ぐまぞうの観てきた!クチコミ一覧

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紅白旗合戦

紅白旗合戦

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

先ずは一回目
面白い。『ナイゲン』超えてる。でも、これからもっと良くなる。来週の再訪が楽しみ。

メロメロたち

メロメロたち

悪い芝居

赤坂RED/THEATER(東京都)

2016/07/26 (火) ~ 2016/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/07/30 (土)

物凄く良かった。山崎彬の感情を揺さぶる力強い筆致と岡田太郎の楽曲が、がっちりハマってた。自分でもよく分からないところでボロ泣きしてしまって吃驚。『わが星』と同じ様な体験。魂鷲掴みにされた感が凄い。演劇でなければ味わえない体験。これがあるから止められない。

変則短篇集 組曲『空想』

変則短篇集 組曲『空想』

空想組曲

シアター風姿花伝(東京都)

2013/07/06 (土) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

不思議な感覚
軸になってる男女の話で終盤涙止まらなくなった。がっつり来るのではなくじわじわと、気付くと最後の方は何かずっと泣いていて自分でも吃驚。何でそうなったか分析することは出来ると思う。でも、観ている時はただ訳もなく涙が止まらない。そんな不思議な感覚。

ネタバレBOX

それぞれの話が時系列で繋がる伏線回収の流れである結末に向かっていく事が予想される哀しさ。なのに最後の仕掛けで淡い希望が見えてきて思わず幸せを願わずにいられない。直前のギャルソンとシェフのやり取りもガッチリ効いていて、各々の別れの形の切なさの対比も泣ける。

サイドストーリーの『天使が通る』と『彼に似合う職業』も良かった。前者は心温まるストーリー。個々の独立した短編としては、これが一番好み。後者も近いテイストかと思っていたら、そこからひっくり返された。これも変則短編組曲ということで構成の上手さか。ダマされた。

全編を通じてだが、葛木英ってこんなに可愛かったっけ?というぐらい可愛かった。メインストーリーのシーンも、ファミレスのシーンも相当なギャップ萌え。あと、今年のクロムの本公演でも思ったが、カーテンコールの際のやり切った感が観ていてホント清々しい。

非常に残念な事に公演中に携帯鳴らしたバカがいた。今年二度目のガッカリ。基本的なルールが何故守れない。で、怒りついでに空想組曲の制作担当者様へ、受付開始時間と開場時間がこりっちの受付メールと違い過ぎます。季節と劇場の位置を考えてもっと誠実な対応をお願いします。
紅白旗合戦

紅白旗合戦

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2015/03/18 (水) ~ 2015/03/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

再演を期待
結局2回しか観ることができなかったのがとにかく残念でならない。非常によく練らた脚本で笑いどころが随所にある。伏線も確りと巡らされていて回収の仕方も華麗。『ナイゲン』の発展系として会議前、会議後の情景をうまく表現。しかも、笑いだけでなく終盤の生徒たちのやりとりは、それぞれが大切にしているものに対する考えが交錯して胸が熱くなる。間違いなく逸作だと思う。『ナイゲン』同様再演を重ねることで、もっと良くなっっていくと思うので今後の再演に期待。(因みに『時をかける稽古場』も早めに再演してほしい)

ネタバレBOX

ただ残念なのは、前半で観た際には、演者に役が浸透していないのかセリフの噛みというよりも言い直しが多くて流れがブツブツ切れる場面があって勿体無かった。1週間後に観てガラッと雰囲気が変わっていたので、公演期間前半は恐らく役者の不安がそのまま全部舞台に出ていたのではないかと思う。初見時は、とにかく斉藤コータやボス村松、津和野諒、川添美和などがピンポイントで笑いを取っていくことで成立していた部分があって。(2度目を観ての比較として)全体的にセリフを吐いているだけの状態で脚本の面白さだけで成立していたように思える。2度目を観た際、全体的にセリフがない状態での細かいアクトが凄く目に入ってくるようになったし、熊谷(有芳)、木村(沈ゆうこ)などの生徒側の情感が圧倒的に豊かになっていて心から震えた。

特にそれを感じたのは、序盤のつかみネタ(木村と前田のループ「いや、それは無理だね」ネタ)。初見時は津和野諒が突っ込むまで笑えない状態だったが、2度目観た時は2周目の「いや、それは無理だね」で笑えるキレが出ていた。細かい表情や言い回しが違っていたし、周囲のアクトのアシストも効いていた。しかも、このシーンで表現されている木村の融通の利かなさが、終盤の監査委員長として健気に職責を全うしようとして強硬策を主張する生徒会長の熊谷と衝突していく場面、そして、そこからのラスト熊谷が独り挙手せずに議決が決着する場面に繋がっていって、これには本当に感動した。初見時は成る程と思った程度だったあのシーンが(手を挙げないことを知っているのに)挙げなかった瞬間、鳥肌立つほど感動した。

作品の構成上『ナイゲン』とどうしても比較をしてしまうが、全会一致の内限と多数決の連協の違い、生徒会内部の会議である内限と生徒会対教員の連協、この構造の違いが、作品の笑いのポイントの違いであり、どさまわりと熊谷が見せたラストの違いに繋がっていったのだろう。

今作はどうやら完本が相当遅れたようなので、前半と後半で完成度の差が出ていたのは残念。再演重ねてもっと熟成させて欲しい。
わが星

わが星

ままごと

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2015/05/16 (土) ~ 2015/06/14 (日)公演終了

満足度★★★★★

流石の名作
全編いかにも演劇的な演出。SFチックな設定とダンス/音響/照明で観やすいし面白いとは感じるものの、正直あんまり刺さらないままストーリーが進んでいく。ところが、終盤「こここそ、わが家、わが星」で自分でも信じられないぐらい泣いた。感情が高まって溢れる様に泣くのではなく、突然に身体が反応して泣いた。とにかく吃驚した。こういう事があるから観劇は辞められない。

新宿コントレックスVol.14

新宿コントレックスVol.14

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2015/07/07 (火) ~ 2015/07/07 (火)公演終了

満足度★★★★★

アガリスク三昧
全部面白かった。短編からショートショートまで。全て満足。
個別の感想は「ネタバレBOX」で

ネタバレBOX

『お父さんをください』
元は鹿島ゆきこが演じていた娘役を沈ゆうこが。どちらも味があるのだが、今作はライブで観た沈ゆうこが程よく幼く可愛くエロい感じて良かった。『ナイゲン』でのブレザーも良いが今作のセーラー服も似合う。序盤の鋭いツッコミからアガリスク得意の立場の入れ替わりが絶妙

『LiePhone4s』
初見の際に受けた鮮やかな伏線回収の衝撃をそのままに、グッと分かりやすさが増した。鹿島ゆきこ演じるアキが全てに気づいていく中で何度もバッタリと倒れこむシーンが兎に角好き。沈ゆうこの長ゼリフ決めての小さくガッツポーズに思わず拍手。

『P3/4』
初演を観て感じた謎がある意味解けて、ある意味深まった。演出と偶然の間に巧妙に笑いを配したラスト。五六回は演ってもらわないと謎が解けないのではないだろうか。塩原俊之が観せる、本格バイオレンスなのに笑えるという例のシーンは今作も爆笑した。

『エクストリームシチュエーションコメディ・ペア(劇王号)』
トリは勿論これ!淺越岳人と塩原俊之は4作連続で相当疲れを見せていたが、ラストはコレしかない。アガリスクを代表する作品。デキという意味では、劇王参加時にの際に及ばないが、やっぱり面白い。女性版の再演も是非

『アボカド』『火星木星土星』『グローバリゼーション』
幕間をキッチリ埋める小作品。良かった。もう確信犯的なツクリでオチに運んでいく技巧が素晴らしい。いずれも最後の最後にそれヤるかというのが好き。特に『火星木星土星』のオチは刺さって爆笑してしまった。
時をかける稽古場

時をかける稽古場

Aga-risk Entertainment

サンモールスタジオ(東京都)

2014/06/07 (土) ~ 2014/06/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

分かって観てる2回目の方が笑った
冨坂友の脚本がいい。時間移動ものを見事に描ききっていて納得度が高い。しかもコメディ。あそこまで破綻なく笑いを織り込み最後には心を打つとは。2回観たが分かって観てる2回目の方が笑ったというのも貴重な体験。

ネタバレBOX

SF好きが観て充分に納得ができる設定と展開なのだが、恐らくそこまでSF知らなくても楽しめる説明の上手さに感動。タイムマシンの設定は特に秀逸。機能が限定されていてしかも有限というのが本当に良く出来ている。

斉藤コータと津和野諒が破壊的に笑わせてくれる。特に今作の津和野諒は、ちょっと尋常じゃなく面白かった。個人的には彼女云々よりもタイに飛ばされるかものくだりが大好き。

細井寿代が序盤に追い詰められるシーンも凄く好き。真っ直ぐで素直なリアクションが状況設定で笑いに変わるというシチュエーションコメディの真骨頂。しかも、設定を確りと理解させる運びの上手さ。

熊谷有芳の真っ直ぐなキャラクタも良かった。初めてアガリスクで自ら損を拾いにいくタイプ観た。真面目で責任感の強い真摯な姿がハマっててクライマックスで泣きそうに。劇中時折観せる笑顔がとても素敵。あと柔軟がすげー綺麗で観惚れる。

中盤展開上の理由から暗転連発になり中弛みするが、沈ゆうこが出て来てツッコミで場を攫いつつ緊張感を取り戻すのも好き。初日はなんとなく馴染んでいないような感じがしたけど、2度目観た際はバッチリ。
ナイゲン【ご来場ありがとうございました】

ナイゲン【ご来場ありがとうございました】

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2013/09/26 (木) ~ 2013/10/08 (火)公演終了

満足度★★★★★

完成度高い
完成度の高いワンシチュエーションコメディ。久々に満足度の高い作品観た。構成がしっかりしていて、後半の伏線回収が上手い。キャラクターもしっかりと個性があって納得度も高し。題材も展開も好み。これで前売一般2500円はコスパ良すぎる。

ネタバレBOX

立ち上がりで席をセッティングするのだが、入ってきた瞬間から沈ゆうこに惹きつけられた。生徒会にいる真面目生徒そのもの。前髪ヘアピンとか似合いすぎ。後半ミニスカサンタのくだりでツッコミ入れ続けるシーンが好き。

淺越岳人 の理屈っぽい喋り方とか議論のやり口が印象的。あの感覚、まさに自分だ。高校時代も、おそらく今も。無茶苦茶親近感があった。途中で燃え尽きちゃうのも。最後、逆に榎並に救われた感じが更にいい。

毎回作品がこのレベルだったらあっという間に有名団体になりそう。次回作にも期待。勿論再々々演も期待。コメディは、正直外れ引く確率が高いので、こんなレベルのコメディ作品にコンスタントに出会えたらどんなに幸せだろうか、と思わされた。

受付の対応が良くて感動。あんな気配り滅多に受けないぞ。普段は販売員でもやっているのかというレベル。アンケートフォームも良くできてる。いい制作。アンケートでDM送付先住所書いたの何ヶ月ぶりだろ。
ナイゲン(全国版)

ナイゲン(全国版)

Aga-risk Entertainment

にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)

2015/10/03 (土) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★★

11/13-14の東京FACEも楽しみ
​2013年版からオープニング含め分かりやすさと論理の流れを整えてあった。試演会ならではのチャレンジングな試みもちらほら。「ギリギリじゃねーか」が京都では復活とのことで東京FACEも楽しみ。

ネタバレBOX


監査役の沈ゆうこ。
2013年版のオープニングで入場してくるところから惹きつけられた。雰囲気がとてもいい俳優。
客演先も観に行くほどのファンです。ヘヤピンメガネ真面目キャラでのツッコミが本当にハマっている。

花鳥風月役の淺越岳人。
ハマリ役のアイスクリスマスから花鳥風月へ。全国版では1年前の出来事の厚みが増している。
オープニングやラストでのどさまわりとの掛け合いが、アガリスクの2人でというのが感慨深い。

アイスクリースマス役の津和野諒。
淺越岳人のハマリ役を引き継ぐという難しさがありつつも、流石そこは妖怪おもしろ猫背(沈ゆうこ命名)。
本当に器用な俳優でなんでも面白く出来る。アガリスクでの斉藤コータとのタッグは鉄板

海のYeah!!役の斉藤コータ。
ナイゲンで最も美味しくて難しい役柄である海のYeah‼︎は、彼しか想像出来ない。
どうにもならない言い訳を繰り返して最大の窮地に追い詰められていく様が絶妙で本当に何度観ても笑う。

文化副委員長役の鹿島ゆきこ。
本作最大のトラブルを引き起こす他、細かい争いを何かと誘発する小悪魔。
ラストはける際の沈ゆうことのやり取りが素晴らしい。関西人と気づけないほど標準語でのセリフ回しが綺麗。

文化書記役の金原並央。
演技をしながらの板書が職人技の域に入っている。浮気発覚からの携帯電話の画像拡大していく姿が鬼気迫ってて印象的。
ハワイ庵とクラスメートだということが伏線になっているのがまた良い。

ハワイ庵役の細井寿代。
独特のふんわりとした雰囲気が殺伐とした会議を和ませる。アガリスクの『時を駆ける稽古場』でも観せた、
一気にプレッシャーかかってテンパって名ゼリフが飛び出す演出が凄く笑えて印象的。

Iは地球をすくう役のさいとう篤史。
1年生を中心に展開される前半のキーマン。正義感が空回りしていて上級生からいじられてはキレるというパターンが面白い。
あと、色々指摘入っていたが、確実に太ってた。

道祖神役の信原久美子。
さいとう篤史とのプチバトルが面白い。3年の中では唯一前年の文化祭実行委員に関与しておらず、
普通の高校生活を大事にしている多数派代表。会議のバランスを取る大事な存在。

おばか屋敷役の古屋敷悠。
兎に角キモさを全面に押し出してくる。盛りに盛っていて、長谷川一樹版とは違った味が出てる。
共通なのは、2人ともナチュラルにそういう要素がないと出せないキモさ。

3148役の榎並夕起。
最も女子高生感が出ているキャスト。最年少だから当たり前かもしれないが、2013年版と殆ど外見と印象が変わらないのは結構凄い。
おばか屋敷に好意を持たれている事が今作はより可哀想。

議長役の甲田守。
オープニングとラストで一番変化があるキャラクター。ラストの淺越岳人と塩原俊之との絡みがやはり見せ場。
自主、自由、自立のひとつの答えを明示してくれる。ラストの消灯が沁みる。

どさまわり役の塩原俊之。
国府台高校の気風を愛しているが故の行動の熱さを熱演。会議の最後に挙手する際の気持ちは、
どの様に表現すれば良いのかちょっと難しい。納得なのかしぶしぶなのか。FACEで最後の確認を。
トーキョー・スラム・エンジェルス

トーキョー・スラム・エンジェルス

Théâtre des Annales

青山円形劇場(東京都)

2014/11/14 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了

満足度★★★★★

テキストが秀逸
テキストが秀逸。表裏一体呼応する2つのストーリー。貨幣経済と資本主義に対する鋭い洞察と理解を驚くほどシンプルに表現してみせる谷賢一という才能。全編通して彼の美意識が貫かれている。兎に角格好イイ。

ネタバレBOX

牛乳瓶のフタのストーリーは凄い完成度。与信とインフレを小学生の世界に再現し、もう少し余裕があれば、信用取引やレバレッジまでも盛り込もうとしていたというのに吃驚。デリバティブ取引まで観たかった。

一番の刺さりどころは仕事に対する考え方の表現。「堕落」しないのは「物差し」が在るから。オガタは「私には辞めないことに意味が在る」と言い、ヤマネは「続ける事が俺には戦いだ」と言う。これは泣いた。

力量の高い俳優陣の中で古河耕史、井上裕朗の一人二役の乖離の凄まじさが印象的。バックボーンが非常に近いのに何処かで進む道が分かれてしまった二人のコントラスト。一度拡がった格差は縮まらない。

そして一色洋平、稽古の段階から相当「可愛がられていた」様子が目に浮かぶ。心身共に制御能力の高い彼が制御しない演技を求められていたのか。相当に苦しんだのだろう。結果、明らかに今迄と違う。いい意味で。
夏目漱石とねこ

夏目漱石とねこ

DULL-COLORED POP

座・高円寺1(東京都)

2015/02/05 (木) ~ 2015/02/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

何度でも
オープニングの演出が素晴らしく綺麗。光と影のコントラスト。横に広い座・高円寺の舞台を左右に狭く、逆に奥行きをもたせて前後に深みをもたせる演出も良かった。谷賢一の描く世界の格好良さには最近やられっぱなし。1回だけでも楽しめるけど、一度では受け止められないほどに、そこに込められている想いの多さを感じる。夏目漱石に関する周辺情報もある程度入っているとより楽しめる作品。

ネタバレBOX

大きな波を意図的に作っていないにもかかわらず、時間の流れがあっという間。気付くとラストまで一気に持っていく運び方がとても上手かった。誰かが突出する訳でもなく一個の作品としての完成度の高さが素晴らしい。

個人的に心掴まれたのは、正岡子規のシーンと、きんのすけのシーン。

正岡子規の空中散歩のあとのラスト「きちんと子供をやらなかったから、お前は今でも子供なんだよ」で刺さった。泣いた。谷賢一に自分の中にある漱石と同じ部分を抉られた感覚だった。

あとは、きんのすけのラスト、漱石と金之助のやりとり。きんのすけ(百花亜希)の涙。心を揺さぶられた。孤独ではなくただ寂しい。その寂寞感で涙が出てきた。百花亜希にはとにかく心を揺さぶられる。しかも、その流れの中で最後に漱石が鏡子に対して「今夜の月は、いつもより綺麗だよ」と来るから涙が止まらなくなった。苦しくてどうにかなるかと思った。

今作は流石のDULL-COLORED POP本公演という部分も満載だった。若林えりが担うオープニングアクトでスムーズに物語を運んでいき要所要所で物語を締める。中村梨那が今迄に観せてきた天真爛漫な姿と全く違う艶っぽい姿で観客を魅了する。堀奈津美が今作おそらく最も難しい20代の鏡子を好演して木下祐子に繋いでいく。塚越健一が抜群の存在感で漱石の人物像をあぶり出していく。百花亜希が劇場内を寂寞感で包み込む。東谷英人がラストのトリックをサラッと観せて綺麗にラストに繋げていく。それぞれに見せ場ばありつつ、全体の調和は崩さないバランス感が流石だった。
七人の語らい/ワイフ・ゴーズ・オン

七人の語らい/ワイフ・ゴーズ・オン

Aga-risk Entertainment

シアター風姿花伝(東京都)

2015/08/20 (木) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

グランプリ!
シチュエーションコメディの進行の中で、そのベタな部分にツッコミを入れていく二重構造。そもそもの手法は、彼らの代表短編『エクストリームシチュエーションコメディ』の発展系。ベースとなる『ワイフ・ゴーズ・オン』そのものも面白く作ってあるところが出色。

ネタバレBOX

大事な部分は、劇団員の4人が確り押さえて、爆発的な笑いは最強客演陣が巻き起こす。矢吹ジャンプは、主役として戯曲そのものが成立することにこだわったツッコミで笑いを。津和野諒は、中国人キャラとか出落ちだけに留まらない面白さをクールな格好良さにこだわって自ら否定してしまう事で。終始コメディにこだわる斉藤コータが終盤に見せる”ジョン時空”ことシャクレと無意味な動きも出色。演者それぞれの役柄のこだわりが面白い。鹿島ゆきこは、演技に。沈ゆうこは、差別に。塩原俊之は、出番に。淺越岳人は、存在意義そのものに。それぞれの思惑が交錯しての”すれ違い”を描く。シチュエーションコメディをシチュエーションコメディで包み込んだアガリスクエンターテイメントでなければ作れない逸作。
東京裁判 pit北/区域閉館公演

東京裁判 pit北/区域閉館公演

パラドックス定数

pit北/区域(東京都)

2015/12/22 (火) ~ 2015/12/31 (木)公演終了

満足度★★★★★

凄く良かった
凄く良かった。やっぱりもっと早く観ておけばよかった作品。テキストの構成が見事で緩急自在。それを5人の俳優が確り演じ切る。それぞれの想いが織り込まれ痛快さと無念さが交錯する展開。ラストの暗転で胸に迫る複雑な感情の波。納得のダブルコール。何度でも再演を

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

くろねこちゃんとベージュねこちゃん

DULL-COLORED POP

王子スタジオ1(東京都)

2015/08/26 (水) ~ 2015/08/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

観るたびに違う感覚
どんな受け取り方も可能な多層構造な表現。場面場面のテキストの鋭さ。俳優陣の熱量と技術。笑って泣いて刺さった。3回観たが、都度全く違う部分で揺さぶられる。この奥深さがダルカラの凄さ。小劇場演劇に於ける最高峰の一角が確実に此処に在る。それほどの逸作。

ネタバレBOX

1回目は、観たまま真っ直ぐに遺書の文面に泣かされて、その後唖然と。2回目は、ねこちゃんズ演じるよし子が自らの母に重なり、自身が母に対していた接し方そのものに慚愧の念を抱かされ号泣。3回目、本物の遺言書を読んで観るとやっぱりけん太が言うように「嘘じゃない」と思ってボロボロと。確りと刺さりました。
傷は浅いぞ

傷は浅いぞ

柿喰う客

東京タワー フットタウン1F 特設ステージ(東京都)

2012/11/09 (金) ~ 2012/11/11 (日)公演終了

満足度★★★★★

観にいってよかった
声の演出が素晴らしくて感動。速いテンポで隙間のない展開なのに耳触りがいい。調和と不調和がコントロールされていて舞台の世界に引き込まれた。何もない円形八百屋舞台でいろんなものが見えた。

谺は決して吼えない

谺は決して吼えない

一色洋平×小沢道成

王子小劇場(東京都)

2014/09/04 (木) ~ 2014/09/08 (月)公演終了

満足度★★★★★

「持っている」
この巡り合わせの良さも彼ら二人の才能なのかも。この二人がこの脚本をこの企画で実現するというのが凄い。如何に実力派といえども、役者二人だけではいい公演にはならない。恵まれている。と言うか「持っている」のかな。やっぱり。

ネタバレBOX

須貝英の脚本にはヤられた。振り返ってみれば、成る程となるポイントを上手く配置している。こちらの予測を裏切りつつ確り納得させられた。「あれ」がプロジェクターで映し出された瞬間から観ている者の中で物語が紐解かれて行く怒涛の終盤が凄い。

【激しくネタバレ】終盤の伏線回収による気づきの連続には本当震えた。二人芝居で二人一役!ってなって罰と罪でバツとツミで、蓮見って、連読の語呂合わせなのか!とか、ぐわーっと一気に色々な気づきが押し寄せてきて相当なカタルシスを感じた。

演出を出演の二人で担っている良さと悪さを、両方感じた。まず二人とも相当動けるので脚本が意図している以上の見せ方が出来るのは流石。逆に、遊びが多過ぎると感じてしまう箇所もチラホラ。本人達が楽しくて盛り込み過ぎたかな。という。

これも仕方ないが、対面客席で三列しか奥行きがないのに舞台の横幅が半端なく長い。ほぼ両端に立っての対話があるのだが二人を同時に視界に収められなかったのは勿体無い。三面客席でも楽しめたかも。若しくは円形。青山円形劇場とかアツイ。観たい

二人の演技については、大きなサプライズがある訳がない。ダイナミックな動きだけでなく、引き出しの多さや繊細な表現もきっちり観せてくれた。呼吸や間の取り方がぴったりと合っているのは、流石の盟友関係。
リーディング公演「回転する夜」

リーディング公演「回転する夜」

ウォーキング・スタッフ

サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)

2012/12/04 (火) ~ 2012/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★★

面白かった!
リーディングといっていいものなのだろうか。シナリオも演者も素晴らしい。楽しめた。椅子に座って読んでいるリーディングを想像していたが、そんなものではない。個々の演技が堪能できて楽しめた。特に内田慈(ちか)が無茶苦茶よかった。

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので

仏の顔も三度までと言いますが、それはあくまで仏の場合ですので

ポップンマッシュルームチキン野郎

サンモールスタジオ(東京都)

2013/05/24 (金) ~ 2013/06/03 (月)公演終了

満足度★★★★★

久々にツボだった
エンターテイメント性抜群の作品。テンポのいいストーリー展開で飽きさせない。笑いはブラックだったり下ネタだったりするが、下品過ぎない絶妙なバランス。なのにちょっと切ない。そしてその演出を支える演者のレベル。久々にツボだった。

ネタバレBOX

サイショモンドダスト★演じるアッラー正田がツッコミの役回りでストーリーが進んで行くのだが、既にこの時点で設定勝ち。閣下のオマージュなのに一人称が違うなど細部にわたって笑わせる。声が凄く嵌ってて印象的。

野口オリジナルと橘麦の掛け合いも良かった。数少ない人間同士のやり取りだが、ある意味一番ぶっ飛んでいて理不尽。その話の通じていなさっぷりがシニカル。そこに増田赤カブト絡んできてもうカオス。笑うしかない。

CR岡本物語の客入れ時のパフォーマンスと前説は史上最高。いつも受付開始前に劇場に到着するようにしている自分にご褒美を貰った気分だった。あれだけでひとつの作品。これ全ステージ演るのかと思うと最後感動すら覚えた。

どんなに好きな役者が出ててもパンフレット買うか迷うたち(意外と値が張るし何かチョッと恥ずかしい)だが、今回は上演台本込みという事と客入れ時のパフォーマンスに応える意味も込めて買って帰った。台本で反芻して楽しめる。オススメ。
治天ノ君

治天ノ君

劇団チョコレートケーキ

駅前劇場(東京都)

2013/12/18 (水) ~ 2013/12/22 (日)公演終了

満足度★★★★★

震える逸作
歴史か塗り替えられる悲劇、家族の悲劇、個人の悲劇が織りなす、神でなければならなかった普通の優しい男、大正天皇の物語。呼吸がどうかなりそうなぐらい泣いた。重厚なシナリオの説得力と納得感。震えた。

ネタバレBOX

西尾友樹が恰好いい。凄い。それしかない!という演技。良かった。優しさ、実直さ、真摯さ、そして弱さ。宿命から逃げなかった男の表面にあらわれない芯の強さ、暖かさが滲み出してた。好演。

松本紀保も素晴らしい。あの品の良さはなんだ。育ちか、育ちなのか。物語を推進する難しい役柄をきっちりこなしている。時間軸飛ばしたり空間飛ばしたりするナレーションは相当切り替えが難しいはず。

岡本篤の実直な侍従武官四竈も良かった。原敬に突っかかるシーンから軍艦マーチまで完全に涙腺崩壊してた。声だしたらまずいと思って嗚咽堪えて泣いてたら余計涙出てきた。終演後酷い頭痛するぐらい。

谷中恵輔の明治天皇。浅井伸治の昭和天皇。雰囲気が素晴らしかった。他のキャストもきちっとハマっていて、本当にバランス良く世界観を作ってた。玉座の演出、お召し列車演出も好き。この作品のおかげで8月31日が気になる日になった。価値観揺さぶられた逸作。
わが家の最終的解決

わが家の最終的解決

Aga-risk Entertainment

シアターKASSAI(東京都)

2016/05/04 (水) ~ 2016/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2016/05/04 (水)

初日独特の緊張感の中で俳優陣に多少ミスがあったけど滅茶苦茶笑った。甲田守、負担大きいけどラストまで頑張って欲しい。矢吹ジャンプ、作品全体をまとめていて流石。中盤の塩原俊之と藤田慶輔のすれ違いトークはヤバさが絶品。津和野諒、流石のオモシロさ安定。普通の事が面白く見える巧さ。くまゆか、真っ直ぐさが笑いに転化していく定番パターンが効いてて良かった。髪型の不規則編み込みが妙に可愛いのがヒロインらしくて良かった。鹿島ゆきこ、今作ではほぼ笑いを担わないが、綺麗なお姉さんキャラがハマる。ワンピースが可愛い。沈ゆうこ、序盤からキャラ全開。ズルい飛び道具なんだが、ストーリーの絡みがなくもっと効かせて欲しいと思うファンの我儘。初日だからと言いたくないが、まだ大分伸びシロがある印象。相変わらずの台詞量なので、まだ俳優に馴染みきってない。それであんだけ笑えるのだから、明日はもっとヤバくなるはず。観客と触れたのでもっと良くなる。

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