Things I Know To Be True 公演情報 Prayers Studio「Things I Know To Be True」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    #プレイヤーズスタジオ
    面白い、お薦め。
    チラシにある「現代演劇の傑作」という謳い文句に間違いなし。世界中の家族の数だけ物語はある、本作はプライス家の1年間を通して親の期待や子の自立、そして強く深い絆を描いた話。平凡でどこにでもいるような家族、しかし1人ひとりは独立した人間。説明にある失恋をした末娘が帰ってきたから という契機ではなく、それまで潜在的に抱えていた「本当のこと」が発露し出した。

    1人の人間としての自我、それを家族だから といって縛り付けることはできない。親の視点、子の視点という見方を変えながら「家族とは何か?」ということを問う。無条件の愛の限界をリアルかつ痛烈に描いた家族劇。同時に親である前に男と女という生身の人間を描いた夫婦劇でもある。

    見どころは 何の変哲もない会話の中に、登場人物の心理を表すような演技(身体表現)が観え、一層リアルに感じる。対面客席で その間にあるアクティングエリアで演じることから、間近で家族の日常を覗き見るといった感覚。
    見事な翻訳・演出(渡部朋彦 氏)、見応え十分。
    (上演時間2時間40分 途中休憩10分)㊟ネタバレ
    (フラン 妻鹿有利花サン、ピップ 蔭山恵美サンの回)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、入口とは反対側にカウンターと固定電話、その傍に低箪笥。中央に段差を設えてテーブルとイス、入口近くにバラが咲き誇る植え込み(季節によって回転させ枯れた柵)。舞台は オーストラリア・アデレード郊外にあるプライス家の裏庭。

    物語は、移り変わる「4つの季節」 具体的にはもう少し変化をつけて展開する。その時(季)期をカウンター後ろにある暗幕に映し出す。冒頭は末娘ロージーの旅先ベルリンの文字が映し出される。閉塞感ある家族から逃れるためヨーロッパに出かけ、そこでスペイン男と親密になったが 弄ばれただけで失恋。傷心して家に帰ってきた。季節は「秋」「晩秋」「冬」 休憩を挟んで「春」「夏」そして「人生は続く」と。季節に合わせて親が子の抱えた悩みや問題と向き合う。

    プライス家は、労働者or中産階級の夫婦 ボブとフラン そして成人した4人の子ども。子どもたちがそれぞれの秘密や危機を告白することで、親が信じていた「理想の家族」の形が崩れていく。父の ボブは63歳、自動車工場の早期退職を余儀なくされ、庭いじりに平穏を求めながらも、暇で時間を持て余している。 母 フランは看護師で、家族を深く愛しているが、その愛によって子どもたちを束縛してしまう。 長女 ピップは、キャリアのために離婚し カナダ・バンクーバーへ移住することを決め、母と絶縁する。 長男マーク/ミアはトランスジェンダー(女性への移行)であることをカミングアウトし家を出る。 次男 ベンは 金融業界で成功しているように見えたが、顧客の金を横領し 親に助けを求める。次女 ロージーは 海外旅行先(ベルリン)での失恋から傷心して帰国。物語の狂言回し(ナレーター)的な役割も果たす。登場人物は、それぞれ「台詞」と「語り」によって感情と理性といった両輪で紡いでいく。

    テーマ は、愛の重みと絆の深さといったところか。 親の愛情は必要だが、時に子の個性を削いでしまうといった矛盾。また 世代間の意識の違いが浮き彫りになる。親は「安定」のために犠牲を払ってきた世代、一方 子どもは「自己実現」を求める世代、その世代間のギャップが深刻な影を落とす。 人生において「これだけは絶対に正しい(真実だ)」と信じることは或る意味 妄信のような。愛は(冷・醒・褪←どれが適切だろうか)める とはフランの台詞。昔 恋した人がいたが、子どものために諦めたとボブに告白。夫婦の関係を続けられたのは 子のおかげ(まさに「子は鎹」)。その子が自分の人生を歩み始めた矢先に…ラストは衝撃的。

    シーン(季節)毎に印象的な音楽が流れ、情況と状況を表出するような照明の諧調が巧い。物語は厳しい現実を突きつけるが、音楽や照明といった演出によって 抒情的といった雰囲気を醸し出している。家族劇であるが、1人ひとりの物語でもあり、その意味ではダブルキャストで違う母フランと長女ピップの姿を観てみたい と思うくらい見事。「世界中で上演され続ける」は肯ける。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/10/11 11:28

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