よこまこの観てきた!クチコミ一覧

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風来

風来

TheatreGroup“OCT/PASS”

白鳥ホール(宮城県)

2011/02/10 (木) ~ 2011/02/13 (日)公演終了

満足度★★★★★

約8年ぶりの観劇でした
もう、とにかく、楽しかったです。

嫌味のない、お祭り的な体験。
気持ちいいアングラ、みたいな。

や、もちろんそれだけじゃないけど。


素敵だなって思うのは、
「よかった」とか「面白い」とかいった外側からの言葉ではなく、
「楽しい」という自らも当事者だからこその言葉がしっくりくるという点で、
それは観ている観客もその作品の一部として「自分事としての体験」を
得られたからこそ自分の中に自然に生まれてきた感想だったんだと思います。

ネタバレBOX

なんというか、この作品を「古臭い」と切り捨ててしまえるような人とは
たぶん自分は一生話が合うことはないし、合いたくもないなって思います。

てか、そんな人はずいぶん世の中狭く使ってるなぁって思う訳ですよ、ほんとに。


そんなさ、何かとの比較で語るような作品ではこの作品は決してなくて、
ただただ目の前で繰り広げられる世界に巻き込まれてしまえばいいんです。

ただ、そのための仕掛けは十分に組み込まれていますから、
そんなに心配することもないのでしょうけれども。



あと今回、片倉さんが抜群によかったです。

出てくるだけで舞台上も客席も空気が変わるのを感じて取れたし、
たぶんそれは作品の上で要求されていたことなんだとも思えたから、
それに見事に応えていたってことなんだと思います。

ほんとにもう、すっげぇ素敵な女優さんだなぁって感じました。



自分の演劇の故郷が仙台であることに誇りを持たせてくれる、
素敵な時間と素敵な空間と、そして素敵な人達でした。

本当に、ありがとうございました!


大阪公演も素敵な公演となれるよう、遠くから祈っております!
無邪気で邪気なみんなのうた【総製作期間2週間終了しました!】

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ぬいぐるみハンター

参宮橋TRANCE MISSION(東京都)

2010/10/08 (金) ~ 2010/10/11 (月)公演終了

満足度★★★

俳優への仕掛け方がよかった
この団体は、『モグラの性態』以来2度目の観劇。

ネタバレBOX

自分はブルーハーツが好き過ぎるので、
芝居中の台詞とかでブルーハーツやハイロウズの歌詞を安易に盛り込まれると
どうしてもイラッときてしまうのだけれども、
何故かこの作品からはそういう感情が一切生まれなかったです。

なんだろう、もしかすると、
そこに創り手の切実さを感じたからなのかもしれません。


また、俳優達への仕掛け方も効果的で、
舞台上の様々な要素が結構ぎりぎりのところで
絶妙に噛み合っていたように感じました。


ただ、欲を言えば、もう少し全体的にコンパクトにできたような気も。

一つひとつのやり取りの旬な瞬間への未練のためか、
各シーン共に面白くはあるもののやや引っ張り過ぎな感があったので。

あのノリでいくならば、もっとドライブ感が生まれても
観客は全然ついてゆけたと思うし、
むしろ少しくらいついてゆけなくなるくらいが
丁度いいんじゃないかなとさえ感じていたので、、
そこら辺が個人的には勿体無かったかなという印象でした。


とはいえ、とても楽しい時間を過ごせたのは事実で、
残りの2ステも、怪我のないよう気を付けつつ
最後まで駆け抜け切って頂けたらなと思います。


ちなみに、☆3つとしたのだけれども、これは限りなく4つに近い3つです。
「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」

「オイディプス王」「タイタス・アンドロニカス」

劇団山の手事情社

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/12 (日)公演終了

満足度★★★★★

巻き込まれてゆくような、
かなり遅くなりましたが、書いておきたかったので、、、

ネタバレBOX

細胞の一つひとつが覚醒していくような、
まばたきすら惜しくなるような、
呼吸する重みが増すような、
脊髄が痺れるような、、、

そんな舞台だった。


外側から観ているというより、自らも巻き込まれてゆく感覚。

あの場に身を置いているだけで、
体だったものが身体へと変わってゆくように感じた。


観る事ができて本当によかったと思う。
とろける魚

とろける魚

東京のくも

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2010/09/02 (木) ~ 2010/09/05 (日)公演終了

満足度★★★

今後も観続けていきたい
色んな人が薦めてくれていた理由が、分かった気がする。

とはいっても、はっきりと理解できた訳ではなく、
肌で味わってみた結果、「ああ、なるほど、こういうことね」と
直感的に身体が学習した感じ。

でもたぶん、この感じ方で間違ってないんじゃないかなとは思う。

ネタバレBOX

登場人物にしても舞台上で行われている会話にしても、
別に特別なものは存在していないのに、何故か記憶に残る、、、
いや、「残らされてしまう」といった方が適切か。

なんとも言語化させにくい、妙な感覚。

こういうもやもや感は初めての体験かも。


舞台上で繰り広げられる場面はベタで説教臭い感じもするし、
そのしつこさが不快に感じる瞬間も結構多かったんだけど、
不思議なことにその不快さが逆に作品の引力を強めているような気がした。

しかも、分かり易く振り切った不快さで押してくるのではなく、
靄がかった景色の向こうから狙われているような
得体の知れない不快さでこちらの感性に攻めてこられるので、
気付いたら向こうのペースに呑み込まれていた。

そのためか、観劇後もしばらくもやもやしっぱなしで、
頭の中の整理がつくまでに相当時間がかかってしまった。


俳優陣については、
言葉、そして空間をうまく自分のものにできている人と
そうでない人の差がだいぶあったようには感じたが、
全体的には決して悪くはなかったと思う。

むしろその俳優一人ひとりのちぐはぐ感が
あの何ともいえない不安定さを生み出していたようにも感じた。


これまでにないような不思議な体験ができたので
ほんと観に行ってよかったなと感じたし、
今後も観続けていきたい団体だなとも思った。


これは自分の勝手な印象なので
実際の創り手の人達がどう考えているのかは分からないのだが、
意図的に観客をネガティブな感情の渦に巻き込ませて
ある種の非日常的な体験を促す作品は結構あるけれども、
ここの作品は、それをこれまでにないアプローチでやっているように感じた。

今後、この人達がどう変化してゆくのか、しかと見届けてゆきたいなと思う。

ただ、こういうじわじわと脳内を侵蝕してくるタイプの芝居は、
個人的には猛烈に消耗させられるので、
観る際のコンディションは気を付けなければなとは思う、、、
悪役志願

悪役志願

黒色綺譚カナリア派

座・高円寺1(東京都)

2010/08/20 (金) ~ 2010/08/26 (木)公演終了

満足度★★★★★

本当に、痺れた
今回、これまでの「アングラ劇団」という括りから抜け出して、
「カナリア派」としてでしか説明のできない表現に
到ったのではないかと感じさせられた公演だった。

ネタバレBOX

あんなにも脳も皮膚感覚も活性化させられる舞台作品がどれだけあるのか。

たぶん「分かりやすい」ということに物足りなさを感じる人もいるのだろうが、
しかし自分にとってはそんなことはどうでもよく思えるくらいの充実感を
あの濃密な時間と空間から得ることができた。


確実に、出会うことができてよかったと心の底から思える作品であった。
さらば八月のうた

さらば八月のうた

劇団M.O.P.

紀伊國屋ホール(東京都)

2010/08/04 (水) ~ 2010/08/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

今更ながら感想を、
半端なくよかったです。

こんなに芝居を観終わった後、
清々しい気持ちになれたのはあまり記憶にないかと。

カーテンコール時の拍手の大きさが、
自分がこれまで観てきた芝居の中でも
一番大きかったんじゃないかってくらいにすごくて、
でも、それも十分に納得がいく、観ている側に何かを与えてくれる芝居でした。

ネタバレBOX

「ラジオ」
「船上」
「歌」

という3つの糸が、絡み合い縺れ合いしながらも
気付けばいつの間にやら美しい生地が編み上げられていた、
というような印象で、しかもその過程で描かれている一つひとつのシーンも
非常にしっかりと創り込まれていたため、
終始とても心地よい気持ちで観ることができました。


船の上にいる時の潮の薫り、
夜空に浮かぶ月や雲、、、

或いは、

時代時代によっての身体性の違いや
場全体の時間の流れ方、、、

そういった基本的なものがしっかりと描かれていたことも、
心地よさの理由のひとつであったのではないかなと思います。

これはマキノさんの演出の力もそうですが、
やはり実力を持った俳優陣によるものも大きかったように見受けました。

あの俳優陣だったからこそ、
その舞台上に生み出される場には常に説得力があったように感じます。


その俳優陣の中では、特にキムラ緑子さんが素晴らしかった。
あそこまで芸の幅が広いのかと観ていてくらくらしてしまったほど。

今回2役やっていたけど、途中まで同じ人だと気付きませんでしたよ。

でも、緑子さん単独でよさが光ってる訳じゃなくて、
ちゃんと他者との関係性の上でその役が光っていたのが素敵だったんです。



それにしても、マキノさんの笑いって、
登場人物の格を落とすような笑いじゃないからいいですね。

その人物に愛を与えてくれる笑い、みたいな。


しかし、そうは言っても人間の醜い部分もしっかり描いてはいて、
決して綺麗な事ばかり描いている訳ではないとも思うのです。

ただ、そういったネガティブな要素でも
全て受け容れさせてくれるような不思議な力がある気がします。

なんだかそこに、立川談志師匠が言う「落語は人の業の肯定だ」
という発想に近いものを感じました。


まだまだ書きたいことは尽きませんが、、、

や、観ることができてよかったなと心の底から思うことができた傑作でした。


26年間という長い間、本当にお疲れ様でした!

この公演に立ち会うことができて幸せです。ありがとうございました。
日常茶飯事

日常茶飯事

スミイ企画

アトリエ春風舎(東京都)

2010/07/27 (火) ~ 2010/08/01 (日)公演終了

満足度★★★

色々新鮮で楽しめた
愛しの宇田川さんが出演しているので、
もう迷うことなく観に行ってきた。


実際に見終わってみた直後の感想としては、
「ああ、人の身体って面白いな」ってことと
「ちょっと、エロかったよな」ってことが真っ先に浮かんできた。

や、たぶん、他の人が観たら別にそうでもないのかもしれないけど。

ネタバレBOX

舞台上で行われている会話の内容は
自分も普段からよく考える事ばかりだったし、
だから物凄く分かるなぁとも思ったのだけれども、
何故かそれが共感というところには結び付かず、
常に客観的な視点からそのやりとりを眺めているような
感覚であり続けていたのが不思議で面白かった。


観ている時の感覚としては
身体系WSのエクササイズに取り組んでいる様を
外側から観ているような印象だった。

リアルタイムで変化し続けている自らの身体と向き合いつつ、
常に発見を見出そうとしている中で、
でも発される言葉の内容は自意識的な要素を中心に扱っている。

そのズレが先に書いたような感覚に繋がったのかも。


ちなみに、「WSのエクササイズを外側から~」というのは、
もちろんそこから表現に繋げるための仕掛けは
存在していることを前提にした上での例えなので、
決して不完全なものを舞台に乗せていたという
意味合いで書いたものではないのであしからず。


あと、これは個人的な話なのだが、
ところどころで自分が所属していた団体の表現手法に
似ているなと感じさせられた瞬間があったことも、
自分がここの表現に興味を抱いた原因のひとつなのかもしれない。


次も観てみたいなって思った。
∞INFINITY

∞INFINITY

東京オレンジ

駅前劇場(東京都)

2010/07/13 (火) ~ 2010/07/19 (月)公演終了

満足度★★★★

毎年毎年、楽し過ぎる
即興と聞くと、変な先入観を持ってしまう人もいるだろうけれども、
この団体の即興は、ちゃんと観賞のために創られたものであって
俳優訓練を目的としたインプロとは一線を画するものだと思う。

特に今回は、これだけ素敵メンバーが揃っているのだから、
面白くない訳がないんですよ。

そしてその通り、素晴らしい出来の舞台でした。

ネタバレBOX

まずいきなりの清水さんの前説。

出てきてほんの数秒のうちに観客の興味を全て舞台上に
惹き付けてしまうあの強烈な引力。

しかもそれが全然押し付けがましくなくて、
気付いたら客席が皆前のめりになっていた、、、というのが素敵すぎますよ。

あれがあるかないかで、
観客の見方が相当違っていたはずです。

今日のあの一丸となっているように感じられたあの客席の空気感は、
完全に清水さんのお陰であったなと。


さて、インプロなのでネタバレも何もあったもんではないと思うけれど、、、
とりあえず、感じたことを何となくつらつらと書いてみます。

インプロの舞台を観ている際によく感じるのは、
「その時の役の心理の流れ」と
「俳優自身の心理の流れ」の両方が同時進行で
見えてくる二重構造になっているので、
いわゆるストレートプレイの芝居とは
また一味違った観劇の楽しみ方があるなということ。

そして、そういう見え方で進行してゆく中にも
観ている側がその俳優の心理の流れを忘れて
役の心理の流れだけしか見えなくなる瞬間があったりするので、
逆にそれがより劇的に見えてくることもあるのが面白いよなってことです。

今日の舞台を観ていて、
そういう瞬間にもいくつか出会うことができたので、
とてもよかったなと思っております。


また、今日行ったゲームのひとつである「ピクチャーズ」などは、
『マームとジプシー』の創作の手法に通じるものがあったので
個人的にはかなり観ていて興味深く感じさせられました。


まあ、優れた構造を持ったインプロメニューに
卓越した力を持った俳優陣が全力でぶつかってゆくからこそ、
あれだけの魅力的で刺激に満ちた空間を生み出すことができた訳で、
出演者の方々には心から敬服致します。

本当に、観に行けてよかったです。
幸せまであと少し

幸せまであと少し

赤堤ビンケ

荻窪メガバックスシアター(東京都)

2010/06/30 (水) ~ 2010/07/05 (月)公演終了

満足度★★★★

ビンケのよさを再確認
なんというか、本当に力のある人達がヘタウマに徹している凄味を感じた。
や、あれをヘタウマと見るかは人それぞれだと思うけど。

でも、個人的にはあれを違和感なく
成立させることができるのは相当難しいことだと思った。

たぶん今回やっているようなことは
一見するとどこでもやっていそうに見えるが、
あれは力のある俳優陣が本気で場に飛び込んでいるからできることで、
そこいらの凡百の劇団には決して真似はできないなと思う。

ネタバレBOX

心の声を予め録音されたものを使って流すとか、
携帯電話の着信が音響でスピーカーから出ているとか、
メールの文章をプロジェクターで壁に投影させるとか、
本来舞台でやったら痛い目に会ってしまうような手法を
あえて率先して選択しているところに、創り手の強い意志を感じた。

あえて舞台表現における禁を犯すということは、
俳優に対する演出の絶対的な信頼がないとできないし、
俳優達にも相当な自信がないとできないことだと思う。


結果としてそれが他では決して出せないような
なんとも不思議な世界観を創り出しているように感じた。

しかも観ていて全く危なげなく見えたのがすごい。


たぶん、演出も俳優もスタッフも皆何が一番大切なのか心得ていて、
その上でちゃんと場に殉じてるからできることなんだと思う。


それにしても、うっしーの役は、あまりに意外過ぎて笑った。

明らかに色々とおかしいはずなのにえもいわれぬ説得力があって、
見ているうちにいつの間にか納得させられてしまっていた。

ほんと、こういうとこがうっしーの凄いことなんだよな。

個人的には、こういうポジションのうっしーって
結構効果的だと思ってたから、ナイス起用だなって思った(笑)

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