワに住むことに憧れている物語。長女は学校の教師をしているが仕事、生活に疲れ切っている。後に校長になり、家を追い出された老婆の召使いを引き取ってオールド・ミスで過ごす。ニ女は結婚したことを後悔し、夫を軽蔑しているが離婚はせず、駐留している軍人に恋をする。やがて軍人は部隊の移動でこの地を去っていく。三女は仕事をすることに憧れていたが、いざ勤め人になるとイメージ通りの労働ではないことに幻滅する。男爵でもある軍人と結婚をしようとするが、フザケタ男も三女を愛しており、決闘で男爵を殺してしまう。三女は一人で働きだす。幻滅とそれでも続いていく日常に満ちていて、哀しくもあり、可笑しくもある。

    今、この戯曲を上演する意味として、人の明るい未来への確信を謳う、閉塞する社会(=今)とどう向き合うかを考えることではないか、と思う。コロナウィルスの感染拡大が社会に大きな打撃を与え出したのが2020年初春。コロナ禍によって既にあった問題、すなわち労働問題や経済格差(貧困)などが鮮明になった。また非正規雇用、自営業、サービス業を営む人たちが職を失ったり派遣切りにあう。社会的弱者に対する政治(社会)の底が抜けたのだ。現代日本の閉塞的状況だ。一方、通(痛)勤や長時間労働からテレワークなど、在宅勤務形態など労働環境の変化をもたらした。この戯曲が創作された帝政ロシア時代…人が身分や土地などの束縛から解放され、人間の意志と選択により社会をどう構築するかが模索され始めた。人は自らの判断で自身の人生を決定することは社会に対しても責任を負う。演劇は「物語の主体である人物」と「現実の世界(状況)」を描き出し、観ている観客に「現代」を提示してこそ(海外)古典戯曲に寄り添い、共感出来るのではないか。何も直截的に重ね合わせる必要はないが、背景なり状況が連想出来れば…。

    三姉妹を演じた役者、それぞれの性格や立場が立ち上がり、そうなんだと納得の演技。
    ・長女オーリガ(吉田直子サン)、姿勢正しく、その外見から芯の強い人物を思わせる。長女という立場から責任感が強く、何でも自分で抱え込むような損な役回りの人生、余裕のないギリギリ感が十分伝わる。
    ・二女マーシャ(那須野恵サン)、しなを作り感情を込めた姿が艶っぽい。いつも何かに不平・不満を持っているが、自分では何もしない。誰かが何かをしてくれるのを待つ女を好演。
    ・三女イリーナ(杉崎智子サン)、一見、明るく楽天的な性格を思わせるが、何となく小心で堅実な生き方を選択する。誰からも愛されそうだが、裏を返せば八方美人タイプをメリハリのある演技で観(魅)せる。
    ・他の役者も、しっかり人物を立ち上がらせ演技としては安心して楽める。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    まず杉崎智子さんが登場して入念なストレッチを始める。次に登場した那須野恵さんは手に持った本から目を離せない。最後に吉田直子さんが現れ、那須野さんから本を取り上げる。この三人姉妹の物語が開幕。
    末娘イリーナ、アイドル声優風味のブリっ子な杉崎智子さんが可愛らしい。次女マーシャ、那須野恵さんは芯の強いインテリ既婚女性で、歌を口ずさむ癖。長女オーリガ(オーリャ)、吉田直子さんは未婚の教員で多忙な仕事の重責に悲鳴を上げている。この三人が本当に魅力的に描かれ遣り取りをずっと観ていられる。

    11年前、父の仕事でモスクワから辺鄙な田舎町に越してきた一家。そこでは身に付けた教養も文化も意味を成さない。1年前父が亡くなり、遺された三姉妹はモスクワに帰京することを唯一の“希望”として暮らしている。オーリガの弟、二人の兄としてアンドレイ(石倉研史郎氏)と云う長男もいる。

    正統派古典劇の進行は葵ミサさん演じるアンドレイの恋人、ナターリャの登場から崩れて行く。凄く現代っぽい所作、着こなし、口調。そこから次々とスマホで記念撮影する者や「俺ら東京さ行ぐだ」のコロナ禍バージョンのカラオケ等遊び心が展開される。

    ロシア革命前夜の緩やかに国が滅んでいく兆しともっと新しい別の何かが人々を救済し導いてくれるような祈りにも似た予感が作品内に充満している。作中人物は常に未来の人々のことを意識する。「数百年後の人達は今の私達をどう捉えるのかしら?」「自分達は未来の子孫達に幸福を届ける為、働き苦しんでいるのだ。」その観点が興味深い。
    先日亡くなられた白土三平の傑作『忍者武芸帳・影丸伝』。その最終回、処刑される影丸の最後の台詞「われらは遠くから来た。そして遠くまで行くのだ」(イタリア共産党のパルミロ・トリアッティの言葉が元ネタ)。現在の人類の社会は未だ不完全な形態であり、過渡期にすぎないと云う。今が完成された全てではないのだ。

    希望とは、この酷い状況から自分を連れ出してくれる可能性を感じられる切っ掛け。三人姉妹にとっては「モスクワ」だったり「不倫(本物の愛)」だったり、それはぼんやりとしていて、けれど確然と胸裡に秘めて生きていく。

    当日配布パンフの中の主催者の言葉が良かった。「演劇は祈りだと私は考える。だが祈りにもどれだけの意味があるのか。」「だが意味がなくても行動するのが人間である。」

    ネタバレBOX

    マーシャの不倫は別れで終わり、イリーナの結婚は婚約者が殺されて露と消える。だが本当に可哀想なのはオーリガで、未婚のまま、女子校の校長にまでされてしまう。もっといろんな『三人姉妹』を味わいたいと思った。

    シアターグリーン BASE THEATERは段差が余りなく、後ろの方はかなり観辛い。

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