公演情報
劇団B♭「箱館に眠れ ーピリカと白虎ー」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
初の劇団。後で見ると重なるメンバーの居る甲斐ファクトリー(観たのは一度でぼんやりの記憶)や、劇団芝居屋に通じるある種の堅実さが流れていた。出演者は若手の中に中堅、熟練、老優が混じる印象なのは「男女の出会い」を縦軸に紡がれた物語であるためだろうか。脚本の語りは何に付けきっちりしてる大人の喋りを聞くようである。半面遊びもかましてるがそのテンポ感にもセーブが効いて、歴史事実を描くに相応しい堅実さとも言える。で、脚本家の「わたなべさん」とは..
幕末、維新前夜のアイヌモシリにやって来た和人との交流、衝突が、若者同士の出会いを軸に紡がれるのだが、図らずも胸に寄せるものがあった。
だいぶ昔に北海道の観光地かつ保護区となっているコタンを旅行で訪れ、アイヌの踊りを見たが、複雑な心境であった。この体験の核は「長」を意味するエカシという外見もアイヌそのものの老人が観衆に披露した儀式の後、自身の民族への理解を求め、一和人である我々に友好の手を差し伸べてきた事だった(手を差し伸べて、というのは比喩。その声色や姿勢等から、それを感じたのであった)。誇りを持つとは何か、自民族を意識するという事について、思考する大きな契機の一つになった。
博物館の売店に売っていたムックリを、暫く鳴らそうと頑張ったものだが中々難しかった(芝居の序盤に娘っ子が鳴らそうとする場面があったが、あれよりは巧くなった)。
先住民族の権利といった問題をより知るのはその後の事であったが、歴史上計り知れない程に争いによって殲滅された民族というものを想像し、20世紀に生まれた新たな権利概念が言わば特殊な状況を作り出していると考えた。鮭漁や狩猟、採取で暮らしては行けない。今世界中で毎年「言語」が二、三ずつ消滅し、三千言語が絶滅危惧言語だという。同化によるもの、民族消滅によるものとあるだろう。
異文化理解の逆説は、少数である程希少=価値がある、という点にある。多数派が決定権を持つ現実世界の原則と、固有性に価値を置く視点と。市場が希少価値をどう扱うかはその市場を構成する人間の価値観次第。危うい。
生み出された事への畏敬は希少価値を重視するが、生み出そうとする野心家は非効率な存在を忌避する。
閑話休題。観劇が楽しかったもう一つの要因は近くに座った女性コンビ、大人と子どもの様子。ザ・ポケットの後部席(通路より後ろ)は据え付けが甘く、動くとビンビン響く。隣の娘さんが時々、震動を伝えて来るので見ると、恋バナに反応し一々同伴者(母親?)に身を乗り出してワクワクを伝えている。ビビッドな反応に、演劇が伝え得るものへの想像を逞しくし、嬉しくなったものであった。
(話の内容に触れずにコメントを終えるがそれもありか。)