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ミシンとこうもり傘が解剖台の上で偶然に出会ったように美しい

ミシンとこうもり傘が解剖台の上で偶然に出会ったように美しい

Alice Theatre Laboratory

あかいくつ劇場(神奈川県)

2024/12/13 (金) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/14 (土) 14:00

 主人公の会計士Yによる狂言回しに導かれて、ロートレアモンの『マルドロールの歌』やホフマン的禍々しくも歪でカオスで不穏な悪夢的世界がモチーフになっていて、怪奇幻想エログロナンセンスな世界を綺麗に耽美に、美しく描く寺山修司的というよりかは、個人的には唐十郎的な気持ち悪さと妙な生活感、悪夢が現実を侵食してくる感じがフィットしているように感じた。
観れば観る程どんどん日常から悪夢でしかない非日常で、恐怖と戦慄、鮮血不健康なエロス、不条理しかないのに、魅せられ、引きずり込まれ、いつの間にか劇世界の主人公になって追体験しているような錯覚を呼び起こし、引き込まれ、時間や空間を忘れ、現実、今いる場所や国、自分が住んでいる場所さえも忘れるほど衝撃的だった。

 この劇はまた一言で言えば、大人のメルヘンというか、悪夢的な不思議の国のアリスなんじゃないかと感じた。
 
 また、終演後のトークショーの際に聞き手の人が、この劇は香港の言論弾圧、デモ弾圧、思想や政治信条の弾圧といった民主主義に逆行した現状も暗に作中に含まれているんじゃないかというようなことを香港の劇作家に聞かれていた。
しかし、個人的には、それは違うんじゃないかと感じた。そんな新劇的なメッセージを露骨にまたは分かりやすい形で劇中に含ませるのであれば、こんな説明し難く、観客を引きずり込み、舞台と客席との間がなくなり、主人公に感情移入していくような、それでいて複雑で、形容し難い劇にはならないと感じた。
 それに政治的メッセージがそんなに強固だとどこの国でも上演できるとはならないはず。しかし、この香港の劇作家は香港国内に留まらず、中国の北京や上海、台湾の台北、さらに他のアジアやヨーロッパ諸国まで縦横無尽に公演し数々の賞を受賞をしていることを考えれば、あえてメッセージ性をうやむやにし、幻想怪奇エログロナンセンス劇にしたてたことの意味は大きいんじゃないかと考えた。

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディVol.20

昭和歌謡コメディ事務局

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/20 (金) 17:00

 昭和歌謡コメディは、今回で20年目で、20周年ということで、1部のコメディ劇のほうは、どんな集大成で、どんな感動を感じさせてくれるのかと思って観ていたら(そうはいっても、私が観始めて5、6回程度しか立っていないが)、良い意味で裏切られる展開でした。ヒロトシ·まるみの兄弟喧嘩が勢い止まらず、まるみがヒロトシの奥さんゆみこの有難さを身を持って実感させるため、ヒロトシの娘みゆと組んでゆみこには死んだ振りをしてもらって、ゆみこが急に亡くなったことにするという突飛な猿芝居がどんどん事が収集が付かないレベルまで大きくなっていき、どうなるかという、多数の人が入り乱れるシチュエーションコメディであり、途中あまりにも下らないギャグや阿佐ヶ谷姉妹のパロディなどもふんだんに盛り込まれていて、大いに笑え、また終盤は少し感動した。
しかし、それを吹き飛ばすぐらいドタバタな笑いやズレた会話による笑いなどが次から次へと飛び出し、最後の最後まで、20周年だからと気張らず、変にグレードアップし過ぎず、等身大の人間臭い個性豊かで癖が強い登場人物たちで、大いに笑えてストレスや嫌なことや不安、外の寒さも吹っ飛んだ。

 第2部の昭和歌謡とお笑いのバラエティショーでは、バルーンアートが観れる、昭和〜平成間のアニメ曲も聴けたのが個人的にはすごく嬉しかった。今まで以上に自分の知ってる曲や知ってる者を題材にしたコントが多かったことで大いに共感でき、楽しめた。

トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

小劇場で笑劇を至近距離で観て楽しむ、そしてラストは衝撃的な そんな洒落の効いた公演。劇中とは言え、1970年代の寂れた劇場の楽屋や音曲漫才の雰囲気が味わえる。3者三様の歌声が軽快なリズムに乗せてこだまする。何と無くではあるが、かしまし娘を連想してしまう。楽器を奏でながら面白可笑しい話、そして時事ネタを盛り込む といった話術が懐かしい。

物語は 説明にある通り、舞台では息の合った漫才を披露する3人だが、楽屋へ戻ると日々 大喧嘩。原因は「トリオ」というあだ名の副支配人・鳥居一男の奪い合い。そして遂には刃傷沙汰へ…。表情豊か 誇張した演技が見どころ。小笑・爆笑など笑いの渦だが、時にオルゴールから流れる ゴンドラの唄がしみじみと。ちなみに この歌、大正時代の歌謡曲で、芸術座公演『その前夜』の劇中歌として松井須磨子が歌ったのは有名。自分は、映画「生きる」で主人公を演じた志村喬が この歌を口ずさみながらブランコをこぐシーンを思い出す。

音曲漫才師の3人は、それぞれ苦労を重ねて生きてきた。そして やっと一緒になりたい男を見つけたが、それが何と皆同じという悲劇。ゴンドラの唄の歌詞は♫恋愛讃歌のような、たとえ気心知れた仲良しであっても恋の路は譲れない。そこに普遍的とも思える「愛情」と「生活」が滲み出ている。

今回の演出は 武藤晃子女史。10年ほど前 この演目(LEMON LIVE vol.10公演)に役者として出演しているが、今回は演出を担当している。そして当日パンフには、NonoNote.主宰の璃音さんを称え、そして激励するような言葉を綴る。ノンストップ女3人芝居、そこに日替わりゲストが加わり、実に味わい深く紡いでいく。観応え十分、ぜひ劇場で。
(上演時間1時間30分) 

ネタバレBOX

舞台はムーンライトセレナード新宿座の楽屋。前説はトリオ(ゲスト 植田健一サン)が店の法被を着て担当。舞台の近くに特別に作らせた楽屋。正面の壁には着物が掛けられ、中央の少し高くなった平台に炬燵。上手に楽器(ギターやアコーディオン)置き場、下手に黒電話。年代的に携帯電話がないため、この電話が重要な役割を果たす。

3人は、Toshimi Saionji(小玉久仁子サン)、Ritsuko Sasanishiki(鈴木球予サン)、Orie Bando(璃音サン)、罵声 喧嘩のような会話から それぞれの境遇が分かってくる。問題は、トリオを巡る恋沙汰と この特別な楽屋を明け渡さなければならない状況、これらは姿を現さない支配人の胸三寸。さて、この劇場に長く出ているSaionjiは、ピン芸人であった頃、舞台の都度 衣裳替えをしていたため、この楽屋を作らせた。Sasanishikiはストリッパー、Bandoは売れない歌手といったところ。

場末とは言わないが、この環境から抜け出して好きな人と小さな幸せを、そんな細(ささ)やかな願い。しかし、この面白可笑しい騒動には ある思惑が…。この公演、漫才的にはトリオを巡る騒動がフリ、どんでん返しがオチ、そして何事もなかった いや少し心境の変化がフォローのような、そんな滋味ある作品だ。

本公演の内容とは直接関係ないが、 武藤さんが演じた時と今回とでは、個人的に意味合いが違うような気がしている。この10年間でコロナ禍の以前と以後、いつまた どのような災いがあるか分からない。少し大袈裟かもしれないが、コロナ禍(まだ完全終息ではない)で演劇を観るのは命懸け。この至近距離で大口開けて笑える喜び、それを ひしと感じる。それが 今を必死に<生きる>に繋がるような。
次回公演も楽しみにしております。
トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

笑いました!!女性トリオの建前やら本音やらがぶつかって、1人の男を取りあうドタバタも面白かったです!
設定が1970年代とのことで懐かしい言葉やエピソードが飛び出しました。演じている役者さんたちも知らなかったことなのではないでしょうか。日替わりゲストの植田健一さんが「好きな昭和歌謡」と言うことでユーミンの「ひこうき雲」とおっしゃっていましたが、あれは昭和歌謡ではなくニューミュージックというのが正しいと思います。
まあ、植田さんが発表した時後ろの席の女の子が「えー!知らない」と呟いていたので、知らない世代にも聞いてもらえたら嬉しいです。

ネタバレBOX

男の取り合いの真相がわかったときには「そうだったのね!」と安心しましたが、トリオ君は心を入れ替えることはできるのでしょうか?そしてマーガレッツの内紛に発展しそうな気配もあって心配ですね(笑)
インディペンデント・クロニクル グレイテスト・笑マンⅡ

インディペンデント・クロニクル グレイテスト・笑マンⅡ

一般社団法人グランツ

川崎市アートセンター アルテリオ小劇場(神奈川県)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/20 (金) 14:00

「インディペンデント・クロニクル」130分。休憩なし。

新作『トロイメライ』/『ジョルジュ』

新作『トロイメライ』/『ジョルジュ』

座・高円寺

座・高円寺1(東京都)

2024/12/19 (木) ~ 2024/12/25 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

12月、冬の訪れの時期に毎年上演される座・高円寺の音楽を取り込んだステージである。形としては朗読劇といった作りだが、小品ながら音楽として成立している演奏を取り込んでいる。今回は芸術監督に新しく就任したシライケイタの作・演出でシューマン(亀田佳明)と妻・クララ(月影瞳)の交わした往復書簡を読みながら何曲か秋山沙穂が演奏する。休憩15分を挟んで2時間30分。
このシリーズはもう20年を超える実績がある。今年は例年好演されてきたアメリカのジャズを素材にした「アメリカンラプソディ」に替わって「トロイメライ」になった。シューマンの音楽が演奏されるのだからシューマンの話か、地味じゃないか、と思いながら見ていると、半ばでシューマンは若死にして、後半はブラームスとのの往復書簡になる。これは、妻クララの話なのである。シライケイタ、ラストに余白の日記を出したり、構成はうまいものである。
19世紀、男性社会だったウイーン音楽界に演奏家として受け入れられ、女性音楽家として初めて音楽界でリーダーになっていくクララの生涯が演奏と共に語られる。亀田はこういった役回りはお得意で今回もシューマンやブラームスを過不足なく読む。月影が父に反発しながらローティーンの頃からシューマンとの純愛に生き、たくさんの子供たちをもうけ、毅然として演奏家としてヨーロッパ中を巡演していく自立する女を読む。好演である。
自立する女性物語として古いが王道の話で初演ながら客席は老若男女バランスの良いいかにもの「杉並区民」で満席であった。
この企画も10年を超えれば劇場名物になる。こういうシリーズ公演を一つでも持っていることは自治体劇場としては大成功である。組み合わせるショパンの「GEORGE」は定評ありの公演だがピアノで固めるのも一案だが、やはり前作のように軽音楽系の物語欲しい。芝居に比べれば仕込みは楽なのだから三本立てでも意のではないかと思った。客席300クラスの劇場がそれぞれ四季にあわせ名物公演を持てれば東京も素晴らしい演劇都市になる。なれば良いなぁ。

トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

昭和の話なので少しわからない部分はありましたが、それでも3人の熱演で楽しめる作品でした。

ケレン・ヘラー

ケレン・ヘラー

くによし組

シアタートラム(東京都)

2024/12/19 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

話の筋は良く判ったものの、そこへ行くまでの状況が納得(共感)できなくて…モヤモヤしてるうちにどんどん進んで行った。
不条理劇だから、話の流れにリアリティを求めてはいけないのかな?
アフタートークがあったおかげで、話の趣旨はわかったけど…

ネタバレBOX

熱望(物も人も)するものもなく、SNSなどとは距離を置いて生きてきた私には、刺さるところが無かったが、今を生きるワカモノには刺さるのかもしれないです。
天保十二年のシェイクスピア

天保十二年のシェイクスピア

東宝

日生劇場(東京都)

2024/12/09 (月) ~ 2024/12/29 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

4年10月ぶりの藤田版再演。宮川彬良さんの曲が実に素晴らしく、地を這って生きる人たちのエネルギッシュなこと。木場勝己隊長の達者な導きで天保十二年の、佐渡の三世次の一代記に誘われる。高橋一世を踏襲しつつ悪の度が増した浦井健治の三世次。お文、お里など悪人ぶりが際立つほど、話がおもしろくなってくる。シェイクスピア作品の織り交ぜが絶妙で、耳慣れたセリフが出てくるとつい笑ってしまう。
他人の人生を踏み台にして虫けらから代官に上り詰めた男の悲惨な最期もなぜか爽快。2幕はジェットコースターさながらに疾走する。
確かに絢爛豪華祝祭音楽劇だった。リピーターチケット(かなりお得な)もあるのでできれば1階と2階で観劇をオススメします。

なかなか失われない30年

なかなか失われない30年

アガリスクエンターテイメント

新宿シアタートップス(東京都)

2024/04/27 (土) ~ 2024/05/06 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すごくよかったです。
停電作業の後って何かしらトラブルが起きるけど、これはイヤだ(笑)
クズ債権者は懲らしめるけど、本当に困った人はソッと見逃す。この三人だと、闇金のヒーローっぽくてたまらん。
演劇衆団ZI-PANG、最高だった!
自分好きの主宰が笑える。それについて行く役者もいいキャラ!

キミと奏でる音色

キミと奏でる音色

SFIDA ENTERTAINMENT

劇場HOPE(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

役者さんたちの熱演が光る舞台でした。
正直ストーリ的には少し納得いかない部分もありましたが、それを知ったうえで
再度観てみると根底にある部分が見えてきて、また印象が大きく変わってくる作品
なのかなぁとも思いました。

トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

3人の女優さん熱演です。
ストーリーも人物の設定もとても面白かった。大きな動きや表情がとても合っていたと思います。12/19昼の俳優さん、喋りが上手く良かったです。

ケレン・ヘラー

ケレン・ヘラー

くによし組

シアタートラム(東京都)

2024/12/19 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

アフロ子(中井千聖さん)とケイト(大場みなみさん)によるお笑いコンビ「ポジティboo」。十八番ネタの「ヘレン・ケラー」(ヘレン・ケラーの「WATER」を茶化す)にクレームが入り謹慎中。名村辰氏はアフロ子の内面として話の進行役を務める。二人はバイトしている古本屋の二階、ケイトの家で一緒に暮らしている。古本屋の性欲旺盛な店長(花戸祐介氏)、バイトの谷川清夏さん、新しく入ったてっぺい右利き氏。てっぺい右利き氏はケイトにガチ恋していてストーカーのように付きまとう。「ヘレン・ケラー」ネタはお母さんが初めて大爆笑してくれたもので、アフロ子にとって絶対に譲れないものだった。それをやれないことに我慢ならずコンビを解散。お喋りロボット、サリバンちゃん(柿原寛子さん)を購入して新しい相方に。タブーなしで面白いと思うこと全てをやる芸風で突き進む。

中井千聖さんは「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の「いまきた加藤」を思い出した。
大場みなみさんは幸薄いATG顔。当時の原田美枝子っぽい。
谷川清夏さんも華がある。

ネタバレBOX

店長がケイトにプレゼントした香水「ケレン・ヘラー」をアフロ子が煙草の臭い消しに使っていた。実はそれは麻薬成分が混入された非合法の幻覚剤だった。幻覚として現れた神様さん(佐藤有里子さん)のアドバイスに従いどんどん過激な芸風にシフト。唯一自分の味方だったマネージャー(永井一信氏)をも踏み付け傷つけていく。SNSでケイトと谷川清夏さんの同性愛を暴露、花戸祐介氏の刺青を暴露、てっぺい右利き氏の童貞を奪い、永井一信氏に谷川清夏さんを襲わせる。周りの皆を傷つけ皆に嫌われて誰もが離れていく。そのうちネタにしていたヘレン・ケラーのように視力と聴力を失っていくアフロ子。サリバンちゃんを自分と世間との伝達役にするがいつのまにか自分自身を乗っ取られてしまう。失恋を逆恨みしたてっぺい右利き氏はケイトに硫酸をかけ、ケイトも失明。全てを失った二人は「NEWポジティboo」としてコンビを組み直す。角膜の移植手術で少しだけ見えるろう者のアフロ子と耳は聴こえる盲目のケイトのお笑いでラスト。

面白いとは何なのか?他人に受けるとは何なのか?他人の顔色ばかり伺ってやりたくもないことをやる無意味さ。自分が主でなくては意味がない。他人を主にすると自分なんてどこにもなくなってしまう。他人なんか所詮どこまでいっても他人でしかない。結局は「自分と他人」というテーマに行き着く。自分にとって他人の存在とは何なのか?

自分はこの作品を全く面白く感じなかった。作家の笑いのセンスが自分と根本的に合わないのだろう。

唯一、ケイトがてっぺい右利き氏の童貞を奪おうとするシーンだけ笑えた。
トリオ

トリオ

NonoNote.

シアター711(東京都)

2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 仲間内で1人の男の争奪戦! 

ネタバレBOX

 物語は主として女性音曲漫才トリオの楽屋で展開する。この楽屋、かつて長らく小屋でピンを張っていたリーダーが、着替えが間に合わないと板に一番近い場所に作らせた楽屋とあってそれなりの格式と総支配人との様々な関係もアカラサマであるが、問題はトリオのメンバー3人総てが副支配人と関わっていることである。時は1970年代初頭、未だベトナム戦争は終結しておらずディケイドの初めには三島の割腹、72年には日中国交正常化、沖縄闘争をメルクマールとしての左派弱体化、舞台となっている新宿のヒッピー、フーテン、フォークゲリラ、サイケデリック流入と共に流行ったLやG等々、実に面白い時代ではあったが、今作ではそのような即面を持っていた昭和の特に新宿の騒乱状態は殆ど触れられておらず、脚本家は泥臭い時代だったと捉えているのではないか? と感じた。実際に当時宿で遊んでもいた小生などはそのように感じるのだ。まあ、ラリッた奴がアイスピックをカウンターに入って持ち出し他人を刺したりヤクで矢張りラリッている奴が刃傷沙汰を起したりはあったが、誰が店の人間なのか分かっていない客が多く、そいつらもラリッていたりしたので、怪我人の周りだけがワヤワヤしている状況で他は何てことはなかった。唯兎に角アナーキーな時代であった。
 そんな時代にⅠ人の男を取り合う女たちの三つ巴の戦いが描かれる。ソフィスティケートされていないギャグが多用されたり、サービスのつもりなのか、くどいと感じる場面が多かったのは脚本のせいなのか、演出のせいなのか不明だがスマートではない。(まあ、この辺り観客の好みもあるから一概には言えないものの)中盤から後半に掛けてはドンデン返しもあり楽しめた。
世界の果てからこんにちはⅢ

世界の果てからこんにちはⅢ

SCOT

吉祥寺シアター(東京都)

2024/12/13 (金) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「世界の果てから…」という題名が適格であったかどうかは疑問があるが、現代ニッポンへの警笛は同感の念を抱きました。
上半身、下半身という表現をアフタートークで鈴木さんも遣っていらっしゃいましたが、机上の空論と足が地に着くことの対比なのだろうか?

 演劇がエンタテインメントと名を代えて久しい感があるが、演劇の精神が宿る作品は、今やSCOTに期待するしかないのだろうか?
そんな風潮もまた、現代ニッポンの病巣なのかも知れないと思いました。

 鈴木さんのトークでの「充電」と「放電」には我が意を得たりという思いがしました。
行政は、これをやってはいけないという【不利益規則】は作るが、可能性を狭めてしまっていることには留意などしない。多様性を抑圧している。
全くだと思いました。
 『ハラスメント』に対する意見を演劇で見せてほしいと強く思いました。

病室

病室

劇団普通

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2024/12/06 (金) ~ 2024/12/15 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/12/11 (水) 14:00

時として口論などもあるが基本的にはありふれた日常会話なのに2時間超を見せてしまうのは何故?と予てから思っていたがこの回のアフタートークゲストの本谷有希子さんの「リズムや間合い、重なり方などが音楽のような会話」という指摘で「あ、それだ!」と氷解。
アフタートークではほかに石黒さんが親戚の会話を文字起こしして解析(?)していることなども披露され、「石黒戯曲」の秘密を垣間見たようで興味深かった。
終演後に「あの特徴的な茨城訛りを日常的に使っている方はどう見えるのだろう?」と思ったが、3年前の再演時に「標準語版を見たいような見たくないような」との感想を綴っており、発想が一緒。(笑)
ちなみに上演時間は初演が130分弱、再演が125分、今回が135分。

キミと奏でる音色

キミと奏でる音色

SFIDA ENTERTAINMENT

劇場HOPE(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

あらすじを読んでいたので、ある程度予想出来ましたが、それでも二転三転していく展開で楽しめました。同級生達の関係性がよく、基本的には良い人ばかりでしたので応援したくなります。歌唱シーンもとても近くで見応えがありました。

ネタバレBOX

少しタイムスリップ後の展開に関して難解な点もあり、観劇後に考えております。
ケレン・ヘラー

ケレン・ヘラー

くによし組

シアタートラム(東京都)

2024/12/19 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/12/19 (木) 18:30

笑っていいのか考えてしまう、笑えない、お笑い芸人の物語。深い。(1分押し)105分。
 2018年初演作品をリライトした再演で、初演も観てる。ヘレン・ケラーをネタにしたギャグをする女子2人が不謹慎だと活動休止に追い込まれるが…、の物語。不謹慎と笑いの境界がどんどん難しくなっている現在にこそ考えるべき作品だと思う。初演はもっと笑いが多かったように思うが、劇場の規模が大きくなったこともあって、観客が笑う場面が少なくなった気がする。國吉らしい細かいギャグはいっぱいあった。役者陣もみな好演だが、ロボット役を演じた柿原が特に良かった。

白衛軍 The White Guard

白衛軍 The White Guard

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2024/12/03 (火) ~ 2024/12/22 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ブルガーコフ作品だと気付いたので急遽予定を組み、足を運んだ(チケットも余裕で取れた)。
劇場都合なのかどうなのか・・新国立主催公演では久々の中劇場。つい2階席を懐具合と相談して買ってしまい、残念な観劇となる確率が高いのだが、今回は二階からでも舞台が近く感じ、役者の姿も声もしっかり入って来た。(劇場都合なのか・・と疑問がもたげたのは小劇場が似つかわしい舞台に思えたので。)
ロシア革命前夜、ではなく革命直後のウクライナを、大ロシア帝国の王ツァーリを主と仰ぐ「白衛軍」側の家族の目線で描いた作品だ。スターリン支配下のソ連で苦悩の作家人生を送ったブルガーコフを題材にした劇団印象の前作をおぼろに思い出しながら、劇としては面白く観た。ソ連に組み込まれる以前のウクライナとロシアの関係(地続きに隣接するヨーロッパの国々の事情は測りがたいものがある)や、闘う者たちが帰依する対象(何に殉ずるのか)を相対的に評する視点があり、だからこそドラマを描くのだ、という作者の声が聴こえるような気がする。
物語の主人公はトゥルビン家の兄弟アレクセイ(白衛軍の部隊を率いる大佐)とニコライ(若さで血沸き戦いに漕がれている)、そして界隈のマドンナ・エレーナ。舞台はこの家の広い居間で旧知の者(殆どが軍人)が出入りする。この家の人たちに憧れて遠方からやってきた若い学生(従兄弟)が唯一の非軍人。厳しい戦いを強いられている白衛軍だが、ドイツの支援が期待され、エレーナの夫は「政府の用事」と称して序盤にベルリンへ赴くのだが、ついにドイツ軍は援軍をよこさず、白衛軍は敗北する。白衛軍の指導的立場であったゲトマン率いるゲトマン軍に属するレオニードもエレーナ目当てに家に出入りする一人だが、戦いの終盤においてこのゲトマンの逃亡を目の当たりにする。
作者は白衛軍の目線でドラマを描き出しながらも、陣営の正当性を主張するものでは勿論ない、のだが、ただ、国内のロシア支配から脱却せんとする民主勢力ペトリューラ軍は残虐に描く。日本における日本赤軍事件が象徴する「左翼」「過激派」のイメージに近い。そして終幕、ウクライナ首都キエフを陥落したのはロシアから進軍したボルシェビキであり、民衆は早くも彼らを歓迎し、それを自嘲気味に揶揄する白衛軍の居間の会話が「平和」の時間の中で交わされる。
古いロシアによる支配による平和秩序を尊ぶ白衛軍は歴史の必然のように表舞台から退場し、新たな時代を迎えた瞬間で物語は幕を閉じる。トゥルビン家の長男・アレクセイ大佐が戦闘で死に、それを目の当たりにした同じく建物内に追い詰められたその弟は命からがら帰還するが、精神を病む。
敗北の悲劇を経て、訪れた日常において人間が平和を享受する尊さを描きながらも、人間が「平和ゆえに」腑抜けて行く予感が漂う(とは穿った読みかも知れぬが)ラスト、人生の喜劇を滲ませる。

装置、音響が優れ、演出の勝利にも思える(ワンツーワークスの古城氏が今年の記憶に残る演劇作品として本作の「二幕」を挙げていた。二幕って・・)。
戦闘シーンの頻出する芝居だが、ある局面で舞台奥にある箱の中でかなりの衝撃だと分かる爆発音が鳴る。(銃の音もちゃちい火薬の鉄砲ではなく十分に衝撃音を出すものを使っている。)
ほぼ邸の居間が舞台。冒頭から秀逸であったのは、ロシア人気質というものを恐らくは体現しようとした男らの言動。妙に人懐っこく、喧嘩っ早く、日本人感覚では甘えん坊と揶揄されかねない人物像をそれぞれ作っていた。
現代のウクライナ・ロシア戦争を「評価」する際においても感ずる事だが、あまりに無自覚な自己投影(相手も自分らと同じ文化を有しているという前提)によって価値判断をしていないか・・。
他国領土に侵攻したロシアの行為は許されるものではないが、許す許さないを超えて事態は動く。そこでは「違反者=絶対悪」という単純思考では物事の先行きは見通せない事実に直面させられる。
ウクライナの西欧への接近は長い近隣の歴史の流れの中ではどう意味づけられるか・・100年前のウクライナの歴史という一つの点を、「他者(他国民)」理解の補助線を引くために活用し、文脈を見て行く態度を獲得していく事が肝要ではないかと思えてならない。「知る」という事は押しなべて人の人に対する「断罪」という愚かさを遠ざける側に機能するのだと思うし、そうありたい。「面白い!」とかみしめた味の中身は、そういう事であったかも。

イヨネスコ『授業』

イヨネスコ『授業』

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2024/12/17 (火) ~ 2024/12/21 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「イヨネスコ『授業』」とは何なのか。奇怪そのものの戯曲は人の心の深層を叩いて来るものがあるが、正体は漠としており強度の高い解釈を作り手に求める。
結論的には、面白いパフォーマンスであった。教授役は前回のリーディング企画で「お国と五平」の男役をやった男優で、人間の「狂気」の背後に流れる何かを、想像させるに十分な奇怪さを体現した。
私はSPACで西悟志氏の非凡な演出による本作を目の当たりにしたので、「あれを超えるものはあり得ないし」と敬遠する向きがあったのだが、楽園王なら観る価値はあるかなと、(他の公演と散々迷った挙げ句)新たな「授業」を観る気になり足を運んだ。
面白かった。
醸されていたニュアンスを言葉化するのは難しいが、言葉が見つかったらまた書いてみる。

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