スリーゴースト 公演情報 パルコ・プロデュース「スリーゴースト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    正方形ステージ、円形廻り舞台が二重(内円だけが廻らない)。背後にスクリーン、左右は全面鏡になっている。後方と前方下手に設置されたビデオカメラ、リアルタイムでスクリーンに投映しているのか。

    『クリスマス・キャロル』の現代版だと思って観たら全く違った。ガチガチ最先端の演劇。堺雅人氏のファンは慄いたのではないか。(自分はテレビを見ないので『半沢直樹』も『VIVANT』も知らない)。伊勢佳世さん目当てだったが納得の内容。

    広告代理店の営業であるジョー(堺雅人氏)が熱烈なプレゼンをしている。自分の見た夢を録画記録し何度でも再生可能な精神世界ビデオ、「リープマインド」。この装置の普及によって人間は本当の自分自身を知ることが可能だと。無意識に閉じ込めていたものと白昼堂々向き合える。その熱意が通じて宣伝契約を勝ち取り会社は巨額の報酬を手にする。「リープマインド」は大成功を収め、国内だけでなく海外進出に着手。

    ジョーが18の時、22歳の姉、ニコが湖で自死した。服のポケットにいっぱい石ころを詰めて。ジョーは姉にもう一度逢いたかった。この装置を使えば夢を記録してずっと逢える。

    戦争が起こっている。けれど殆どの人々には視えない戦争が。それが視える少数の人達は戦争を止める方法を必死に模索する。だがそもそも大多数に視えない戦争に止める方法などあるのだろうか?

    ミヒャエル・エンデの警句の現代版だと感じた。「虚無」に侵食されて思考を放棄していく人々。それに抗うには自分の頭で考える行為しかない。自分の頭でこの世界を読み解いていく。正しかろうが間違っていようが。

    ネタバレBOX

    ジョーの母、マリ(高畑淳子さん)は娘のニコの自死を今も引きずって酒浸り。ニコはジョーに何かを伝えたがっていたとジョーを責める。

    ジョーの妻、ハナ(倉科カナさん)はピアノ教師。姉のミカ(伊勢佳世さん)が精神を病んで自死してしまう。何かを知る父のケン(段田安則氏)はハナをジョーと別れさせようとする。

    ミカの教え子で彼女に恋をしていたダン(小日向星一氏)はミカの自死の原因がジョーにあると突き止める。ジョーに近づく為、ハナのピアノの生徒になる。同じくミカの教え子でダンの友人、サラ(saraさん)はジョーのアシスタントに応募し選ばれる。

    ジョーの視界に黒い点々が浮かびそれが小鳥となって飛び去る症状が続く。友人の眼科医ユーゴ(迫田孝也氏)の診察を受ける。

    パフォーマーとして浅川奏瑛さん、加賀谷一肇(かずただ)氏、鈴木美奈子さんがアンサンブル的に小道具を回収したり運んだりする。進行と共に感情を表現するように踊り、無意識(イド)を象徴。浅川奏瑛さんにはニコの存在も重ねられる。

    話は古典的なものだが語り口が難解。第一幕は要らない描写が多い。第二幕、saraさんが登場してから全くノリが変わる。まあこの語り口こそが作家性なのだろう。ただ勿体ないなとも思う。観客に“戦争”を終わらせる為に自身が出来る事を考えさせる作品にも成り得た。高尚な芸術作品で処理されてしまうと実に勿体ない。

    星新一の商業誌デビュー作品『セキストラ』を思い出す。セキストラという性欲処理装置が販売される。それを使用すると電流が神経を伝わって脳を刺激し擬似オルガズムを発生、使用者の性欲が満たされる。この商品は大ヒットして世界中に普及。人々は満たされもう何も求めず静かに文明は滅んでいく。セキストラさえあればいい=完璧なドラッグ=完璧な宗教。

    ※後で確認するまで「ディープマインド」だと思っていた。
    デミ・ムーアの『G.I.ジェーン』を想起。
    キャッチコピー〈一人目は「警告」、二人目は「試練」、そして三人目は···〉。『クリスマス・キャロル』の3人の精霊は「過去」、「現在」、「未来」だった。今作の内容から考えると三人目は「(自分の)選択」だろう。

    ※表現が全て夢を見ているように揺らいで不確定。実はこれは全てジョーの「リープマインド」内だと思った人は多数いるだろう。

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    2026/10/10 20:50

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