「21世紀演劇のヴィジョン ~ノルシュテインからカントールへ、その先は~」
タルコフスキー「映像のポエジア~刻印された時間」などの
翻訳、そして現在ユーリー・ノルシュテイン講義録の翻訳作業中の
演劇研究者・鴻英良による21世紀芸術のヴィジョンを再考する演劇史・芸術論講座。
戦争と革命の時代と呼ばれた20世紀には現代芸術が独特の輝きを放っていた。
その輝きの多くはレジスタンスの精神とともにあった。それらをチェーホフからベケットへ、あるいはカントール、タルコフスキーへと繋げて考えることは、その魅力を一層際立たせることになるだろう。だが、その根源がさらに古代ギリシアにまでさかのぼるということを知るとき、三千年に及ぶ芸術の歴史はより輝いて見えてくるだろう。しかし21世紀、革命なき戦争の時代に突入しつつあるいま、その三千年の歴史が大いなる危機に晒されている。そのようなときに何が語られなければならないか。この講座では20世紀芸術を輝かせてきた幾つかの作品、作家たちを取り上げ、その歴史的意味を
解き明かしつつ、21世紀芸術のヴィジョンを探る。
【講師】鴻英良
【受講期間】2024年9月28日~12月21日(全6回)
【授業日時】隔週土曜15:00~17:30
【受講料】13,200円
▼webサイト
https://www.laputaschool.com/%E4%B8%80%E8%88%AC%E8%AC%9B%E5%BA%A7
【カリキュラム詳細】
■9月28日:ゴーゴリからチェーホフ、そしてベケットへ
19世紀と20世紀、反転するヴィジョン、ノルシュテインの示唆から演劇論を再出発させる。
■10月12日:演劇の起源もしくは「悲劇の喜び、喜劇の悲しみ」
ソポクレス『アンティゴネー』、アリストパネース『アカルナイの人々』から、ダンテ、チェーホフ、ベケットに連なる系譜の意味が歴史の記憶と記録とともに解き明かされる。
■10月26日:メイエルホリド、そしてエイゼンシュテインからタルコフスキーへ。
タルコフスキーの映像のポエジア、刻印された時間の背後にあるエイゼンシュテインのモンタージュ理論。それらを読み直しながらロシアアヴァンギャルド演劇とソヴィエト映画との関連を明らかにしつつそこから20世紀芸術の特質に迫る。
■11月9日:Nothing Ahead! 先にはなにもない!Nothing Ahead!
タデウシュ・カントール『死の教室』(1975)の衝撃からピナ・バウシュ『カフェ・ミュラー』(1978)の方へ。現代芸術におけるアウシュビッツの影が意味するところとは何か。
■11月30日:可能性の消尽されるとき
ベケットの『ゴドーを待ちながら』(1953)から『クワッド』(1984)の彼方へ
■12月21日:ギリシア・キリスト教世界の終焉と演劇の21世紀
サイード『文化と帝国主義』(1993・邦訳1998,2001)から30年以上が過ぎて、ヨーロッパによる世界制覇をより強固なものにしていた「帝国主義の愉楽」はどう変質したか。ポストコロニアル演劇の現在を参照しつつ、21世紀芸術のヴィジョンを再考する。
【お問合せ】
アート・アニメーションのちいさな学校
https://www.laputaschool.com/