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劇団Little★Star-team Spica-vol.6『草原の狼〜ピースを求めて〜』

劇団Little★Star-team Spica-vol.6『草原の狼〜ピースを求めて〜』

ジュニアミュージカル劇団Little★Star (劇団リトルスター)

堺市立西文化会館・ウェスティホール(大阪府)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

私は所用で伺えず…
でも母が「行きたい」との事で、妹が母を連れて行ってくれて、二人が観劇してくれました。

「とても迫力があって良かった💓」との事です👍

私も稽古やリハ風景などYoutubeで拝見しましたが、子供たちの躍動、素晴らしかった💕

中之島春の文化祭2024

中之島春の文化祭2024

ABCホールプロデュース公演

ABCホール (大阪府)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今年も開催頂き、超感謝💓
Cブロックを観劇💕

●ゲキゲキ/劇団『劇団』
石切10回?石油王?離婚?親権?心暖か😍

●三等フランソワーズ
元婚約者の闘病!2時間の恋?心暖か🥰

●Micro To Macrm
演奏告白&バイク👍

●ばぶれるりぐる
UFOとバンド?異色の組合せ愉し🤣

●THE ROB CARTON
デスキッチンお疲れ💦

中之島春の文化祭2024

中之島春の文化祭2024

ABCホールプロデュース公演

ABCホール (大阪府)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

今年も開催頂き、超感謝💓
Bブロックを観劇💕

●桂紗綾アナウンサー
クノール愉し🤩

●十三クラブ
Family5なのに4人?でも5人?🤔

●喜劇結社バキュン!ズ
誕生日?
怪しい不条理、流石😆

●劇団SE·TSU·NA
流されたヒルコが😱
”空”好きでDVD買✌️

●カヨコの大発明
ルーカスからのNの逆襲?!
超~面白っ🤣

中之島春の文化祭2024

中之島春の文化祭2024

ABCホールプロデュース公演

ABCホール (大阪府)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

今年も開催頂き、超感謝💓
Aブロックを観劇💕

●ダイナマイトしゃかりきサ~カス
昨年とは異なり声だし📣参加。
たろうさんがいないのは寂しいけど、HARMONY良かった👌

●NICO×frogs
団子屋の交通整理、おばあさん、ガンバ💪
次回公演楽しみ💕

●空宙空地
夢のない夫と夢の国へ…流石の会話、愉し🤩
関西公演、楽しみにしてます💕

●ステージタイガー
恋人と二人三脚…やっぱスポ根✌️
流石、ステタイさん👍

●本若
狐と幕末や室町を体感の旅✌️?
劇団あるある、夢があって良かった👍

朗読劇 ヴィヨンの妻

朗読劇 ヴィヨンの妻

ミモザ

STAGE+PLUS(大阪府)

2024/04/27 (土) ~ 2024/04/29 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

初日観劇。
立ち回りつつ、入れ替わりながらの朗読劇、結構新鮮で、どうしようもなく退廃的世界にどっぷり引き込まれ、面白かった😆

死の匂い漂うの太宰治晩年作
夫「死にたい」
妻「私たちは、生きてさえすればいいのよ」
救われた気分☺️

OH!文化体育祭

OH!文化体育祭

劇団カオス

大阪公立大学杉本キャンパス 田中記念館(大阪府)

2024/04/28 (日) ~ 2024/04/28 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

千秋楽観劇。
生徒会からの「体育祭の文化体育祭への変更」提案に、体育会系が猛反発!
新聞部は事実を正しく伝えようとするが…

其々の思いのぶつかり合い、心ときめく青春の青臭さが、とても懐かしく、ムッチャ面白かった😆
青春って良いね🥰
良かった👍

去りゆくあなたへ

去りゆくあなたへ

劇団BLUESTAXI

ザ・ポケット(東京都)

2024/05/21 (火) ~ 2024/05/26 (日)上演中

予約受付中

実演鑑賞

満足度★★★★★

すばらしかったです。話がわかりやすく2時間が短く感じられました。葬儀屋の美人社員さん、最後でなんらかの形で伏線回収するかな…と思ったらなかったですね^^ 兄弟の確執などすごくよく表されていてよかったです。あと、「劇団とは何か」いうことについてもあらためて考えさせられました。

オットーと呼ばれる日本人

オットーと呼ばれる日本人

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2024/05/17 (金) ~ 2024/05/26 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/21 (火) 13:30

座席1階

休憩を挟んで4時間近くに及ぶ3部構成の大作。1962年に木下順二の本作が宇野重吉の演出で初演されて以来、四演となる。劇団民藝の歴史を裏打ちするような作品だ。

ゾルゲ事件で死刑となった元朝日新聞記者であり、近衛内閣の嘱託という顔も持つ尾崎秀実(ほつみ)の物語。コードネームがオットーだった。尾崎がジョンスンと呼ばれていたゾルゲの名前を知ったのはかなり後になってからだったというし、当たり前かもしれないが尾崎自身もスパイであることを「略奪婚」までした妻にも打ち明けておらず、スパイというのはこういうものなのかと考えてしまった。

長編ではあるがとても興味深い物語であり、初見の自分はずっと食い入るように見てしまった。まるで大河ドラマを見ているような感じがした。コードネーム「スン夫人」のアメリカ人ジャーナリスト、「ジョー」というアメリカ帰りの日本人画家。ユニークな登場人物が多く、満州事変後の歴史を思い起こしながら、表裏のある人生を歩んだ人たちに何だか親近感を覚えた。
特に第一幕の上海編だが、登場人物たちは潤沢な資金でリッチな生活をしており、彼らが目指した共産主義も結局は庶民のためのイデオロギーではないな、と痛感させられる。政治の舞台とは、そういうものなのだ。

劇団民藝のDNAともいうべき作品だが、高齢者が圧倒的に多い客席にはこの長編は体力勝負でつらいところが多い。会話についていけず眠り込んだり、幕間の休憩で携帯の電源を切り忘れて第三幕ではあちこちで呼び出し音が鳴ったり。この名作を次世代にどうつないでいくか。前回の上演から20年を超えての再演だが、次の20年越しの再演はあるのか。客席と共に頑張っていかねばならないな、と劇場を後にした。

マンザナ、わが町

マンザナ、わが町

創造ユニットTaiyo

シアター711(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

大成功の旗揚げ公演だったと思います。

ネタバレBOX

九州の子守唄が耳を離れない。
それだけならまだしも、ついつい口ずさんでしまう。
ちょっと困っています。
さるヒト、いるヒト、くる

さるヒト、いるヒト、くる

ポケット企画

扇谷記念スタジオ・シアターZOO(北海道)

2024/05/03 (金) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

「他者と向き合い歴史を問う姿勢」

ネタバレBOX

「私には、距離があります/その時、そこで、生きていなかった、という距離です」

 たまたま買った漫画本を読んだサト(中野葉月)は、そこに描かれていたある家族の戦争体験を読んだときに抱いた感覚についてこのように述べる。彼女は常日ごろ歴史の勉強に余念ががないミタ(吉田諒希)とシル(さとうともこ)に詳しく話を聞こうとするが、己の行動に身勝手さを感じ及び腰になってしまう。自分たちもまた同じような気持ちを抱いていると二人に背中を押されたサトは、漫画を読んだときは言葉にできなかった衝撃を打ち明ける。困難を抱きながらも他者や歴史に向き合う姿勢は本作の主題である。

 サトはパートナーで劇団の主宰者であるリタ(田村咲星)とともに、木々や珍しいきのこが目に映える森のなかに暮らしている彫刻家のカナ(田中雪葉)とパートナーのヒロ(赤坂嘉謙)のもとに滞在している。元看護師のカナは仕事に疲れ、森のなかに移住して造形作家として活動してきた。お金はないそうだが満ち足りた様子の二人に、リタとサトは同じく芸術を志す者として共感を寄せているようだ。4人の会話の合間に時折遠くから自衛隊が訓練で出す大砲の音が挟まってくる。

 並行してiPadを片手に歴史の勉強しているシルとミタの対話が描かれる。シルが覚えているのはアイヌの英雄コシャマインが起こした和人への武装蜂起「コシャマインに戦い」の1457年や、松前藩の収奪に対して発生したアイヌ民族の蜂起「シャクシャインの戦い」の1669年、多くの屯田兵が動員された西南戦争の1877年に北海道旧土人保護法が制定された1899年と、道民の歴史にまつわる重要な年号である。この二人の世界に入り込んだサトは、やがて漫画に描かれていた物語について話しはじめる。道南に住んでいたある一家は、夫[赤坂嘉謙・二役]の旭川への招集を機に結婚1ヶ月で別居、妻[田村咲星・二役]は札幌に引き上げる。2年後に帰還した夫とともに幌泉に移住するも、夫は2度目の招集で釧路へ。子ども[田村咲星・二役]とともに夫に会いにいった妻は、帰り道で幌泉が空襲に遭ったことを知り、帰還した街がめちゃめちゃになっていた様を目撃するーー。

 声高に糾弾するわけでも調べたことをそのまま劇化するわけでもなく、淡々とした日々の営みから公権力に翻弄され続けてきた道民の歴史を浮かび上がらせるこの物語は、我々観客の国家観へ静かに疑義を突きつける。取材を通して体験した迷いや対象との距離感を包み隠さず提示したことで、虚構と現実のあわいを描くことにも成功していた。そういった意味では演劇が本来持っている芸術性が生きた作品と言えるだろう。

 一杯飾りで二つの世界を並行して描き、やがて戦禍の物語を再現するという鮮やかな展開も本作の魅力である。俳優や照明、音響のチームワークがよく取れていたことの証左は、終幕で砲音とともにソーラン節を歌い踊りあげるという、力強くも皮肉な見せ場に結実していた。ショパンのノクターンが流れるなか穏やかに進んでいた森の中の対話が、風船を割る演出で急にシリアスなトーンになるなど、音の使い方がうまい。ただし空襲の描写で妻の心情を俳優が複数名で嘆く重要な場面は、破壊音が大き過ぎて私の席から聞こえにくく残念に思った。
 
 説明的な台詞がない点には好感を覚えたが、私自身に北海道の歴史やアイヌ関連の知識がなかったため理解が難しいと感じる描写があったのも事実である。その点で漫画の再現場面で一家の暮らす場所が北海道の地図上に灯されていたのは大助かりだった。また森の中の4人のやり取りを見守りながら歴史の勉強をしているシルとミタは、じつは像であるという設定も戯曲を読んで初めてわかったところである。「せんがわ劇場演劇コンクール」での上演を見越しており時間の制約があったからかもしれないが、より肉付けした内容をもっと長い尺で観たかったというのが本心である。
團菊祭五月大歌舞伎

團菊祭五月大歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2024/05/02 (木) ~ 2024/05/26 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★

「線の太い菊之助の政岡」

 五月恒例の團菊祭夜の部に菊之助の「先代萩」が出た。今回は一子千松に実子の丑之助が配役されたからか、実の親子という実感が強くなった。

ネタバレBOX

 命を狙われている若君鶴千代(種太郎)を守るべく乳人政岡が神経を払いながら茶道具でご飯を炊く「飯炊」は、空腹に耐えかねている鶴千代と千松の様子を伺いながら時に涙を浮かべて準備を進めるところが見ものである。様子を探りに来た千松を叱ったり、千松と勘違いして鶴千代を叱ったりして謝るくだりで緊張が緩むが、できあがるまでの間どうしても手持ち無沙汰に見えてしまうところである。ここは十八代目勘三郎が丁寧な手前と母性を感じさせてうまいところだったが、菊之助は淡々と仕事をこなしているように見えた。種太郎の鶴千代は気品があり、丑之助の千松はひもじさに耐える健気さが伝わってきてうまいものである。

 栄御前(雀右衛門)の入りになると奥から八汐(歌六)や沖の井(米吉)ら家中の女性たちが出てきて壮観である。雀右衛門の栄御前は強さはあるもの悪の感覚があまり感じられず、鶴千代へと毒入りの菓子を強引に薦めようとして政岡と問答になるくだりが今ひとつ盛り上がらない。そこへ突如千松が入ってきて菓子を食い苦しみ八汐が刺し殺すところは歌六が憎たらしく演じて盛り上がる。皆が奥へ引っ込みひとりになった政岡が千松に「でかっしゃった」と万感の思いをぶつけるところは、実父菊五郎に似て描線が太いところが菊之助独特であった。

 女たちの立ち回りのあとの床下は、右團次の男之助が豪快で手強く、團十郎の仁木弾正の目の大きさ、蝋燭でできた影が定式幕に怪しく映り見ごたえがあった。

アラビアンナイト

アラビアンナイト

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2024/05/04 (土) ~ 2024/05/18 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

文学座アトリエにて上演された『アラビアンナイト』。5/4〜6まではファミリーver上演につき、未就学無料、桟敷席&家族割アリというGWにぴったりだったこの公演。私は地方出張につきファミリー公演の観劇はできなかったのですが、5歳の息子と稽古場見学をさせていただき、後に10歳の娘と通常ver.を観劇しました。

アラビアンナイトは、愛する妻の裏切りをきっかけに心を病み、「これからは一夜毎に花嫁と結婚をして、その日のうちに処刑する」という残虐な心を持ってしまった王様と、物語の名語り手である大臣の娘・シャハラザードが結婚し、千夜にものぼる物語で王の心を溶かしていくというお話。その主旋律をベースに、マトリョーシカのように物語の中にまた別の物語が入っているという構造で、劇中劇文学、劇中劇演劇の金字塔とも言える作品です。

上演時間は休憩込みで2時間45分と割と長尺なのですが、本編を通して「シャハラザードはどうなってしまうの?」という緊張感と「物語の続きは?」という好奇心がしっかりと手を繋ぎ合っていることで中弛みを全く感じませんでした。これはひとえに演出の工夫と俳優の技の賜物ではないでしょうか。また、1時間15分毎に休憩を入れるというバランスは大人子ども問わず、誰しもにとってベストなのではないか、と想像しました。

親子観劇って「子が楽しめるか否か」にかかっているんです。そして、それは、「そうでないと(子が気になって)大人も手放しで楽しめないから)という理由も正直あるんですよね。子だけが楽しくても、大人だけが楽しくてももどかしい。そういう不安で劇場を遠ざけている人にこそ、是非この『アラビアンナイト』に出会ってほしい!と思いました。子どもの心を奪う演出が細部にわたっていくつも仕掛けられているだけでなく、大人が思わずうっとりするような演劇の魔法にも同時にかけられていく。(例えば、白布一枚で海に浮かぶ船の上へ、伝説の大きな鳥の卵やその翼の下へ導かれていく……。)なんというか、五感の何も置き去りにされてないんです。五戸真理枝さんの繊細な視点と俳優さん達の心技体が込められた演出、本当に魔法だった。そして、それはきっと、私たち観客のイマジネーションとの共作でもありました。隣で子が絵に描いたように目を丸くするのを、そのままハッと驚きの息が漏れるのを見て、知らないだけで自分も同じような顔をしているのだと知るようでした。

残念なことに、稽古場見学の日は後に予定が控えていた都合で最後までは観られなかったんです。
当然息子はこう言います。帰り道にも眠る前にも「あのお話の続きは?」と。 まさに劇中で妹が、そして国王が、物語の名語り手のシャハラザードにあと一夜、もう一夜と千にも昇る命懸けの物語をねだった様に。

これほどまでに「物語の力」を示す作品はないと思う位、小さな頃から『アラビアンナイト』の幻想的でちょっぴり怖い世界が大好きでした。だけど、改めて気がついた。「物語の力」だけじゃない、「物語を信じる力」によって一夜は千夜になったのだと。そして、それは演劇の魔法を信じることにも繋がっている気がする。そんなことを感じる景色の数々でした。大所帯だけど物語の中で一人一人が忘れ得ぬ登場人物を生きているのも、誰しもが等しく聞き手でも語り手でもある様なセリフの扱い方も好きでした。
最後に10歳の娘とのやりとりをネタバレBOXに綴ります。

ネタバレBOX

色々と分別のつき始めた5年生の娘との観劇では、幼い頃とはまた違った、娘個人の考えに触れることができるようになりました。この日も信濃町駅まで歩いて帰っている帰路で「王様の罪」について色々と話をしました。
私が「シャハラザードは勇敢で美しい心の持ち主で、それによって王が自分の罪深さに気づいたことはよかったけど、死んでしまった女の子達のことを思うと、王が、彼女や彼女の家族達が永遠に失ってしまった”愛する家族と幸せに暮らす未来”を描けることが苦しい。ママは王様の心の再生を手放しで祝福できない部分もあったんだよね」というようなことを話したら、娘が「罪を犯した人がその罪をまるで無かったことにして幸せになるのはよくないけれど、自分が悪いとわかったのなら、そこからほんとうの苦しみがつづくはず。間違いや罪を犯した人が一生幸せに暮らしてはいけない、一生不幸なままでいなきゃいけないというのは怖い、なにか違う気もする。しあわせなほど苦しみはおそってくる」みたいなことを言っていて、私は我が子ながら「お見それしました!」という気持ちになるなども(笑)。そうなんですよね。こういう時間が観劇の、物語の余韻の中の最も豊かな瞬間なんですよね。翌朝、最後まで観られなかった息子が口をとがらせながら「アラビアンナイト、最後まで見てずるい」と言って、その後「ぼくだって全部覚えてるもん。でもはなすのは夜だからね」と言っていました。いつだって線引きをするのは親の方で子はいつも軽々とそれらを飛び越えていく。子どものことを決してナメてはいない演劇と出会うと、そういうことをつくづく思いさせられます。
「子どもより大人の方が物事をわかっているなんてことは決してない」
そんな教訓を改めて握りしめるような観劇でもありました。
なかなか失われない30年

なかなか失われない30年

Aga-risk Entertainment

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/27 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

快作に次ぐ快作を新たに発表し続けるアガリスクがまた、オールタイムベストに追加されるような新作を世に放った。2024年の世に放ったその物語は、私たちがここまでくるのに当然通らずにはいられない1994年と2004年と2014年という時が内包されていて、それはもういくつかの、一見失われたようで、その実”なかなか失われていない”時代たちを巡るタイムトリップそのものであった。
舞台は、新宿の街のとある劇場跡地の雑居ビル(下はケバブ屋さん)(と聞いて、小劇場好きはもうあそこだ!とピンとくるだろう)ある時代は劇場であった場所はまたある時代はデリヘルの待合所で、そして、またある時は…と10年毎に遡るこの30年、実に様々なことが起きた。山ほどある風刺すべきポイントを決して逃すことなく、しかし今回も劇団名に違わず、とんでもないエンタメ満ち満ちの作品だった。

アガリスクの演劇の凄いところは「エンタメ要素が散りばめられている」のではなく、冨坂さんと俳優さん達の技巧が「数々のエンタメな瞬間を生み出している」ところ。会話の度にエンタメが仕掛けられては生まれていくその様に毎回惚れ惚れしてしまう。ちょっとここは思い切って言い切ってしまうけれど演劇に縁のない人、または抵抗がある人も本作ばかりは楽しまずにはいられないと思う。両親にも姉妹にも地元の同級生にも観せたい演劇だった(つまりGWにぴったり?!)

それでいて、『かげきはたちのいるところ』、『SHINE SHOW!』、『令和5年の廃刀令』などの作品群がそうであるように社会ともしっかり手が繋がれているところや、その劇場あるいは街で上演される意味があるところが本当に見事だし、鮮やかなんです。客席の反応も含め大満足な紛うことなきオススメの一作!
人によってオススメしたい作品違うからあまり言った事ないけど、こればかりはオススメ作品って言葉がしっくりくる。でも何一つ媚びてないし、むしろ極められていて語り甲斐もある。
私の中の"アガリスク、新作の度に代表作更新説"がまた濃厚に!

泥人魚

泥人魚

劇団唐組

花園神社(東京都)

2024/05/05 (日) ~ 2024/06/09 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

出張で札幌滞在最終日の朝に訃報を聞いて、それは代表作『泥人魚』東京公演開幕日でもあった。
そして、翌日予定通りの日時に予定外の状況で紅テントに向かった。浴び、吸い込み、啜るような観劇だった。
上京してから産前産後を除いて唐組を観続けてきたけれど、その中でも忘れられない日になった。状況が状況だから特別にならざるをえない節もあるけれど、むしろ私は、私の胸は、いつも通りの圧倒が全うされていたことにたまらず溢れたのだった。うまく言えないのだけれど、こんなにも大きな喪失を抱え、漂わせながらもいつも通りの眩しく儚い紅、そこで圧倒が更新されていることに心が震えた。
無論前身の状況劇場にかすってもいないことはおろか唐十郎演出の唐組を一度しか観たことのない私である。「全盛期を知らないじゃないか」と言われればそれまでだけど、私にしてみたら観始めたその日からいつだって唐十郎は全盛期じゃないのだろうか、と思っていた。思ってきた。いや、思っている。 ぴたりと同じ時代に生きたわけでない、"全盛期を知らぬ世代"の私も、それでも誰がなんと言おうと、唐十郎の言葉に唐組の劇世界に魅了され続けた、され続けている、歴としたその一人です。

札幌で訃報を聞いた時は事実に輪郭がないままだったけれど、羽田からのバスが奇しくも新宿に、唐十郎なき新宿に着いた時ようやく実感がおそってきた。さみしい、とも、かなしい、ともまた違う、しかし確かな喪失感だった。花園に聳える紅に命の火をうつすように唐さんの肉体から魂が離れたように感じた。風になったようにも思うけれど、やはり水かもしれないとも思う。手を洗うとき、風呂に入るとき、汗、涙、雨、あらゆる水を経験しながら、唐さんの戯曲で出会った言葉の数々を反芻していた。いつも通り当然のように予約していたその日がまさか唐さんを偲ぶ観劇になるとは思いもしなかった。だけど、いつも通り呆気ないまでに素晴らしい役者たちが今日も今日とてドカドカと舞台の上を暴れ回っていた。大鶴美仁音さんの香り立つような儚さ、妖しさに惑わされながら、泥の波間の花園で人魚を見た。テントの紅から人が溢れ出していた。虚構が現実に明け渡され役者が去っても続く遺言の様でも産声の様でもある歌声。その余韻の中で嗚咽みたいな喝采はいつまでも鳴り止まなかった。奇しくも今までで最も"唐十郎"を近くに感じた瞬間だった。

ネタバレBOX

ネタバレ、というより私情である。しかし、少なくとも私に取っては唐組を語る上では欠かせない話でもあるので、少し追記をする。

何度足を踏み入れても現実的ではない存在だった紅テントが少しの間だけ日々の一部になったのは、昨年の春公演『透明人間』の時だった。長年の念願叶ってテントの建て込みと稽古場の取材・執筆をさせてもらったこともあるけれど、夫が出演していたことも大きかった。唐戯曲で馴染みの"田口"という名の役だった。台所で胡瓜を切ったり、洗濯を取り入れてると、風呂場や部屋の向こう側から唐戯曲、そこに刻まれた美しく荒ぶる台詞たちが小さくしかし確かに漏れ聞こえてくるのだ。そんな中やはり私は胡瓜を切り続けたり、はたまた黒地に赤で"テント番"と書かれたTシャツを畳んだりして 田口の台詞とともに日々に非現実が雪崩れ込んでくる度いちいち胸を熱くしていた。自分の人生でこんな日がくるなんて思いもしなかった。しかしそれでも、たとえ家族が出ても、日々の隙間でそれを娘と見に行っても、感慨深さはあれど遠い幻影の様な紅テントの圧倒は初めて観た日と何も変わらなかった。ようやくここまできました」「それでもまだまだ遠いです」と、あの日々、私は心の中で誰かに向かって必死に話しかけていて、その誰かこそが唐十郎その人だったということにようやく、はっきりと気づいたのは、唐さんが旅に出てしまった時でした。
さみしい、かなしいともまた違う、だけど確かな喪失を感じながら、けれども美しさと荒々しさに身を任せながら。きっとずっとそうだろう。紅テントが花園に建つ限り。唐十郎の言葉が戯曲が存在する限り。
ハナコトバ -朗- for spring

ハナコトバ -朗- for spring

Daisy times produce

アトリエファンファーレ東新宿(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/14 (日) 17:00

植野祐美がプロデュースする企画団体のリーディング公演。ダブルキャストのBチームを観劇。

受付でチケットと一緒に番号札を渡される。何かと思えばブロマイドなどの物販の整理券で、開演前に番号順で舞台前に呼び出されるようになっている。要するに客は出演する女優陣のファンばかりで、写真などを購入することが前提とされているらしい。これまた若いカワイイ女優を集めてその物販で儲けようとする公演なのかと、開演前から舞台に対する期待が薄れていく。

加賀地方のコンビニもないような片田舎の村を舞台とした「青春カルペディエム」と「魔女のお茶会」の2本立てで、上演時間は1時間25分。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

「青春カルペディエム」ではまず地の文を読む三井ゆかが素晴らしく、聴き惚れてしまった。
が、それもこのエピソードの主人公・森宮咲胡が登場するなり台無しに。高校3年生という設定なのだが、声質やしゃべり方がアニメのキャラクターそのもので、高校3年生どころか中学生か小学校高学年としか思えない。

それは後半の「魔女のお茶会」でも同様で、舞台となる喫茶店の店長(植野祐美)がこれまたドタバタギャグのアニメそのもの。
アニメを見下す訳では決してないが、今回の内容のような朗読劇であればまずは実写版のドラマのような演出が望ましいだろう。折角のいいホンがキャラクター設定のために薄っぺらくなってしまっている。

それに咲胡(さきこ)だの卯咲(うさぎ)だのと名前に難しい読みで漢字を充ててみても、耳で聞くだけではそれはわからない。うさぎなど前半のエピソードのあとでは兎かせいぜい平仮名でしか思い浮かばないだろう。

前半の咲胡と兎との会話や、前半から後半へ移る際の「東京から戻って二十年、私は“魔女”になった」という一文が、最後の解離性同一性障害という説明で活きてくるのは見事ではあったが…。
BEAT PARADOX presents BASKET vol.4

BEAT PARADOX presents BASKET vol.4

BEAT PARADOX

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2024/04/04 (木) ~ 2024/04/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/07 (日) 17:00

「ひとつぶひとひらひとかけら」を観劇。

この作品は、ハグハグ共和国によって2019年の3月末に琵琶湖畔にある滋賀里劇場プレ・オープニング公演として2日間3ステージのみ上演され、翌々年東京でも再演されたものだ。無論私はその双方を観ている。
ただ、今回の上演にあたっては、BEAT PARADOX(テアトル・アカデミーの受講者)向けに1時間強と本来の1/2ほどの長さに書き換えられている。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

若手&新人メンバー芝居と謳っていたので、てっきり若者中心の座組かと思っていたら、いきなり高齢の女性群(セクハラといわれるかもしれないが、所謂おばさま世代)が登場したのでびっくり。
しかも最初に登場した女性はその最初の台詞をトチってしまう有様(「もういい~か~い」という遠くからの問いかけに「もう…」と言いかけて、あわてて「ま~だだよ~」と言い直していた。
その後5人が加わり、教員同士のレクレーションについての協議が始まる。この部分は本来の「ひとつぶひとひらひとかけら」にはなく、全く別のハグハグ共和国の作品。メンバーの高齢者用に付け加えたものだろうが、この部分と後半の「ひとつぶひとひらひとかけら」との繋がりがわからない。小石と「虐待されていた妹と私は草むらに隠れ、その隙間から空を見ていた」という台詞、そしてその女性教師と「ひとつぶひとひらひとかけら」に出てくる女子高生の苗字が同じことからこの2人が姉妹なのか、と推測するのみ。それ以外には前半と後半に全く繋がりがないからメンバーの年代構成に合わせて2つの作品を無理やりくっつけたという感じしかしない。

本体の「ひとつぶひとひらひとかけら」も同様にメンバー構成上やむをえなかったのだろうが、子役が多数登場し、まあそれなりに上手いのだが、一様に活舌が悪い。
時間を司る3人の女神にしても過去と現在が小学生の子役で、未来だけが高校生と思しき役者、とバランスが悪い。過去<現在<未来の順に背が高い配役としてはいるが、登場時には一番子供っぽい口調の未来を3人の中では一番年長の役者が演じるというのはどうにも…。もっともこの役はハグハグ共和国版では今回リーディング助手を務めている生粋万鈴が演じていたのだから、前半と後半の切替など難しい役ではあるのだが…。

この「ひとつぶひとひらひとかけら」本体部も大幅に書き換えられており、役者陣のスキルもあって(熱意は感じられるものの)物語としての深みが減じられてしまった。
良くも悪くも発表会レベル。
将棋無双・第30番 ~神局のヴァンパイア~

将棋無双・第30番 ~神局のヴァンパイア~

E-Stage Topia

上野ストアハウス(東京都)

2024/04/10 (水) ~ 2024/04/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/04/10 (水) 19:00

この団体の公演は一昨年1月の江戸川崇(カラスカ)作・演出による「東京卍メロス」を観ただけであるが、今回の公演は黒薔薇少女地獄の太田守信が作・演出。
タイトルの「将棋無双・第30番」からこのシリーズ30作目かとも思えるが、「将棋無双」は七世名人三代伊藤宗看による詰将棋100番を纏め江戸幕府に献上された作品集のことであり、これらの詰将棋はなかなかその解答本が見つからなかったため、「詰むや詰まざるや」と言われたそうだが、中でも第30番は神局と称されているという。従ってその神局という第30番をモチーフにした物語ということだろう。

上野ストアハウスのさして広くもないロビーに入って、出演者の写真やトレーディングカードを購入するために、中高年の男たちが列をなしているのを見てイヤ~な気になった。若いカワイイ女優を集めてその物販で儲けようとする公演では、その内容の薄さに散々失望させられているからだ。その最たるものは高取英晩年期の月蝕歌劇団だ。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

舞台奥には教会のような十字架をモチーフとした巨大なステンドグラス、そこに開場時からパイプオルガンが響き渡り、ゴシックロマンに溢れたムードが漂う。

が、冒頭で「ねえねえ、おばあちゃん。今日もお話を聞かせて。おばあちゃんの若い頃のお話」と子供たちがお話をねだる祖母がメイクも声も若いままであり、ここで「ええ~ッ」となってしまう。要するにかわいいままの姿を見せることで、ファンを満足させようとの浅はかな目論見なのだろう。

そもそも、まだ世界が一枚の、9×9=81マスの盤面だと信じられていた時代って、どんな世界なんだよ。
その世界で神に背き仇を為す存在・吸血鬼との戦いが繰り広げられ、それは舞台床面に設置された巨大な将棋盤の上で登場人物たちが自身の駒を置いて詰将棋と重ね合わせられるのだが、これがよくわからない。
駒の動きにも何らかの意味を持たせているのだろうが、もともと「詰むや詰まざるや」と言われた第30番が基なのだから、将棋がわからない者には尚更のこと難解でしかない。ラビット番長が上演している将棋シリーズとは大違いだ。

これなら無理に将棋を持ち込まなくとも、人間対ヴァンパイアの戦いをゴシックロマンで彩って物語にした方がどんなにか良かったろう。奇を衒いすぎ。
ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE 2023

ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE 2023

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

初日に観劇。
演者の素や、演者同士の素の関係が垣間見える時がちらほらと。
私は、そういうのが嫌いなんです。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/18 (土) 18:00

この公演2度目の観劇。
こみいった内容の作品だが、ストーリーがわかった上で再見するのは、どこにどういう伏線が張られていたのかじっくり観る楽しみがある。

(以下、ネタバレBOXにて…)

ネタバレBOX

達磨が言う「中途半端なハラスメント」や、刑事がオーディション参加者らにぶつける言葉の端々、自分の名前から始まる終盤の達磨の悲痛なモノローグなど、村手の思いがビンビン伝わってくる。
15年前の飲酒運転で夫婦をひき殺して刑務所に入っていた男が、自分を恨み続けているその夫婦の息子に対して「許してくれ」ではなく、「どうか俺を一生恨んでくれ」と言ってひたすらに頭を下げるのが胸に迫る。

シリアスな場面だけでなく、無論ユーモラスなシーンも挟み込まれている。達磨から指で胸をツンツンされる度に刑事の顔が強面からだらしない笑顔に変わる瞬間の可愛らしさや、プロデューサーや助監督がマンボウになって登場する(私はウルトラマンの怪獣ジャミラを思い出してしまったが)など、張り詰めた緊張感を和らげてくれる。
こうした作劇の上手さが随所にみてとれる。

それにしてもこの客席数の劇場で公演を続けるのは、運営的にはかなり苦しいだろう。内容のいい作品ばかりということに加え、その点でも頭が下がる。
LALL HOSTEL

LALL HOSTEL

おぶちゃ

MsmileBOX 渋谷(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/26 (日)上演中

実演鑑賞

満足度★★★★★

後半から展開が面白く、ドタバタ劇を思い出す様なスピード感のあるそして感動させられる最高の演劇でした。次回作も楽しみです。

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