実演鑑賞
満足度★★★★★
素晴らしい公演でした。
何が素晴らしかったか、のひとつとして普通こんなに淡々とした序盤であれば退屈を危惧してしまうところ、それがもう全くの逆。
赤子が見るもの見るものを猛烈に吸収していくかのように、彼等の置かれた状況、人柄や心のひだまでもが確実に深く染み入ってくるのですからもうたまりません。
程なく劇中と交流したくなるくらい彼等は身近な存在になっていき
流れてゆく日々、自然と生まれてくる興奮感がとても心地良かったです。
渇ききった夏の長崎、全編を通して水不足の状態。
不幸な出来事も多いし、全くもって冴えない生活風景ではあるけれど、それでも人は決して枯れはしない。
痛いけれど、生きていく事をとても愛おしく感じずにはいられなかった。
事前に記載されていた旗森さんのレビューを拝読し観る前の参考にさせて頂きました、
ありがとうございます。
確かに台詞が通ってこなければキツイですし伝わるものも伝わりませんね。
私が観た回にはしっかり届いていたので意識的に良くなっていたとも思えますし、もしかするとですが一部通りにくい座席のラインがあるのかもしれません。
本当に良く出来た脚本ゆえ今後、他所で公演される事もきっとあるでしょう
それであっても私にとって本公演が唯一無二の原型版として刻み込まれて大満足です。
実演鑑賞
満足度★★★★
松田正隆の初期の九州を舞台にした戯曲の中でも、「夏の砂の上」(1998は読売文学賞)は好きな作品だ。ドラマを人間の性がしっかり支えていて、表面は市井劇だが、風俗劇の域を超えている。90年代の代表的な戯曲である。小さな劇団が上演しやすい配役なのでよく、小劇団が上演するが、なかなか、初演を抜けない。
確か、初演は青山円形で平田オリザの演出.意外にオリザ風でなくしっかりと緊迫感のある演出をしていて、何よりも優子を演じたデビューしたばかりの占部房子がよかった。あれから四半世紀!
今回はハツビロコウの公演。客演も加わって、ガラ的言えば無理のない配役だが、初日のせいもあってか、ドラマが浮足立っている。それは仕方がないが、この小さな劇場でセリフが通らないのは困った。それは舞台美術のせいもあって、間口の広い舞台に長方形の大きな和机を中央に横に置き、両端で向き合うセリフが多い。せめて、机を小さく丸くするとか、置き方を考えるかしないとセリフのほとんどが客席に向かわず、壁に向かってしまう。セリフの経験の足りない声の逃がし方を知らない若い俳優は苦しい。優子を演じた金原爽佳は、現代的な体躯で役にはハマっているのだが、セリフが出来ていない。その相手役の小野涼平も柄はいいがセリフが弱い。この二人を取り巻く大人たちは職を失うとか、夫婦関係がこじれるとか、交通事故にあうとか、この一見平穏に見える社会で不安とともに生きざるを得ない人たちで、今のご時世では受け入れられやすいが、この芝居のキモは、それでも、人間は生きていく、と言うところだ。戯曲では情緒的には納得できるように書いてあるのだから、あとはそういう日常性の奥にある生命力の表現が出来るかどうかだ。そこは細かい日常的な表現から、抽象的な表現まで、人間の本音を舞台にあげる技術の修練がいる。そこが流れてしまっている。
さらに言えば、音響効果が雑。例えば、カゲの出入りの玄関の開閉のタイミングがずれる。蝉の声もアブラゼミから法師ゼミに移るという季節の説明だけになっている。折角長崎のはなしなのに、ローカリティが安手な船の汽笛の音だけと言うのはいかがなものか。
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【スペースのお品書き/後で消す】 ・クラーク記念国際高校演劇部「FLOAT」 ・ルサンチカ「WILD THINGS」 ・ハツビロコウ「夏の砂の上」 ・モミジノハナ「危ういながらあなたと、」 ・コトリ会議「スーパーポチ」 https://t.co/NJ8JglnoSA
約3年前
ハツビロコウ「夏の砂の上」125分休無 ど真ん中ストレートプレイ。面白かった。濃厚な空間、人間模様。終盤出てきた「無かったように思う」的なセリフが切ない。テーマよりも、虚無感の埋め方の違い、みたいなのを感じる作品かな。その意味での… https://t.co/F4qnusCcK1
約3年前
ハツビロコウ「夏の砂の上」2日目。@下北沢劇小劇場 これ聴いて備えます! 雨晴らしカルテット最新7インチ『Under My Skin』名曲のカバー! オシャレカッコイイ❗️ https://t.co/v0GkkOQ7L1
約3年前
今週の「劇」小劇場 ハツビロコウ 「夏の砂の上」 2021年9月21日(火)~9月26日(日) 作 松田正隆 演出 松本光生 全席自由 一般 ¥3,500 学生 ¥3,000 (受付にて学生証提示) 詳しくは… https://t.co/F2NeRn0UJx
約3年前
ハツビロコウ『夏の砂の上』 1999年に読売文学賞を得た松田正隆の戯曲(中略)造船所での職を失い妻に家出された男と、そこに転がり込んできた姪(めい)の奇妙な同居生活を描く。 上演台本と演出は松本光生。 (日本経済新聞9/13夕刊より抜粋)
約3年前