誰そ彼 公演情報 誰そ彼」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-7件 / 7件中
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/09/19 (木) 19:30

    座席A列11番

    価格3,800円

    実家の建物を解体し更地にするということで主人公が訪れるとそこには奇妙な占有者がいて……な物語。
    従来とはちょっと趣を異にするコミカルなファンタジーかと思いながら観ていると次第にシリアスでビター、ダークな部分があらわれて終盤ではホラー的な薫りも。
    そんな中にちゃんと教訓的なものも織り込まれていてまさに現代の寓話。
    そういえば大人版「ユタと不思議な仲間たち」の味わいもあったな。
    キャラクター造形と配役も人にあらざる者の「それらしさ」、憎まれ役の憎たらしさ、女優陣の美しさ・可愛さなどそれぞれにステキ。

    ネタバレBOX

    序盤で「ある筈がないと思っているものは(実際に遭遇しても)見えない」という意味の台詞があるが、終盤での主人公の弟を見ていると「見たくない・信じたくないものは見えない」とも受け取れるのが皮肉。
  • 浮世企画「誰そ彼」約2時間弱。妖怪話と社会問題を掛け合わせ今の日本を痛烈に風刺する娯楽作。見たいものしか見ず、見えても否定し、なかったことにする愚かな私たちの話。弟役の造形が素晴らしい。残すは本日18時、明日15時の回のみ。お見逃しなく。下北沢の駅前劇場。

    ネタバレBOX

    兄の存在はなかったことにされたが、庭には巨大な糞が残った。放射性廃棄物のよう。
  • 満足度★★★★

    「ドリンカー」以来3年振り二度目の浮世企画。前のも同じ駅前劇場(確か)で、両面客席を組み台上を見上げる具合だった。今回は通常の仕様だが室内を斜めに配置して具象を適度に省略しながら動線のバリエーションを可能にしていた。
    前回との共通点はこれと言えないが、何処となく「らしさ」を覚える。作演出の今城文恵女史の個性は、和物に馴染みが濃いところ。「和」の心を具現したような存在(人間でない)が今作のヒーローであり「人間」を見定める目の存在だ。
    超常現象やファンタジーのネックは「ルール」の設定であるが、(ぼんやりな部分もあるにはあるが)うまくストーリー化できた。多種の「非人間」がにぎにぎしく、いけ好かない人間に一泡吹かせる要素も含みつつ、実家の処分を巡る兄弟の対立図の推移を見つめていく。大詰めで予期せぬ災厄が訪れるがこれを如何に理解すれば良いだろう・・何かを連想させるが言葉に乗せづらい。だがこの展開を書ける所がこの作家の特性であるようにも思う。ゴヤの絵を思い出す。

  • 満足度★★★★★

    私の守備範囲では「蓬莱竜太+水木しげる」という感じだろうか。作者の上手さには脱帽だ。こういうものは始めたのは良いけれど終わり方に苦労するように思える。今作では中々の大技で締めくくっている。

    役者さんも皆さん達者だ。とくに気弱そうな兄の短時間だけ出てくる高校生(?)時代のチンピラらしい物腰にはなるほどと納得させられた。そして鬼婆の怪しいオーラは男子(とくに私)の周りの時空を歪めていた。

    ネタバレBOX

    オーギソヨソヨが結界を簡単に破って入ってきたことをもっと噛みしめるべきだった。悔しい。まあそんなに先を予想しながら観る必要もないんだけれどもね(笑)
  • 満足度★★★★★

    兄弟間の仲の悪さを軸にした人間ドラマとしての面白味と、朽ちていく実家に棲みついたもののけ達の漫画っぽい面白味。
    とても巧く両立しているので、最初これは足し算的に面白い!と思って観ていましたが、人間達は観進めていくほどにその人柄の理解度が増していくし、もののけ達は観進めていくほどにそのユーモラスでブラックな存在感が妙に馴染んでくる。
    自然と双方が融合していくものだから増々面白くなっていく展開、もう絶妙。

    浮世企画さんを観るのは今回が初めてでしたが、まさかこんなに楽しくも哀しく、繊細でパンチの効いた作品に出会える事になるとは思っていませんでした。
    非現実が同居することで、より存在の現実味が増していく人の描き方が巧いし、エンターテイメントとしても素晴らしい!

    家族間でのわだかまり。笑っていたのに徐々に伝わってくるその辛さ。
    甘えもある中、自分だけが都合よく解釈し、なかったも同然にしてきた事。
    観終わってジ~ンとした後、何か身に覚えがないか、仲は良いとはいえ思わず我が身を振り返ってしまうほど、生きていくリアルと不思議さを合わせ持った作品でした。

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/09/19 (木) 19:30

    「人は見たいものしか見ない」と言うが「見ようとすれば見える」ということを教えてくれる作品。
    ユルいファンタジーかと思いきや、意外にずしんと来るのは
    あるある感満載の設定とトコトンリアルな台詞の応酬。
    特に兄と弟のそれはハラハラするほど緊迫感がある。
    弟がこの先背負っていくものを思うと、その重さに押しつぶされそうになる。
    そう思わせるラストを含め、ストーリー展開が秀逸。
    キャスティングがうまくハマった役者陣も素晴らしい。

    ネタバレBOX

    客入れの間、ドリフの“ババンババンバンバン♪”など
    昭和の流行歌っぽい曲が流れている。
    舞台を大きな白い幕が覆っていて、そこに導入部分のあらすじが書かれている。

    久しく実家に寄り付かなかった長男(松本亮)が取り壊しの決まっている実家へ入ると、
    そこには5人の妖怪・怨霊(?)たちが肩を寄せ合って暮らしていた・・・。
    他に居場所のない妖怪たちは、長男に取り壊しを思いとどまるよう懇願する。
    だが、長男が遠ざかっている間に、実家の父はボケて交通事故を起こし入院、
    全ての後始末をこなした弟(田中博士)は自分のやり方に異を唱える兄に
    「全部押し付けておいて今さら口出しするな」と激しく非難する・・・。

    世間的に出来の悪い長男と、優秀で要領の良い次男の対比が鮮やか。
    会社を興して一応成功しているらしい次男の、超上から目線が兄を圧倒し続ける。
    その次男にくっついてるヨメが似た者夫婦なら良くある話だが
    ここではそのヨメが、次第に妖怪たちが見えるようになっていくところが面白い。

    この橋渡しがよく効いていて、少しずつ弟の心情が明らかになる。
    「見たい父親でなくなったことを認めたくない」切なさ。
    妖怪たちが見えない弟はヨメからも非難され、孤立していくが
    最後にこの弟を庇って消えていくのはやはり兄だったのだ・・・。

    妖怪たちのキャラも魅力的で楽しい。
    じいやん(本井博之)のダンディぶりはとても素敵だし、
    この家の歴史をすべて見て来た時計の付喪神(成瀬志帆)も凛々しい。
    ぎたろー演じる妖怪オーギソヨソヨ(って何なのよ?と思って調べましたよ)が圧巻。
    この飛び道具的な妖怪が全てをひっくり返して去っていく。

    この、私には想定外のラストが余韻を残して素晴らしい。
    自分と妻以外の、他の人からは兄の存在が消去されてしまったという衝撃。
    弟はこの先兄をどう記憶にとどめていくのか、父親とどう向き合っていくのか、
    妻とどう生きていくのか。
    「オヤジの見舞いに行かなくちゃ」という台詞に明るさを予感させる。

    あー、でもなー、兄の心情は報われなかった気がするし、
    そりゃ弟の記憶の中に生きてはいるけど
    オーギソヨソヨってアンタ、何てことしてくれたのよー!
    と心が乱れたまま劇場を後にしたのだった。
    面白かった。



  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/09/19 (木)

    初日の19日19時半回(110分)を拝見。

    ネタバレBOX

    親の痴呆・介護・施設探し、田舎の実家の処分…誰もが現実で直面するかもしれないだろう部分と、お盆や年末、帰省先で祖父母に聞かされているような、物の怪や地縛霊等、土地の伝承的な部分とが、互いに境を越えて混じり合った末、最後の最後に、弟・誠司ががいくら説明しても、妻の慧以外の人々からは兄・眞一郎とは『誰そ彼(たそかれ)』?と存在したことさえ否定され…タイトルの意味合いを噛み締めさせられた110分だった。
    何気に凄いモン、見せられたのかもしれない。

    それにしても「見ようとしない者には見えない」…本作品の意図からは離れるかもしれないが、路上にうずくまるホームレスへのワタシたちの視線がまさにそうなのかなぁ、と観劇中、感慨を抱いたことを付記しておく。

    演じ手では
    私自身の生き方はまさしく兄側のヒトなんだが、劇中の様な田舎の後始末をこなしてきたせいか、急にしゃしゃり出てきた兄に猛反発する弟の肩をつい持ちがちに…
    という訳で、眞一郎(演・松本亮さん)・誠司(田中博士さん)の兄弟のやり取りに、脚本の意図とは別に、ついつい前のめりになってしまったw

    そんな原守兄弟役の松本亮さん・田中博士さんの他
    以前から幾度か舞台を拝見している綾乃彩さんに鈴木アメリさん、舞台にいるだけで落ち着いて観ていられる佇まいは流石。
    あと、どこかで見た記憶がぁ…の、成瀬志帆さんの存在感が目についた。

    【配役】
    原守眞一郎(兄。映画監督になるべく上京したが、結局はフリーター)
    …松本亮さん
    原守誠司(上昇志向・完璧主義者の弟。理想だった父親の呆けていく現実を認められなかった)
    …田中博士(たんか・ひろし)さん(個人的には一番、「誠司」にシンパシーを覚えました)
    原守慧(誠司の妻。今回の出来事で「見える」ようになった)
    …綾乃彩さん(久しぶりの舞台だということで足を運びました)
    九兵衛(ムジナ)…小野匠さん
    サリー(鬼婆)…櫻井馨織(さくらい・かおり)さん
    じいやん(ぬらりひょん)…本井博之(もとい・ひろゆき)さん
    時計(付喪神)…成瀬志帆さん(昨年10月の『パンケーキ』、5月の『Fellow traveler』でお馴染みの方。ただ、今回は途中で成瀬さんだと気づきました)
    平助(原守家の先祖。地縛霊)…松本D輔さん
    小塚雅博(誠司の会社の部下。誠司に心酔)…高橋龍児さん
    染谷美久(眞一郎の高校時代のカノジョ。弟が誠司と同級生)
    …鈴木アメリさん(犬と串以来かなぁ?)
    オーギソヨソヨ(茨城県古河市伝承の妖怪。何でも喰らう)…ぎたろーさん
    原守幸映(眞一郎・誠司兄弟の母親。父・真とは離婚)
    …今城文恵(いまぎ・ふみえ)さん(浮世企画さんの作品、FunIQさんとの合同企画『あいだヶ原のほおずき祭り』以来だなぁ)

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