満足度★★★★★
毎年愉しみにしている晩秋のカパレット、今年も楽しい公演であったが、多和田さん、高瀬さんの登場時の演出も奇抜。高瀬さんが先を歩き、客席通路を通りながら「こんなに一杯で座る所も無いじゃない」などと言いながら登場するのだ。無論、毎年愉しみにしている観客が多いから満席である。
タイトルを聞いてピンとくる人も多かろう。無論原作はハイナー・ミュラー。初演はパリで1977年。ミュラー自身はオリジナルをシェイクスピアの「ハムレット」をベースにヘルダーリン、ドストエフスキー、アルトー等の作品群からの引用を鏤め、既存戯曲の構造を破壊するようなテキストであり、ミュラーの作品解釈も上演する者の解釈に任されている。
今作がラディカルなミュラー作品であることが、今、世界中で吹き荒れるナショナリズムの狂奔に対する異議申し立てとして、無論、多和田氏の解釈によって脚色された今作の意味であろう。世界中を飛び回って活躍している現代に生きる日本人の一人である彼女がタッグを組むのが、これまた優れたアーティストである高瀬アキさん。お二人とも普段はドイツに暮らす日本人アーティストだが、住む国の言葉が充分に出来、現地の生活に慣れた目で、日本を外側から見ると、一層、日本の姿がハッキリ見えるものだが、現在の世界状況は先進国と雖もドンドン人々の世界観が閉じられていきつつあるように思われる。その原因をお二人は明かさなかったが、自分は、矢張りグローバリゼーションの齎した経済の歪にあるように思う。無論、世界金融の元締めが関与している可能性は否定できない。少なくとも彼らが完全に潔白であるという証拠も無い。資本主義の理念通り、豊かな者達が、生産して儲けることができるのであれば、それは健全な資本主義と言えるのだろうが、現在の資本主義と言われるものの実体はピケティが指摘しているように、それとは異なり寧ろ生産性の向上が最早期待できない時代に入っており、富める者は生産性の向上より、既に彼らが所有している莫大な富を梃に利息や投機で儲け(以下は自分の解釈)更に彼らの富を増やし続けることのできる政治と政治過程を作り出すことで自らに有利な税制を敷かせ富の一極集中を実現、1%の大金持ちと99%の奴隷を作り出したことにより、頭の回転の鈍い奴隷たちでかつては中流を形成していた連中が、より弱い者を排除したり搾取したりという苛め構造を作って自らの糊口を潤すことしか考えることができなくなっている。つまりホントの敵を知らない訳だ。何という馬鹿者達だろう。そんなことをして、真の敵を利するとは!
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多和田葉子+高瀬アキ『ハムレット・マシーネ 霊話バージョン』みてきました。今年はハイナー・ミュラーの戯曲『ハムレット・マシーネ』(多和田葉子はこの作品をテーマに修士論文を書いている)を「自由に翻訳補正修正」(配布資料より)し、高瀬アキの即興に近いピアノとコラボレートしたもの。
約5年前
【本日】11月18日(月)19:00から 多和田葉子+高瀬アキ『ハムレット・マシーネ』 霊話バージョン 第18回 シアターX 晩秋のカバレット2019 https://t.co/eyQvbmvDLX… https://t.co/wrCKrpJDYW #s_info
約5年前
第18回 シアターX 晩秋のカバレット2019 11月18日(月) 19:00 多和田葉子+高瀬アキ『ハムレット・マシーネ』霊話バージョン ハイナー・ミュラーの代表作『ハムレット・マシーン』を 今の『ハムレット』に自由に翻訳補… https://t.co/ZLpXomv9y4
約5年前