若手の俳優、俳優になりたいと考えている人に向けてのワークショップです。
演技の学びは、知的なことに偏向するのではなく、「足を使い」体験をとおして起こります。このWSでは、俳優に必要な心身、他の役者との交流、役へのアプローチといった基礎を2日間かけて学んで行きます。全ての内容はマイケルチェーホフテクニックを使っていきます。
■ワークショップの概要■
〇1日目:テーマ「役者の体の探求」
・心と身体をつなげるサイコフィジカルトレーニング。
・「渡す&受け取る」ことで生まれる交流。
・イメージと身体をつなげる。
〇2日目:テーマ「役へのアプローチ」
・役の目的/行動を、体を使って見つける
・役の世界を想像で創り上げる。
≪ワークショップで学ぶこと≫
・サイコフィジカルトレーニング(心と身体を使ったトレーニング)
演技の基本は、心と身体が調和させることです。心と身体は表裏一体で、心が動けば、仕草や表情や声のトーンなどが変化します。逆に体を動かすと、自然と内面が動きます。こうして常に心身は両輪のタイヤのように影響し合うのです。
・渡す&受け取る(giving & receiving)
演技をする際、常に対象者又は対象物があります。そこにはエネルギーや思いといったものを渡すだけでなく、相手からも受け取ります。その二者間で起こることを観客は楽しみます。
・楽な感覚(フィーリングオブイーズ)
いかに緊張を扱うかはどの俳優にとっても悩みの種です。緊張しすぎると感情表現や思考の妨げになり、力を抜きすぎてエネルギーがなくしては相手や観客に何も伝えられません。俳優はパフォーマンスに必要な緊張だけを作りだす必要があります。これを楽な感覚と言います。
・形に対する感覚(フィーリングオブフォーム)
芸術は自由を大切にしますが、一方で演技は「形」から逃れられません。台本、スペース、身体、動き、セリフなどすべては決まっていますし制限があります。楽な感覚で見つけた、自由を俳優は形に昇華させなけれななりません。
しかし、形は武器でもあります。面白いことに、制限されると人はより自由を感じます。俳優はこうした「形に対しての感覚」を養うのです。
・エナジーボディ
エネルギーは東洋では「氣」と呼ばれます。とても漠然としたコンセプトのように感じますが、人はこうしたエネルギーの流れにとても敏感です。「気が滅入る」、「気が合う」、「気をそらす」、「気が立つ」などのすべての慣用句は馴染みがあり実感が伴います。意識している、していないに関わらずエネルギーは日常の生活に溶け込んでいるのです。
このエナジーボディは、エネルギーをより分かり易く演技に応用させた考え方になります。
・想像力(イマジネーション)
演技の80%は想像力で成り立っているといわれます。想像力により俳優は、何もない空間に新たな世界を創り、台本から役を見つけ、ストーリーを紡ぎます。
・心理的動作(サイコロジカルジェスチャー)
これはマイケルチェーホフが作ったテクニックの一つです。俳優はある大きな動きをすることで演技に必要な「目的」・「行動」や感情などを呼び起こすことができるのです。
▼マイケルチェーホフとは
マイケルチェーホフ(1891~1955)は作家アントン・チェーホフの甥であり、20世紀の偉大な役者の一人である。近代演技術の父であるK.スタニスラフスキーの一番弟子で、チェーホフを「最も素晴らしい俳優である。」と評している。モスクワ芸術座の看板役者として名声を得て、第二モスクワ芸術座では演出家としても活躍した。しかしロシア革命により亡命を余儀なくされた。亡命後はヨーロッパ諸国を回り、短い期間であるがイギリスでスタジオを設立する。後年はアメリカに移り、ハリウッドでスタジオを開き多くのプロの俳優を育成した。チェーホフの直接の指導を受けた俳優として、マリリン・モンロー、ユル・ブリンナー、クリント・イーストウッド、マラ・パワーズ、ゲイリー・クーパーなどがいる。またマイケルチェーホフテクニックを学んだ俳優としてはジャック・ニコルソンやアンソニー・ホプキンズなどがいる。
▼マイケルチェーホフテクニック
マイケルチェーホフは、役者の創作現場をつぶさに観察することで、心と体のつながりを研究し続けた。彼のテクニックはこの「サイコフィジカル(心と身体)」を土台とし、動きを通して役に必要な感情を呼び起こしたり、演技を行う上での必要な要素を見つけたりする。その例としては、チェーホフテクニックで最も有名な「サイコロジカルジェスチャー(心理的動作)」である。全身を使った動きを使った、ジェスチャー(動作)を行うことで、役の行動や目的を見つけ、また身体化させ演技につなげる
役作りにおいて、自らの過去やトラウマではなく、想像力を使い役そのもの存在を見つけ、その役に変身していく。イマジナリィセンター(創造的核)やイマジナリィボディ(創造的身体)などのテクニックでこうした役作り方法を学ぶことができる。
そのテクニックはチェーホフの直接の教え子であるジョアンナ・マーリン、マラ
・パワーズ、グレゴリー・ペック達によって広められる。現在ではアメリカのマイケルチェーホフ協会(MICHA)はチェーホフテクニックを広める本拠地であり、マイケルチェーホフヨーロッパ(MCE)はヨーロッパを中心に広がり、世界中の学校やスタジオなどで学ばれ、プロの俳優などにも使われている。近年では韓国、台湾、シンガポール、中国などのアジア圏の学校やスタジオでも取り入れられている。
日本ではチェーホフの代表的な著作"TO THE ACTOR"は、日本語に翻訳されているが誤解も多く、また体系立ててマイケルチェーホフについて学べる場所は日本ではまだ少ない。
【講師紹介】
◇秋江 智文
演技講師・演出家・俳優
マイケル・チェーホフスタジオ東京代表
21歳のときマイケルチェーホフ著『To the Actor』を読み、強く感銘を受けたことをきっかけに25歳のとき渡英。英国アルテミス・スピーチ&ドラマスクールで、チェーホフテクニックのサラ・ケーン(Sarah Kane)および、校長のクリストファー・ガービー(Christopher Garvey)に師事し、チェーホフテクニックやCreative Speechを学ぶ。またマイケルチェーホフスタジオロンドン(Michael Chekhov Studio London)の校長を務めるグラハム・ディクソン(Graham Dixson)に師事。帰国後ドイツ、ギリシャ、台湾などで学び続ける。マイケルチェーホフヨーロッパ(MCE)の講師養成プログラムの一員として、現在ではウルリッヒマイヤーホーシュ(Ulrich Meyer-Horsch)を師として、日本でマイケルチェーホフテクニックを専門に基礎から応用まで体系立てて教えている。また多くの芸能事務所や演技学校でも教え、俳優のプライベートレッスンなども数多く行っている。
▼こんな人におすすめです。
・演技の基礎を知りたい人
・身体や想像力をつかった自由なアプローチを知りたい人
・本格的な学びへの一歩が踏み出せない人
・安心した空間でワークを望まれる人
【対象者】
30歳までの若手の俳優の方/俳優になりたいと考えている方
※特に年齢制限は設けません。
【受講料】
一日のみ4000円
二日通し7500円
【定員】
7名(最低実行人数3名)
【日時】
7月16/17日10:15~14:45
途中休憩あり
【場所】
K‘Sスタジオ新館
〒166‐0003
東京都杉並区高円寺南1-6-3
ISOビル4階
https://koenjiksstudio.wixsite.com/mysite/blank
【申し込み】
HPのAPPLICATIONからお申し込みください。
https://www.michael-chekhov-tokyo.com/
【コロナ対策について】
・検温、手洗い、手指消毒を行います。
・定期的な換気をします。
・スタジオは開場してすぐ消毒します。
・講師、受講生は常にマスク着用をお願いします。
【ハラスメント防止対策ポリシー】
・受講生がワークショップに安心して参加出来る環境作りに努めて参ります。
・講師からの暴言、威圧的な態度、言葉や言動、セクハラなど致しません。他の受講生からの同様の言動があった際にも直ちに介入し解決するように努めます。
・レッスンにおいて、俳優同士の身体接触をともなうワークがあります。そうしたワークへの参加可否の俳優の判断を尊重します。
・講師が指導目的で、俳優の身体に接触する場合があります。そうした接触の拒否をした際の、俳優の判断を尊重します。