最新の観てきた!クチコミ一覧

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リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

皆さんセットにコメントしていますが、本当にこういうのもできるんだというセットでしたね。素晴らしかったです。内容はなかなか複雑な事情の登場人物でそれぞれの心情は推し量りきれませんが、皆さん表現されていたと思います。終演後優しい気持ちになれるそんなお芝居でした。良い時間を過ごせました。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。とにかくお芝居に迫力がありますね。現代の問題と言うかどうかなと思うところにもちょこちょこ切り込みながら、全編しっかり筋の通った内容で、最後まで一気に見られました。元気になるお話お芝居だったと思います。

こどもの一生

こどもの一生

あるいはエナメルの目をもつ乙女

王子小劇場(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

王子小劇場があらゆる意味でパルコ劇場仕様になっていてビックリ!
こだわりが感じられるセットは想像力を掻き立てられ、開演までの間いくらでも見ていられるし、いざ始まってみれば衣装、音響、照明、本当に細かいところまで並々ならぬ美意識が張り巡らされている
もっと大きな劇場でも充分通用する それら予算度外視の心意気もさることながら、全く引けを取らない役者さんの力量がこれまた
今回の「こどもの一生」という脚本の良さが存分に活きるためには、これだけの怪演、パワーとテクニックが必要なのでしょうが、それにしても何と言うかゴージャス!
思わず演劇界が大いに盛り上がっていた頃に戻った感覚に

コロチキ・ナダルが言うニュアンスの「イっちゃってる」感じに笑いも起き、めっちゃ破天荒な世界観は暴力的で破廉恥
それでいて美しさも感じられるのだから何とも不思議な世界
狂乱へと転がり落ちていく展開、深層心理に訴えてくる様な恐怖、最後に訪れるカタルシスに酔いしれました

象

9PROJECT

上野ストアハウス(東京都)

2024/05/16 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

別役実さん25才時の作品
圧倒的な台詞量
この公演で役者辞める
小川智之さんの覚悟が凄かったです
日曜まで
お薦め

マンザナ、わが町

マンザナ、わが町

創造ユニットTaiyo

シアター711(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

五人の女性による個室劇ですかね
スペイン語で果樹園を意味するマンザナ
日本人の強制収容所内で
合衆国憲法に違憲して集められた日系人
一世と二世の確執や人種差別
国への信頼と失望・・・
様々な要因現状希望等を舞台にした作品
なかなかの長丁場ながらも
熱量を維持して走り切っておりました

ネタバレBOX

中心的な人物というより
目立ったのが浪曲師さんだったかなー

舞台美術は隙間のある
掘っ立て小屋風の居住スペースで
狭い中5人の女性が暮らしてる生活感を
並べた歯ブラシ入りのコップなどで表現されてました
本物の鉄条網なども用いて

ラストは舞台に黄色い規制テープを張って
その後の顛末を立て看板にカキワリされて展示してました
マクベス

マクベス

King's Men

座・高円寺2(東京都)

2024/05/14 (火) ~ 2024/05/16 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

シェイクスピアの四大悲劇の一つとして有名なマクベス。それを「みずみずしく大胆な舞台意欲で、全く新しいシェイクスピアの世界を創出」という謳い文句で、「マクベスを、悪の化身としてではなく、人間の本質的な心の闇、善良であるがゆえの弱さを持つ、両義的な存在として描き出す」と力説。当日パンフは、手作りの<チラシ+15頁>という 力の入れようだ。

魔女の予言を信じ、ダンカン王を暗殺して王位を奪ったマクベス。そして王位を守るため次々と殺人を重ね、暴君として滅んでいく という内容。当日パンフに、平澤智之氏と絵里さんの対談が記されているが、その中で作品のテーマを<人間の心の問題>としているようだ。心の闇=世の破綻、しかし心の善良=救いといったことで負の連鎖を終えたいと。それをラストシーンに凝縮させたとある。
因みに、この公演の魔女は 民衆に見立て無責任なことを言う。そんな愚衆(現代では真偽分からぬネット情報か?)に踊らされた人間の愚かさをマクベスにみる。

シェイクスピアの他の作品でも、人間が矛盾を抱えていることを表していたと思う。勿論 「マクベス」でも魔女たちが「きれいは汚い、汚いはきれい」といった台詞があったと思うが…。論理矛盾があったとしても、それはそれとして成立する。人間の多面性、真実や正義は一つではない世界観、そんなことを物語っている。その意味では、この公演(テーマ)は自分が観てきた「マクベス」と大差(新機軸)はなかった。

人間の矛盾した感情、一方 物事の真価を見る目は重要。目先の利益等といった外見に惑わされ、本当に大切なことは何かを改めて考える ということが昨今の課題ではないだろうか。例えば コロナ禍においての不自由、不平等、不寛容といったことが挙げられ、時代を超えてシェイクスピアの作品は訴えかけてくるようだ。そこに色褪せない現代性があり、面白さがあるのだと思う。
(上演時間2時間 途中休憩なし)

ネタバレBOX

素舞台。役者がアクションをするスペース(客席 通路も使用)を確保する必要があったと思うが、他に「プロジェクタを使用した芸術写真の作品の投影」を効果的に見せるためであろうか。「甘美で、暴力的で、詩的な空間が客席と舞台を一体化」とあったが、花畑や抽象的・幾何学的な模様で、あまりピン とこなかった。

1人の男優が、他のキャストをバックダンサーに従え歌う。また手話シーン等、色々なことが盛りだくさんだが、何を表現したかったのだろう?

また衣装は西洋・時代といったものではなく カジュアル。小道具(武器)は、西洋・剣、日本・刀といった何でもあり。全体的に統一感がなく、というか敢えて外観(外見)に惑わされずに、物語の本質を観せようとしたのか。そしてマクベスが少しづつ上着を脱ぎ といった過程は、だんだんと人心が離れていく象徴か。最後は裸の王様ならぬ半裸姿(筋肉美だ)が痛々しい。

演出・主演は、劇団シェイクスピアシアター出身のシェイクスピア俳優・平澤智之氏と、高村絵里さん。この二人の演技は熱演と思うが、俳優陣に演技力の差があるようで ぎこちなさ が気になった。
次回公演も楽しみにしております。
マクベス

マクベス

King's Men

座・高円寺2(東京都)

2024/05/14 (火) ~ 2024/05/16 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 15:00

価格3,500円

W.シェイクスピアの四大悲劇の一つとなるマクベス。
将軍マクベスが妻と共謀して主君を暗殺。王位となるものの、その重圧に耐えきれず次々と錯乱し暴君と化し、最後は貴族や王子らの復讐によって滅ぼされてしまう。
そんな名演目の旗揚げ公演をじっくりと観劇させて頂きました。
往年の舞台・古典作品の概念にとらわれず、演劇の自由そのものを捉えなおす…この意図は、パンフレットの厚さを見ても一目瞭然。主催側の熱い想いが伝わってきました。
また共生社会の形成にも積極的な劇団であり、障がいの有無(近年では特性と言われてきました)に関わらず、意欲ある人のチャンスの場として演劇を通じた社会参加を行う意義は素敵だなと。
以下、感じた事を忌憚なく書きます。

ネタバレBOX

「新しい栄誉は新しい衣服のようなものだ…」
こんなセリフが劇中にあったかと思いますが、文学的な台詞回しの多い古典劇を上演するという事は、その本質や様式を入れた上でどう壊していくか・自由であるかを考えなくてはいけない。
素舞台の劇場で、色んな特性を持った役者陣。それをまとめる演出兼役者。そこにプロフェッショナルさを見出すのは、未だ新しい服が馴染んでいないのと同じこと。

まず、台詞が長いので滑舌や末端の発語の処理が単に場のテンションで終わってしまい、素人感のぬぐえないバラつきが違和感を生み出します。特に長ゼリを自分の言葉として舞台で活かす…というのは、役者自身の能力が大きく左右されますから大変な事だと思います。
個人的にはシェイクスピア劇に拘らず、別の戯曲を扱っても良かったんじゃないかと(内容が難しい)。

またプロジェクタを用いた背景ですが…どう考えても劇作風景にかみ合わない写真が気になりました。背景は朝・夜などを考慮して、あとは照明の変化だけで十分じゃないかと。BGMは突然大きく表れたかと思えば、ミュージカル風の歌唱とダンス…取って付けた感が否めません。
全体的にプリモとプリマのお二人で主な動きの中心を担っていますが、箱が大きいのか視界的には小さくまとまっている印象。かと言って、派手なパフォーマンスは全体を俯瞰すると浮いてしまうので、ここも役者全体の足並みを揃えると言う意味では難しいです。
手話を使ったシーンも良い意味で「間」が生まれて良かったですが、折角プロジェクタがあるので何を言っているのか「台詞の投影」をしても良かったんじゃないかと感じました。

制約があるからこそ、自由が生まれる。
何をしても良い・何を着ても良い…これは私の感じる自由とは少し異なるように観させて頂きました。この団体で多様な特性を持つ役者がどんどん育っていく事を深くお祈り申し上げます。
リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 14:00

こんなスズナリ初めて観た!
舞台奥から太い花道が伸びている。
三方に客席が作られ、花道の途中には四角い穴があいている。深さは不明。
気が付くと水が流れるような、雨のような音が聞こえてくる。
開演前からホームレス風に厚着をした女性が登場、舞台上の石を床に投げたりしている。
雨が降って来たのにはびっくりした。

ネタバレBOX

着物姿の女性が腰ひもで首を吊ろうとして失敗、ホームレスの女性に助けられて
一緒に自分の家へ帰って来る。
このホームレスの女性が、複雑な家族をシンプルにほぐしていく。

別居中の夫婦、夫は要介護状態で内縁の妻と娘が献身的に世話をしている。
着物の妻と息子は少し離れてそれを見守っている。
だがそこには実に複雑な事情があった・・・。

当日パンフに書かれた作・西山水木さんの言葉の中に
「私はほとんど他人でできています」という一文があった。
優しい人に囲まれてその気持ちがわかるから、自分と他人の境界が曖昧になって
本当は自分がどうしたいのか、わからなくなってしまう。
”誰かの望んでいることが、自分の望んだことになってしまう” ということだと思う。
自分が望んで選択したのだと思い込んでいる。

謎のホームレス女性は、「それは本当にあなたがやりたいことではない」と強く促す。
そして登場人物は皆真実に向き合い、自分自身を見つめて変化していく。
ラストは、長いことリンカクが定まらずに苦しんできた者だけが得られる
爽快感に満ちている。

登場人物の住まいや、息子のネット配信などが、もう少し解りやすく描かれたら
観客はもっと早く登場人物に寄り添えると思う。
内容の普遍性、表現のイマドキ感がとても素晴らしいだけに
チラシデザインなどに内容の深みが反映されていないように感じられて惜しい。

作者の真摯な姿勢が随所に感じられる意欲作。
役者陣のひたむきさが伝わって来る作品だ。
ホームレス女性(倉品淳子)の力強さが作品の推進力のひとつになっている。
言葉によって人間関係を失い、舞踏によって自己表現を得た
リョウマ(永田涼香)の喜びが美しい。
ラスト、感情を取り戻した麗羅(あさ朝子)の号泣に思わず私も泣いてしまった。
除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

除け者(ノケモノ)は世の毒を噛み込む。

キ上の空論

新宿シアタートップス(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

全く共感できなかったが、静かな世界に強弱ある芝居、心象を物理的に表現する演出など見応えある作品だった。
何が普通で何が異常なのか?もともと境界は微妙だし境遇や立ち位置で逆転するという事かな、それを丁寧に描いていた印象。

法王庁の避妊法

法王庁の避妊法

ちょっこりひょうきん島

OFF OFFシアター(東京都)

2024/05/08 (水) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごく良かった。
単なる伝記に止まらない命の物語。純粋に謎に挑む荻野医師の演技が時にコミカル、時にシリアスで惹き込まれる。4人の女性の異なる視点での命の捉え方がそれぞれに胸を打つ。30年前の初演から様々な団体で再演されているのも納得。

及川さんのシーン、ほんとほっこりする。
あの花の演出、時の流れを表現していたのかな?心に残る演出。

もう、どうにもトまらないっ!!

もう、どうにもトまらないっ!!

海ねこ症候群

シアター711(東京都)

2024/05/09 (木) ~ 2024/05/12 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

新しいようで昭和の香も感じる不思議な空間。
親が子の習い事にかける思いがシンプルに表現されていて、多くの人の共感を得るんじゃないかな。
発表会っていう展開はあれだけど、最近の自分と重ねて思わずグッときた。
面白かった。

リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/05/16 (木) 19:00

120分。休憩なし。

ハムレットQ1

ハムレットQ1

パルコ・プロデュース

PARCO劇場(東京都)

2024/05/11 (土) ~ 2024/06/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

何度も見ている「ハムレット」である。この公演はQ1とタイトルが打たれているように最初の刊行版による公演と言うことで、短いといわれているが、どうしてどうして、休憩20分を入れるとちゃんと3時間ある。同じ時期に埼玉芸術劇場でも柿沢直人の従来の「悲劇・ハムレット」の伝統的作りのハムレットも上演されているが、こちらは新しい現代風に趣向を凝らした意欲作という。
うーん、なるほど。テキストのあれこれは、専門家にはいろいろ議論があるかも知れないが、一般観客として客席の感想である。
まず言っておかなければならないのは、いろいろあるが、つまらなくはない。ということである。今までのハムレットを見てきた方もいわゆる見たことのある名シーンは全部ある。それに、帰宅後もパンフレットを買っていようものなら、帰宅後それで又3時間はたっぷり楽しめる問題作である。
総合的には言いにくい作品なので問題点を次々に行く。
第一は、ハムレットを吉田羊が演じるということである。以前この劇場でジュリアス・シーザーを吉田のブルータスを始め全員女性キャストで森演出でやったことがある。そのときは感じなかった違和感がある。これは吉田のよしあしでは全くなく、ハムレットの役そのものを、ある種、普遍的人間とみて、性差関係なし、としている舞台作りの違和感である。今回は旅役者が全員女性だったり、フォーティンブラスも女性である。全員女性のジュリアスシーザーとは違う性差が表面煮立ってしまう。これはさまざまなところに反映してきてこの舞台を特徴付けることになっているが、それが観客にとってどうか?ということである。
テキストが違う点では,オフェリアとガートルードはどうだろうか。ともに女性役の芯になるこの芝居の見どころになる役だが、可憐に演じられるオフェリアはこれほど「尼寺へ行け!」をハムレットに連呼される(例えば河合の新訳版では六回しか言われていないこの台詞を、数えたわけではないが、見た感じ20回くらい言われている)上演は初めてだろうし、ガートルードは女性でなければという役と思うが、母性も庶民性も芝居も上手いのに王妃という肝心の役柄の一面が薄い。実は良人殺しはやりたくなかったんだという今回の解釈はそれなりに納得できるが、それが広岡のガラに会っているかというとそこは疑問である。(広岡、健闘である)飯豊はあまり藝歴を知らないが、現代的で乾いた感じだ。とても木の上で歌を歌っていて落下して溺死するという感じではない。この役をそれでまとめるとどうなのだろう。(こちらはミレー(J/エヴァリット)の川に浮かぶオフェーリアの画が頭に入っている。それではないというこの役の解釈はいくつも見ているが、飯豊は現代的で姿は人間として美しい普遍があるが、女性がやる以上もっと、性的魅力が出ても森解釈には違わないと網がどうだろう)要は、ジェンダーばやりなので打ち込んでみたと言うことかも知れないが、その意味がよく観客に伝わっていない。
他の配役についても、理由を聞いてみたいところはある。冒頭、城を守る城兵たちが、鉄砲を持っているというのは俄に近代的だが、それが一貫しているわけではない。あらわれる亡霊は、ドラマの中に役としても存在させたママなのだから、他の俳優たちの背広にネクタイ同様、劇を落ち着かなくさせていると思う。しっくり落ちていない違和感がある。
ロゼ・ギルのコンビが完全に道化役になっているのはどうか。これでは、ハムレットの旅そのものが道化になってしまう恐れがある。(最も芝居の進行には道化の方が面白いかも知れない。Q1では原文がそうなっているのだろうか)
終り(五幕)になるとあとを急いでいる感じで、いくら現代版でも最後の圧しが足りないと思った。場内決闘の場は舞台の上の人数も少なく、(必要ないと言えばそうかも知れないが)段取りめいて、大詰めの芝居らしい詰めの盛り上がりが乏しい。)
美術は名手・堀尾で、下手に向かって荒れ地が次第に斜傾の三角に積み上げられているだけの一杯セットで全幕を通す。ここには美術家の強い意志が見えるが、舞台の上の役者たちはセットの冷徹が徹底していないので、そこここに違和感がある。
劇中、歌が多用されていて国王暗殺の旅芝居はほとんどサーカスというか、ミュージカルである。この場の美術は突然空気が変わって面白い趣向であるが、浮いた感じも残る。
場割は、二幕構成で劇中劇の前で休憩20分、前後に1時間20分づつ、結局3時間で長い。いつもの上演とほとんど変わらない。

・・・といろいろあるが、言いたくなるほど面白くはある。一番の問題は、総体的に見ると、大きく変わった現代的なハムレットなのだが、一つ一つの新しい演出がどこは収斂していくのか、戯曲が収斂していくのを求める作品であるだけに、そこがよくわからない、というより、観客に感じ取れないところが一番の問題だと思う。
先のこの劇場の「桜の園」は新しい上に、その収斂の方向ははっきり解ったのでこれはゴメンと言えたが、これはそこがよくわからない。


リンカク

リンカク

下北澤姉妹社

ザ・スズナリ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

素晴らしかったです。舞台があのようなセットになっているとは…です。スズナリは何度も足を運んでいる劇場ですが、あそこまで舞台を作り変えた観劇は今回がはじめてです。最初の雨に濡れるシーンのためだけにあのセットをつくるのもすごいなーと思いました。

闇の黒蟲 ~漆黒双六悪徒錦絵~

闇の黒蟲 ~漆黒双六悪徒錦絵~

演劇企画戯舎

「劇」小劇場(東京都)

2024/05/02 (木) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/06 (月) 14:00

元々は落語の人情噺で講談化され歌舞伎化を経て井上ひさしが戯曲化もした藪原検校をベースにした作品にして5年ぶりの再演。
元ネタが元ネタだけに「講釈師」が随時登場して状況や端折った部分を説明して進め、黒地に白で松の木を描いた簾を背景に何種類もの小屏風を使って場を表すスタイルなど「立体講談」と言えるのではないか。しかも基本的には和風な中、「御用提灯ダンス」が洋風なのもアクセント。
そうして語られる物語は過去の罪を背負って(償わず)生きている者の因果応報的な末路……だが、初演時同様、主人公に感情移入して古典的な悲劇に思われてしまうのは不思議。

ファンタスマゴリ3

ファンタスマゴリ3

ガラ劇

中板橋 新生館スタジオ(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/15 (水) 19:00

Aチーム『#ガラ版銀河鉄道の夜』を観た。ちょっと驚くダークファンタジーだが面白かった。101分。
 風雷紡の吉水雪乃が出るので観に行ったのだが、タイトルから予想される寓話的な物語ではなかった。歌舞伎町の雑居ビルの屋上に集まる不良少女達の物語で、「銀河鉄道の夜」と似通った部分はないのだが、寓話的な感触は似ているかも。ちょっと心が痛くなる台詞が不穏な感じを醸し出すが、興味深く観て、ちょっとだけホッとした。期待の吉水は、あまりやらない役だと思ったが、しっかり演じ、っていうか、役者陣は皆しっかりしてた。面白い作品だと思った。

深い森のほとりで

深い森のほとりで

秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場

紀伊國屋ホール(東京都)

2024/05/10 (金) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/05/14 (火) 19:00

日本の科学研究状況を丁寧に描いた佳作。とても面白い。60分(15分休み)59分。
 あるウィルス研究室の4年ほどを描く。日本の科学研究の困難さが主たるテーマだとは思うが、さまざまな問題を取り込んだ脚本が実に巧い。展開に都合の良過ぎるところはあるが、それはドラマなのでしょうがないとして、儲かる研究、とか、女性が不利、とか、実に多くの題材をバランス良く点在させて、しかも笑いもあるというのは見事としか言いようがない。演じる役者陣も巧いが、研究者の卵役を演じた五嶋佑菜が印象に残った。
 セリフフェチの私としては、「少数民族」という言葉にリアリティが少なく、架空でもいいから「○○族」と表現した方がリアリティがあるように思った。

達磨さんは転ばない

達磨さんは転ばない

劇団龍門

シアターシャイン(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 初日を拝見。作・演は村手 龍太さん。如何にも村手さんらしい味のある深く而も観る者に勇気を与えてくれる作品。華5つ☆。ロンモチ、ベシミル!

ネタバレBOX

 金本 達磨は映画監督。名前からは想像するのが難しいが女性である。年1本のペースで作品を発表。数々の賞を受賞後、この5年間作品発表は無い。そんな彼女がキャスト募集オーディションをSNSで発信。応募者三千名を超える中から選ばれたのは僅か8名。共通項は1つの例外もなく闇を抱えた人々であった。応募の履歴書には、これ迄過ごしてきた人生を詳細に赤裸々に書くことが義務付けられていた。
 監督の5年もの沈黙は、表現ではなく利潤で差配される映画の製作過程で内容がスポイルされていることに対する挑戦があった。然しプロデューサーやスタッフからも著名俳優等を中心にキャスティングしなければ製作費が出ない、との反対意見が相次ぐ。当然、スポンサーやメディア報道等の動向も緻密にチェックしつつ、要所、要所に攻勢をも掛ける。こんな状況下、愈々オーディション当日に集められた志願者に対応した監督の為したことは? 通常のオーディションでは全く考えられない破天荒な内容であった。言ってみれば、それは各々の生き方そのものを問う、否根底から問い直す修羅場であった。集められた者全員と監督の面前で各々がありきたりの仮面、偽装、表の顔を剥がされ剥き出しの自分自身と対峙してゆく。そしてそのことを通してハッキリ己自身の位置と裸の己を正確に把握してゆく。即ち世間体等という表層を脱し己自身を確立してゆくのである。
 この過程が、監督の新たな作品だと分かる迄に二転、三転・・・と物事の本質と表現行為、皮相でしかない「現実」との対比、葛藤、止揚が行われる。この間の丁々発止が見ものだ。而も警察の者だと登場する人物による社会戯評が的を射ている。脚本、演出、演技も良く、先にも書いたように兎に角観る者に元気を与えてくれる作品である。
マクベス

マクベス

King's Men

座・高円寺2(東京都)

2024/05/14 (火) ~ 2024/05/16 (木)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

SHAKES2024~それは夢、だが人生という永劫の物語

SHAKES2024~それは夢、だが人生という永劫の物語

『SHAKES2024』製作委員会

俳優座劇場(東京都)

2024/05/15 (水) ~ 2024/05/19 (日)公演終了

実演鑑賞

日本でのシェクスピアの受容も幅広くなったもので、これは2.5ディメンションである。
2.5の世界も多彩になって業界内では、単一の興行主体が公演の責任を持つのではなく、映画のように持ち合いの製作委員会方式による製作もあるようだ。受付で、とは言っても責任幹事社はあるだろう?どこ?と聞いてみたが、受付はそれ以上のことは知らなかった。3D-Deluxの砲はもう十五年以上のキャリアのある2.5の演劇集団、
UNiFYの方は男性の男性ヴォーカル10名。まだキャリアは短い。いずれも初見である。
歌、踊り、アクション、驚き、笑い、涙をシェイクした舞台というのが売り文句。そこにに、今回はシェイクスピアの言葉をトーリのストーリの展開に取り入れている。欲張ったものだが、それが出来るところが2.5で、夢を持つ若者たちがシェイクスピアランドという遊園地のアトラクションの主役になり、それが、イギリスにも売れ、世界的なスターになるという大筋を売り文句通りにやってみせる。とにかく一瀉千里で役者も観客も忙しいが、段取りだけは初日なのに、ほぼ、ぼろも出さずにやりきったのは、スタフも役者もこういう舞台になれてきているということだろう。客席が若い女性客の固定客ばかりで8千円から1万1千円は、ショーの参加費という感じだ。ここから先は大変だろうが、あまり演劇に迫ろうという気もなさそうだった。ファン席は満席だったがこれで四組もチームを作って大阪、名古屋もやるという。興行としては成立しているのだろう。


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