ショート7 公演情報 ショート7」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-20件 / 41件中
  • 両方
    拝見
    振れ幅も広く
    様々な作品を堪能

    アフタートークも

  • 満足度★★★★★

    和の心
    を感じた。

    ネタバレBOX

    両面観ました。心に(芯に)細胞に、響いたものはAプログラムと「薮の中」
    ダルカラは本気でキレてるポップ。ビールの宣伝みたいだけど。巧いビール。どの作品も濃密でミリ単位よりも小さく感じるきめ細かい作り。

    『息をひそめて』
    昔、「床下仙人」という新築建設の間にこっそり床下に住んじゃおうっていう短篇があって、セットを見てそれを思い出した。女の下に男がいる図が、尻にしかれてるみたいで面白い。Bの中ではこの話が一番好き。

    『エリクシールの味わい』
    今回観たい人が結構いて、小林タクシーさんと伊藤靖浩さんを堪能できて良かった。伊藤さんがどんな風に歌うのかも見たかったので満足。あがささんはかすれた声がまたいつもと違う雰囲気で可憐。いきなり話の方向が変わってニクイ。歌詞カードが会場で見た時はピンクだったのに家に帰って見たらバイオレッドだった。いい夢をみたんだきっと。

    『薮の中』
    これは堀越涼さんの演技にあんぐり。襦袢はどんなの着てるのかなって袂をじっと見つめていましたら、次の瞬間女性になったのでわっとなりました。

    『ソヴァージュばあさん』
    今回、一番観たかった作品。机とスープとパン。これが揃った絵で観たかったのと火事のシーンに納得。小柄で可愛らしい堀川さんが、どんなばあさんになるのかと失礼ながら不安に思っていたのが、登場2秒でそれは無くなり・・・・首のラインを老けさせるために顎を引いて虚ろな目のその人はまさしくばあさんで。びっくり、こういうのが小劇場で観られるって。指をくっつけるシーンの堀越涼さんもまた印象的。

    『BIoody Sauce Sandwich』
    前回よりも今回のほうが断然いいと思います。ネタバレ読んでから挑んだのでドグラ・マグラのイメージを持って観劇。これこそ本気でキレてるポップな作品かも。万人向けではないにしろダルカラファンの友人二人はこれが一番好きだと言っていました。明るい不気味の面白さ。台詞のしっくり度がより高く感じたのはこれと「息をひそめて」

    『15分しかないの』
    前回の池袋15分祭りより更に、パキッと切れ味抜群な仕上がりに。もうすんばらしくて鼻血が出るかと思いました。前回は「元彼」が舞台の奥にいたので聞き取れない台詞もあったけど、今回千葉さんは前に出ていたので大丈夫。もう一回観たい。

    『アムカと長い鳥』
    衣装が話題になったようですが特に気にしない、ならなかった。風呂場なのに着ているのが不思議に映るのはあるけど30分はあっという間。実際淋しさで気が狂うと水に浸りたくなる。母体回帰?回によって全然違う印象がありそう。私が観た時は想いが本を超えた瞬間があって・・・・


    格好いいポップも存在するんだけど底の方では倭の感覚があるというか。谷さんの仕事の細かさに多く触れました。旅館の女将。
    ★は全作品の平均。5を超えるものがあるのでこうなりました。
    血を一杯抜かれた気がするなあ。面白かった。
  • (ベストテン投票用)
    感想は→
    http://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2010/01/post-7dab.html

  • 両方拝見しました
    トークに出たんでした、そういえば。

  • 満足度★★★★★

    2日にA、3日にB
    一つずつの作品の完成度が高く、両日とも時間を忘れて見入ってしまいました。


    それっぽくやっているというような妥協をまったく感じない、個々の作品のクオリティに瞠目しました。

    ネタバレBOX

    見応えがあるというか、どの作品にもしっかり観客を取り込む力があって・・・。

    「エリクシール・・・」のナンバーは単に役者の歌がうまいというレベルを超えて、キャラクターが物語を歌い上げる力にまで至っていたように思います。マジで良質なオフオフブロードウェイのミュージカルを見せていただいたような。

    清水那保や堀越涼のひとり芝居もがっつりと堪能。

    堀奈津美や佐々木なふみなどから醸し出される、女性の日常にも瞠目しました。

    ほんと、作品にも役者にもはずれなし。

    まさに粒がそろった短編集だった思います。







  • 満足度★★★★

    テリトリー
    こっちの端から、あっちの端、果てには向こうまでと、
    ありとあらゆる演劇手法を試み、きっちりと仕上げてしまう作・演の谷氏の才能に驚きました。
    それに呼応するべく邁進している役者さんといい、
    真摯で誠実な芝居を観た気がします。

    ネタバレBOX

    これからも、色んな芝居をやられるのだとは思いますが、
    観客をもっともっと意識して、
    より魅力的な作品を創っていくのを楽しみにしています。
  • 満足度★★★★

    弾けるB。
    人呼んで「ポップ」パート。
    これが谷戯曲なのか、と目を疑いたくなる作品群である。

    ネタバレBOX



    ●息をひそめて
     少しコミカルで、なかなか切ないビターなラブストーリー。
     佐野功のコミカルさと切実さのギャップに、男も惚れる。と思う。
     言うまでもなく、それは堀奈津実がいてこそのことだが。
     
    ●エリクシールの味わい
     業界初の飲尿ミュージカルと銘打った馬鹿馬鹿しさ。
     あまりにも馬鹿馬鹿しくて可笑しさと悲しさの涙がちょちょぎれる。
     小林タクシーの熱演がこれでもかと光る。

    ●藪の中
     非口語演劇の若頭・堀越涼による一人七役の一人芝居。
     軽くいなせにこなしてしまうあたり流石の一言。
     逆に言えば、これくらいやってもらって当然という気さえも。
     テキスト的に言えば、七役を見せることだけに専念しすぎたきらいも。
     演者・演出のがっぷり四つが観たかった。
  • 満足度★★★

    鈍色のA。
    人呼んで「ダルカラー」パート。
    谷戯曲の傾向として幾分まとまりのあるような作品群ではある。

    ネタバレBOX


    ●ソヴァージュばあさん
     黒沢世莉演出との差違が際だった。
     私が選ぶのであれば、朗読なら黒沢演出、演劇なら谷演出だろう。
     俳優陣にしてみれば、こちらの方が人物が生きている。
     それが良いか悪いかは判断つかないが。

    ●Bloody Sauce Sandwitch
     谷流の不条理とはこういうことか。
     ハマカワフミエが病的なまでに印象に残る。夢に見そう。

    ●15分しかないの
     取り立てて何と言うことはない短篇。
     だが、「自分の時間が15分」と決める女がどこか谷作品ぽい。
     堀奈津美、桑島亜希、境宏子。この並びに文句の言いようもない。

    ●アムカと長い鳥
     人呼んで憑依役者・清水那保の本領発揮の一人芝居。
     ただ、その憑依のコントロールが聞かないのは玉に瑕。
     私の観た回は割と走ってしまった印象。
     若干わかりやすすぎるきらいはあるが、それでも記憶に残る作品だ。
  • 満足度★★★★

    こんなやり方もあるんだと感動!
     BAの順番で7本を見させていただいた。最初は寸劇を寄せ集めてもまともな公演には勝てないのでは?と思っていたが、考え方を改めた。こういう見せ方はありである。ひと味違った芝居の楽しみ方が出来た。小説の短編集と雰囲気が似ている。それぞれの短編が独立していながら、全体として、その短編集の世界があると言えばわかってもらえるだろうか?

     驚いたことは、7本それぞれがダルカラの色を持ちながらも、それぞれ全く違うタイプの芝居をあえて選んでいたこと。こんな芝居も出来るんですよとダルカラの実力を見せつけられた気がする。反省すべきことはやはりABの順序で観るべきではなかったか。演出家はそういう風に作っていたのではないかと後から思った。

    ネタバレBOX

     男の一人芝居『薮の中』、女の一人芝居『アムカと長い鳥』でそれぞれのステージが締められたが、どちらも並の力量ではとても持たせられない芝居だ。うまい役者といい演出家が結びつけば、想像も出来ない舞台が出来るのだと改めて教えられた。特に一人七役に挑戦した堀越涼にはおみそれしましたと言うしかない。

     『エリクシールの味わい』はこの中で飛び抜けて異色の作品だが、はまってしまった。主人公とエリクシールの女性との愛(?)がとても美しく感じられたのだ。飲尿という一見変態的なものを題材にしながら、いやらしさは少しもなく、新しい愛の形を見せられた。小林タクシーの演技も何か演技賞をあげたくなるような出色の出来だった。

     7本を見て感じたことは谷賢一は求道師だということ。演劇というひとつの表現の世界をとことん追求している。そのストイックなまでの真面目な姿勢が芝居のひとつひとつにに現れている。例えば台詞のひとつひとつへのこだわり、例えば役者の演技に対する執拗なこだわり、そしてシチュエーションに対するこだわり、それらがしっかりと感じられるのだ。そして最後に、それぞれの芝居がどれも美しいということも付け加えておきたい。 
  • 満足度★★★★

    濃密な時間……。
    A・B両プログラムをそれぞれ複数回、拝見した。

    7本とも、よく練られた完成度の高い舞台であり、しかもとんでもなくバラエティ豊かなラインナップで、やや息苦しさを感じるほど。

    中でも、他の方と同様「エリクシールの味わい」がやはりひと際印象に残る。猥雑なテーマをこれほどピュアな純愛の物語に作り上げた力技に脱帽。

    「藪の中」では、役者の力に息を呑むと共に、観る者に確実に物語を届けようとする脚本の企みにも感心する。

    どの作品も、人の心の暗い部分を描きながら、きちんとエンターテイメントとして成立していることに驚く。

    観る側にも、気力体力の充実が必要なほど、濃密な舞台。

  • 満足度★★★

    Aプログラム
    『ショート7』のAプログラム。
    様々な作風の作品が入り乱れる。
    どれか好みの作品に出会えるはず。

    ネタバレBOX

    『ソヴァージュばあさん』
    翻案・演出 谷賢一
    原作 ギ・ド・モーパッサン
    アクティングディレクター 黒澤世莉(時間堂)

    これ、好き。
    わかっちゃいるけどどうにも解決しようの無い問題を抱える二つの事柄を、二つの言語を解する者が、奇妙さとやるせなさに引き裂かれながら、ただただ記述する。
    迷い・戸惑いの感覚を和知龍範が好演。


    『Bloody Sauce Sandwich』
    作・演出 谷賢一

    一人の人間が世界をどのように捉えるか。
    そこには無限の宇宙が広がっている。
    目を背けたくなる痛々しさをたたえた彼女の日常は、今も続いているのだろう。
    個人的にはとても苦手。


    『15分しかないの』
    作・演出 谷賢一

    『15 minuites made vol.5』から時間をさほど置かないでの再演。
    初演よりも濃密な空間で描かれる三人一役芝居。
    一人の人間の思考が三つの肉体で描かれる面白さは、空間が狭まった事でより増したように思える。
    特に四人目の人物である元彼との思考の混ざり具合がよく見えたように思う。
    一人の人間の持つ、様々な思考を目に見える形で描き出した作品。
    初演ほどのインパクトはないものの、斬新さは消えず。


    『アムカと長い鳥』
    作・演出 谷賢一

    憑依の芝居というものを見せつけられる作品。
    ややこしい計算などから完全に解き放たれた自由な表現体が存在する。
    そこに観る物は引き込まれてしまうわけで、後はもう言うことはない。
    長い鳥の声が本当に不快に感じ、もうどこにも行き場がない、強い八方塞がり感に襲われる。
  • 満足度★★★★★

    Bプログラム。
    贅沢すぎる2時間。もう、満腹。

    ネタバレBOX

    以下、作品毎の感想など。

    『息をひそめて』
    作・演出 谷賢一

    口語会話に独白を織りまぜるダイナミックな作品。
    以前観た初演時には口語会話が印象的であったが、改めて観てみると、独白の持つ力強さに心打たれる。
    現代の恋愛模様を描いた作品だが、独白は異様な程に力強い台詞で、シェイクスピアを想起させる迫力がある。
    恋人の話を床下で盗み聞く、という構成も、情けない話だがダイナミック。
    床下・床上の空間の切り取り方、混ぜ方も絶品で、決して映像作品では実現できない舞台の魅力を体現したつくり。
    現代日本の小さな一室に起きる、小さな恋の問題を、繊細に、かつダイナミックに描き出す作・演出に惚れ惚れする一品。


    『エリクシールの味わい』
    作・演出・作詞 谷賢一
    音楽 伊藤靖浩(作曲・演奏・出演・音楽監修)

    「飲尿ミュージカル」(業界初)という宣伝文句がひときわ目をひく、今回の企画唯一の初演作。
    とあるバーで酔いつぶれる製薬会社のサラリーマンのおやすみとおはようの間の物語。
    とにかく良かった。
    どうしても「飲尿ミュージカル」という言葉にとらわれてお馬鹿作品の様なイメージが付きまとってしまうが、そのイメージを前面に押し出すのは、これほどまでに痛々しく切ないラブストーリーを書いてしまった作者の照れ隠しなんじゃないだろうか。
    本当によかった。僕は涙目で観ました。
    飲尿を扱った大胆さ・馬鹿さと、作者が全身全霊を込めたラブストーリーの繊細さ・もろさがとてもいい具合に混ぜ合わされていて本当にいい。
    初期のDCPOPの馬鹿馬力と現在のDCPOPの緻密さ・繊細さを兼ね備えた、これからのDCPOPの可能性を改めて見せつけられる傑作。
    役者も素晴らしい。
    「くたびれたサラリーマン」という言葉が似合いすぎる小林タクシーの軽妙な存在感はもちろん、個性豊かなおしっこ娘たち、ミステリアスなバーテン(千葉淳)、感情むき出しの恐い女(清水那保)などなど、強すぎる存在感の絶妙さは何とも言えない。
    そしてその中でも極めて異質な迫力を放つ、飲尿の天使・岡田あがさ。
    「まるで、天使」なんて台詞を何の疑いもなく受け入れられる、驚異的なまでの存在感・現実感のなさ。
    この作品は、このキャスティングにより戯曲の持つ力をとことん引き出している。
    岡田あがさの登場から立った鳥肌はカーテンコールまで続いた。本当に、よかった。なんだあれ。

    そして、バーの謎の演奏者伊藤靖浩(作曲・演奏・出演・音楽監修)の手によるミュージカルナンバーが本当に心にぐっとくる。
    アホらしい歌詞なのにあそこまでぐっと来る曲がつくと、気分はまるでブロードウェイ。
    帰り道に口ずさめる覚えやすいが心にささるナンバーは必聴。劇場でCD売ってたら絶対買ってた。
    特に「ひゃくまんかい」は本当にいい。小林タクシーの異様に高い歌唱力と岡田あがさの消えてしまいそうに淡く優しい歌声に、もうどうしていいかわからない。
    そんなこんなで感動の渦に引き込まれてしまう。
    中国の古典に、お粥が出来るのを待ってる間に眠ってしまい、自分の一生の夢を見て、目が覚めたらまだ粥は出来ていない、なんて話があったが、そんな中国の古典の雰囲気を舞台で味わったのは本当に初めて。
    いい芝居観たよ。


    『藪の中』
    翻案・演出 谷賢一
    原作 芥川龍之介

    芥川龍之介の『藪の中』を翻案した一人芝居。
    花組芝居の堀越涼が出演。
    『エリクシールの味わい』ですでに夢見心地だったのに、もう一本あるという短編のグランバザールの幸せ。
    この作品も初演を観ているのだが、役者に合わせて大胆に趣を変えた作品になっている。
    漂うのは日本の伝統芸能的香り。
    狂言・歌舞伎を織り交ぜたような独特の演技スタイルは『藪の中』の時代観を出すにはもってこい。気持ちよく見得を切り、朗々と語られる台詞によって作られるピンと貼りつめた空気感は見事の一言。
    ただ、型のダイナミックさを追求する余り、感情のダイナミックさ・目に見えない迫力がやや犠牲になってしまっている印象を受けた。
    型のダイナミックさで見せる今回よりも、目に見えない爆発力があった初演の方が僕は好み。
    本当に、ただの好み。
    これはこれで素晴らしかった。
  • 満足度★★★★

    知的にバカをやる脚本の、ギリギリ感が魅力
     谷賢一さんの作品は豊かな知性と、パンクの精神を感じさせるテキストが大きな魅力だと思います。今公演でも、言葉に対する尋常ならぬこだわりが感じられ、充実の観劇になりました。

     DULL-COLORED POPでは、役者さんは決して読みやすいとは言えない長いセリフ(詩情たっぷりの状況説明や、難しい専門用語が散りばめられた感情の吐露など)を、読みこなすことが求められます。作・演出家が当然のように役者に負荷をかけ、役者もそれに全力で応えるという、演劇に対するひたむきさが伝わってくる作品群でした。

     ただ、その高くかかげた目標にたどりつけていたかというと、まだもう一歩足りなかったのではないか、というのが全体についての感想です。また、この3年間に上演された短編戯曲7本の中では、やはり最近書かれたものほど面白いことは否めず。時代の流れは早いですね。

     あくまでも個別の短編を7つ集めた公演だということで、作品終了ごとに装置変更の休憩が挟まれていたのは潔いと思いました。観客も遠慮なく頭の切り替えができます。
     装置を動かす舞台監督さん(?)が黒装束だけど金髪で、とても目立っていました。演出意図なのかしら(笑)。
     終演後のトークイベントでは、演劇についてのディープな話が聞けて面白かったです。“キャバクラ”のぐだぐだ感は好みが分かれそう。様式は毎日変化していきそうですね。

     Aプロは心の暗部を深くえぐるような題材が多く、休憩があったおかげで気持ちを楽にして拝見できました。Bプロの飲尿ミュージカル「エリクシールの味わい」は出色。バカ笑いしながら考えさせられました。生演奏が素晴らしいです。オススメです。これから予約される方は、A、Bの順番でご覧になるのが良いのでは、と思います。

    ネタバレBOX

     Aプロは女優さんの体の露出がかなり大胆です。美しいので純粋に眼福ではありますが、そちらにばかり集中させてしまうのはもったいない気もしました。Bプロはとにかく「エリクシールの味わい」が突出しています。
     A、B両方とも最後に1人芝居を持ってきていますが、Aプロは「15分しかないの」、Bプロは「エリクシールの味わい」で終わってほしかったですね。

    ■Aプログラム
    ・『ソヴァージュばあさん』
     演出、出演者違いで数回拝見した戯曲です。3人の敵国兵士と仏頂面のソヴァージュはあさん(堀川炎)が、数ヶ月の同居生活を経た末に・・・。

     言葉が通じない人々(しかも敵同士)が食事を通じて心を通わせていくお話なので、ダイニングテーブルと料理のセットが効いています。フランス語とドイツ語の通訳をしていた兵士(和知龍範)が、冒頭のセリフを手帳を読むように語っていたのが良かったです。

    ・『Bloody Sauce Sandwich』
     姉(佐々木なふみ)の部屋に転がり込んだ妹(ハマカワフミエ)。彼女はある妄想に取り付かれていて・・・。

     子供を堕胎してしまった若い女性の苦しみ。水子が堕胎医(千葉淳)の姿で登場するのが空恐ろしい。
     私が座った席のせいもあると思いますが、姉役の佐々木なふみさんの美しい胸元ばかりに目が行ってしまいました(笑)。ここまで来るとやりすぎなんじゃないかと思いますね。ブラウスのボタンが数個はだけてるぐらいのチラリズムを希望。

    ・『15分しかないの』
     大手商社で働く27歳の女性サラリーマン。深夜に1人暮らしの家に帰宅して、寝る準備をするまでの15分だけが、自分の自由時間なのだ。

     サラリーマン本人(堀奈津美)と、彼女の中にある相反する2つの感情(桑島亜希、境宏子)の合計3人で、1人の人物を演じます。モト彼(千葉淳)からの電話への反応がそれぞれバラバラだったり、重なったりする演出がとても面白いです。ほぼ正方形のステージを立体的に使ったステージングも見ごたえがありました。

    ・『アムカと長い鳥』
     田舎に嫁いで暇をしている若い主婦の独白30分。キャミソール姿での清水那保さんの1人芝居です。

     初演の方がもっと引き込まれたように思います。演技はまだまだ上を目指せる感あり。あやうさが足りなかったのかも。
     白いベビードール風キャミソールが似合う若い女優さんっていいですね。ショーツはお尻にぴったりフィットするタイプの方が私好みです。

    【アフタートークイベント】
     4/29(水)出演:谷賢一 中屋敷法仁(柿喰う客・代表)

     「演劇は21世紀に生き残れるか」という壮大なテーマを掲げ、谷さんと中屋敷さんが本気で話されているように感じ、しかもお2人のご意見は対立するものでもあったので、非常に面白かったです。
     初日ということもあってか、キャバクラ嬢に扮した女優さんたちが所在無さげでお気の毒でした。どうせなら本気で議論に参加して欲しかったです。改善を希望。


    ■Bプログラム
    ・『息をひそめて』
     同姓しているカップル(堀奈津美&佐野功)が暮すアパート。男は女が浮気をしているのではないかと疑心暗鬼になり、床下に隠れて女とその友人(田中のり子)との会話を盗み聞きする。

     畳がパカっと開いて男が出てくるのが面白いです。わざわざこのためにセットを作られたんですね。ビーフシチューを食べるのか食べないのか・・・で終わる最後の空気には、岸田國士作品のような情緒が感じられました。ただ、女2人の会話はいやに早口で、感情表現がはしょられているようで残念。

    ・『エリクシールの味わい』
     さまざまな女の子の“尿”を用意しているバー。飲尿フリークの男(小林タクシー)が1杯ずつ味見をしていく。

     絶品でした(笑)。始まる前のセットチェンジの時に、スポットライトが客席に2灯も用意されたところから、ものすごく可笑しかった。キーボードの生演奏&ボーカル(伊藤靖浩)もノリノリで素晴らしいです。
     男が心奪われたエリクシール(万能薬・不老不死の薬)と呼ばれる尿は、精神を病んだ女(岡田あがさ)のものでした。テーマが飲尿なのに、変態のダメ男と薄幸の美少女の純愛物語にまで昇華しました。「50cmだけ離れて。ずっと一緒に。」にうっとり。

    ・『藪の中』
     芥川龍之介原作『藪の中』の翻案・舞台化。

     たった1人で30分間、7役を演じ分けていくのは大変なことだと思います。堀越涼さんは花組芝居の役者さんなので、歌舞伎っぽい演技がポイントにもなっていました。原作の持ち味そのままに上演したようですが、構成に変更を加えても良かったのではないかと思います。


    【アフタートークイベント】
     4/30(木)出演:谷賢一 船岩祐太(演劇集団 砂地・演出)

     初日とは違って、キャバクラ嬢(?)の皆さんは床に座ってお話に参加。「ポストモダンって何ですか?」という質問が良かった。
  • 満足度★★★★

    Bバージョン
    なぜか今でも、あの「飲尿ミュージカル」の歌が頭から離れない。という苦しみに悩んでいます。(^0^)

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    「息をひそめて」
    同棲をしている彼女の様子がどうもオカシイ。浮気をしているようだと疑心暗鬼になった男は床下に隠れて様子を伺う事にした。案の定、彼女は3人の男と浮気をしていた。男は一瞬、殺意を抱いたが、殺す勇気もない。だからって別れる勇気もない。たぶん、この先も何事もなかったように暮らす所存。
    女が友人と話すシーンで「浮気って案外、バレないものなんだ・・。」って言葉は現代の女性像を象徴してるような背景が見え隠れして、リアルだった。


    「エリクシールの味わい」
    他人と深く関わりたくない会社員はとあるバーで女性のおしっこを飲むのを趣味としていた。おしっこの味、色、芳醇なまでの香りで、女子高生のおしっこ・人妻・バイトガール・幼女・女王様(SMの)と区別できる。ある日、エリクシールと呼ばれる不老不死なるおしっこを飲尿した。その味に惚れてしまった会社員は天使みたいな女の子のおしっこを自分のものにしたいと切実に思い、彼女を迎えにいく。彼女はセックスが嫌いで働くのも嫌い。何も出来ない女の子だったが、会社員は言う。「愛とかセックスとか、もう、そういうのはいいんだよ。でも一人じゃ嫌なんだ。50cm位離れて傍に居てくれるだけでいいんだ。そんなに近いのって嫌だろー?」
    こうして、会社員は彼女のおしっこを飲み続けながら妄想の世界で彼女の虜になっていく、というお話。
    とにかく面白い!ばかばかしいけれど、その発想と言い、大真面目に「飲尿ミュージカル」を歌う役者陣にもウケル。
    現代社会の若者を風刺したようなブラックコメディ!

    「藪の中」
    芥川龍之介の作品。物語の軸を残し、登場人物を脚色して藪の中で起こった出来事を女の証言、夫の証言、男の証言、おばばの証言・・・と8人の視点から表現して一つの物語を完成させる。役者のレベルは相当高く、完璧に演じてました。むしろ、こういう古典的な事も出来るんだな。と驚く。

    なんといっても目玉は「飲尿ミュージカル」です。
    機会があったらもう一回観たい作品!(^0^)
  • 満足度★★★★

    A&B
    ・4月30日Bプロ
    ・5月06日Aプロ

    7作品、堪能させて頂きました。
    とりわけ「エリクシールの味わい」は抜群に面白かった。
    ミュージカルをやっている人は全員見るべきだと思いました。
    ありがとうございました。


  • 満足度★★★★★

    満足度は『エリクシールの味わい』限定です♪
    『ショート7』の7作品を拝見しましたが、
    個人的には、飲尿ミュージカル『エリクシールの味わい』が突出して好み、でした。
    ミュージカルの王道たる「美女と野獣」ならぬ、「美女と変態」の物語があまりに切なすぎて…。

    ネタバレBOX

    だって、飲尿にだけ喜びを感じる変態であり、風体もまるで冴えない中年男性・小林タクシーが眼前に現れた瞬間、あんなに美しい岡田あがさ(けれど心を病んでいる)が、自分を救いだしてくれる王子様に違いないと、全身全霊を込めてうっとりしてしまうんですよ!
    そんな有り得ない奇跡のような瞬間を共有できたとき、芝居を観ていてよかったと、真底思うわけです。
    いやあ、堪能♪
  • 20090502
    、ン、)ノ Aプロ

  • 満足度★★★★

    まさに谷賢一展覧会
    1600Bプロ、1900Aプロ観劇。
    pit北/区域、初めての劇場でしたが泣きたくなる狭さ。Bプロ観たときは
    奥に暗幕掛けてるセットに半分身体が埋もれてました。忍耐との勝負w

    お芝居の方は、もう谷さんの頭の中にあるあらゆるベクトルのものが
    どさっと山積みになったって感じで、それはそれは楽しめました。

    あと関係ないんですけどAプロの間、ずっと谷さんが隣で箱に座って
    厳しい目で舞台をご覧になってました。時にうなずき、笑い、鼻息荒げ。
    舞台とその演出家を同じ視界に共存させるのも、おもしろいもんです。

    楽を過ぎましたが、一応ネタバレにて。
    「ソヴァージュばあさん」は会心の一撃!でした。

    ネタバレBOX

    観た順に。

    「息をひそめて」
    これはおもしろかったなあ。恋愛観でも「そうそう」って思うところが
    多々あったし。他の演目は「現実にはあまり身の回りにないもの」が
    背景になってるけど、これだけは同じ目の高さにある出来事が
    題材になってて、それだけに感情がリアルに伝わってきました。

    「エリクシールの味わい」
    ぼく谷さんはエロスをやっても下ネタはやらない人だと思ってましたw
    観てるうちに飲尿がまるで普通のことのように錯覚させられてました。
    劇中歌も素晴らしい!最後、飲尿でホロリさせられた自分が悔しい。

    「藪の中」
    堀越さん、すごいなあ。暗転して役が変わるはじめの部分だけは
    前の役の印象が残ってしまってとまどいを感じるけど、達者ぶりを
    堪能できました。ひとつの出来事を複数人が語ると少しずつ事実と
    異なる。その真実は?なんかそんな映画もありましたね。

    「ソヴァージュばあさん」
    黒澤さん演出の 4x1h で初見。ストーリーが判っていたからかも
    しれませんが、今回の方がとても分かりやすく心に伝わりました。
    4x1hのアフタートークで「机を使いたい」「火事のシーン」について
    語っておられましたが、その答えが観れて良かったです。
    堀川ばあさんは、ちょっと優しすぎるイメージだったかなあ。
    もう少し偏屈に閉ざしていた心が開く感じが出てもよかったかも。

    「Bloody Sauce Sandwich」
    興味深く観させていただきましたが、とても不可解な作品。
    でもぼくの中のダルカラのイメージってこんな感じ。

    「15分しかないの」
    初観。堀さん頑張ってます。桑島さんが「本音」で堺さんが「体裁」
    という心の葛藤として観てましたが、リズムよく小綺麗な仕上がり。
    演者全員が客席向いてシンクロさせるのは大変だっただろうなあ。

    「アムカと長い鳥」
    ちょっと「Bloody Sauce Sandwich」とカブるのはこちらも女性の
    「性」を描いているからか?テーマ的にちょっと苦手な作品でした。
    アムカが「アームカットの略」ということを観終わってから知った。

  • 満足度★★★★

    A&B観劇
    Aプログラム&Bプログラム、観劇。
    不条理ものはフーンという感じでピンとこないけど、他の作品は面白かった。
    A:「15分しかないの」・・・お見事
    B:「藪の中」・・・リキ作
    B:「エリクシールの味わい」・・・笑い。ちょっと引きw

  • 満足度★★★★

    ミュージカル!
    エリクシール~はいいですね、単純に楽しめてかつひくこともなく、役者もぴったし、みたいな。

このページのQRコードです。

拡大