CoRich舞台芸術アワード!2021

「ダウト 〜疑いについての寓話」への投票一覧

1-2件 / 2件中

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投票者 もらったコメント
tottorytottory(2246)

1位に投票

実演鑑賞

腐敗と対峙しようとする「職務に忠実な」校長の目に映る世界と、「人間(自分を含めた)のあり方」を神の祝福と赦しの中に見出そうとする神父の願望を映じた世界。決して交わる事のない二人の視点を険しく対峙させ、観客に問いを投げていた。
話の中ではカトリックの学校に転任してきた新米教員(伊勢佳世)と、事を荒立てずに息子を卒業させたい「被害者生徒」の母(津田真澄)が、校長が貫こうとする道の前に障害として立ちはだかる。その事で益々校長の信念と行動力を作者は際立つよう描いているが、いよいよ訪れるこの校長(那須佐代子)と神父(亀田佳明)との息詰まる密室の会話の場面は見事。俳優という仕事に畏敬を覚えた時間であった。
さて結末では、校長の眼力は正しく神父は自ら学校を去る事となるが(といっても栄転としてだが)、しかしLGBTの概念さえなかった時代に、神父が取り得た行動が他にあったか、という素朴な思いも残る。同性愛者がありのままを受容される場所もカテゴリーもない時、「愛」の一つの形という隠れ蓑の中で密かに遂げようとした、神父にとっての「生(性)の証」が少年愛であったというのは、不幸なことである。
「隠された」(疚しい)行為である以上それは教育の場に相応しからぬものと厳格な校長が考え、それを見抜いた事は、教育上は奨励されこそすれ批判には当たらないのも一つの真実。しかし「隠す」行為へと追いやる社会、多数派の非寛容は問われないのか。
理想的でない社会では、この現実の中で大切な人を「守る」、という大義が結果的に不完全な社会を補強してしまう。このジレンマこそいつの時代も人間の葛藤の源だとも言える。

latticelattice(548)

1位に投票

実演鑑賞

素晴らしい役者さんによる素晴らしい会話劇。絶対のおすすめ。
「CoRich舞台芸術アワード!2021」の一位はこれで決まり!
ヴォンフルーさんのあおりに乗せられて良かった。ヴォンフルーさんに感謝。

この劇は2004年に上演されました。その2年前の2002年に何があったかを「2002年 カトリック教会」で検索すると印象がかなり変わるかと思います。事態は校長が危惧したようにどんどん広がって行ったのです。
『欧州代表的カトリック教国の「汚点」』:長谷川良 2021/10/7 という記事を検索して読めば最近の調査結果が分かります。
誤解している人がいるようですがこれは神父による少年のレイプ事件であって、LGBTとは関係がありません。

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