眠る羊 公演情報 眠る羊」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-20件 / 28件中
  • 満足度★★★★

    息をつかせぬ会話劇と、静けさと
    公演期間の終盤、大阪から向かって当日券で観劇のため見切れ席でしたが、あの空気を味わえただけでも価値がありました。

    強烈なプライドを隠さない長男次男と、それを見てきた故か強烈さは無い三男、そして政治家である次男の秘書たち、普段は関わりの無い長女、、
    関係性を説明する時間は政治劇だと思って身構える観客をほぐすかのようなコメディタッチ。
    三男の発言の、絶妙な間。観客に悟らせる技術。
    長男の「ダメだこいつ」感、次男の「やればできるじゃないか」感。
    そして、最後に次男が見せる決断と、それを受け淡々と仕事を始める秘書たち。
    いろんな姿が終始色濃くえがかれていました。面白かったです。コメディ的な部分と、わかりやすい静謐のバランスでぐいぐい引き込まれるお話でした。
    ただ、父親が結局どうしたかったのかを、わたしは一度の観劇では読み取ることができませんでした。そこをわかりやすくするか否かは作家さんの好みでやればいいことですしそこを考えるのが観劇後の楽しみであったりするので文句ではありませんけれど、自分の記録として記載しておきます。

    もともと政治に無関心だったわけではない自分が、なんとなく啓蒙されてしまったのがちょっと癪です(笑)(褒めています)

  • 満足度★★★★

    卑近な悪と家族愛
    印象に残るキラー台詞、というかパンチラインがあるものはそれだけで素晴らしい。 二男の世間に対する「ある台詞」がそれです。でも、舐めてた世間に強烈なカウンターパンチを喰らってしまっているのが因果応報。

    ネタバレBOX

    残念と言うか大きなマイナスは、家族のバランスが異常に悪い。オーバーアクト気味な長男、異常に口下手な次男、この言い方は好きでは無いですが右翼的な三男、左翼的な長女。リアリティラインが高い話であるはずなのに、まったくリアリティを感じられ無いと言うか、それが悉くブレーキになってしまいました。
    特にお母さん。 グラグラでした。完全なる女帝か無垢無知な善人かにした方がよかったのでは。良い女は全てを知っている女か何も知らない女かと言いますが、どっちつかず何をしたい人か分かりませんでした。愛人との対比なら、全く政治には関わって無い、取って付けた様な「良妻賢母」、国より息子たちで単なる親バカにした方が良かったと思います。でも、そうすると次男の奥さんはいらなくなるんですけどね。
    逆に、愛人と秘書は良かったかな。でも、秘書3人はいらず、完全なる部外者、フリーのライターとか世間代表的な仮想敵を入れても良かったかな、長女だと家族問題と絡んでぶれるので。
    あんたら一家がどうなったって日本は変わらんよと言うぐらい皮肉を言う奴が最後に入ればよかったと思いました。

  • 満足度★★★★

    緊張と緩和
    物語の内容がここまで思想がかかわるのをはじめてみたのでそれも新鮮でした。
    自分の今の暮らしが金銭的に豊かになることだけ目先のことだけを考えるのと、この国の行く末を考えることと…。もう一回見たかったです。
    主人公の嫁がほんわりしたしゃべりなのに、きっとこいつはぶれないんだ芯が強いんだって思わせる演技好きです。
    息の抜ける笑のシーンはしっかり笑えて、あの狭い中で人が程よく立ち位置を変えていくのも、当日券で見切れ席でしたがとても楽しめました。

  • 満足度★★★★★

    素晴らしい
    アトリエ公演でした。目の前で行われる展開にぐっと引き込まれ、あっという間の時間でした。役者陣はもちろん、脚本・演出も素晴らしかったです。
    政界の話だったので難しい言葉が多かったのですが、内容が深くなる前にわかりやすく解説してくれるシーンをうまく挟み込んでいただいていた点が観客への親切心を感じました。会話のテンポが早く、言葉一つを考える時間が少なかったので、それがなければついていけなかったかもしれないです、本当に感謝です・・・
    また丁度良い頃合い笑いも挟みつつ思わずプッと笑ってしまうシーンがあるかと思いきや、シリアスなシーンで緊張感を感じたり、本当に素敵な時間でした!!

  • 満足度★★★★

    始まりは突然…
    劇場に着くまでに迷ってしまった。
    地下室の小さな劇場で、左右から真ん中で行われる劇を観る。
    大道具、小道具がすごい凝っていて雰囲気が出てる。
    場面展開はほぼ無く、全て一つの部屋で完結する会話劇。
    斬新でシリアスで面白かった。

  • 満足度★★★★★

    守るべきもの
    憲法改正を巡る小難しい話かと思いきや二世議員とその一族の「守るべきもの」を問う、息もつかせぬ論争劇。合間合間にずっこけたシーンもあり、とても観やすかったです。十七戦地さんは「土台が腐ってる」集団なり組織なりの話が上手ですね。

  • 満足度★★★★

    比良坂物語の一幕ってところでしょうか!?
    今回もよく練られた脚本、次男のキャラが少し行き過ぎに感じなくもなかったですが、三兄弟のキャラ設定でシリアスになりすぎずに多少の笑いもあり、憲法九条の時事ネタもまじえながらも少し考えさせられるステージでした。

  • 満足度★★★★

    演出の妙
    相当狭いアクティングスペースに10人近い役者がぎっちり。対面座席でいろいろと観づらいこともあるはずなのだが、意外とそうでもない演出の妙。ワンシチュエーションできっちり観せきるシナリオ構成に、ところどころに差し込んでくる笑いが好きだった。

    ネタバレBOX

    扱っている内容としては、政治家一家を切り口に世論とか世間とかをセットで切り込んでいくというパターン。どちらかといえば苦手かな。事が大きすぎて刺さってこない。大きな内容を扱いつつも、個人のレベルに切り込んでくるポイントがもう少しあればより震えるのだが。。。

    長兄役の澤口渉は印象的。憎めない馬鹿お坊ちゃまを好演。やりすぎては現実感がないのだが、ギリギリ実際に存在していそうな感じが良かった。鵜沼ユカも、プライドの高い夫を上手くコントロールする役柄がハマッてて、北川義彦演じる智志のキャラを際ださせていた。
  • 満足度★★★★★

    奢る平家
    「国民の理解を得て比良坂家を守るため」平易な言葉を使って
    証人喚問のリハーサルをするものだから、政治の話が大変解り易くなった。
    国を守ると言いながら、守りたいのは一族とその立場、プライド、既得権。
    過去作品のようなダイナミックな展開や大胆なファンタジー要素は薄れたが
    その分現実とリンクして“多分絶対あるある”的なリアリティが色濃く漂う。
    キャラの立った一族に加えて有能な秘書達が事態を引っ張るのが面白く
    過去の経緯はともかくラスト次男の選択は、潔くて清々しい。
    このラストは作者の理想・ファンタジーか、国の行方を託すひとすじの光か。
    それにしてもスペース、テーマ、人数など、敢えて難しい制限をかけた中での
    この設定と会話の緊張感は素晴らしい。
    また意外なキャスティングで役者の新たな面を見事に引き出している。

    ネタバレBOX

    証人喚問を控えた与党国防部会の衆議院議員が、想定問答集を元にリハーサルを行う。
    亡き父の後を継いで国防一族である3人の息子たちはそれぞれ要職についているが
    今や3人とも不正疑惑の渦中にあり、次男である議員はその釈明を求められている。
    リハーサルには3人のほか、母親、議員の妻、秘書3人、左翼系の妹、
    そして彼らが身を寄せているこのギャラリーのオーナーで亡き父の秘書兼愛人の女性。
    リハーサルが進む中新事実が次々と発覚し、事態は予想しなかった方向へと動き出す。
    次男は、最終決断を迫られる。
    「調査中」と逃げるか、認めて謝罪するか…。

    まずこの証人喚問をエンタメ化するという設定が素晴らしい。
    そもそも一般人とかけ離れたモラルや金銭感覚で動く政治家や官僚という存在に
    滑稽さを見いだすところがユニークかつ鋭い。
    証人喚問というショーの演出を練る舞台裏を暴く面白さが秀逸。

    柳井作品には珍しく笑いをもたらしているのも、この“存在の滑稽さ”だ。
    へそでも見なくちゃ頭を下げることができない、ボクが国を守り動かすと決心している、
    親切な人からすぐ金を借りる、自分が正しいとマジで信じている、人の話を聞かない、
    最後はやっぱり金がモノを言う、バレなければ大抵のことは大丈夫…etc.
    といった生態が現実とリンクし、その既視感が可笑しい。

    キャラの設定にメリハリがあるのも魅力的。
    いつも沈着冷静でクールな役が多かった北川さんが
    傲慢で横柄で「殺してやる!」とか言う次男の与党議員を演じるのが大変楽しい。
    意外に凶暴な役とか似合いそう。
    防衛省装備施設本部調達課にいながら軍需商社から平気で金を借りる
    オペラ狂いの長男を演じた澤口渉さん、
    “小役人のぼんくら”と言われる屈折を
    軽いノリでやり過ごそうとあがく様が情けなさ全開で印象的。

    困った3兄弟とは対照的に彼らを支える秘書たちは非常に優秀で、そこもまたリアルだ。
    “素朴な人”でなく立板に水みたいな秘書を演じた真田雅隆さん、
    都会的なキレの良い台詞がリハーサルを牽引して魅力的だった。
    結果的にリハーサルをリードした、亡き父の秘書兼愛人美咲を演じた植木希実子さん、
    冷静に状況判断をしながら重大な決断をさせる、理知的なキャラがぴたりとはまる。

    ダメダメ一族を描きながら、作者はどこか一縷の望みを託しているように見える。
    左翼寄りの妹礼子が、最後レコーダーを受け取らず美咲に委ねるところ、
    一族の失脚を前にどこか明るい兄弟たち、
    潔くバッジを外す決断をした次男も、最後は屈託のある美咲に対して本音で向き合う。
    柳井氏の“絶望しないために必要なファンタジー”を感じた。

    柳井氏のtwitterを見るといつも、リラックスした自虐ネタに笑いつつも
    「制限の中で印象的なメッセージを効果的に発信する」という作家としての言葉を感じる。
    それは単なるつぶやきというレベルを超えていて
    この瞬発力とクオリティが戯曲の核になっているような気がする。



  • 満足度★★★★★

    2度目
     2度目を拝見。シナリオの質が非常に高いだけに、役者相互の役作りで、もっとがちのぶつかり合いを練習で積んで、そのあと、滲み出るようなものが、出せるようになると、もう、これは、鬼に金棒、鉄壁だろう。非常に大変な作業になるが、今後とも目の離せない劇団である。

  • 満足度★★★★★

    凄い
    緊張感の中におりまざる笑いが絶妙であのギャラリーで上演する意義が凄くわかる。骨太の脚本が秀逸。これは凄い!

  • 満足度★★★★

    緊迫した会話劇
    濃密なワンシチュエーションの会話劇で、ぐいぐい引き込まれて観劇しました。
    クライマックスの緊迫感、空気の流れが止まるような感覚を肌で感じられる、そんな演劇の醍醐味を存分に味わえました。
    面白かったです。

    ネタバレBOX

    始まり方と終え方がすっとしてていいですね。
    照明もなく、また作り込んだようなセットもなく、その場所自体をそのまま舞台装置として用いているのでリアリティが増しました。

    証人喚問のリハーサルがストーリーの柱なのですが、導入から中盤までは説明の多さと単純な進行にややだれました。
    そこをなんとか補ってくれたのが、一つめが笑いで、個人的にはもっと前半のコメディ要素が強くてもいいと思いました。
    その分後半のシリアスさが際立つと思うのですが。
    (12人の優しい日本人のような感じを想像)
    今回は笑わせたいのかそうでないのかが曖昧だったなと感じます。
    二つめが、智士と父の愛人とのやりとりで一番最初に引っかかりを作って後への興味を引いてくれたこと。
    まだ何かあるな、と思わせるところで後半の展開を期待させてくれました。
    真相が明らかになる流れ、さらに隠されていた謎、で、どんでん返し。
    最後まで観終えて、巧みな脚本を脚本書かれる方だなぁと敬服しました。


    初めて行った劇場でしたが、白い空間にやや古めかしい置き道具が芝居にマッチしていたと思います。
    惜しむらくは少し狭すぎるかと…。
    観客席の狭さもあるのですが空間全体がとにかく狭いので、役者に近すぎて逆に見づらい部分が多かったです。
  • 満足度★★★★★

    結局
    3代に渡って政界の家系で それぞれが要所についていても
    やっぱり 人間なんだなと
    それぞれが家名に誇りを持って 自分に正直に生きて
    外から見れば悪いコトでも 当人には一生懸命で
    コミカルでもあり シリアスでもあり
    それでいて考えさせられる

    とにかく とても80分とは思えない緊張感

    こんな創りをする劇団は初めて!
    キャストさんも魅力的!

    次回公演も期待出来る

  • 満足度★★★★★

    この臨場感が楽しい。
    ☆4.5
    狭小スペースでの緊密なやりとりがとても贅沢な味わい。リピート観劇したいくらいだが、とりあえず家族や友人に勧めます。

  • 満足度★★★★

    僕みたいなバカでも
    わかりやすく噛み砕いた説明もありとてもわかりやすかったです。

    ネタバレBOX

    とても不利な状況からどんなロジックでどう証人喚問をやり抜けるかという話かと思ってたので容疑を認め会見に向かうというのは若干の肩透かし感はありましたがそこに至るまでの親、兄弟の思想や理想のバックボーンがあったのでそれはそれで納得できる解決でした。獣の中の倫理学もそうですがタイトルのセンスが素晴らしい。
  • 満足度★★★★★

    ワンシーンの80分間だけど大満足
    ワンシーンだけの80分間でしたが、緊迫したシチュエーションの中でいろんなことがどんどん明らかになり、登場人物が次第に追い込まれていく。そして最後には仕組まれた意外な筋書きが明らかに・・・。しかしところどころに笑いも散りばめられ、とても盛りだくさんで観応え十分でした。大満足です。

  • 満足度★★★★★

    家より国家!
    リアルな会話、息も吐かせぬ緊張感、すべては脚本のもつ絶対的なメッセージの強さに感心させられた。期待通り素晴らしい!

    ネタバレBOX

    頭を下げられない跡継ぎの智志の無能さを読んでいた亡き父清志郎の用意周到さは凄い!
    やはり大物は先を読む力がある。しかも国家への思いは家をも凌ぐ強さを感じた。
    それにしても、智志の咳払い多すぎない((笑)!
  • 満足度★★★★★

    濃厚濃密
    初めて行くスペースでしかもあの広くはない空間に見事に出演者さん達がマッチしててとても濃厚で素敵な時間でした。観劇前は小難しいかと感じてましたがそんなこともなくあっという間の80分でした。

  • 満足度★★★★

    心地よい緊張感
    昨年末に『狼たちの午睡』(前日譚)を観て、今回の『眠る羊』だったのですが、見応えのある作品だったととても思います。
    当日パンフレットには「国防部会」だの「防衛省」だのなんだか難しい漢字ばかりで、正直なところちゃんと理解できるか不安だったのですが、そこはいらぬ心配でした。
    椅子や机などの最低限の小道具で、照明や音響には頼れない場所だからこそ、台詞一つ一つがしっかりと練られていたのではないでしょうか。ほんの少しですが笑える部分も散りばめられていたため、そこまで重くなりすぎずに観ることが出来ました。しかい、観終わった後にはいろいろ考えさせられる。
    80分間が本当にあっという間でした。

    ネタバレBOX

    個人的には『獣のための倫理学』の謎が解けていく感じや重厚さを期待していたので、そこまでにはいかなかったな、と。でも単体で考えれば、十二分に見応えのある芝居でした。

    それから、ギャラリーの構造上仕方ないとは思いますがトイレ?の水音が上演中だと結構気になってしまいました…。
  • 満足度★★★

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