CoRich舞台芸術アワード!2020

「「アルバート、はなして」」への投票一覧

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+sugar++sugar+(2140)

3位に投票

初日に劇場で、さらに配信チケットでアーカイブを観させて頂きました。
なんと1枚買うだけで、全公演のアーカイブが一週間観放題という太っ腹。
彗星マジックは観劇三昧Liveで全公演生配信、客席後方からの定点撮影というスタイルでした。
アルバートとウルズとの対話。
ウルズはアルバート自身が、自身の中に生み出した存在。
思考する中で、自分の思考の対話相手として生み出した存在。
その存在に過去の女神の名前をつけてしまったせいで、アルバートの意識の中でウルズは過去でしか存在できないと定義づけてしまった。
ウルズを過去でしか存在できないものにしたのはアルバートのその定義づけのせい、つまりはアルバートの意識次第でウルズはどこででも存在できる。
名前とは存在を象徴するもの、存在は名前に縛られる。
現代でも姓名判断などがあるように。
そして無意識化ではアルバートも分かってた。
分かっていたから、出現できなくなったウルズの次に、現在の女神の名前、ウルズと名付けた。
しかしそのウルズでさえも、現在というものに対する己の定義付けにより手放してしまう。
同時に考えることをも手放してしまう。

世界は不思議に満ち満ちている。
分からないことを、明らかにされていないことを、どう考えるも、自由。
考える自由がそこには存在している、こうであらねばならない、こうであるはずがない、そんな枠はない、自身を枠の中に押し込めて、枠の中に囚われてしまうのは、自分自身、自身の思考。
歳を重ねて経験を積み重ねていくと、子供の頃にもっていた思考の自由をその経験によって失ってゆく。
あんなに世界の不思議を思考することを楽しんでいたアルバートも、歳を重ねることで次第に無意識にあるいは意識的に、自身を縛ってゆく、思考する自由を手放してゆく。
死の間際、3に縛られていたアルバートは、3の次には4があることに気が付く、限界の向こう側があることに気が付く、枠の外側があることに気が付く、思考の自由を思い出す、何をどう考えるも自由だったのだということを思い出す。
その瞬間、死によって身体だという枠から解き放たれたアルバートは魂だけの存在になり4次元の世界へ自由に飛び立つ。
冒頭から自分に関わる全ての人々を暖かな眼差しで見守り続けていたのは、このアルバート。
4次元の世界で時間軸を移動する、過去の自身と周囲の人々を見守り辿ってきた思考を辿り直す、そして辿り着く。
辿り着いた先にあったものは、ウルズとの再会。

また同じように父ヘルマンも臨終を迎えて魂の存在になった瞬間に4次元を悟り、それまではアルバートを通して存在を認識していたウルズに出会う。
妻が最期の別れを言ってた時には、その身体からは既に魂は離れている。

好きなシーン。
マヤが両親を説教するシーン。可愛い、とかく可愛い。コブシはグーで膝の上!がもうとかく可愛い。
アドルフがフリッツを伴って社長室を訪れるシーン。ここは初演でも面白かったけれども、中川さんの一人芝居もまた面白かった。
離婚調停のシーン、貧困時代を支えてくれた献身的な妻をよそに、母親そっくりな女性と本気の浮気をするというマザコンっぷりを発揮した、なかなかに泥泥な状況にも関わらず。
とってもコミカルに演出されてて、とっても楽しい。
女神ふたりの実況面白いし、ミレーバ可愛いし、エルザ憎めないし、アルバート情けないし。
アルバートの晩年の病室のシーン。この劇中最も終始愉快だったシーンな気がする。立花さんのコメディ手腕がいかんなく発揮されてる。
4次元へと解き放たれた魂の出発点のシーン。ここのシークエンスは初演から好きだった。アルバートの人生に登場した様々な人々の元を巡る。巡る。巡る。時も場所も越えて。とても彗星マジックらしいと思う。好きだ。ここでは誰ももう何も取り繕わない、むき出しの魂だ。

主に焦点が合わされているのはアルバートの人生だったけれども、
暗黒の時代に、信仰だの人種だのに翻弄されたフリッツ、アドルフの人生も、生々しさを伴って描かれている。あまりに物悲しい。悪役を担っている人でも、産まれた時からそうであったわけではない、そこには理由がある、そうなるに値する理由が。運命の哀しさ。

アーカイブを観直す時に、ツイキャスで聞いたSEの3について注目してみようとは思ったのだけれども。
観てる最中に、その意識はノイズで、邪魔だなって思ってしまって、探すのをやめてしまいました。
意識してなくてもそれでもそういう仕掛けというものは、無意識化に働きかけてきて心地よく観させてくれるもの。
舞台の世界に厚みを増してくれる。
何かしら軽いな~という印象を受ける時というのは、そういう丁寧な仕事がなされていない場合なのかもしれない。。。

これまで様々な折につけ、一度ちゃんと相対性理論読みたいと思い、いまだ未読な現状。
相対性理論そのものではないけれども、興味が沸いたアインシュタインの生涯にも触れている、相対性理論を楽しむ本というものをようやく買いました。
まだ一文字も読んでませんが、買ったからには、読書の秋な間には完読を目指したいと思います。
時間とはなんなのか、ということを考える時の材料にしたいです。
そう考えることは自由、何をどう考えるも自由、考えることは楽しいことなんです。
台本も読みたい、まだ2020年度版は一文字も読んでない。

アーカイブで千秋楽のカーテンコールを観ていて。
おひとりおひとりのお顔観ていて。
あぁ、なんて最強な布陣だったかと、なんて最高の再生だったかと、改めて。
ある人はこの方はこんなに達者たったのかと今さらながらに驚いた方もいて、ある人はこの方は本当にいいお芝居をされるようになられたなぁと驚いた人もいて、ある人はこの方の存在は全てを率いて纏める説得力のある豊かな芝居をされるなぁという方もいて。
どなたにとっても間違いなくご自身の代表作のひとつになりうる舞台になったのではないかと思います。
ありがとうございました。

馬場良太馬場良太(1360)

5位に投票

面白かった☆3次元に住む「3」という数字を愛しく思った彼の物語は「傑作」なのか「名作」なのか「大作」なのか?答えはモチロン3つとも正解の素晴らしい作品でした☆時空や数式が飛び交い迷子になりそうになるもラストでキチンと回収してくれるし、悲劇的な歴史を描くも全体を包み込むファンタジーな雰囲気が不快な気分を和らげてくれる☆彗星マジックの正にマジックを見たかのような見事な構成に感服致しました!お見事でした!

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