チャリング・クロス街84番地 公演情報 劇団昴「チャリング・クロス街84番地」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    凄く自分好みの作品だった。調べると実話。1949年、ニューヨークの貧乏作家(主な収入が演劇の台本校正)、ヘレーン・ハンフ33歳が新聞で知った遠く英国ロンドンの絶版本専門古書店マークス社に注文の手紙を書く。顧客窓口であり、支配人の40代紳士フランク・ドエルが丁寧な返事で注文の書物を送付。ヘレーン・ハンフの要求はマニアックで18世紀から19世紀の日記や随筆など当時の生活が窺われ価値観や物の考え方を知れる物が多い。しかも汚れておらず一冊5ドル以下という制約。そんな相手に極めて紳士的に誠実に対応するフランク・ドエルの誠実な人柄。上手がシックな古書店マークス社の事務所内、地続きに一段高く作られた下手はヘレーン・ハンフのニューヨークのアパート。互いの手紙を送り受け取る時に朗読し合うだけの20年間。実際に遣り取りした手紙を使っているだけに特にドラマが起こる訳ではない。だがそれだけにラスト、真実のみが持ち得る感慨を受け取る。

    一柳みるさんはヘレーン・ハンフそのもの。役を生きるとはこういうことか。失礼でもあるがズケズケと本音で物を言う素直さに憎めない人柄を感じさせる。
    フランク・ドエル役、変幻自在の金尾哲夫氏は今回、藤村俊二っぽい紳士に。チャーミングで人懐っこく信頼の置ける人柄が伝わる。
    二人のこの膨大な台詞の量、一体どうやって覚えるのか?

    書店員達のリアクションが海の向こうの差出人に対する親愛と時間の経過を見事に表現。あんどうさくらさんの存在感も効いていた。

    こういう書簡だけで構成される作品は昔から好き。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    潰れた古書店、夜、そっと中に入ると奥にイースター(復活祭)の贈り物、アヒルの人形が飾られている。完璧なラスト。

    ヘレーン・ハンフは何百年前の英国の者達が書き記した書物を読んでずっと想像して生きてきた。出来る限りの情報を脳内に入力してあの頃の時代の人々の暮らしや怖れや希望をリアルに感じようと。そして20年間のマークス社との文通もまたそうだったと気付く。海の向こうの一度も会ったことのない人達と紡いだ心の交流。互いへの想像力と思いやりで繋いだ誠実な日々。文章を読んでいるだけで心と心が触れ合える不思議。

    ※客席に養成所の若者が多かった。

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    2026/10/08 21:17

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